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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1343053 
審判番号 不服2016-4477
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-03-25 
確定日 2016-08-18 
意匠に係る物品 自動車用センターコンソール 
事件の表示 意願2015- 19053「自動車用センターコンソール」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,意匠法第14条第1項の規定により2年間秘密にすることを請求した,平成27年(2015年)8月28日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用センターコンソール」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。なお,原査定の拒絶理由通知書においては「引例の意匠」と記載している。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成23年8月15日)に掲載された,意匠登録第1420732号(意匠に係る物品,自動車用センターコンソール)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに運転席と助手席との間に設置される自動車用センターコンソールであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)形態
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお,両意匠の形態の対比にあたっては,センターコンソール前方側を「前方側」,センターコンソール後方側を「後方側」,センターコンソール左右側面側を「左右側面側」として記載する。

まず,共通点として,
(A)全体は,略倒コの字状でトンネル状のセンターコンソール本体部(以下,「本体部」という。)の後方を塞ぐように後面部(以下,「本体後面部」という。)を設け,本体部の左右側面先端側を前方に突出させて,板状の突出部(以下,「板状突出部」という。)を形成した,全体の縦(長手方向の幅),横(短手方向の幅),高さの比を約4.4:1:1.2とする形態であって,
(B)本体部の上面部は,前方側から後方側にかけて,略角皿状の前方収納部,中央部に細長開口部を形成したシフトゲート部,略隅丸等脚小台形状の中央収納部,並びに,左右に並設したカップホルダー部及び略細長長円状のサイドブレーキ用ゲート部を配設し,上面部の前端部分から中央収納部まで下方に傾斜し,そこから後方にかけて上方に傾斜し,サイドブレーキ用ゲート部後方端部から急激にせり上がった形態としている点,
(C)アームレスト部は,平面視略隅丸等脚台形状で断面視略紡錘形状の肉厚板状体であって,本体部の上面部後端部分の一段上がった水平部分に,その前方部分が本体上面部のせり上がった部分からせり出した配置態様で配設している点,
(D)板状突出部は,左側面側板状突出部は,上辺を略水平とし,下辺を略円弧状とし,前方側の辺を略垂直とし,本体部との接合部の辺を後方に向かって下がる直線状とした板状体であり,本体部との接合部から外側に向かって一段張り出した形態とし,右側面側板状突出部は,上辺を段差状に切り欠いてそこに略三角形状の突出部を形成し,下辺を略円弧状としてその前端部を段差状に切り欠いて前端部を略角棒状とし,本体部との接合部の辺を後方に向かって下がる直線状とした板状体であって,本体部との接合部から外側に向かって一段張り出した形態としている点,
(E)本体後面部は,その上方に略角皿状の深い後面上方収納部が形成され,その下方部分に略横長長方形状の蓋付きの後面中央収納部を形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)本体上面前方部分の態様について,本願意匠は,本体上面前方部分に別部材を配し,本体上面部より一段突出した部分に,前方収納部及びシフトゲージ部を形成しているのに対して,引用意匠は,上面前方部分と面一となるように,前方収納部,シフトゲージ部及び中央収納部を形成している点,
(イ)前方収納部の態様について,本願意匠は,前方に向かって右側の後方角部内側部分に,上面部分に略長方形状の開口部を持つ略直方体状の突出部を一つ形成しているのに対して,引用意匠は,そのような突出部を形成していない点,
(ウ)シフトゲージ部の平面視の態様について,本願意匠は,前方側の辺を直線状とし,後方側の辺を略円弧状とした,略横等脚台形状のシフトゲージ中央部分に,略横長長方形状のシフトレバー用開口部を形成しているのに対して,引用意匠は,前方側及び後方側の辺を略円弧状とした,略倒ベル型状のシフトゲージ中央部分に,略細長長円形状のシフトレバー用開口部を形成している点,
(エ)中央収納部の態様について,本願意匠は,開口部に蓋部を設けていないのに対して,引用意匠は,後方側縁部分に円弧状の突出部分を形成した平面視略横角丸等脚台形状の蓋部を開口部に配設している点,
(オ)カップホルダー部の態様について,本願意匠は,平面視略隅丸正方形状のものを中央部分で連結した略鉄アレイ形状に形成しているのに対して,引用意匠は,2つの略円筒形状のものを独立して形成している点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

(1)形態の共通点の評価
まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の本体部の上面部の態様,及び,共通点(C)のアームレスト部の態様は,自動車用センターコンソールの基本的構成態様としては既に見られるものであり,取り立てて特徴的な態様とはいえないものであるから,これらの共通点(A)ないし(C)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
次に,共通点(D)の板状突出部の態様は,使用時には目に付きにくい部分であり,さほど目立つものではないため,この共通点(B)が両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。
また,共通点(E)の本体後面部の態様も,この種物品分野においては,極普通に見られる特段の特徴のない形態であるため,この共通点(E)が両意匠の類否判断に与える影響も微弱である。
そして,これらの共通点(A)ないし(E)は,意匠全体としてみても,両意匠の類似性についての判断を決定付けるまでには至らないものである。

(2)形態の相違点の評価
まず,相違点(ア)本体上面前方部分の態様,(イ)前方収納部の態様,及び(ウ)シフトゲージ部の平面視の態様については,シフトゲージ部周りの態様は需要者の特に注目する部位であるところ,本体部上面部から盛り上がった別部材に前方収納部及びシフトゲージ部が配設された本願意匠の態様と,本体上面部に前方収納部,シフトゲージ部及び中央収納部がまとまって形成された引用意匠のものとは,その前方収納部及びシフトゲージ部自体の形態の相違と相まって別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
次に,相違点(エ)中央収納部の態様,及び相違点(オ)カップホルダー部の態様については,中央収納部の蓋の有無や2つのカップホルダー間を連結し,その部分にCDケース等を収納できるといった相違点は,それらを使用する際に大きく注目されるところから,これらの形態が相違する両意匠は需要者に別異な印象を与えるものであり,これらの相違点(エ)及び相違点(オ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きい。
そして,これらの相違点(ア)ないし(オ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる視覚的効果は,両意匠部分の類否判断を左右するものである。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については,一致するものの,形態については,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は非常に大きく,共通点及び相違点を総合的に評価すると,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせているものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2016-08-04 
出願番号 意願2015-19053(D2015-19053) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
橘 崇生
登録日 2016-09-02 
登録番号 意匠登録第1559957号(D1559957) 
代理人 川越 弘 
代理人 原田 雅美 

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