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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3
管理番号 1343061 
審判番号 不服2018-1282
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-31 
確定日 2018-07-24 
意匠に係る物品 緩み止めナット 
事件の表示 意願2016- 15398「緩み止めナット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年7月19日の意匠登録出願(意願2016-15333)を原出願(以下「原意匠登録出願」という。)として、意匠法第10条の2第1項の規定による出願の分割がなされた、平成28年7月20日の意匠登録出願であり、原意匠登録出願は、さらに平成25年11月27日の特許出願(特願2013-245103)を原出願(以下「原特許出願」という。)として、意匠法第13条第1項の規定による出願の変更がなされたものである。
これらの手続の経緯をまとめると、以下のとおりである。
平成25年11月27日 :原特許出願(出願番号:特願2013-245103)
平成27年 6月 4日 :原特許出願の出願公開(公開番号:特開2015-102207)
平成28年 7月19日 :原意匠登録出願(出願番号:意願2016-15333)原特許出願からの出願変更
平成28年 7月20日 :本願の意匠登録出願(出願番号:意願2016-15398)原意匠登録出願の分割出願
平成29年 1月16日 :手続補正書(図面)の提出
平成29年 2月 9日 :手続補正書(図面)の提出
平成29年 3月29日付け:拒絶理由の通知
平成29年 3月29日付け:通知書(原特許出願への出願日の遡及を認めない旨の1回目の審査官通知。)
平成29年 5月19日 :意見書の提出
平成29年10月13日付け:拒絶査定
平成29年10月13日付け:通知書(原特許出願への出願日の遡及を認めない旨の2回目の審査官通知。)
平成30年 1月31日 :審判請求書の提出
平成30年 5月29日付け:審尋
平成30年 6月14日 :審尋に対する回答書の提出
平成30年 6月14日 :手続補正書(図面)の提出

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を「緩み止めナット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
そして、本願部分の具体的な形態は、以下のとおりである。
本願意匠の全体の形態は、ナット本体とナット本体の上面に固定されたプリベリングトルク発生用のフリクション片とを備えた「緩み止めナット」における、ナット本体の上面ほぼ一杯に、断面視略逆U字状で環状の突条部(以下「環状突条部」という。原特許出願における「かしめ部39」に該当。)を1つ形成し、環状突条部の内周部分を垂直に下方に穿設して凹部を形成し、環状突条部内周面のナット本体の上面に相当する位置に、略中空円板状のフリクション片を水平になるように配設したものであり、本願部分の形態は、この環状突条部、フリクション片、及び環状突条部内周部分を垂直に穿設した凹部の部分である。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠は、日本国特許庁発行の公開特許公報(公報発行日:平成27年6月4日)に記載された、特開2015-102207の【図1】等において表された「緩み止めナット」の意匠であり、その形態は、同公報に記載されたとおりのものであって、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。
なお、上記の特開2015-102207は、原特許出願の出願内容を公開した公開特許公報である。

第4 当審の判断
1.本願意匠における出願日の遡及について
原審において、本願意匠は、意匠法第3条第1項3号に規定された意匠に該当するものであるとして拒絶査定がなされたが、この原審の判断は、本願の出願日が原特許出願の出願日(平成25年11月27日)までの遡及は認められないことを前提に判断されたものである。
そこで、本願意匠と引用意匠の類否判断を行う前に、本願の出願日の遡及について、以下検討する。
(1)原特許出願記載の意匠の意匠に係る物品について
原特許出願の明細書における【発明の名称】「緩み止めナット」の記載、特許請求の範囲における【請求項1】の「雌ねじと座面とを有するナット本体と、前記座面に対向する前記ナット本体の上面に固定されたプリベリングトルク発生用のフリクション片とを備え、・・・前記上面と前記フリクション片との間に軸方向に、前記フリクション片と前記雄ねじとの干渉を防止する干渉防止用空間が設けられたことを特徴とする緩み止めナット。」の記載から、原特許出願記載の意匠の意匠に係る物品は、本願意匠と同じ「緩み止めナット」であると認められる。

(2)原特許出願記載の意匠の本願部分に相当する部分の用途及び機能について
本願願書の「意匠に係る物品の説明」欄における記載から、本願における本願部分の用途は、ナット本体の上面にプリベリングトルク発生用のフリクション片を固定するための部分であり、その機能は、フリクション片の移行部からボルトの雄ねじを侵入させ、前記フリクション片が侵入した雄ねじに係合して弾性変形することによりプリベリングトルクを発生させることができるものであるといえるが、この意匠に係る物品の説明欄の記載と同様の記載が、原特許出願の「特許請求の範囲」の【請求項1】においてなされているから、原特許出願記載の意匠の本願部分に相当する部分の用途及び機能は、本願部分の用途及び機能と同じものであると認められる。

(3)原特許出願記載の意匠の本願部分に相当する部分の位置、大きさ及び範囲について
本願部分の位置、大きさ及び範囲は、ナット本体の上面部分に位置し、ナット本体の上面とほぼ同様の大きさのフリクション片付きの環状突条部と、環状突条部の内周部分を垂直に下方に穿設して凹部の範囲であるといえるが、原特許出願の「特許請求の範囲」の【請求項1】における「ナット本体の上面に固定されたプリベリングトルク発生用のフリクション片とを備え・・・プリベリングトルクを発生させる緩み止めナットにおいて、前記上面と前記フリクション片との間に軸方向に、・・・干渉防止用空間が設けられたことを特徴とする緩み止めナット。」の記載から、原特許出願記載の意匠の本願部分に相当する部分の位置、大きさ及び範囲は、本願部分の位置、大きさ及び範囲と同じものであると認められる。

(4)原特許出願記載の意匠の本願部分に相当する部分の形態について
従来のナットの形態を前提に、原特許出願の図面における【図1】(A)本発明の実施の形態に係る緩み止めナットの平面図、及び(C)同緩み止めナットの断面図により、本願部分の形態は特定可能に開示されていると認められる。

上記のとおり、本願意匠については、原特許出願に記載の意匠において必要かつ十分に表されているものであるから、本願意匠の出願日については、原特許出願の出願日まで遡及するものと認められる。

2.小括
以上のとおり、原審によって引例された引用意匠は、本願の遡及した出願日の後に、日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠であるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当せず、この引用意匠をもって、本願の拒絶の理由とすることはできない。

第5 結び
以上のとおりであって、原審が引例した引用意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから、本願については、原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-07-09 
出願番号 意願2016-15398(D2016-15398) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 外山 雅暁 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2018-08-17 
登録番号 意匠登録第1613400号(D1613400) 
代理人 鮫島 武信 
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