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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C3
管理番号 1343068 
審判番号 不服2017-13927
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-20 
確定日 2018-08-08 
意匠に係る物品 ごみ箱 
事件の表示 意願2016- 18979「ごみ箱」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、平成28年9月2日(パリ条約による優先権主張2016年(平成28年)3月4日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年10月18日 :優先権証明書提出書の提出
平成28年12月9日付け:拒絶理由の通知
平成29年3月14日 :意見書の提出
平成29年3月14日 :手続補足書の提出
平成29年6月13日付け:拒絶査定
平成29年9月20日 :審判請求書の提出
平成29年11月6日 :手続補正書の提出
平成29年11月7日 :手続補足書の提出


第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「ごみ箱」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。


第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、以下のとおりである。
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2010年12月28日に受け入れた
Popular Science 1号
第19頁所載
ごみ箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB22008446号)
(なお、類否判断の対象となるのは、引用の意匠の、本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分(以下「引用部分」という。)である。)(別紙第2参照)


第4 対比
1 意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、意匠に係る物品の記載によれば、本願意匠は「ごみ箱」であり、引用意匠も「ごみ箱」であるから一致する。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は、いずれも容器部及び容器部に開閉可能に取り付けられる蓋部の部分であるから、一致し、またその底面及び背面の一部分を除く部分を意匠登録を受けようとする部分としたものであるから、位置、大きさ及び範囲は一致する。

3 両部分の形態
両部分の形態を対比する(以下、対比のため、本願部分の図面における正面、平面等の向きを、引用部分にあてはめることとする。)と、両部分の形態については、以下のとおり、共通点及び相違点がある。
(1)形態の共通点
正面側斜視で、
基本的構成態様として、
(共通点1) 正背面に扁平な縦長直方体状の容器部と、その上端に容器部よりやや大きい横長長方形厚板状の蓋部を設けて、全体を構成している点。
具体的な態様として、
(共通点2) 容器部及び蓋部の四つ角を隅丸状としている点。
(共通点3) 蓋部の平面部において、周縁に沿って縁部が形成され,周縁とほぼ相似形状の開閉蓋板が縁部の内側に組み込まれている点。

(2)形態の相違点
(相違点1) 蓋部の縁部の平面視の基本的な形状について、本願部分は、背面側をかなり太めの同幅にしつつその左右両端を漸次細くして、左側面側、右側面側及び正面側をかなり細めの同幅にした態様であるのに対し、引用部分は、背面側、左側面側、右側面側及び正面側のいずれも細めの同幅にした態様である点。
(相違点2) 蓋部の背面側の縁部と開閉蓋板の構成について、本願部分は、縦割4分割円筒状の縁部の中央部を切り欠いて、代わりに同径のヒンジ部を組み入れて開閉蓋板と一体にしているのに対し、引用部分は、背面側の直角状の縁部にヒンジ部を設けず開閉蓋板も縁部と一体になっていない点。
(相違点3) 容器部の背面側の上下中央上部の構成について、本願部分は、ヒンジ部の下に、容器部と一体になって接合された、上下中央やや上に横長長方形状の開口部を有する箱体があるのに対し、引用部分は、背面側の態様が不明である点。
(相違点4) 容器部の胴の下部の態様について,本願部分は、下端に段差のある縁があるのに対し、引用部分は、下端にほぼ段差のない細幅帯状の縁があり、全高の下から約7分の1の高さに横1条の細幅凹状溝がある点。


第5 判断
1 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

2 両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲は、一致する。

3 形態の共通点及び相違点の評価
(1)共通点の評価
(共通点1)の、容器部の、正背面に扁平な縦長直方体状の構成、及び蓋部の、容器部よりやや大きい横長長方形厚板状の構成は、ごみ容器の物品分野において既に極普通に見られるに過ぎないものであって、両部分のみに見られる特徴とはいえず、また、(共通点2)の、容器部及び蓋部の四つ角を隅丸状の態様としている点も、本願出願前よりすでに見られるものである。そして、(共通点3)についても、蓋部の平面部において、周縁に沿って縁部を形成し、その内側に縁部とほぼ相似形状の開閉蓋板を組み込んだ構成は、この種の物品分野においては、本願出願前よりすでに数多く見られるのであって、両部分のみに見られる格別の特徴とは言えず、以上の共通点のいずれも需要者の注意を惹くものではなく、類否判断に与える影響は小さいといえる。

(2)相違点の評価
(相違点1)の蓋部の縁部の平面視の基本的な形状の相違について、本願部分は、背面側をかなり太めの同幅にしてその左右両端から漸次細くし、残余をかなり細めの同幅とした、縁部の形状である一方、引用部分は、縁部全体を細めの同幅としたものであるが、本願部分の一辺のみかなり太めの幅とし残余の辺をかなり細めとした全体の基調は、引用部分の細めで同幅からなる形状に比べれば、幅の広狭に大きな変化があり、ごみ箱を斜め上から一瞥しても縁部の独特な形状による視覚的な印象を需要者に強く与えるから、この相違点が類否判断に与える影響はかなり大きいといえる。
(相違点2)の蓋部の背面側の縁部と開閉蓋板の構成の相違について、本願部分は、縦割4分割円筒状の縁部の中央部を切り欠いて、代わりに同径のヒンジ部を組み入れて開閉蓋板と一体になっており、開閉蓋板とそのヒンジ部で平面視で凸の字状を呈して縦割4分割円筒状の縁部に組み合わさった印象を需要者に与えるのに対し、引用部分は、背面側の直角状の縁部にヒンジ部がなく開閉蓋板も縁部と別体となっており、格別に特徴のない印象を需要者に与えるものであって、この相違点は、相違点に係る構成の視覚的印象が明確に異なるといえるから、この相違点が類否判断に与える影響は大きいといえる。
(相違点3)の容器部の背面側の上下中央上部の構成の相違について、本願部分は、ヒンジ部の下に、容器部と一体になって接合された、上下中央やや上に横長長方形状の開口部を有する箱体があり、当該箱体には、背面視及び背面側斜視で、中央より上に横長矩形状で大きめの孔が開けられている。この種の物品分野においては、ごみ容器の背面に小箱を備え付けて内部に替えのごみ袋を常備し、必要に応じ孔から新たな袋を取り出せるようにする構成もあるところ、本願部分の容器部においては、需要者が立ったままで手を伸ばしてごみ袋を出し入れできるよう、背面の上部に大きくまとまりある箱体を設け、需要者の目にとまりやすい視覚的な印象を与えている。一方、引用部分の背面側の態様は不明であるところ、この種の物品分野では、付加的な用途を持つ部分の有無、その位置や 態様は、需要者の注意を十分に惹くことを考慮すると、この相違点が類否判断に与える影響は大きいといえる。
(相違点4)の容器部の胴の表面の態様の相違について、本願部分の下端に段差のある縁があるのに対し、引用部分の下端にほぼ段差のない細幅帯状の縁がある点は、相違点が狭い部分におけるもので、相違の程度がわずかでそれほど目立たないものである。一方、引用部分に、全高の下から約7分の1の高さに、横1条の細幅凹状溝があるのに対し、本願部分に当該溝がない点は、両部分とも表面の他の部分に当該溝がないなかで、引用部分の当該溝が、胴の下方にありながら目立つものであって、需要者の注意をある程度惹くものと認められる。結果として、容器部の胴の表面の態様については、需要者の注意をある程度惹くものであり、この相違点は、両部分の類否判断に一定の影響を与えるものといえる。


3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に判断した場合、両部分は、(相違点1)蓋部の縁部の平面視の基本的な形状に大きな相違があり、(相違点2)蓋部の背面側の縁部と開閉蓋板の構成にも、(相違点3)容器部の背面側の上下中央上部の構成にも、各々大きな相違があり、(相違点4)容器部の胴の下部の態様には一定の相違が見受けられ、これらを総合すると、両部分は全体として類否判断に影響を与える大きな相違があるといえる。
そうすると、部分全体としての(共通点1)容器部の、正背面に扁平な縦長直方体状の容器部と、その上端に容器部よりやや大きい横長長方形厚板状の蓋部を設けて、全体を構成している点、(共通点2)容器部及び蓋部の四つ角が隅丸状とされている点、(共通点3)蓋部の平面部において、周縁に沿って縁部が形成され,周縁とほぼ相似形状の開閉蓋板が縁部の内側に組み込まれている点のすべてが共通することを考慮しても、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるに至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕するものであるから、両部分の形態は類似しないものである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲が同一であるが、その形態においては類似しないものであるから、両意匠は類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、本願については、原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-07-25 
出願番号 意願2016-18979(D2016-18979) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 桐野 あい 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
宮田 莊平
登録日 2018-08-31 
登録番号 意匠登録第1614455号(D1614455) 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 久保 怜子 
代理人 行田 朋弘 
代理人 阿部 達彦 
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