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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J6
管理番号 1343071 
審判番号 不服2017-17484
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2018-08-09 
意匠に係る物品 拳銃 
事件の表示 意願2016- 23733「拳銃」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成28年10月31日 意匠登録出願
平成29年 5月10日付け 拒絶理由通知書
平成29年 7月25日 意見書提出
平成29年 8月25日付け 拒絶査定
平成29年11月27日 審判請求書提出
平成30年 4月 2日付け 指令書(協議指令)
平成30年 5月 2日付け 協議の結果届提出

第2 本願意匠
本願は、2016年5月5日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願(意願2016-23733号)であって、その意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「拳銃」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであって、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。破線で表した部分は、その他の部分である。本物品の表面に表された点は、質感が異なっていることを表す点である。「ただし、本体部分における点の濃淡の連続的な変化は、立体形状を表すものであり、意匠の模様を構成するものではない。」としたものである。(以下、本願の意匠を「本願意匠」という(別紙第1参照)。また本願の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を以下、「本願部分」という。)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、
「独立行政法人工業所有権情報・研修館が2012年 9月20日に受け入れた
Peterson Publishing Company(アメリカ合衆国)発行の外国雑誌「GUNS & AMMO」 9号
56巻 第86頁上方所載(製品名:Striker-fired DAO semiauto)
拳銃の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB24005664号)

なお、主な類否判断の対象となるのは、引例の意匠の、本願意匠が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に対応する部分です。」(当審注:以下、本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用部分」という(別紙第2参照)。また、本願部分と引用部分を合わせて「両部分」という。)
である。

第4 当審の判断
[A] 本願意匠と引用意匠が類似するか否か
まず、本願意匠と原査定において引用された意匠について検討し、本願意匠と引用意匠が類似するか否かについて、以下とおり判断する。

1.対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「拳銃」であり、引用意匠の意匠に係る物品も「拳銃」であるから、本願意匠と引用意匠(以下、「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、「拳銃」のスライド部、引き金部、各種レバー部(分解用レバー部、スライドストップ部、マガジンキャッチ部など)、背面視下端のマガジンカバー部、下方フレーム部から縦幅の短い先方と先端面を除く拳銃のフレーム部分であり、引用部分も同様であるから、どちらも、拳銃のフレーム部として、スライド部や引き金などを支持し、(グリップ部で)弾倉を収納し、拳銃を確実に把持するための用途及び機能を有するものである。
したがって、両部分の物品全体の中での用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は共通する。
(3)形態
両部分の形態を対比すると、主として、以下の共通点と相違点が認められる。
引用部分の向きは本願部分の向きに合わせて認定する。
(ア)共通点
基本的構成態様
(A)両部分は、背面視で先方部を除く横長棒状の銃身の下方フレーム部(以下、「除先方下方フレーム部」という。)、隅丸鉤状のトリガーガード部及び除先方下方フレーム部後寄りから斜め後方に突き出して設けられた略縦長長方板状のグリップ部から成る点。
具体的構成態様
(B)背面視で、横方向の各部、(前側の除先方下方フレーム部、トリガーガード部、グリップ部、後側の除先方下方フレーム部)の長さ比率のうち、トリガーガード部を約5として、トリガーガード部、グリップ部が約5:4.5である点、
(C)背面視でグリップ部の根元(最もくびれた部位)から下端までと横幅長さの比が約7:5である点、
(D)グリップ部は、背面視で下端の右端(後端)に段部を形成し、その上側のグリップ部の縦幅のほぼいっぱいに、横幅の半ば以上に大きく左方(前方)に膨らんだ目の粗い略半円状のグリップ材部を設けて、左側には右方(後方)が円弧状に凹んだ略隅丸縦長長方形状の目の粗いグリップ材部をトリガーガード部の下側内周面より下方に設けている点、
(E)除先方下方フレーム部の先方(背面視左方)に略正方形状部及び下辺沿ってトリガーガード部手前まで奥行き方向への段部が認められ、その下側に3つの四角状の切り欠き部が等間隔に設けられている点。
(イ)相違点
具体的構成態様
(a)背面視で本願部分は縦方向の各部(先方下方フレーム部、トリガーガード部、グリップ部)の長さ比率は、トリガーガード部を約4として、除先方下方フレーム部とグリップ部が約2:8であり、引用部分は約2.5:8.5であり、横方向の各部(前側の除先方下方フレーム部、トリガーガード部、グリップ部、後側の除先方下方フレーム部)の長さ比率のうち、トリガーガード部を約5として、前側の除先方下方フレーム部、後側の除先方下方フレーム部が約4.5:1.5であるのに対し、引用部分は、約5:2.5である点、
(b)上方後端部について、本願部分は、背面視で前側にやや傾斜した略逆L字状に形成されているのに対し、引用部分は後方に棘状に突き出た、いわゆるビーバーテイル部を形成している点、
(c)本願部分は、背面視でグリップ部の略半円状の右側のグリップ材部の上側から左側に掛けての周囲にごく細い縁状余地部を設け、左側のグリップ材部の上端左側は隅丸状でトリガーガード部の下方に配されているのに対し、引用部分は、右側の略半円状のグリップ材部に余地部は設けておらず線状の凹部が配され、左側のグリップ材部の上端左側は、トリガーガード部のグリップ側付け根の外周部まで嘴状に延設されている点、
(d)本願部分は、背面視でグリップ部の右側のグリップ材部と左側のグリップ材部の間にごく細い余地部を挟んで、角部が丸みを帯びた右方に大きく湾曲した目の粗い略C字帯状のグリップ材を配しているのに対し、引用意匠は中間部には何らグリップ材部を設けていない点、
(e)本願部分は、左側面視でグリップ部の横幅(厚み)は背面視でのグリップ部の横幅の約2分の1であって、除先方下方フレーム部からグリップ部の上部にかけては、正背面側がごく緩やかにくびれており、除先方下方フレーム部はグリップ部とほぼ同幅で、除先方下方フレーム部の後端部の上端は角張った凹凸状で、2本の凸状部を設けており、右側の凸状部は低めの四角状で、左側の凸状部は、右側は鉛直状で、左側は、上方を斜状とし、その下方に段部を形成したものであり、本願部分のグリップ部のグリップ材部は、正面側及び背面側から回り込んできたグリップ材部の間に中央に中程がやや幅広に膨出した細帯状の目の粗い中間グリップ材部を設け、その両脇に正背面から観察できるごく細い湾曲した帯状の余地部を設けているのに対し、引用部分の左側面視の態様については、引用部分が背面方向のみの写真図版部に現されたものであるから、不明である点、
(f)本願部分のトリガーガード部は、右側面図視で、横幅の約3分の1の幅で設けられ、グリップ部は、正面側及び背面側から回り込んできたグリップ材部の間に中央に縦長細帯状の目の粗い中間グリップ材部を設け、その両脇に直線状のごく細い余地部を設けているのに対し、引用部分の右側面視の態様については、引用部分が背面方向のみの写真図版部に現されたものであるから、不明である点、
(g)正面は、本願部分は背面視で表された形状とほぼ対称の形状であるのに対し、引用部分は、正面視の態様について、引用部分の正面視の態様については、引用部分が背面方向のみの写真図版部に現されたものであるから、不明である点、
(h)本願部分は全体に色彩を施していないものであるのに対し、引用意匠は全体に薄いオリーブ色の色彩が施されている点。

2.本願意匠と引用意匠の類否
(1)意匠に係る物品の評価
上記、1.(1)のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲の評価
上記、1.(2)のとおり、「拳銃」の物品分野において、両部分と同様の、スライド部、引き金部、各種レバー部、背面視下端のマガジンカバー部、下方フレーム部から縦幅の短い先方及び先端を除く拳銃のフレーム部分、として対比可能な、用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲を有する意匠は、本願出願前にごく普通に見受けられるので、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲の共通点が、両部分の類否判断に与える影響は、小さい。
(3)形態の評価
(3-1)両部分の形態の共通点の評価
共通点(A)の全体形状については、両部分の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点にすぎないものであり、「拳銃」の物品分野において、本願の出願前にごく普通に見受けられる基本的構成態様であるから、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
共通点(B)及び(C)については、具体的な各部の構成比率であって、全体のプロポーションに関わるものであるが、「拳銃」の物品分野において、このような各部の構成比率のものはよく見受けられる態様であるから、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
共通点(D)は、グリップ部におけるグリップ材部の共通点であって、両部分の特徴部分に係る共通点であるが、後述する具体的構成態様の相違点もあり、両部分の類否判断に与える影響は、一定程度にとどまる。
共通点(E)は除先方下方フレーム部の先方の態様についてであるが「拳銃」の物品分野において、背面視で下方フレーム部の先方下辺にこのような奥行き方向への段部を形成し、下側に四角状の切り欠き部を複数等間隔に配したものはよく見受けられ、略正方形状部は小さな部分の形状であるから、この点が両部分の類否判断に与える影響は、一定程度にとどまる。
そうすると、共通点(D)及び共通点(E)は類否判断への影響が一定程度あるとしても、共通点(A)ないし共通点(C)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、いずれも小さく、共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても、両部分の共通点は、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないということができる。
(3-2)形態の相違点の評価
これに対して、
相違点(a)については、具体的な各部の比率の相違であって、縦方向の各部比率について、本願部分より引用部分がトリガーガード部に対する除先方下方フレーム部及びグリップ部が長く、横方向にも、前側の除先方下方フレーム部及び後側の除先方下方フレーム部各部が長い点は全体のプロポーションの印象に関わり、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
次に相違点(b)については、後方の態様ではあるが、本願部分は、背面視で前側にやや傾斜した略逆L字状に形成されているのに対し、引用部分は後方に棘状に突き出したビーバーテイル部を形成している点は、一見して看取できる相違でもあり、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
また、相違点(c)については、グリップ部のグリップ材部の部分の相違であって、背面視で右側のグリップ材部のごく細い縁状余地部か線状凹部かの相違及び左側のグリップ材部の上端左側の形状の相違は、部分的相違であるが、一見して、看取できる相違でもあり、この相違点は、両部分の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
相違点(d)は、グリップ部におけるグリップ材部の具体的形状の相違に関わり、左側のグリップ材部と右側のグリップ材部の間に角部が丸みを帯びた右方に大きく湾曲した略C字帯状のグリップ材を配しているか否かの相違であって、本願部分がグリップ部を、それぞれの目の粗いグリップ材部の間にごく細い余地部を挟みつつも、ほぼ隙間無く覆っている印象を与えるのに対し、引用部分は背面視で本願部分と基本的形状は同様のグリップ材部をグリップ部前後に配しているものの、背面視の中央部においては除先方下方フレーム部と繋がった上方へ抜ける平滑な広いエリアを設けていると視認され、ほぼ隙間無く目の粗い表面材で覆われた印象の本願部分と中央に大きな抜けのある印象の引用部分とでは、グリップ部の表面態様の視覚的効果による印象が大きく異なり、グリップ部は両部分の大きな範囲を占める部位でもあって、この点が両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点(e)及び(f)については、本願部分の左右側面の態様について引用部分は不明である点についてであって、フレーム部後端部の上端凸状部については、スライド部の係合に関わる部分ではあるが、左側面でのみ認められる小さな部分の相違であり、トリガーガードの厚み比率についてもごく普通に見受けられるものであるが、左右側面図視のグリップ材部の形状の相違と中間グリップ材部及び余地部の有無については、上記相違点(d)ともあいまって、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
相違点(g)は、本願部分が背面視で表された形状とほぼ対称の形状であるのに対し、引用部分は、正面形状が不明である点についてであるが、「拳銃」の物品分野において、拳銃各部の基本的形状及びグリップ材部の態様などについては、正背面対称に形成されるのがごく普通であって、おおむね、引用部分についてもフレーム部の形状及びグリップ材部の態様などは背面と対称の形状と推認し得るところ、その余の背面態様については不明であって、この点は、両部分の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
相違点(h)は、全体の色彩の有無に関する相違であって、本願部分のように意匠登録出願に当たり色彩を施していないものとすることはごく普通であって、引用部分のように色彩が現されているものも写真図版においてはよく見受けられるものであるから、この点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(3-3)形態の総合評価
そうすると、共通点(A)ないし(D)の両部分の類否判断に及ぼす影響は、両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し、相違点(h)は、類否判断に与える影響が小さく、相違点(c)及び相違点(g)は両部分の類否判断に与える影響が一定程度にとどまるとしても、相違点(a)、相違点(b)、相違点(d)ないし相違点(f)は、類否判断に与える影響が大きく、それら相違点(a)ないし(h)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両部分を別異のものと印象付けるものである。

3.小括
以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は共通するが、これらの共通点が類否判断に与える影響は小さく、形態の共通点も未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、形態の相違点は、両部分の類否判断に及ぼす影響が大きく、共通点のそれを凌駕して、両部分を全体として別異のものと印象付けるものであって、これらを総合して判断すると、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。

[B]その他の審理
1.審理結果
当合議体が先行意匠調査を行い、それに基づいて当審が更に審理した結果、以下のとおり判断した。
本願意匠は、同一の出願人(審判請求人)により同日に出願された、意願2016-023735号の意匠と類似すると認められる。

2.対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「拳銃」であり、同一の出願人(審判請求人)により同日に出願された上記の意匠(以下「協議対象意匠」という(別紙第3参照)。)に係る物品も「拳銃」であるから、本願意匠と協議対象意匠の意匠に係る物品は一致する。
(2)本願部分と協議対象意匠の意匠登録を受けようとする部分用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は、「拳銃」のスライド部、引き金部、各種レバー部、背面視下端のマガジンカバー部、下方フレーム部から縦幅の短い先方と先端面を除く拳銃のフレーム部分であり、協議対象意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下「協議対象部分」という。)は、協議対象意匠の意匠登録を受けようとする以外の部分について、本願意匠の意匠登録を受けようとする以外の部分より多少銃身が短いものであるから、その範囲については、本願部分と僅かに相違するが、協議対象部分は「拳銃」のスライド部、引き金部、各種レバー部、背面視下端のマガジンカバー部、下方フレーム部から縦幅の短い先方と先端面を除く拳銃のフレーム部分である点は、本願部分とほぼ一致し、どちらも、拳銃のフレーム部として、スライド部や引き金などを支持し、弾倉を収納し、拳銃を確実に把持するための用途及び機能を有するものであるから、本願部分と協議対象部分の物品全体の中での用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は共通する。
(3)本願部分と協議対象部分の形態
本願部分と協議対象部分(以下「両協議部分」という。)を対比すると、除先方下方フレーム部、トリガーガード部及び除先方下方フレーム部後寄りから斜め後方に突き出して設けられた略縦長長方板状のグリップ部から成る基本的構成態様が共通し、主に、正背面視で本願部分に表された除先方下方フレーム部の先方の略正方形状部及び段部を表す線が協議対象部分には表されていない点で相違し、略正方形状部は除先方下方フレーム部の先方の小さな部分の形状であって、段部を表す線は、協議対象意匠部分に表されていないものの、右側面視においては、両協議部分に段部が共に認められるものであって、この相違点は、類否判断に与える影響は小さく、それに対し、各部構成比率も含めて、その余の本願部分の具体的態様のほとんどについて両協議部分は共通し、共通点が類否判断に与える影響は支配的であって、相違点はそれら全体の共通点の共通する印象に埋没するものである。
したがって、両協議部分は、意匠に係る物品が一致し、用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は共通するが、形態においても、共通点が両協議部分の類否判断に及ぼす影響が大きく支配的であるというべきであるのに対して、相違点は小さく、相違点の印象は、共通点の印象を覆すには至らないものであるから、意匠全体として見た場合、両協議部分は類似する。

3.指令書
上記の審理結果を踏まえて、特許庁長官は、意匠法第9条第4項の規定に基づいて、平成30年4月2日付けで、意匠法第9条第2項に定められた協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じる指令書を送付するとともに、(協議が成立しない場合に)意匠法第9条第5項の規定により協議が成立しなかったものとみなして、本願意匠が意匠法第9条第2項後段の規定により、意匠登録を受けることができないとの拒絶の理由を通知した(発送日:平成30年4月3日)。

4.審判請求人の対応
これを受けて、審判請求人は、本願と、協議対象の意匠登録出願である意願2016-023735に対して、それぞれ、平成30年5月2日付けで協議の結果届を提出し、協議対象の意匠登録出願である意願2016-023735を、本願を本意匠とする関連意匠とするとして、意願2016-23735の願書に「【本意匠の表示】【出願番号】意願2016-23733」を追加する補正をした。

5.小括
以上のとおり、上記の協議の結果の届け出及び補正により、協議が成立したものと認められる。

よって、本願意匠は、意匠法第9条第2項後段の規定により、拒絶すべきものとすることはできない。

第5 むすび
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできず、また、意匠法第9条第2項後段の規定により拒絶すべきものとすることもできない。

そして、当審が更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-07-30 
出願番号 意願2016-23733(D2016-23733) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
正田 毅
登録日 2018-08-24 
登録番号 意匠登録第1613743号(D1613743) 
代理人 石川 大輔 
代理人 山本 健策 
代理人 飯田 貴敏 
代理人 山本 秀策 
代理人 森下 夏樹 

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