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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1345914 
審判番号 不服2018-4345
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-02 
確定日 2018-09-25 
意匠に係る物品 調理器具の蓋用つまみ 
事件の表示 意願2016- 17838「調理器具の蓋用つまみ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年(2016年)8月23日(パリ条約による優先権主張2016年2月25日,アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 6月20日付け 拒絶理由の通知
平成29年 9月22日 意見書提出
平成29年12月21日付け 拒絶査定
平成30年 4月 2日 審判請求

第2 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「調理器具の蓋用つまみ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁特許情報課が2001年12月20日に受け入れたドイツ意匠公報(2001年10月25日)の第4873頁所載の「なべぶた用つまみ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH14003131号)(以下「引用意匠」といい,本願部分に相当する部分を「引用部分」という。)であり,その形態を同公報に掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第4 対比
1.両意匠の意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,本願意匠が「調理器具の蓋用つまみ」としたものであるのに対して,引用意匠が「なべぶた用つまみ」としたものである。

2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は,指で摘んで蓋の開閉等を行うものであり,両部分の位置,大きさ及び範囲については,どちらも指で摘める程度の大きさの「つまみ」の底面(取り付け面)を除いたものである。

3.両部分の形態
両部分の形態には,主に以下の共通点及び相違点が認められる。
(1)共通点
(a)両部分は,全体を,下端から上方へ向けて径が大きくなり上方が膨らんだ,扁平な回転体としたものである。
(b)両部分は,全体の縦横比(高さと上端寄りの直径との比)を,約1対2としたものである。
(2)相違点
(ア)本願部分は,周側面の下端から斜め外側へ向けて凹弧状で拡径し,下端から全高の約3分の1の高さ(下記(イ)でいう境界線の位置。以下,これより下方の部分を「基部」という。)で凸弧状に反転し,ごく短い鉛直部を経て凸弧状で上面に回り込み,上面は緩やかな曲面状に膨出したものであるのに対して,引用部分は,周側面の下端から全高の約2分の1の高さまで斜め外側へ向けて直線状に拡径し(以下,この斜め直線状の幹状部分を「基部」という。),更に外側へ向かう僅かな凹弧状部を設けてから外側へ張り出すように凸弧状に反転して上面に回り込み,上面は周囲が中央へ向けて曲面状に膨出したものであるが,中央の広い範囲が曲面状に膨出したものであるかどうかは判別できない。
(イ)本願部分は,周側面(下端から約3分の1の高さ)に,上下で材質が異なることによる境界線が表れているものであるのに対して,引用部分は,周側面にそのような境界線は表れておらず,上下にわたり同一の材質にしたものである。(なお,本願部分について,請求人は,境界線の上下でトーンが異なる旨主張しているが,境界線の上下で表面に施された立体表面の形状を表す点の表し方が異なることから,当審は,境界線の上下で材質が異なるものであると推認した。)

第5 判断
1.両意匠の意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品は,本願意匠が「調理器具の蓋用つまみ」としたものであるのに対して,引用意匠が「なべぶた用つまみ」としたものであるが,鍋は調理器具に含まれるものであるから,引用意匠のつまみも,調理器具の蓋に用いるつまみと認められ,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲について
両部分の用途及び機能は,共に蓋の開閉の際に摘み持つものであるから,同一であり,両部分の位置,大きさ及び範囲については,共に指で摘める程度の大きさの「つまみ」の底面を除いたものであるから,同一である。

3.両部分の形態について
(1)共通点の評価
共通点(a)は,部分全体を概括したに過ぎない形態であり,この種物品においてつまみを摘む際に指が掛かりやすいように上方の径を大きくした形態は,ごく普通に見られるものであるし,共通点(b)の縦横比を約1対2とした形態も,全体の縦横比(プロポーション)に係るものであるとしても,この種物品においてごく普通に見られるものであるから,いずれの共通点も,両部分のみの特徴とは認められず,部分全体について需要者にもたらす共通感は弱いといえるから,これらの共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(2)相違点の評価
相違点(ア)は,上面及び周側面,つまり両部分の広範囲の具体的な形態に係るものであり,凹弧状に拡径した短い基部の上端から凸弧状に反転し,ごく短い鉛直部を経て凸弧状で上面に回り込む本願部分と,直線状に拡径した長めの基部の上端に僅かな凹弧状を設け,凸弧状に反転して上面に回り込む引用部分とでは,視覚的印象が異なるし,上面中央の広い範囲については,引用部分の形態が不明であるために対比できないところ,目に付きやすい部分であり,視覚的印象に影響を与える部分であるから,相違点(ア)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点(イ)の境界線の有無(上下で材質が異なるか否か)の相違は,どちらの形態も,この種物品においてごく普通に見られるものに過ぎず,軽微な相違といえるから,相違点(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。

4.類否
両部分について部分全体として総合的に観察した場合,上述の両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づけば,共通点は,いずれも両部分の類否判断に及ぼす影響が小さいものであるのに対して,相違点は,相違点(イ)が軽微な相違であるとしても,相違点(ア)が両部分について異なる印象をもたらし,両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいものであるから,両部分の類否判断を決するものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が同一であるが,両部分の形態において需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第6 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-09-11 
出願番号 意願2016-17838(D2016-17838) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 油科 壮一 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2018-11-09 
登録番号 意匠登録第1619308号(D1619308) 
代理人 牛木 護 
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