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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C1
管理番号 1346811 
審判番号 不服2018-10134
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-24 
確定日 2018-11-13 
意匠に係る物品 クッション材 
事件の表示 意願2017- 12763「クッション材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成29年(2017年)6月14日の意匠登録出願であって, 同年12月13日付けの拒絶理由の通知に対し,平成30年1月29日に意見書が提出されたが,同年4月16日付けで拒絶査定がなされ,これに対して同年7月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「クッション材」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

特許庁発行の公開特許公報記載
平成11年特許出願公開第005282号
【図4】,【図15】,【図19】に表された
生地の材料の網状体(18)の意匠

なお,当審においては,引用意匠の意匠に係る物品を「生地の芯地」と認定する。また,正確には,網状体は,【図4】においては符号18であるが,【図15】及び【図19】においては符号19なので,この点につき,拒絶理由通知書の記載は誤記と認められる。

第4 対比
1.意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,本願意匠が「クッション材」であり,筒状内に芯材を挿入して用いられるものであり,例えばクッション,座布団,座椅子,ソファ等の敷物用クッション材として,また,敷布団,マットレス,まくら等の寝具用クッション材として使用することができ,カバー等で被覆して使用することも,被覆せずに使用することもできるものである。
一方,引用意匠が「生地の芯地」であり,例えば衣服,履物,鞄類,布団等に用いられる生地の芯地となるものである。

2.形態
(1)共通点
全体を,菱形格子状の網状体を筒状に形成したものである。
(2)相違点
格子を形成する各線材について,本願意匠は,細い部分と太い部分とが不規則に繰り返したうねった形態(あたかもチューブ容器から絵の具等の内容物を絞り出したかのようなうねった形態)としたものであるのに対して,引用意匠は,直線状としたものである。

第5 判断
1.意匠に係る物品について
本願意匠は,クッション,座布団,座椅子,ソファ等の敷物用クッション材として,また,敷布団,マットレス,まくら等の寝具用クッション材として使用することができ,カバー等で被覆して使用することも,被覆せずに使用することもできる「クッション材」であるのに対して,引用意匠は,衣服,履物,鞄類,布団等に用いられる「生地の芯地」であって,使用状態が異なり,用途も一部重なっているに過ぎないものであるから,両意匠の意匠に係る物品は,相違する。

2.形態について
(1)共通点の評価
上記共通点は,全体を概括したに過ぎないものであり,両意匠のみに見られる特徴といえる程のものではないから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(2)相違点の評価
上記相違点は,格子を形成する各線材の具体的な形態の相違であるが,全体に及ぶ相違であり,細い部分と太い部分とが繰り返されたうねったものと直線状のものとでは,一見して気が付く相違であり,また,本願意匠の各線材の形態は,他の物品分野,例えば網状の緩衝材においてよく見られるような,各線材の交点部分のみを太くしたものではなく,本願意匠のみに見られるものであるから,この相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。

3.類否
両意匠について意匠全体として総合的に観察した場合,上述の両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づけば,相違点は,共通点を凌駕し,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が相違する上に,その形態においても類似しないものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第6 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-10-30 
出願番号 意願2017-12763(D2017-12763) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 長谷川 翔平神谷 由紀 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2018-12-14 
登録番号 意匠登録第1621996号(D1621996) 
代理人 特許業務法人北斗特許事務所 

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