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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) D3
管理番号 1346818 
判定請求番号 判定2018-600019
総通号数 229 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2019-01-25 
種別 判定 
判定請求日 2018-06-07 
確定日 2018-12-11 
意匠に係る物品 照明器具 
事件の表示 上記当事者間の登録第1353079号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号意匠の写真及び説明により示された「非防水型LEDライト」の意匠は、登録第1353079号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1 判定請求人の請求の趣旨及び理由
本件判定請求人は、上記結論の趣旨の判定を求め、その理由を後記1のとおり主張し、証拠方法として、後記2の甲号証を提出した。

1.請求の理由
(1)判定請求の必要性
請求人は、制御機器製品、制御装置、FAシステム製品及び照明器具等の電気機械器具の製造・販売を業とする法人であり、取扱製品のラインナップに含まれる照明器具に関し、登録第1353079号意匠に係る意匠権(以下、登録第1353079号意匠を「本件登録意匠」と、本件登録意匠に係る意匠権を「本件意匠権」という。甲第1及び2号証)を保有している。
他方、被請求人は、LED照明器具、冷却切削液用ノズル、軸受関連製品等の製造・販売を業とする法人であり、イ号意匠の実施に係るLEDライト(非防水型LEDライト NLTスリム型シリーズ、甲第3号証)の販売を2012年4月中旬から開始し、2016年4月上旬頃までその販売を継続していた。なお、当該LEDライトは、現在、被請求人のウェブサイトには掲載されていない。
請求人は、イ号意匠(「イ号意匠の写真及び説明」に示された意匠)は本件登録意匠の類似範囲に属すると思料し、書簡にて被請求人の見解を求めたところ、被請求人から、イ号意匠は本件登録意匠に類似していないと考えている旨の書簡による回答を受けた。
そこで、請求人は、本件登録意匠とイ号意匠の類否判断に関し特許庁による厳正且つ中立的な立場からの判定を求める次第である。
(2)本件登録意匠の手続の経緯
出願:平成20(2008)年1月30日
登録査定(発送日):平成21(2009)年1月9日
登録:平成21(2009)年2月6日
(3)本件登録意匠の説明
本件登録意匠は、甲第2号証に係る意匠公報に掲載されているとおり、意匠に係る物品を「照明器具」とし、図面の実線で表された部分(以下、「取付部」といい、「取付部」と記載するときは左右一対の取付部を指す。左側の取付部のみを指す場合は「左取付部」と、右側の取付部のみを指す場合は「右取付部」と記載する。)を意匠登録を受けようとする部分とする部分意匠である。本件登録意匠は当該意匠公報中の図面、意匠に係る物品の説明及び意匠の説明に表された形態を有する。また、各構成部分の名称は、本件登録意匠の各部の名称を示す参考図(甲第4号証(別紙第3参照))に付記したとおりである。以下に本件登録意匠の構成態様を詳述する。
(3-1)基本的構成態様
A.本件登録意匠は、照明器具(発光体はLED等)の照射部の両端に接続された取付部を意匠登録を受けようとする部分とする部分意匠である。
B.本件登録意匠に係る取付部の外形は、略鑿の刃状に形成されており、底面視で略直角台形状に表れる。当該取付部には左右各々2ヵ所のネジ挿入部が設けられ、右取付部にはさらに1ヵ所のケーブル挿入部が設けられている。
(3-2)具体的構成態様
ア.本件登録意匠に係る取付部の外形は、やや扁平な倒四角柱を正面視で水平方向の略中間地点から背面の先端に向けて真っ直ぐに切り欠いた略鑿の刃状に形成されている。切り欠き面に当たる部分には面がなく、正面視で手前方向に開放されている。切り欠きの始点から照射部側の部分(以下、左右のものを併せて「キャップ部」という)はその外形がやや扁平な倒四角柱状に表れ、先端側(以下、左右のものを併せて「切り欠き部」という)は切り欠き面が開放された略楔形状に表れる。キャップ部と切り欠き部は連続して一つの取付部を構成している。取付部の底面視において、取付部の外形は上辺が短く下辺が長い略直角台形状に表れ、上辺は照射部との境界線から先端側に水平に伸び、途中で「へ」の字状に折れ曲がる。先端は角が落とされており、側面視で薄い垂直面を形成している。
イ.切り欠き部について、正面視で背面、平面及び底面に当たる面は全て薄い板状であり、切り欠き面は開放されており、側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する。
ウ.「へ」の字状に折れ曲がる角度は、底面視において水平の上辺から下辺方向へ約40度である。
エ.取付部の側面視について、外形は横長長方形であり、各角が角張った形状である。
オ.切り欠き部の外枠を構成する各面の肉厚は、側面視における両側面と上面が略同じで、底面は両側面の約2倍である。
カ.正面視における取付部の水平方向の長さとキャップ部の水平方向の長さの比は、約1:0.54である。
キ.左取付部の左側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジの頭部が見える。当該各ネジの周囲を囲むように2つの半円(ネジ挿入部)が形成され、各々の半円の一部が左切り欠き部の左側面視で片側側面に当たる薄板及び底面に当たる薄板に接触している。当該各々の半円と左切り欠き部の内側の形状線に囲まれた部分が「T」字状に表れる。
ク.右取付部の右側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジの頭部が見える。当該各ネジの周囲を囲むように、右切り欠き部の右側面視で片側側面に当たる薄板、底面に当たる薄板及びケーブル挿入部に接触することにより一部が欠けた半円が各々形成されている(ネジ挿入部)。右側面視で略中央付近に、略円筒状のケーブル挿入部が設けられている。ケーブル挿入部は根元側が円筒状に、先端側が根元側よりもやや直径の小さな六角ナット状に形成されている。
ケ.取付部の正面視について、ネジ挿入部の先端及びネジの頭部は見えない。
コ.左取付部の切り欠き部(以下、「左切り欠き部」という)には、正面視で背面に当たる薄板の下寄りに、長丸形状の貫通した取付用孔が1つ設けられている。
サ.右取付部の切り欠き部(以下、「右切り欠き部」という)には、正面視で背面に当たる薄板の上寄りに、長丸形状の貫通した取付用孔が1つ設けられている。
シ.右切り欠き部について、右側面視で底面に当たる薄板の上部中央に円弧状の浅い溝が設けられている。
(4)イ号意匠の説明
イ号意匠は、被請求人が販売するLEDライト「非防水型LEDライトNLTスリム型シリーズ」(甲第3号証)の取付部(イ号意匠の実施に係る当該LEDライトにおける本件登録意匠に係る部分と対応する部分を「取付部」といい、以下、「取付部」と記載するときは左右一対の取付部を指す。左側の取付部のみを指す場合は「左取付部」と、右側の取付部のみを指す場合は「右取付部」と記載する。)の形態である。当該「非防水型LEDライト NLTスリム型シリーズ」の型式について、照射部の長手方向の長さの違いにより5つの型式が存在しているが、取付部の形態・寸法は5型式全て同じである。
イ号意匠の形態は「イ号意匠の写真及び説明」の「イ号意匠(写真)」のとおりであり、各構成部分の名称は「イ号意匠の実施に係る製品の各部の名称を示す参考図」に付記したとおりである。以下にその構成態様を詳述する。
(4-1)基本的構成態様
a.イ号意匠は、LEDライトの照射部の両端に接続された取付部に係る意匠である。
b.イ号意匠に係る取付部の外形は、略鑿の刃状に形成されており、底面視で略直角台形状に表れる。当該取付部には左右各々2ヵ所のネジ挿入部が設けられ、右取付部にはさらに1ヵ所のケーブル挿入部が設けられている。
(4-2)具体的構成態様
あ.イ号意匠に係る取付部の外形は、やや扁平な略倒四角柱を正面視で水平方向の略中間地点から背面の先端に向けて真っ直ぐに切り欠いた略鑿の刃状に形成されている。切り欠き面に当たる部分には面がなく、正面視で手前方向に開放されている。切り欠きの始点から照射部側の部分(キャップ部)はその外形がやや扁平な略倒四角柱状に表れ、先端側(切り欠き部)は切り欠き面が開放された略楔形状に表れる。キャップ部と切り欠き部は連続して一つの取付部を構成している。取付部の底面視において、取付部の外形は上辺が短く下辺が長い略直角台形状に表れ、上辺は照射部との境界線から先端側に水平に伸び、途中で「へ」の字状に折れ曲がる。先端は角が落とされており、側面視で薄い垂直面を形成している。
い.切り欠き部について、正面視で背面、平面及び底面に当たる面は全て薄い板状であり、切り欠き面は開放されており、側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する。
う.「へ」の字状に折れ曲がる角度は、底面視において水平の上辺から下辺方向へ約45度である。
え.取付部の側面視について、外形は略横長長方形であり、上部の2つの角はアール状に形成されており、下部の2つの角は角張った形状である。
お.切り欠き部の外枠を構成する各面の肉厚は、側面視における全ての面、即ち、両側面、上面及び底面が略同じである。
か.正面視における取付部の水平方向の長さとキャップ部の水平方向の長さの比は、約1:0.61である。
き.左取付部の左側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジの頭部が見える。当該各ネジの周囲を囲むように2つの円筒(ネジ挿入部)が形成され、各々の円筒の一部が左切り欠き部の左側面視で片側側面に当たる薄板と底面に当たる薄板に接触している。当該各々の円筒の外形線と左切り欠き部の内側の形状線に囲まれた部分が「T」字状に表れる。
く.右取付部の右側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジの頭部が見える。当該各ネジの周囲を囲むように、右切り欠き部の右側面視で片側側面に当たる薄板、底面に当たる薄板及びケーブル挿入部に接触している円筒(ネジ挿入部)が各々設けられている。右側面視で略中央付近に、略円筒状のケープル挿入部が設けられている。ケーブル挿入部は根元側か円筒状に、先端側か根元側よりもやや直径の小さな六角ナット状に形成されている。
け.取付部の正面視について、ネジ挿入部の先端が僅かに突出して見える。
こ.左取付部の切り欠き部(左切り欠き部)には、正面視で背面に当たる薄板の上下2ヵ所に、長丸形状の貫通した取付用孔が設けられている。
さ.右取付部の切り欠き部(右切り欠き部)には、正面視で背面に当たる薄板の上下2ヵ所に、長丸形状の貫通した取付用孔が設けられている。
し.右切り欠き部について、右側面視で底面に当たる薄板の上部は平らである。
(5)本件登録意匠とイ号意匠との比較説明
(5-1)意匠に係る物品の用途・機能の比較
本件登録意匠の意匠に係る物品は「照明器具」であり、イ号意匠の実施に係る物品は「LEDライト」である。両物品はどちらも、取付部の取付用孔を利用して壁面等に取り付けることが可能な照明器具であり、用途及び機能を同じくするものであるため、同一又は類似の物品である。
(5-2)本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部の用途・機能の比較
本件登録意匠に係る取付部は、照明器具を壁面等の取り付け対象に取り付けるために用いられる部分であり、取付用孔にネジ等を挿入して照明器具を壁面等に取り付ける。イ号意匠に係る取付部も、同様に取付用孔を有し、そこにネジ等を挿入してLEDライトを壁面等に取り付けるために用いられる。よって、本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部の用途・機能は同一である。
(5-3)本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部の位置・大きさ・範囲の比較
本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部は照明器具(LEDライト)の両端部に配置されている点(位置)が共通し、正面視において、物品の照射部よりも水平方向の長さはかなり短く、縦方向及び奥行き方向の長さは僅かに長い点(大きさ・範囲)も共通している。
(5-4)本件登録意匠とイ号意匠の形態の共通点
(5-4-1)基本的構成態様の共通点
共通点(i):「A」と「a」が共通する。
本件登録意匠とイ号意匠は共に「照射部の両端に接続された取付部」の意匠であることが共通する。
共通点(ii):「B」と「b」が共通する。
両意匠は、取付部の外形の基本的形態について、略鑿の刃状に形成されており、底面視では略直角台形状に表れる点が共通し、取付部には2ヵ所のネジ挿入部が設けられ、右取付部にはさらに1ヵ所のケーブル挿入部が設けられていることが共通する。
(5-4-2)具体的構成態様の共通点
共通点(iii):「ア」と「あ」の大部分が共通する。
即ち、取付部が正面側から背面側に斜め直線状に切り欠かれ、略鑿の刃状に形成されている点、切り欠き部は略楔形状に形成され、切り欠き面に当たる部分には面がなく、正面視で手前方向に開放されている点、キャップ部と切り欠き部が連続して一つの取付部を構成している点、取付部は底面視で略直角台形状に表れ、上辺が「へ」の字状に折れ曲がっている点、外側先端は角が落とされている点が共通する。
なお、キャップ部の外形が倒四角柱状か略倒四角柱状かの差異については、差異点(ii)に記載する。
共通点(iv):「イ」と「い」が共通する。
切り欠き部について、正面視で背面、平面及び底面に当たる面は全て薄い板状である点、切り欠き面は開放されており、側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する点が共通する。
共通点(v):「キ」と「き」が概ね共通する。
左取付部の左側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジ挿入部が設けられネジの頭部が見える点、及び、2ヵ所のネジ挿入部の外形線と取付部の内側の形状線に囲まれた部分が「T」字状に表れる点が共通する。
なお、本件登録意匠とイ号意匠とでは、ネジ挿入部における各ネジの周囲を囲む図形について、「半円」と「円筒」の違いがあるが、両意匠は側面視では略同一の形態に見える。
共通点(vi):「ク」と「く」が概ね共通する。
右取付部の右側面視について、下寄り隅の左右2ヵ所にネジ挿入部が設けられネジの頭部が見える点、右側面視で略中央付近に略円筒状のケーブル挿入部が設けられている点、ケーブル挿入部の根元側か円筒状に、先端側が根元側よりもやや直径の小さな六角ナット状に形成されている点が共通する。
なお、本件登録意匠とイ号意匠とでは、ネジ挿入部における各ネジの周囲を囲む図形について、「一部が欠けた半円」と「円筒」の違いがあるが、両意匠は側面視では略同一の形態に見える。
(5-5)本件登録意匠とイ号意匠の形態の差異点
(5-5-1)基本的構成態様の差異点
差異点はない。
(5-5-2)具体的構成態様の差異点
差異点(i):取付部の「へ」の字状屈曲の角度…「ウ」と「う」
本件登録意匠とイ号意匠の取付部は左右共に、底面視における上辺が照射部との接点から先端側に水平に伸び、途中で「へ」の字状に先端側へ折れ曲がっているが、その角度は、本件登録意匠が約40度、イ号意匠は約45度である。
差異点(ii):取付部の外形を構成する面が接続する角の形状…「エ」と「え」
本件登録意匠に係る取付部の外形は、側面視において、横長長方形であり、各角が角張った形状である。
他方、イ号意匠に係る取付部の外形は、側面視において、略横長長方形であり、上部の2つの角はアール状に形成されており、下部の2つの角は角張った形状である。
差異点(iii):切り欠き部の外枠を構成する各面の肉厚…「オ」と「お」
本件登録意匠の切り欠き部の外枠を構成する各面の肉厚は、側面視おける両側面と上面が略同じで、底面は両側面の約2倍であり、他方、イ号意匠の対応する各面の肉厚は、全ての面で略同じである。
両意匠の切り欠き部の外枠を構成する、側面視における両側面と上面の肉厚は、本件登録意匠よりもイ号意匠の方が相対的にやや厚い。
差異点(iv):取付部のキャップ部の相対的な長さ…「カ」と「か」
本件登録意匠はイ号意匠よりも、キャップ部の正面視、平面視及び底面視における水平方向の長さが、相対的に短い。
差異点(v):ネジ挿入部の正面視における見え方…「ケ」と「け」
本件登録意匠ではネジ挿入部は正面視で表れないが、イ号意匠ではネジ挿入部の先端が正面視で僅かに表れる。
差異点(vi):切り欠き部の取付用孔の数…「コ」と「こ」、「サ」と「さ」
本件登録意匠は、正面視で、左切り欠き部の底面に当たる薄板の下側寄りに1つ、右切り欠き部の底面に当たる薄板の上側寄りに1つ、取付用孔が設けられている。
他方、イ号意匠は、正面視で、左右の切り欠き部の底面に当たる各々の薄板に2つずつ、取付用孔が設けられている。
差異点(vii):右切り欠き部の溝…「シ」と「し」
本件登録意匠では、右側面視で底面に当たる薄板の上側中央に円弧状の浅い溝が存在するが、イ号意匠では、そのような溝は存在せず、底面に当たる薄板の上側は平らである。
(6)イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由の説明
(6-1)本件登録意匠の要部
本件登録意匠に関連する先行意匠としては、本件登録意匠の出願前に公知となった意匠登録第1204209号(甲第5号証)及び意匠登録第1156584号(甲第6号証)が挙げられる。意匠登録第1204209号については、本件登録意匠の右取付部に対応する部分、即ち底面視で右側先端部の先が尖っておらず、略直角台形状ではなく五角形状に表れており、さらに本件登録意匠の切り欠き部に対応する部分に切り欠き面が存在し、本件登録意匠のような開放空間を有していない。次に、意匠登録第1156584号についても、本件登録意匠の取付部に対応する部分の両端支持部の先端は略楔形状に形成されているが、当該両端支持部は正面視で略直角台形状に形成されておらず、さらに本件登録意匠の切り欠き部に対応する部分に本件登録意匠のような開放空間を有していない。本件登録意匠の、取付部が真っ直ぐに切り欠いた略鑿の刃状に形成され、略楔形状の切り欠き部が側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する形状は、意匠全体を占める骨格的形状といえ、本件登録意匠の出願前の公知意匠には見られないものである。
また、本件登録意匠の切り欠き部の当該開放空間は、需要者にすっきりとした視覚的印象を与えるだけでなく、ネジの締緩作業等を容易にする機能的な役割も果たしている。即ち、当該開放空間が存在することにより、一対のネジ挿入部におけるネジの締緩作業や照明器具を壁面等へ取り付ける際に利用される取付用孔におけるネジの締緩作業等が容易となる。従って、当該切り欠き部の形態は、本物品の需要者の注意を引く部分であるといえる。
以上のことから、本件登録意匠に見られる、取付部が真っ直ぐに切り欠かれた略鑿の刃状に形成され、略楔形状の切り欠き部が側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する形状は、本件登録意匠の要部であると評価できる。
(6-2)基本的構成態様の共通点に関する評価-共通点(i)及び(ii)に関して
本件登録意匠とイ号意匠は基本的形態が共通する。
両意匠における基本的形態の共通点について関連する先行公知意匠として、上記のとおり、意匠登録第1204209号及び意匠登録第1156584号が挙げられる。意匠登録第1204209号については、両意匠の右取付部に対応する部分、即ち底面視で右側先端部の先が尖っておらず、略直角台形状ではなく五角形状に表れるため、両意匠と基本的構成態様が共通しているとは評価できない。次に、意匠登録第1156584号についても、両意匠の取付部に対応する部分である両端支持部の先端は略楔形状に形成されているが、当該両端支持部は正面視で略直角台形状に表れているとはいえず、両意匠と基本的構成態様が共通しているとは評価できない。
以上のことから、両意匠の取付部の外形が略鑿の刃状に形成されており、底面視で略直角台形状に表れる点が共通していることは、当該公知意匠に見られない特徴であり、両意匠の全体観察における視覚的印象の共通性に大きな影響を及ぼしていると思料する。
(6-3)具体的構成態様の共通点及び差異点に関する評価
(6-3-1)取付部の具体的な外形形状-共通点(iii)(iv)及び差異点(i)?(iv)に関して
本件登録意匠とイ号意匠の取付部の外形形状は、左右ともに概ね一致している。本件登録意匠の要部であるところの、取付部が真っ直ぐに切り欠いた略鑿の刃状に形成され、略楔形状の切り欠き部が側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する形状は、イ号意匠と共通しており、両意匠の全体に亘る美感の共通性を生み出している。よって、当該共通点(iii)(iv)は両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考える。
他方、差異点のうち、まず、取付部の屈曲箇所における「へ」の字の角度の差異(差異点(i))及びキャップ部が取付部全体に占める相対的大きさの差異(差異点(iv))については、微差と評価できるものであり、両意匠の取付部全体の外形を比較したときの美感の共通性を損なうほどのものではないといえる。
次に、取付部における側面視上部の2つの角が角張っているかアール状であるかの差異(差異点(ii))については、当該差異は両意匠のキャップ部の正面視上下における2つの角及び切り欠き部の外枠の切り欠き面にも同様に表れる。イ号意匠におけるキャップ部は、当該2つの角に当たるアール状の部分の面積がキャップ部の外形全体の面積に対し占める割合がかなり小さく、大部分が平らな面で形成されており、さらに、イ号意匠の切り欠き部の外枠の切り欠き面もアール状の角を有しているが、直線状の部分が大部分である。よって、当該差異により、イ号意匠のキャップ部の外形が当該アール状の角によってやや丸みを帯びた印象を有していても、「やや扁平な倒四角柱状」の外形という範躊から逸脱するほどのものではない(即ち、「やや扁平な略倒四角柱状」の外形である)。加えて、倒四角柱状をした照明器具の外形における、設置状態で視界に入る(壁面等に接触する側でない)長辺の2つの角をアール状にするという手法は照明器具の分野でありふれたものといえる。
さらにまた、両意匠の切り欠き部の外枠を構成する、側面視における両側面と上面の相対的な肉厚の差異(差異点(iii))については、肉厚の変更はごく一般的に行われる設計上の変更であり、外観形状としては切り欠き部の外枠の切り欠き面にのみ現れるものである。
以上のことから、美感の共通性を支配し、需要者の注意を引くところ、即ち両意匠の要部を含む共通点(iii)(iv)は両意匠の類否判断に大きな影響を与えると評価すべきであり、差異点(i)?(iv)は共通点(iii)(iv)に基づく取付部の視覚的印象の共通性を凌駕するほどのものではないと考える。
(6-3-2)左取付部の左側面視における形態-共通点(v)に関して
本件登録意匠とイ号意匠の左取付部について、左側面視における具体的形態が両意匠で概ね共通している。特に、両意匠でネジ挿入部の位置(下寄り隅の左右2ヵ所)が共通しているため、ネジ挿入部の半円(円筒)を形成する曲線と当該切り欠き部の内側の形状線の一部に囲まれた部分が「T」字状に表れる点が共通している。両意匠の左側面視における形態は、比較的複雑な形状を有し且つ両意匠の左取付部に占める面積も比較的大きいことから、当該形態における共通点は両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考える。
(6-3-3)右取付部の右側面視における形態-共通点(vi)に関して
本件登録意匠とイ号意匠の右取付部について、右側面視における具体的形態が概ね共通している。即ち、ネジ挿入部の位置及び形状が概ね共通しており、ケーブル挿入部の位置及び形状が共通している。両意匠の右側面視における当該形態は比較的複雑な形状を有し且つ両意匠の右取付部に占める面積も比較的大きいことから、当該形態における共通点は両意匠の類否判断に大きな影響を与えると考える。
(6-3-4)ネジ挿入部の正面視における見え方-差異点(v)に関して
ネジ挿入部は、その先端がイ号意匠では正面視で僅かに突出して見え、本件登録意匠では見えない。当該正面視における差異は、両意匠の側面視におけるネジ挿入部の位置・形状がかなり近似していることを考慮すると、軽微なものに過ぎないといえる。
(6-3-5)切り欠き部の取付用孔の数-差異点(vi)に関して
本件登録意匠では、切り欠き部の取付用孔の数は左右の切り欠き部に一つずつとなっているが、イ号意匠では二つずつである。取付部全体に占める当該取付用孔の面積の割合は両意匠共に小さく、さらに、当該取付用孔の位置及び数の違いは照明器具の分野においてありふれた範囲内の差異である。
従って、差異点(vi)は、両部分意匠類否判断に大きな影響を与えないと考える。
(6-3-6)右切り欠き部の浅い溝の有無-差異点(vii)に関して
本件登録意匠とイ号意匠の右切り欠き部における浅い溝の有無による差異は、取付部全体に対し僅かな割合を占めるにすぎないものである。加えて、当該溝は、ケーブルが切り欠き部に当たることにより傷つかないように設けられたものであり、ケーブルの挿入口付近にこのような円弧状の浅い溝を設けることは、照明器具の分野ではありふれた手法である。
従って、差異点(vii)は、両部分意匠類否判断に大きな影響を与えないと考える。
(6-3-7)具体的構成態様に関する総合評価
本件登録意匠とイ号意匠の取付部は、その全体に亘り、具体的形態における類似度が高いと評価できる。とりわけ、本件登録意匠の要部である、取付部が真っ直ぐに切り欠いた略鑿の刃状に形成され、略楔形状の切り欠き部が側面視で上方向と手前(先端)方向に開放された空間を有する形状(取付部の骨格的形状)がイ号意匠と共通し、且つ、左右両取付部の側面視における具体的形態がイ号意匠と概ね共通している点は、両意匠に係る物品の需要者に共通の美感を喚起し、当該美感の共通性を支配していると思料する。
なお、両意匠の比較における各差異点、「取付部の「へ」の字状屈曲の角度における差異」、「取付部の外形を構成する面が接続する、正面視で手前の2つの角が角張っているかアール状であるかの差異」、「切り欠き部の外枠を構成する各面の肉厚の差異」、「キャップ部の相対的長さの差異」、「ネジ挿入部の正面視における見え方の差異」、「切り欠き部の取付用孔の数の差異」及び「右切り欠き部の浅い溝の有無の差異」に関しては、いずれも微差であるか、或いは、照明器具の分野における形態上のありふれた差異に過ぎず、両意匠の美感の共通性を凌駕するほどのものではないと思料する。
(6-4)意匠の類否判断のまとめ
本件登録意匠及びイ号意匠に係る物品は共に、LEDを光源とし、壁面等に取り付けて使用する照明器具であり、用途・機能を同じくするものであるため、両部分意匠の意匠に係る物品は同一又は類似である。
さらに、本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部の用途及び機能は共通し、さらに取付部の位置も共通している。照射部との比較における取付部の相対的な大きさ及び範囲についても、照明器具の分野におけるありふれた差異である。
本件登録意匠とイ号意匠の形態については、基本的構成態様が共通している上に、具体的形態に関しても、意匠の要部である取付部の骨格的形状が共通し、取付部の側面視における具体的形態が概ね共通している。当該共通点は需要者に共通の美感を喚起させ、意匠の類否判断に大きな影響を与える。他方、両意匠の形態の差異点は、両意匠の類否判断に与える影響が微弱であり、格別需要者に別異の意匠としての印象を与える程のものではない。よって、両意匠の共通点が意匠の類否判断において支配的であり、需要者に共通の美感を生じさせていると思料する。
以上のことから、本件登録意匠とイ号意匠は類似すると思料する。
(7)むすび
従って、イ号意匠(判定請求書に添付の「イ号意匠の写真及び説明」に示された意匠)は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するので、請求の趣旨どおりの判定を求める。

2.証拠方法
甲第1号証:意匠登録第1353079号登録原簿謄本
甲第2号証:意匠登録第1353079号公報
甲第3号証:イ号意匠の実施に係る製品(非防水型LEDライト NLTスリム型シリーズ)が掲載されている被請求人製品カタログ抜粋写し:表紙、第15頁及び奥付(2015年10月発行、日機株式会社)
甲第4号証:本件登録意匠の各部の名称を示す参考図
甲第5号証:意匠登録第1204209号公報
甲第6号証:意匠登録第1156584号公報


第2 判定被請求人の答弁
1.答弁の趣旨
イ号意匠は登録第1353079号意匠及びこれに類似する意匠の範囲には属しないとの判定を求める。

2.答弁の理由
(1)判定の理由の認否
(1-1)請求人の第1の1.(1)「判定請求の必要性」については、請求人が本件登録意匠を有していること、及び被請求人がイ号意匠に係る製品を販売していた事実、また請求人と被請求人間で書簡のやりとりがあったことについては認めるが、その余は不知。
(1-2)請求書中の第1の1.(2)「本件登録意匠の手続の経緯」については認める。
(1-3)第1の1.(3)「本件登録意匠の説明」については、本件登録意匠が部分意匠であることについては認めるが、その余の基本的構成態様、及び具体的構成態様の分説ついてはこれを争う。
(1-4)第1の1.(4)「イ号意匠の説明」については、基本的構成態様、及び具体的構成態様について争う。
(1-5)第1の1.(5)「本件登録意匠とイ号意匠との比較説明」については、「(5-1)意匠に係る物品の用途・機能の比較」と「(5-2)本件登録意匠に係る取付部とイ号意匠に係る取付部の用途・機能の比較」については認め、その余は争う。
(1-6)第1の1.(6)「イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由の説明」については全て争う。
(1-7)第1の1.(7)「むすび」については、争う。
(2)被請求人の主張
(2-1)本件登録意匠の特定
まず、請求人は本件登録意匠の基本的構成態様として、取付部の外形は略鑿の刃状に形成されていると特定している。しかしながら、このように「略鑿の刃状」というのは平面視においてのものであり、全体的に意匠を見た特定ではない。なお、「鑿」の本来的な形状では上面と側面の間には斜面が存在するし、一般的な「鑿」の斜め状の刃面には本件登録意匠に見られるような「切り欠き面」は存在しないので、本件登録意匠の基本的構成態様を「略鑿の刃状」と特定することは不適当である。
また、具体的構成態様として、ア?シという非常に細かい要素に分説しているが、本件登録意匠を実質的に特定したということはできない。すなわち、本件登録意匠は物品の外観的な形状に係る意匠であり、立体的な意匠である。意匠の特定については添付図面としての図面によって行われるが、我が国では従来から正確な特定をするために正投象図法による六面図が要求されている。しかしながら、このような特定は将来的に争いがないように正確に特定することを目的としたものであり、2つの意匠の類否についてはその意匠が立体的なものであれば立体であることを予想したうえで意匠の要部を認定すべきである。すなわち、登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて定めなければならない(24条2項)のであり、需要者の視覚を通じるということは図面同士の対比ではなく、図面に示された意匠が立体的なものとして実現された状態を前提として判断すべきである。
しかしながら、請求人は本件登録意匠をその添付図面に基づいて特定していることは否定しないが、それらの構成要素が「視覚を通じて起こさせる美感」にどのように影響するかについては平面的な観点のみから検討しているだけにすぎず、本件意匠が立体的なものであることを軽視している。この点において、請求人の意匠の特定は不適切である。
(2-2)被請求人の本件登録意匠の特定
そこで、被請求人は、請求人が細かく分説している手法ではなく、本件登録意匠とイ号意匠の類否に関して対比すべき点に着目したうえで本件登録意匠を特定すると、次のとおりである。
(i)全体的な形状は横長の直方体の一方側を斜め40度に切除した形状であり、上面と切除面の平面方向の長さ比は7:5である。
(ii)切除面は上面から下面まで略垂直な壁面を形成し、物品全体が薄肉で構成しているため、切除面の上面と両側は薄肉の壁面が出現している。
(iii)略垂直な壁面にはその両側にネジ穴のためのリング状のネジベースが見られる。
(iv)切除面の底面には長丸形状の取付用孔が1つ設けられている。
そして、少なくともイ号意匠と対比することを目的とする限りでは上記特定で十分である。
(2-3)被請求人のイ号意匠の特定
上記本件登録意匠の特定と対比したイ号意匠の特定は、次のとおりである。
(i)全体的な形状は上面と側面がアールにて連続した横長の略直方体の一方側を斜め45度に切除した形状であり、上面と切除面の平面方向の長さ比は略7:4である。
(ii)切除面は上面から下面まで略垂直な壁面を形成し、物品全体を厚肉で構成しているため、切除面の上面と両側には厚肉の面取り面を有した状態で斜め壁面が出現している。
(iii)略垂直な壁面にはその両側にネジ穴のための円筒状のネジベースが見られる。
(iv)切除面の底面には長丸形状の取付用孔が2つ設けられている。
(2-4)本件登録意匠とイ号意匠の対比
上記のように特定した本件登録意匠とイ号意匠は、立体的に観察した場合、明らかに(a)本件登録意匠では上面と側面は平面同士が90度の折れ角で接続されているので、その境界にはそれぞれ1本の稜線が明確に視認できる一方、イ号意匠では上面と側面は平面同士がなだらかにアールで接続されているので、境界は存在しない点、(b)本件登録意匠は薄肉で構成されているが、イ号意匠は厚肉で構成されているので、本件登録意匠では切除面の輪郭は細い線状で四角形状となるが、イ号意匠では両上角部がアールの額縁状に見える点において、大きく相違している。
そして、これら2つの明確な相違点が影響し、本件登録意匠については全体として角張った鋭い立体形状の美感を有する一方、イ号意匠については全体として丸みを帯びた柔らかい立体形状の美感を与えており、これによって需要者にはそれぞれ異なる美感を起こさせるものである。
(2-5)立体としての本件登録意匠とイ号意匠
被請求人は、請求人の実施に係る本件登録意匠の忠実な実施品(以下、本件実施品という。)と、イ号意匠が表現された照明器具(本件判定の対象となっている物品、以下、イ号実施品という。)を写真によって下記の通り対比した。蓋し、本件登録意匠は図面によって特定されるものであるが、その形態は立体であるから、双方を立体的に視覚によって確認することが意匠の類否判断において適切であるからである。なお、写真における透明ケースに収容されたLEDアレイの意匠については、本件登録意匠が部分意匠に係るものであるため、類否の対象ではない。
なお、上記2つの相違点(a)及び(b)が意匠の類否に大きく影響するものであり、その余の請求人が特定した細かい事項については一致点についても相違点についても意匠の類否判断の基準としては埋没している。
つまり、意匠の類否に重要な事項は、意匠の要部をどのようにとらえるかということであるが、請求人は意匠を特定するに際して本来必要ではない事項まで抽出しており、類否判断をいたずらに複雑化している。本件のように比較的意匠が簡易な場合には需要者がどのように意匠を把握するか、あるいは意匠を全体的に把握する際にはどういう方向から視覚によって意匠を見るかということが重要であり、被請求人が特定した事項によって類否を判断することで十分であると考える。
(3)請求人及び被請求人のその他の登録意匠の存在
ところで、本件請求人は登録第1566982号意匠(乙第1号証)を、被請求人は登録第1572137号意匠(乙第2号証)をそれぞれ本件とは別途保有している。そして、両意匠が本件と異なるところは、乙1の平面図、及び乙2の正面図に表れる斜めの切除面(図面では線で現れる。)が曲面である点であり、その他の本件における非請求人が指摘する2つの相違点はそれぞれ変わるところはない。しかしながら、乙2は意匠法第9条第1項に該当しないとして登録された事実がある。そうすると、これらの類否判断においては2つの相違点が存在することを理由としてそれぞれ互いに非類似であると判断されたと理解するのが相当である。
そうすると、本件においてもイ号意匠は本件登録意匠の類似範囲には属しないとすることが乙1と乙2の登録関係からも合理的である。この点についてはあくまでも事情であるが、本件の類否判断との整合性には重要な事項であると考える。
(4)むすび
上記主張したように、イ号意匠は本件登録意匠に類似するものではないので、答弁の趣旨通りの判定を求める次第である。

3. 証拠方法
乙第1号証 意匠登録第1566982号公報
乙第2号証 意匠登録第1572137号公報
これらによって、2つの意匠がそれぞれ登録されている事実を示す。

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成20年1月30日に意匠登録出願され(意願2008-001820)、平成21年2月6日に設定の登録(登録第1353079号)がなされ、平成21年3月9日に意匠公報が発行されたものであって、願書の記載及び願書に添付された図面によれば、意匠に係る物品は「照明器具」であり、本件登録意匠の形態は、その意匠登録出願の願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであり、願書の意匠の説明には、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本件意匠部分」という。)である。」と記載されている(別紙第1参照)。
(1)本件意匠部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本件意匠部分は、LED(発光ダイオード)など発光体を1列に配した基板を内蔵して成る略棒状の照明器具の長手方向両端の取付部材部分であって、例えば、壁面などに取り付けられる照明器具であって、位置は物品全体の両端に当たり、大きさは、発光ダイオード素子は通常ごく小さいものであることから、小型の照明器具であると推察され、範囲は略棒状の照明器具の中程の照光本体部分を除いた正面視で全体の両端から左右約10分の1ずつの範囲である。
(2)本件意匠部分の形態
基本的構成態様は、
(あ)左右一対の取付部から成り、それぞれの全体形状は、中空の略横長直方体の上面半ばから外側へ斜状に切削したような形状である。
具体的構成態様は、
(い)正面視で各取付部の縦横奥行きの長さ比は、約5:6.5:3で、平面側短辺と底面側長辺の横方向長さ比は5:9である。
(う)取付部の底面視において、外方下側の縁部(底板材の端面)から、斜め上方に向けて上面までが斜状に形成され(以下、斜状部という。)、その角度は約40度である。
(え)取付部の左右側面視の外形は略横長矩形状で左右上下の4隅角部は角張っており、取付部の内側は、薄い縁部を残して開口しており、仔細に見ると縁部の上方及び側方はごく薄く、下方はやや厚いものであって、右取付部の下側縁部上面の中央には取付部全幅の約3分の1幅のごく浅い円弧状の溝部が認められる。
(お)左右側面視で、左右取付部の内面、下側(背面側)寄り両隅に、略円形の螺子頭部が配され、その周囲には隅部側は略直角状でその余は円弧状の縁部が形成されており、右取付部の内面中央やや上寄りには略円形のケーブル用挿入部が認められ、略3重円状に表れている。
(か)正面視で左取付部外方下寄り及び右取付部外方上寄りに、それぞれ横長長円形状の取付孔部が設けられている。
(き)全体に濃淡調子や色彩は施されていないものである。

2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書に添付された「イ号意匠の写真及び説明」に示された意匠であって、意匠に係る物品はその実施品の名称「非防水型LEDライト」から「照明器具」であると認められ、その形態を、イ号意匠の写真(「(1)イ号意匠の実施に係る製品の全体写真」の各図及び「(2)イ号意匠の実施に係る部分(取付部)の拡大写真」の各図に現されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
(1)用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
イ号意匠部分は、本件意匠部分に対比する、LED(発光ダイオード)など発光体を1列に配した基板を内蔵して成る略棒状の照明器具の長手方向両端の取付部材部分であるから、位置は物品全体の両端に当たり、大きさは、発光ダイオード素子は通常ごく小さいものであることから、小型の照明器具であると推察され、範囲は略棒状の照明器具の中程の照光本体部分を除いた正面視で全体の両端から左右約15.5分の1ずつの範囲である。
(2)イ号意匠部分の形態
基本的構成態様は、
(ア)左右一対の取付部から成り、それぞれの全体形状は、中空の略横長直方体の上面半ばから外側へ斜状に切削したような形状である。
具体的構成態様は、
(イ)正面視で各取付部の縦横奥行きの長さ比は、約5:7:3で、平面側短辺と底面側長辺の横方向長さ比は3:5である。
(ウ)取付部の底面視において、外方下側の縁部(底板材の端面)から上面までに斜状部が形成され、その角度は約45度である。
(エ)取付部は、左右側面視で外形は左右上隅角部が丸みを帯び、左右下隅角部が角張った略横長矩形状で、取付部の内側は、薄い縁部を残して開口しており、その厚みは、略同幅である。
(オ)左右側面視で、左右取付部の内面、下側(背面側)寄り両隅に、略円形の螺子頭部が配され、その周囲には隅部側は略直角状でその余は円弧状の縁部が形成されており、右取付部の内面中央やや上寄りには略円形のケーブル用挿入部(ケーブル部は除く)が認められ、略円形状の縁部の内方に略2重円状の円環が現れている。
(カ)正面視で左取付部外方及び右取付部外方の上寄りと下寄りに、それぞれ横長長円形状の取付孔部が設けられている。
(キ)全体に薄灰色の色彩が施されているものである。

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本件登録意匠は「照明器具」であり、イ号意匠も「非防水型LEDライト」であるから「照明器具」であって、実質的に本件登録意匠とイ号意匠(以下、両意匠ともいう。)の意匠に係る物品は、共通する。
(2)用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本件登録意匠部分とイ号意匠部分(以下、両部分ともいう。)の用途及び機能は、上記のとおり、LED(発光ダイオード)など発光体を照明に用いる照明器具であるから、概ね共通し、位置、大きさは、物品全体の両端にあたり、小型の照明器具の取付部であると認められるから共通するが、範囲については、本件登録意匠部分は全体の両端から左右約10分の1ずつの範囲であるのに対し、イ号意匠部分は、全体の両端から左右約15.5分の1ずつの範囲で相違する。
(3)両部分の形態
両部分の形態を対比すると、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
(3-1)共通点
基本的構成態様として、
(A)左右一対の取付部から成り、それぞれの全体形状は、中空の略横長直方体の上面半ばから外側へ斜状に切削したような形状である点、
具体的構成態様として、
(B)正面視で各取付部の縦と奥行きの長さ比は、約5:3である点、
(C)左右側面視で外形は、左右下隅角部が角張った略横長矩形状で、取付部の内側は、薄い縁部を残して開口している点、
(D)左右側面視で、左右取付部の内面、下側(背面側)寄り両隅に、略円形の螺子頭部が配され、その周囲には隅部側は略直角状でその余は円弧状の縁部が形成されており、右取付部の内面中央やや上寄りには略円形のケーブル用挿入部が認められる点、
(E)正面視で左取付部外方下寄り及び右取付部外方上寄りに、横長長円形状の孔部が設けられている点、
について共通する。
(3-2)相違点
具体的構成態様として、
〔a〕正面視で各取付部の縦横奥行きの長さ比は、本件登録意匠部分が、約5:6.5:3で、平面側短辺と底面側長辺の横方向長さ比は5:9(15:27)であるのに対し、イ号意匠部分は、縦横奥行きの長さ比は、約5:7:3で、平面側短辺と底面側長辺の横方向長さ比は3:5(15:25)である点、
〔b〕取付部の底面視において、斜状部の角度は、本件登録意匠部分が約40度であるのに対し、イ号意匠部分は、約45度である点、
〔c〕左右側面視で、本件登録意匠部分は、左右上隅角部が角張っており、周囲の縁部は、上方及び側方はごく薄く、下方はやや厚い縁部で、右取付部の下側縁部上面には中央に取付部全幅の約3分の1幅のごく浅い円弧状の溝部が認められ、ケーブル用挿入部は略3重円状に表れているのに対し、イ号意匠部分は、左右上隅角部は丸みを帯び、周囲の縁部は略同幅の薄い縁部で、ケーブル用挿入部は、略円形状の縁部の内方に略2重円状の円環が現れている点、
〔d〕本件登録意匠部分は正面視で左取付部外方上寄り及び右取付部外方下寄りに、横長長円形状の孔部が設けられていないのに対し、イ号意匠部分は、左取付部外方上寄り及び右取付部外方下寄りにも横長長円形状の孔部が設けられている点、
〔e〕本件登録意匠部分は全体に濃淡調子や色彩が施されていないものであるのに対し、イ号意匠部分は、全体に薄灰色の色彩が施されているものである点、
について相違する。

4.両意匠の評価
上記3のとおり、両意匠の意匠に係る物品は、共通し、用途及び機能、並びに位置、大きさは共通するが範囲は相違する。
そして、両部分の用途及び機能は、LED(発光ダイオード)など発光体を照明に用いる略棒状の照明器具の両端に設けられた取付部であるが、「照明器具」の物品分野において、両部分と同様の、用途及び機能並びに位置及び大きさを有する意匠は、本願出願前にごく普通に見受けられるので、両部分の用途及び機能並びに位置及び大きさの共通点が、両部分の類否判断に与える影響は、小さく、また、両部分の範囲について、本件登録意匠部分は全体の両端から左右約10分の1ずつの範囲であるのに対し、イ号意匠部分は、全体の両端から左右約15.5分の1ずつの範囲である点は、「照明器具」の物品分野においては、製品化に伴い通常長さなどが相違するサイズ違いのものを製造するのがごく普通であるから、両部分の範囲の相違は、ごく普通のサイズの照明器具同士の全体に対する部分の範囲の多少の相違にとどまり、両部分の類否判断に与える影響は、小さいものである。
(1)両部分の形態の評価
上記の両部分の形態の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、本件登録意匠の出願前に存在する公知意匠を参酌し、需要者の注意を引きやすい部分を考慮した上で、両部分が類似するか否かについて、判断する。
まず、基本的構成態様に係る共通点(A)は、左右一対の取付部から成る点については、「照明器具」の物品分野において、照明器具の両端に一対の取付部を設けた配置態様はごく普通に見受けられるが、取付部の全体形状については、中空の略横長直方体の上面半ばから外側へ斜状に切削したような取付部は、後述するように、両部分共通の特徴に関わるところであり、両部分の基調を形成し、共通の印象を強く与えるものであって、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
次に、具体的構成態様の共通点(B)については、両部分の取付部の正面視の縦と奥行きの長さ比は、約5:3である点であって、具体的な全体のプロポーションの共通点にも関わり、両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるものである。また、共通点(C)は、取付部の外方端部が開口し、左右側面視で周囲は薄い縁部に囲まれている点についてであるが、取付部の上面が斜状に形成されたものは、本願出願前に見受けられるとしても(例:意匠登録第1204209号(甲第5号証)別紙第4参照。)、上面半ばから外側へ斜状に切削したような形状で、かつ両端が開口し、周囲は薄い縁部に囲まれた形状とした取付部は、本件登録意匠出願前にほとんど見受けられないから、両意匠に共通する特徴的態様であって、両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きい。
そして、共通点(D)は、左右側面視で、左右取付部の内面、下側(背面側)寄り両隅に、半ば同心円状のリブ部に囲まれた略円形の螺子頭部が認められ、右取付部の内面中央やや上寄りに略円形のケーブル挿入部が認められる点であって、螺子部は照光部への取付部の保持のために、またケーブル挿入口は電源供給のために、ともに不可欠な部材であって、端部の隅寄りに略円形の螺子部を設けたもの、また略円形のケーブル挿入口を照明器具の端部の略中央に設けたものは、ごく普通に見受けられ、格別、それ自体が、需要者の注目する態様とはいえないものの、両部分共通の特徴である上面半ばから外側へ斜状に切削したような形状で、かつ両端が開口し、周囲は薄い縁部に囲まれた取付部の開口部の内面の大部分を占める態様であるから、この共通点は類否判断に与える影響は一定程度あるものである。さらに共通点(E)の正面視で左取付部外方上寄り及び右取付部外方下寄りに、横長長円形状の孔部が設けられている点は、取付部の開口部近傍の取付孔の配置には需要者も注意を払うところ、一つずつではあるが、両部分ほぼ同様の位置に横長長円形状の取付孔が配されているものであるから、この共通点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度あるといえる。
そうすると、この種「照明器具」の物品分野においては、これらの共通点は、共通点(B)、(D)、及び共通点(E)が両意匠の類否判断に与える影響は両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものであって、共通点(A)は両意匠の類否判断に与える影響は大きく、
共通点(C)とあいまって両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいものであるから、これらの共通点は、あいまって、見る者に与える共通の印象を一層強くするものである。
これに対し、相違点〔a〕は、縦横奥行きの長さ比と平面側短辺と底面側長辺横方向長さ比についての相違であって、全体のプロポーションに関わる相違ではあるものの、縦横奥行きの長さ比については、縦と奥行き比が共通する中での横方向の僅かな長さ比の相違であり、平面側短辺と底面側長辺の横方向長さ比も本願意匠部分の5:9(15:27)に対し、イ号意匠部分は3:5(15:25)であって、全体の中では、底面側長辺の横方向長さの僅かな長さの相違にとどまるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。次に、相違点〔b〕は、取付部の底面視において、斜状部の角度が、本件登録意匠部分が約40度であるのに対し、イ号意匠部分は、約45度である点であるが、これも一見して分かる顕著な相違とまではいえず、取付部の外方端部が斜状に開口されている共通する印象の中で僅かな角度の相違であるから、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。また、相違点〔c〕は、左右側面視での上隅角部の態様、周囲の縁部の態様及びケーブル用挿入部の態様に係る相違点であって、まず、上隅角部の態様の相違については、略棒状の照明器具の上隅角部(上方稜部)を端部まで角ばったものにすることも丸みを帯びたものとすることも「照明器具」の物品分野においては、本件登録意匠出願前からよく見られる態様であるから、照明器具両端に設けられた取付部の角部(稜部)の丸みの有無に、需要者が特段注目するとはいえず、また、ケーブル用挿入部の態様について、略3重円状であるか、略円形状の縁部の内方に略2重円状の円環が現れているかの相違は、ケーブル用挿入部の挿入口周縁の厚み及び基部の構造部が多重円状に表されている点では同様のものであって、ごく細部の相違であるから重要者の注意をひくものとはいえず、周囲の縁部の態様の相違は、本件登録意匠部分は周囲の縁部は上方及び側方の縁部はごく薄く、下方はやや厚く、右取付部の下側縁部上面には中央に取付部全幅の約3分の1幅のごく浅い円弧状の溝部が認められるのに対し、イ号意匠部分は、左右上隅角部が丸みを帯び、周囲の縁部は略同幅である点であって、取付部の開口部内の態様は需要者も注意を払うところであるものの、周囲縁部の厚みは、注視して分かる程度の薄い縁部同士の厚みの相違であって、需要者の注意をひくものとはいえず、本願意匠部分の右取付部の下側縁部上面に中央に取付部全幅の約3分の1幅のごく浅い円弧状の溝部の有無は、部分的なごく浅いものでもあって、この相違点〔c〕が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。そして、相違点〔d〕は取付部の取付孔の配置については、両部分のほぼ同様の位置(正面視で左取付部外方下寄り及び右取付部外方上寄り)にほぼ同形状の取付孔が配されている中で、それぞれ取付部の上下一方に寄せて1つずつ(左取付部外方下寄り及び右取付部外方上寄り)設けたか、並列して2つずつ(左右取付部外方上寄り及び下寄り)設けたか否かの相違であって、この相違点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
最後に相違点〔e〕の、全体に濃淡調子や色彩が施されていないものであるのに対し、イ号意匠部分は、全体に薄灰色の色彩が施されているものである点は、色彩の有無についてであって、この種物品に限らず、どちらの態様を表したものもごく普通の態様であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
これら相違点は、相違点〔c〕及び〔d〕については両部分の類否判断に一定の影響を与えるものであるとしても、相違点〔a〕、相違点〔b〕及び相違点〔e〕については類否判断に及ぼす影響は小さく、あいまっても両部分の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものである。
なお、被請求人は、第2の2.(2-4)「本件登録意匠とイ号意匠の対比」において、本件登録意匠とイ号意匠は、立体的に観察した場合、明らかに相違点(a)及び(b)において、「大きく相違し、本件登録意匠については全体として角張った鋭い立体形状の美感を有する一方、イ号意匠については全体として丸みを帯びた柔らかい立体形状の美感を与えており、これによって需要者にはそれぞれ異なる美感を起こさせるもの」であるから両部分は、類似しない旨主張している。しかしながら、上記のとおり、略棒状の照明器具の上隅角部(上方稜部)を端部まで角張ったものにすること(参考例:意匠登録第1191212号「発光ダイオードランプ」の意匠、意匠登録第134139号「照明用発光ダイオードランプ」の意匠)も丸みを帯びたものとすること(参考例:特開2005-19299号の図1及び図2に示された「LED照明器具」の意匠、意匠登録第1284324号「発光ダイオードランプ」の意匠)も従来の照明器具で普通に見られる態様であって、照明器具の両端に設けられた取付部の上方角部に角張った態様、あるいは、丸みを帯びた態様が表されていたとしても、格別需要者の目をひくとはいえず、周囲縁部の厚みについても、注視して分かる程度の薄い縁部同士の厚みの相違であって、需要者が格別の注意をはらうものとはいえないから、これらの相違は、上記、本件登録意匠とイ号意匠の特徴ある共通点を凌駕して、類否を決するほどの特徴であるということはできず、両部分を別異のものとすることはできない。
加えて、上記第2の2.(3)「請求人及び被請求人のその他の登録意匠の存在」で示された事実は、本件登録意匠とは形態の異なる2つの意匠登録出願がそれぞれ個別に登録された事実であって、かつその2つの意匠(登録第1566982号の意匠(乙第1号証)は平成29年1月16日発行の公報記載、登録第1572137号の意匠(乙第2号証)は平成29年3月21日発行の公報記載)は、いずれも本件登録意匠(登録第1353079号は、平成20年1月30日出願、平成21年3月9日発行の公報記載)の出願後に公知となっているから、本件登録意匠とイ号意匠の類否の判断において、その事実を参酌することはできない。
したがって、被請求人の主張は採用できない。

5.両意匠の類否判断
上記のとおり、両意匠は、意匠に係る物品については共通し、両部分の範囲は相違するものの、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさは共通し、両部分の形態については相違点が類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、共通点はあいまって、需要者に与える共通の印象を一層強くするものであって、相違点の印象は、共通点の印象を覆すには至らないものであるから、意匠全体として見た場合に、両部分は類似し、これらを総合して判断すると、両意匠は、類似するものである。

第4 むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。

よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2018-11-30 
出願番号 意願2008-1820(D2008-1820) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (D3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 佑二 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
渡邉 久美
登録日 2009-02-06 
登録番号 意匠登録第1353079号(D1353079) 
代理人 桶野 育司 
代理人 濱田 俊明 
代理人 桶野 清香 

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