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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1347722 |
審判番号 | 不服2018-11797 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-03 |
確定日 | 2019-01-15 |
意匠に係る物品 | 振動発生器 |
事件の表示 | 意願2017- 20525「振動発生器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、意願2017-20522号(意匠登録第1606206号)を本意匠とする平成29年(2017年)9月20日に出願された関連意匠の意匠登録出願であって、平成30年(2018年)3月28日付けの拒絶理由の通知に対し、同年5月9日に意見書が提出されたが、同年5月29日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年9月3日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。 第2 本願意匠 本願意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「振動発生器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第3 原査定における拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠とは認められず、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの理由であって、具体的には以下のとおりである。 「本願意匠と願書記載の本意匠(2017-020522号)とは、突起部の態様において顕著に相違しており、類似しているものとは認められません。」 第4 本意匠 本意匠は、平成29年(2017年)9月20日に出願され、平成30年(2018年)5月18日に意匠権の設定の登録がなされ、同年6月11日に意匠公報が発行された意願2017-20522号(意匠登録第1606206号)の意匠であり、意匠に係る物品を「振動発生器」とし、その形態は、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照) 第5 当審の判断 以下、本願意匠及び本意匠(以下「両意匠」という。)が類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものか否かについて検討する。 1.両意匠の対比 (1)両意匠の意匠に係る物品 意匠に係る物品は、両意匠ともに「振動発生器」であり、一致する。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態については、主として、以下の通りの共通点及び差異点がある。 ア 共通点 (ア)薄板状の振動増幅板部の背面部中央に、同じく薄板状の圧電素子部をごく薄厚の接着部を介して密着している点、 (イ)圧電素子部の正面視形状は、振動増幅板部の正面視形状と同形で、圧電素子部の一辺の長さ(本意匠は直径)は振動増幅板部の約4分の3であって、両者が相似の位置となるように中心を合わせて密着して背面部の周縁に振動増幅板部の一辺の長さ(本意匠は直径)の約8分の1の縁部を等幅に形成している点、 (ウ)圧電素子部の表裏全面に薄シート状の電極部を貼り合わせている点、 (エ)振動増幅板部の正面側中央に略半球状の突起部を形成している点。 イ 差異点 両意匠の具体的態様として、 (あ)振動増幅板部及び圧電素子部の正面視形状について、本願意匠は、正方形であるのに対し、本意匠は、正円形である点、 (い)突起部について、本願意匠は、正面部中央の突起部の周囲に、これと同形同大の突起部を対角線上のやや中心寄りの位置に1つずつ、ちょうどサイコロの5の目のように配置し、合計5個の突起部を形成しているのに対し、本意匠は、中央の突起部のみである点。 2.両意匠の類否判断 (1)意匠に係る物品 両意匠の意匠に係る物品は、ともに電子機器に用いられる電子部品であって、音を発生させるために用いられる「振動発生器」であるから、意匠に係る物品は同一である。 (2)両意匠の形態 両意匠の形態における共通点及び差異点に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、共通点(ア)ないし共通点(エ)のとおり、両意匠の特徴として最も需要者が注目する大小2枚の薄板(振動増幅板部とその幅が約4分の3である圧電素子部)を相似の位置となるよう中心を合わせて配置し、表裏全面に薄シート状の電極部を貼り合わせた圧電素子部の正面側中央に略半球状の突起を設けた態様は、全体として美感に大きな共通性があるものであって、特に、共通点(イ)の背面部の周縁に振動増幅板部の一辺の長さ(本意匠は直径)の約8分の1の縁部を等幅に形成した態様は、需要者に共通の視覚的印象を与えるものである。また、共通点(エ)の圧電素子部に略半球状の突起を設けた態様は、両意匠とすでに登録されている本意匠の関連意匠(意願2017-20524号、意匠登録第1606665号(平成30年6月11日意匠公報発行)、別紙第3参照。)の他にはみられず、新規で特徴ある態様といえるものである。 一方、差異点について、まず、差異点(あ)の振動増幅板部及び圧電素子部の正面視形状は、それぞれ、正方形と正円形であるから基本となる図形は異なるものの、当該物品の分野において、電気素子の正面視形状を正方形や正円形としたものがごく普通に見受けられるものであるから、格別需要者の注意をひくものとはいえず、微弱であること、また、差異点(い)の中央の突起部を除いた周囲の突起部の有無は、前記共通点(エ)の突起部を正面側中央に設けた態様が、需要者に強い共通の美感を与えており、周囲の突起は副次的に設けられた印象が強く、需要者をして別異の美感をもつとまではいい難いものであって、微弱なものといわざるを得ない。 そうすると、これらの相違する点を考慮しても、両意匠は、意匠全体として観察した場合において共通の美感を起こさせるものといえるものである。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、その形態において、需要者に共通の美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似する。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、本意匠に類似するものであって、意匠法第10条第1項の規定に該当し、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-12-28 |
出願番号 | 意願2017-20525(D2017-20525) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 北代 真一 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
宮田 莊平 内藤 弘樹 |
登録日 | 2019-01-25 |
登録番号 | 意匠登録第1624995号(D1624995) |
代理人 | 野間 悠 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 布施 哲也 |