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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1348783 
審判番号 不服2018-13027
総通号数 231 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-01 
確定日 2019-02-05 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2017-19661「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成29年(2017年)9月8日の意匠登録出願であって,平成30年1月26日付けの拒絶理由の通知に対し,同年3月9日に意見書及び手続補正書が提出されたが,同年6月29日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠に係る包装用容器の分野において,略縦長直方体の包装用容器の一つの長辺角部に紡錘形の面取り部を上端から小形,大形,小形の順に連続して並べて配すことは,本願出願前より一般的に行われています。
そうすると,本願出願前に広く知られた下記の意匠1の様に,縦長直方体で,上面を背面側から正面側に斜めに配し,側部に織り込み部を配した包装用容器に,意匠2の様に前述の紡錘形の面取り部を配したに過ぎない本願の意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものです。

意匠1(当審注:当審決においては,別紙第2参照)
欧州共同体商標意匠庁が発行した
欧州共同体意匠公報 2011年 1月 4日
包装用容器(登録番号000959465-0004)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH23200040号)

意匠2(当審注:当審決においては,別紙第3参照)
特許庁普及支援課が2007年11月15日に受け入れた
米国特許商標公報 2007年10月23日07W43号
包装用箱(登録番号US D553496S)の意匠の角部の面取り部
(特許庁意匠課公知資料番号第HH19318154号)」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願部分の形状
本願意匠の形状は,縦長の略四角柱状であって,注ぎ口を設けた上面を,正面側を低くした傾斜面とし,正面左側(正面から向かって左。以下,同じ。)の角に面取り部を設けたものである。
面取り部は,具体的には,正面の上端から下端までに,紡錘形面取り部を隙間無く3つ縦に並べたもので,3つの紡錘形の横幅は等しく,縦幅は上から,約2:3:2としたものである。
そして,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,本願意匠から注ぎ口を除いた部分である。

2.本願部分の創作の容易性について
全体の基本的な形状については,包装用容器の分野において,全体形状を縦長の略四角柱状とすることはもちろんのこと,その上面を,正面側を低くした傾斜面とし,当該上面に注ぎ口を設けることも本願意匠の出願前に公然知られたものと認められ,これらの形状に基づく創作内容については,当業者が容易に創作することができたものと認められる。
面取り部の形状については,正面の左右どちらか一方の角に,上端から下端まで一杯に面取り部を設けることも,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
加えて,面取り部を紡錘形とすること,及び一辺の角部に複数の同形同大の紡錘形を並べることも,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
よって,本願部分の形状のうち,縦長の略四角柱状であって,注ぎ口を設けた上面を,正面側を低くした傾斜面とし,正面左側の角に面取り部を設け,その面取り部を,正面の上端から下端までに,同形同大の紡錘形を隙間無く3つ縦に並べたところまでの創作内容については,当業者が容易に創作することができたものと認められる。
しかし,本願部分の一辺の角部の具体的な形状である,上端から下端まで隙間無く並べた3つの面取り部の形状を紡錘形とし,横幅は等しくした上で,縦幅を上から,約2:3:2とすることまでは及ばない。
一方で,意匠2には,周面の角に,上から小形・大形・小形とした3つの紡錘形の面取り部を設けた形状が表れているので,本願部分のうち,正面左角部分の形状を創作するための示唆の一つと認められる。
しかし,その角部分は,詳細には,上端から下端までの間に角部・小形面取り部・角部・大形面取り部・角部・小形面取り部・角部として,3つの面取り部は,隙間(角部)を介して並べた形状である。そして,その横幅は上から約2:3:2で,縦幅は約1:2:1となっている。よって,意匠2の角部分の形状から直ちに,横幅は等しくした上で縦幅を約2:3:2となる,3つの紡錘形面取り部を隙間無く並べた本願意匠の角部分の形状に結び付くとは考えられない。

3.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-01-21 
出願番号 意願2017-19661(D2017-19661) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 外山 雅暁 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2019-03-01 
登録番号 意匠登録第1627324号(D1627324) 
代理人 大塚 明博 

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