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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M2
管理番号 1349717 
審判番号 不服2018-12489
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-19 
確定日 2019-02-07 
意匠に係る物品 仕切弁用弁箱 
事件の表示 意願2016- 24148「仕切弁用弁箱」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年(2016年)11月7日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 8月31日付け:拒絶理由(意匠法第3条第1項第3号)の通知
平成29年10月23日 :拒絶理由(意匠法第3条第1項第3号)に対する意見書の提出
平成30年 1月26日付け:拒絶理由(意匠法第3条第2項)の通知
平成30年 3月12日 :拒絶理由(意匠法第3条第2項)に対する意見書の提出
平成30年 6月12日付け:拒絶査定
平成30年 9月19日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「仕切弁用弁箱」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色に着色された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠
原審の平成30年1月26日付けの拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

この意匠登録出願の意匠に係る「仕切弁用弁箱」を含めたバルブの分野においては、フランジ部の形状を、種々の形状に置き換えることは、本願出願前よりごく一般的に行われている。
そうすると、本願出願前に公然知られた下記の意匠1の左端部に設けられたフランジ部の形状を、本願出願前に公然知られた下記の意匠2の本体部の両脇に設けられたフランジ部の形状に置き換えて、蓋部を除いて中央膨出部より左側を、意匠登録を受けようとする部分としたに過ぎない本願の意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものである。

意匠1(当審注、別紙第2参照)
特許庁意匠課が平成16年(2004年)9月10日に受け入れた
株式会社クボタが平成16年(2004年)年5月3日に発行した内国カタログ
クボタソフトシール仕切弁 SX/SY/SF 第1頁所載
「仕切り弁」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC16048606号)

意匠2(当審注、別紙第3参照)
特許庁意匠課が平成16年(2004年)年9月10日に受け入れた
株式会社クボタが平成15年(2003年)年8月5日に発行した内国カタログ
クボタ 圧力下水道用パイプシリーズ 第10頁所載
「管継ぎ手」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC16048595号)

第4 請求人の主張
審判請求人は、平成30年9月19日提出の審判請求書によれば、要旨以下の主張を行っている。
本願意匠における「管部」と「フランジ部」の間に形成された「段部」の形状、及び「管部」の呼び径の長さに対する「段部」の軸心方向の長さの構成比率は、視覚的にこの種物品分野におけるありふれた範囲内の選択乃至改変に止まらず、弁体と配管の接合構造全体を考慮して創作された形状及び構成比率であり、本願意匠と意匠1における「段部」の形状及び構成比率の差異点が創作容易性の判断に及ぼす影響は大きいといえる。
さらに、「仕切弁用弁箱」の物品分野においては、仕切弁を取り扱う作業者等(看者)は、「管部」と「フランジ部」の間の形状(特に、「段部」の形状)の違いにより、弁箱の型式を識別する。看者は、「段部」が滑らか曲線形状の1段の段差により形成されている形状から、本願意匠を新型の耐震継ぎ手構造の弁箱と識別する。また、看者は、「段部」が複数の凹凸形状の2段の段差により形成されている形状から、意匠1の対応部分を従来(旧型)の耐震継ぎ手構造の弁箱と識別する。
このように、本願意匠及び意匠1の対応部分における「管部」と「フランジ部」の間の「段部」の部分は、看者が弁箱の型式を認識する部分であり、看者から美観を異にすると認識され注目される部分である。
すなわち、本願意匠と意匠1の対応部分とは、当該看者が注目する部分である「管部」と「フランジ部」の間の「段部」の部分において、上記のような顕著な差異が存在している。従って、当該看者が注目する部分に顕著な差異が存在する意匠1に意匠2を適用したとしても、当業者が意匠1に意匠2を適用した意匠から容易に本願意匠を創作できるとは到底考えられない。
以上に述べたごとく、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するとした原査定は理由が無く、本願意匠は登録されるべきものである。

第5 当審の判断
請求人の主張を踏まえ、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、給水管等の配管途中に設置されて、給水装置の制水に使用されるバルブが取り付けられる「仕切弁用弁箱」である。

2 本願部分
(1)部分意匠としての用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能については、給水管等の配管途中に設置されて仕切弁を取り付けるための弁箱として用いられる部分であり、仕切弁の開閉によって管内を通る流体を調節する機能を持つものである。
また、本願部分の位置、大きさ及び範囲は、仕切弁の蓋部を取り付けるための天面側のフランジより下方の弁箱の部分、及びこの弁箱と一体的に形成された水平な管継ぎ手における、管継ぎ手右側の先端部付近の部分を除いた部分である。

(2)形態
ア 本願部分の全体の態様は、管継ぎ手の長手方向中央部分に弁箱を一体的に立設した構成のものから、管継ぎ手右側の先端部付近の部分を除いたものであって、
イ 管継ぎ手の形態は、略円筒形状の管体(以下「管部」という。)の両端部に、この管部より大径の継ぎ手部分(以下「段部」という。)を形成し、この段部の開口部に、外形が略正六角形状で、6つの円孔を六角形の角部付近に設けたフランジ(以下「側面フランジ」という。)を形成したものであり、
ウ 弁箱の形態は、管部を挟み込むように形成した正面視略逆等脚台形状の管部接続部分、その上方の中空な略隅丸六角柱状の弁箱上方部分、及び上端部の外形が略隅丸長方形状で、8つの円孔を略等間隔に設けたフランジ(以下「天面フランジ」という。)からなり、管部接続部分と弁箱上方部分の間に外形が略隅丸六角形状のリブ(以下「横リブ」という。)を水平にして設けたものであり、
エ 天面フランジから段部にかけての管部上面の長手方向中央部分に、正面視略J字状に切り欠いた板体状のリブ(以下「天面リブ」という。)を垂直にして形成し、管部底面の長手方向中央部分の左右段部の間に、正面視横長等脚台形状の板体状のリブ(以下「底面リブ」という。)を垂直にして形成したものである。

3 原審の拒絶の理由における引用意匠
(1)意匠1
意匠1は、「仕切り弁」に係る物品であり、意匠1において本願部分に相当する部分の形態は、
ア 部分全体の態様は、管継ぎ手の長手方向中央部分に弁箱を一体的に立設した構成からなるものであって、
イ 管継ぎ手の形態は、略円筒形状の管部の先端部に、この管部より大径な1段目の段部、さらに大径な2段段目の段部、及び2段目の段部より小径な縮径部を形成し、縮径部の開口部に、略中空円板状で、8つの円孔を略等間隔に設けた側面フランジを形成したものであり、
ウ 弁箱の形態は、管部を挟み込むように形成した正面視略逆等脚台形状の管部接続部分、その上方の中空な略隅丸六角柱状の弁箱上方部分、及び上端部の外形が略隅丸長方形状の天面フランジからなり、管部接続部と弁箱上方部の間に外形が略隅丸六角形状の横リブを水平にして設けたものであり、
エ 天面フランジから2段目の段部にかけての管部上面の長手方向中央部分に、正面視略J字状に切り欠いた板体状の天面リブを垂直にして形成し、管部底面の長手方向中央部分の1段目の左右段部の間に、正面視横長等脚台形状の板体状の底面リブを垂直にして形成したものである。

(2)意匠2
意匠2は、「管継ぎ手」に係る物品であり、その側面フランジ部の形態は、外形が略正六角形状で、6つの貫通孔を六角形の角部付近に設けたものである。

4 本願意匠の創作容易性の判断
本願意匠は、意匠に係る物品を「仕切弁用弁箱」とするものであり、管継ぎ手の長手方向中央部分に弁箱を一体的に立設した構成のものから、管継ぎ手右側の先端部付近を除いた部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であるところ、管部を挟み込むように形成した正面視略逆等脚台形状の管部接続部分、その上方の中空な略隅丸六角柱状の弁箱上方部分、及び上端部の外形が略隅丸長方形状の天面フランジからなり、管部接続部と弁箱上方部の間に外形が略隅丸六角形状の横リブを水平にして設けた弁箱の形態や、天面フランジから段部にかけての管部上面の長手方向中央部分に、正面視略J字状に切り欠いた板体状の天面リブを垂直にして形成し、管部底面の長手方向中央部分の左右段部の間に、正面視横長等脚台形状の板体状の底面リブを垂直にして形成した形態は、意匠1で示したように公然知られた形態であるといえる。
しかしながら、当業者が本願意匠を創作する際には、物品の機能を発揮するうえで重要な継ぎ手部分における段部の具体的な形態について特に考慮するものであり、側面フランジの具体的な形態についても重視して検討するものであるところ、本願意匠の段部の形態は、管部より大径の段部を1段だけ形成した形態であって、このようなものは引用している意匠1には見当たらず、公然知られたものであるとはいえないものである。
また、本願意匠の属する仕切弁用弁箱の分野において、段部の開口部の周囲に、外形が略正六角形状で、6つの円孔を六角形の角部付近に設けた側面フランジを形成したものも見当たらず、本願意匠の側面フランジの形態を略中空円板状のものから外形が略正六角形状のものに変更することが、本願出願前よりごく一般的に行われているとまではいえないものである。
そうすると、本願意匠における段部の形態は、この種物品分野において独自の着想によって創出したといえるものであり、側面フランジの形態を外形が略正六角形状のものに変更した点も含め、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたとはいうことができない。

第6 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2019-01-23 
出願番号 意願2016-24148(D2016-24148) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2019-03-15 
登録番号 意匠登録第1628834号(D1628834) 
代理人 特許業務法人森本国際特許事務所 
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