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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D5
管理番号 1349721 
審判番号 不服2018-11068
総通号数 232 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-13 
確定日 2019-02-12 
意匠に係る物品 体重計・体脂肪計付き便座 
事件の表示 意願2016- 23033「体重計・体脂肪計付き便座」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月24日の意匠登録出願であって、平成29年5月30日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年7月11日に意見書が提出されたが、平成30年5月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年8月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「体重計・体脂肪計付き便座」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表された部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下、本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願の意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願に係り、意匠に係る物品を「体重計・体脂肪計付き便座」とし、実線で表された部分が意匠登録を受けようとする部分であり、その部分は、便座の座部及び座部に設けられた4箇所のセンサーとその測定結果を表示する表示部と認められます。そして、この種物品分野において、座部に体重測定センサーや体脂肪測定センサーを組み込んで体重や体脂肪率の測定ができるような便座が意匠1乃至意匠3に示されているように本願の出願前に公然と知られています。また、そのセンサーを略長方形状とし便座の座部に4箇所配置するその配置態様も意匠3乃至意匠4に見られるように公然知られているものと言え、加えて、測定結果を表示する表示部を使用者の両腿間に設ける配置態様も意匠5乃至意匠7の様に普通に見受けられます。更に、便座の色彩を黒色・濃紺等の濃色仕上げとすることも意匠9乃至意匠10に見られる様に極普通に行われています。
そうすると、本願の意匠は、公然知られたものと認められる便座の意匠(意匠8)を広く知られた濃色仕上げとしたうえで、ありふれた手法を用いてセンサーを4箇所、表示部を1箇所、公然知られた位置に配置し、体重計・体脂肪計付き便座とした程度にすぎないから、当業者であれば容易に創作をすることができたものと認められます。

意匠1 (当審注:別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2000-225101

意匠2 (当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2000-254040

意匠3 (当審注:別紙第4参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2001-070201

意匠4 (当審注:別紙第5参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2012-085869

意匠5 (当審注:別紙第6参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
平成 2年実用新案出願公開第096998号

意匠6 (当審注:別紙第7参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
平成 3年実用新案出願公開第072799号

意匠7 (当審注:別紙第8参照)
特許庁総合情報館が1999年 5月18日に受け入れた
ドイツ意匠公報 1999年 2月25日
第1165頁所載
便座の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH16009521号)

意匠8 (当審注:別紙第9参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1348592号の意匠

意匠9 (当審注:別紙第10参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年 2月 2日
受入日 特許庁意匠課受入2009年 2月 6日
掲載者 Amazon.com
表題 Amazon.com: KOHLER K-46
58-7 Brevia Round-Front
Toilet Seat, Black Blac
掲載ページのアドレス http://www.amazon.com/gp/product/images/B000RN
IV8S/ref=dp_image_0?ie=UTF8&n=228013&s=hi
に掲載された「便座」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20058595号)

意匠10 (当審注:別紙第11参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2014年 7月15日
受入日 特許庁意匠課受入2014年 8月 1日
掲載者 Kingfisher plc
表題 Carrara and Matta Atlan
tic Spa Toilet Seat Pol
ypropylene Marine Blue|
掲載ページのアドレス
http://www.screwfix.com/p/carrara-and-matta-at
lantic-spa-toilet-seat-polypropylene-marine-bl
ue/3422d
に掲載された「便座」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26024509号)」

第4 請求人の主張の要旨
これに対し、請求人は、審判を請求し、本願意匠の創作容易性について要旨以下のとおり主張した。
本願意匠はその平面図から明らかなように、共通した特徴を有するが異なる形状の4つのセンサーと、この4つのセンサーが1つの表示部に対して特徴的な印象を与えるように配置された態様に、本願特有の創作性を有するものである。
まず、4つのセンサーの形状については、ありふれた形状(単なる四角形・丸形・楕円形等)の一般的なセンサーではなく、4つの全てが異なる傾斜を有する角丸の平行四辺形であり、平面図において横方向の全ての辺(計8つの辺)が表示部の横方向の2つの長辺と平行線になっていると共に、縦方向の全ての辺(計8つの辺)が便座の外周のカーブに合わせた平行線になっている。したがって、縦方向の全ての辺は、便座前端側に配置された表示部に向かう斜め線になっており、この斜め線は4つのセンサー毎に異なるものであり、便座後端側に位置する左右のセンサーの斜め線は同じ傾斜角度ではあるが左右対称となるように逆向きの傾斜であり、また、便座前端側に位置する左右のセンサーの斜め線は左右で同じ傾斜角度ではあるが左右対称となるように逆向きの傾斜であり、更にこの傾斜角度は便座後端側に位置するセンサーよりも便座前端側に位置するセンサーの方がきつい角度になっている。
次に、センサーの配置については、便座後端側に位置する左右2つのセンサーの間隔が広く、便座前端側に位置する左右2つのセンサーの間隔が狭く、便座後端側に位置する2つのセンサーから便座前端側に位置する2つのセンサーに向かって左右の間隔が狭まることによって便座前端に位置する表示部に向かって視線が収束するような配置になっている。特に、引用意匠5?7に記載の表示部に比して本願意匠の表示部はより大きな面積を有するものであり、便座後端側の2つのセンサーの斜め線と便座前端側の2つのセンサーの斜め線の延長線が大きな面積を有する表示部の枠内に進入するようにデザインされている。
以上の特徴的な形状及び配置、即ち、便座に配置された4つのセンサーが便座前端に配置された1つの表示部に向かって収束するデザインによって、代表的な需要者である使用者が便器の使用に際して便座を見た時に、4つのセンサーによって計測された体重や体脂肪率のデータが表示部に向かって伝えられて表示されるというイメージを想起させる極めて印象的なデザインとなっている。特に、4つのセンサーは同一形状ではなく、平行四辺形の傾き角度・傾き方向の異なる4つの形状を有するセンサーを組み合わせて用いており、その4つのセンサーの形状が1つの表示部に向かって集約するように配置されているため、収束方向の印象をより強めるものになっている。
これに対して引用意匠1?10には4つのセンサーと1つの表示部とを組み合わせて用いた構成を有するものは全く見当たらないことから、1つの表示部に向かって収束するように4つのセンサーを配置するというデザイン思想がそもそも生じることは皆無であり、かかる配置構成について各引用意匠には記載はおろか示唆さえも一切無いことも明白である。
原査定における認定は、いかなる創造性を有するデザイナーがデザインしたとしても『4つのセンサーを便座表面に表出した状態で配置し、便座前端に1つの表示部を配置した「体重計・体脂肪計付き便座」』であれば、そこに特徴的な審美性や独自の秀でた創作性が有ったとしても容易に創作できたものとの認定であり、これは、特許出願における進歩性判断(特許法第29条第2項)であるならば、かかる認定の可能性は有るかと思料するが、技術思想ではなくデザインの創作性・審美性を問われる意匠出願において係る認定は失当であると言わざるを得ないと思料する。
以上説明したように、『便座に配置された4つのセンサーが便座前端に配置された1つの表示部に向かって収束するデザインによって、使用者が便器の使用に際して便座を見た時に、4つのセンサーによって計測された体重や体脂肪率のデータが表示部に向かって伝えられて表示されるイメージを想起させる極めて印象的なデザイン』を有する本願意匠が、ありふれた形状のセンサーを配置しただけの表示部無しの引用意匠1?4と、便座前端に表示部を配置しただけのセンサー無しの引用意匠5?7とから容易に創作することができたとする認定には到底承服できるものではない。
よって、本願に対し、原査定を取り消し、本願は意匠登録をすべきものであるとの審決を求める。

第5 当審の判断
以下、請求人の主張を踏まえ、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が、当業者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、願書の「意匠に係る物品の説明」によれば、便座に組み込まれた状態で配設されているセンサー部によって便座に着座した使用者の体重・体脂肪率を測定し、着座した使用者の両腿間となる位置に配設されている表示部に測定結果が表示される「体重計・体脂肪計付き便座」である。

(2)本願部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分の用途は、着座時に人体を支えるものであり、便座上面に設けられたセンサーにより体重及び/又は体脂肪率を計測し、表示部に計測結果を表示する機能を有する。本願部分の位置、大きさ及び範囲は、「体重計・体脂肪計付き便座」の便座部のうち、平面視開口部上端付近に境界を示すために記載された一点鎖線より先端側の着座する部分である。

(3)本願部分の形態
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その上面に設けられた4つのセンサー及び表示部、及び下面に設けられた4つの突起部から構成されている。
イ 便座の平面視の形状は、縦横比約1:1で、開口部を囲む着座部分は、先端側から基部にかけて拡幅し、座面の縦方向中央で、便座全体の横幅の約1/5である。
ウ 便座の周側面の形状は、側面視上方約2/3を垂直面とし、下方約1/3を略45度に面取りした斜面としている。
エ 本願部分はセンサー部、表示部、底面突起部を除き、全体に濃灰色が施され、願書の記載によれば、黒色・濃灰色・濃紺等の濃色である。
オ 各センサー部の形状は、略角丸平行四辺形であって、平面視においてその上下辺を水平として、左右辺を便座の外周のカーブに合わせた平行線とし、便座の上方に左右対称に1つずつ、下方に左右対称に1つずつ、便座の幅の略中央に外周のカーブに合わせて配置されている。
カ 表示部は角丸長方形状で、便座部先端に配置され、その横幅は平面視における便座の横幅の約3分の1で、便座先端部の大部分を占めている。

2 引用意匠
当審においては、各引用意匠の、意匠に係る物品及び形態について、以下のとおり認定する。本願部分は「体重計・体脂肪計付き便座」のうち便座部の一部であるため、各引用意匠の認定は、便座部について行う。
なお、原審の拒絶の理由において、意匠1及び意匠2は、座部に体重測定センサーや体脂肪測定センサーを組み込んで体重や体脂肪率の測定ができる便座の事例として示されたものであるが、同様に以下のとおり認定する。

(1)引用意匠1
引用意匠1は、「体重体脂肪計付き便座」であって、着座時に人体を支えるとともに、体重及び体脂肪率を測定することができるものであり、便座の表された【図1】によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に楕円形開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その上面に設けられた4つの荷重センサー(符号3)及び2つの体脂肪センサー(符号4)より構成されている。
イ 荷重センサー部の形状はだ円形で、同形の荷重センサーが便座の平面視上方及び下方に左右1つずつ、便座の全幅にわたるように配置されている。体脂肪センサー部形状もだ円形で、同形の体脂肪センサーが便座の平面視中央付近に左右1つずつ、便座の全幅にわたるように配置されている。
ウ 【発明の詳細な説明】【発明の実施の形態】【0007】の記載によれば、引用意匠1の体脂肪センサーは、電極が便座上面に表出した状態で配置されているものと認められる。

(2)引用意匠2
引用意匠2は、「体重計付き便座」であって、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定することができるものであり、便座の表された【図1】及び【図2】によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に前円後方型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、便座内部に設けられた4つの荷重センサー(符号12)と、下面に設けられた4つの支持部により構成されている。
イ 各荷重センサー部の形状は同形の長方形で、便座の内部に、平面視において便座の上方と下方の左右に1つずつ、便座の幅の略中央に、直線状の外周に合わせて縦長に配置されている。

(3)引用意匠3
引用意匠3は、「体重測定機能付き便座」であって、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定することができるものであり、便座の表された【図1】、【図2】及び【図3】によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、便座内部に設けられた4つの圧力センサー(符号4)より構成されている。
イ 各圧力センサー部の形状は同形の長方形で、便座の内部に、平面視において便座の上方と下方に左右対称に1つずつ、便座の幅の略中央に、外周のカーブに合わせて配置されている。

(4)引用意匠4
引用意匠4は、「体重計付き便座」であって、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定することができるものであり、便座の表された【図1】及び【発明の詳細な説明】【発明を実施するための形態】【0024】の記載によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その下面に設けられた4つの重量計(符号4)より構成されている。
イ 各重量計の形状は同形の長方形で、便座の下面に、平面視において便座の上方と下方に左右対称に1つずつ、便座の幅の略中央に、外周のカーブに合わせて配置されている。

(5)引用意匠5
引用意匠5は、「体重計付き便器」であって、便座部は、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定しその結果を表示することができるものであり、便座の表された第1図によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その上面に設けられた表示部より構成されている。
イ 表示部は、外枠を二重とした角丸長方形状で、便座部先端に配置され、その外枠も含めた横幅は平面視における便座の横幅の約1/5程度で、便座先端部において表示部が占める割合も比較的小さい。

(6)引用意匠6
引用意匠6は、「便座体重計」であって、便座部は、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定しその結果を表示することができるものであり、便座の表された第2図によれば、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その上面に設けられた表示部より構成されている。
イ 表示部は角丸長方形状で、便座部先端に配置され、その横幅は平面視における便座の横幅の約1/6程度で、便座先端部において表示部が占める割合も比較的小さい。

(7)引用意匠7
引用意匠7は、「便座」であって、便座部は、着座時に人体を支えるとともに、体重を測定しその結果を表示することができるものであり、その便座部の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、その上面に設けられた表示部より構成されている。
イ 表示部は角丸長方形状で、便座部先端に配置され、その横幅は平面視における便座の横幅の約1/5程度で、便座先端部において表示部が占める割合も比較的小さい。

(8)引用意匠8
引用意匠8は、「局部洗浄器付き便座」であって、便座部の用途は着座時に人体を支えるものであり、便座部の形態のうち本願部分に相当する部分の形態は、主に以下の点が認められる。
ア 全体は、中央に略卵型開口部を有する、いわゆるO型と称される便座と、下面に設けられた4つの突起部から構成されている。
イ 便座の平面視の形状は、縦横比約1:1で、開口部を囲む着座部分は、先端側から基部にかけて拡幅し、座面の縦方向中央で、便座全体の横幅の約1/4である。
ウ 便座の周側面の形状は、三層で構成され、側面視上部を円弧状に大きく面取りした湾曲面とし、中央部を垂直面とし、下方を略45度に面取りした斜面としている。

(9)引用意匠9
引用意匠9は「便座」であって、便座部は、全体が黒色である。

(10)引用意匠10
引用意匠10は「便座」であって、便座部は、全体が濃青色である。

3 創作容易性の判断
(1)センサーの形状及び配置態様について
本願部分のセンサーの形状及び配置態様は、上記1(3)オに示すとおりであるところ、便座の物品分野において、体重を測定するセンサーを4つ便座部に設けたものは、引用意匠1ないし引用意匠4にみられるように本願出願前より公然知られているが、これら引用意匠にみられるセンサーはいずれも便座の上面に表出して設けられていないため平面視では観察することができないものであり、これら引用意匠にみられるセンサーと、便座上面に表出するように設けられた本願部分のセンサーとは、便座内での取付け位置が大きく異なる。また、引用意匠1には、体脂肪を測定する略だ円形状のセンサーを座面上面に表出するように2つ配した態様が表されているが、本願部分のセンサーとは、形状、個数、座面における配置態様が大きく異なる。そうすると、当業者がこれら公知の意匠に基づき、本願部分のセンサーの形状及び配置態様について、直ちに創作することができたものとは認められない。

(2)センサーと表示部を設けた点について
本願部分の表示部と、引用意匠5ないし引用意匠7の表示部は、いずれも角丸長方形状で、便座部先端に配置されている点で共通する。しかしながら、本願部分の便座上面には、表示部のみならず、体重や体脂肪を計測するためのセンサーが表されているところ、引用意匠5ないし引用意匠7には、いずれもそのようなセンサーがみられない。センサーが便座上面に設けられた引用意匠1には、便座部に表示部が設けられておらず、引用意匠2ないし引用意匠4におけるセンサーは便座内部又は便座下面に取り付けられているため、便座上面には何も表れていない。そして、便座上面にセンサーとともに表示部を設けることについて、便座の物品分野においてありふれた手法であるとの証拠はみられない。そうすると、便座上面にセンサーと表示部の両方を設けることについて、一定の独創性が認められる。

(3)便座の形状について
本願部分の便座は、平面視での座面の縦方向中央における着座部分の幅が、便座全体の横幅の約1/5であって、周側面の形状について、側面視上方約2/3を垂直面とし、下方約1/3を略45度に面取りした斜面としているのに対し、引用意匠8の便座は、平面視での座面の縦方向中央における着座部分の幅が、便座全体の横幅の約1/4であって、周側面の形状について、三層で構成され、側面視上部を円弧状に大きく面取りした湾曲面とし、中央部を垂直面とし、下方を略45度に面取りした斜面としている点で異なる。このように両意匠の便座は、平面視の形状が異なり、周側面の形状も大きく異なることから、本願部分の便座の形状は、引用意匠8に基づいて容易に創作することができたものとはいえない。

(4)創作容易性の判断
以上の検討によれば、本願部分のセンサーの形状及び配置態様は、引用意匠1ないし引用意匠4にみられず、便座上面にセンサーと表示部の両方を設けた点について一定の独創性が認められることに加えて、便座の形状についても本願部分と引用意匠8は異なることから、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、引用意匠1ないし10にみられる、日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

第6 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

審決日 2019-01-22 
出願番号 意願2016-23033(D2016-23033) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
木村 智加
登録日 2019-03-08 
登録番号 意匠登録第1628193号(D1628193) 
代理人 坂口 信昭 
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