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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F2
管理番号 1350705 
審判番号 不服2018-6016
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-05-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-01 
確定日 2019-04-10 
意匠に係る物品 カード立て 
事件の表示 意願2017- 9507「カード立て」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成29年 4月28日 意匠登録出願
平成29年11月24日付け 拒絶理由通知書
平成30年 1月 9日付け 意見書提出
平成30年 1月23日付け 拒絶査定
平成30年 5月 1日 審判請求書提出
平成30年12月 6日 手続補正書(意匠の説明及び図面)提出

第2 本願意匠
本願は、平成29年(2017年)4月28日の意匠登録出願(意願2017-9507)であって、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品は「カード立て」であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)は、願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりのものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における平成29年11月24日付けで通知した拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、次のとおりである。
「本願意匠が属する各種カード立ての分野では、カードケース部の正面形状を矩形状とし、その四辺のうちの複数を正面側に鉤状に折り曲げてカード差込用案内枠を形成し、カードケース部背面(カード用支持面)の一部を左右対称形に切り開いて足部を形成することは、例えば引用意匠1及び引用意匠2に見られるように、従来から普通に行われている手法です。また、足部の位置をやや下寄りに形成した点も、例えば前述の引用意匠2に見られるように、縦長のカード立てにあっては、ごく自然な配置位置を選択しただけのことに過ぎません。
本願意匠は、本願出願前から公然知られていた構成の足片(例えば引用意匠3参照)を、上記のありふれた手法に基づき、ケース部背面のやや下寄りに形成し、足片の外形に若干の改変を加えた程度に過ぎませんので、当業者であれば容易に創作出来たものと認められます。」
引用の意匠は、以下のとおりである。
引用意匠1
特許庁発行の公開特許公報記載
平成10年特許出願公開第006662号
【発明の名称】カレンダー
段落【0002】で説明する【図3】に表されたカード立て(支え部Sを有する基板K)の意匠

引用意匠2
特許庁意匠課が2002年12月13日に受け入れた
POP & PARTS COLLECTION SALES PROMOTION CATALOG vol.11
第71頁所載
カレンダー用ケースの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC14055034号)

引用意匠3
掲載者 株式会社 藤田
表題 2014年6月|販促通販
媒体のタイプ online
掲載年月日 2014年6月12日
検索日 2017年11月21日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
掲載年月日については 、http://www.p-fujita.jp/2014/06/(添付資料4/5 参照)
引用意匠3については、上記欄内の「紙脚 高さ220奥行き132」をクリ ックすることによりリンクする
http://www.p-fujita.jp/%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%89%e3%82%b9%e3%82%bf%e 3%83%b3%e3%83%8990-2/ に掲載された(商品コード:mj-f-kamiashi 220-132 )の意匠(添付資料5/5参照)

第4 当審の判断
本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。

1 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は、「カード立て」であり、本願意匠の形態は、基本的には、(ア)全体が透明な略縦長矩形状シート体から成り、その上方を除く左右及び下辺を正面側に鉤状に折り曲げてカード差込用案内枠としたカード支持本体部(以下、本体部という。)と、その本体部の背面の一部を切り開いて形成した、本体部を支持する支持脚片部及び支持脚片部を保持する舌片部から成る左右対称のものであって、具体的には、(イ)本体部は、正面視で、略縦長矩形状であって、正面図では、やや後方に傾いたものであるから、支持脚片部などを切り開いて形成する前の「立体化前の展開図」で計測すると、縦横比率は約10:7.5であって、右辺の縦方向半ばに略半円状の切り欠き部を設け、(ウ)支持脚片部は、縦方向に本体部の約9分の4の長さで、横方向に約4分の1の長さの、逆略縦長5角形の薄い板状であって、背面の左右端から内方に約7分の1の下寄りの位置に、外方の一辺を本体部側に切り残して、切り開いた内方の支持脚片部を後方に引き起こして直角状に折り曲げて成り、支持脚片部の下端は鈍角を構成する2辺から成って、後方辺部が接地して、本体部を鉛直方向より後方に約20度傾けて支持している。(エ)舌片部は、内方上角部が大きく丸みを帯びた略縦長矩形の薄い板状で、内方から約3分の2の位置の上方の縁に小V字状刻み部を、下辺の内方先端に小くさび状突起部を設けたものであって、本体部の背面の左右端より内方に約11分の1のやや下寄りの位置から支持脚片部の横方向半ばやや下寄りに亘って設け、本体部側に下方1辺を切り残し、他方を切り開いて後方へ直角状に折り曲げて成り、舌片部を切り開く際に形成された支持脚片部の小くさび状刻み部(小くさび状突起部に対応)は、後方へ直角状に折り曲げた舌片部の小V字状刻み部と相互にかみ合って支持脚片部を保持している。
舌片部の直下には、下支えする基台部を、小くさび状突起部の下から外方の支持脚片部の折り曲げ箇所まで下方へ斜状に切り開いて、支持脚片部より分離して形成している。

2 引用意匠
引用意匠1ないし引用意匠3は、上記第3に記載のとおり、本願出願前に公然知られた意匠であると認められる。本願意匠の向きに合わせて引用意匠1ないし引用意匠3を認定する。
(1)引用意匠1(別紙第2参照)
意匠に係る物品は「カレンダー」であり、引用としたのは【図3】に表された、略横長長方形状の基板部の上端縁と下端縁を折り曲げ、背面側の中央の一部を左右対称に切り開き、一対の支持脚片部を形成したカード立てであって、支持脚片部の形態は、略縦長台形の薄い板状で、内方の1辺を基板部側に切り残し、外方の切り開いた支持脚片を後方に引き起こして折り曲げて成り、本体部側の半ば上寄りに前方が直線状で上方の後方が丸みを帯びた切り抜き部を設け、その切り抜き部の後方内縁半ばに線状に刻み部を設け、一対の支持脚片部の切り抜き部の内縁の刻み部に1つの舌片部の外縁をかみ合わせて保持し、舌片部の形態は、外方の角部が丸みを帯びた略横長矩形の薄い板状である。引用意匠1は、斜め上方向からみた図で表されたものであるから、支持脚片部の切り抜き部の下方の形態は不明であって、全体及び各部の縦横比率、また、全体に対する各部の配置位置も正確には計測できない。
(2)引用意匠2(別紙第3参照)
意匠に係る物品は「カレンダー用ケース」であり、支持本体部は全体がほぼ透明な略縦長矩形状であって、左右及び下辺を正面側に鉤状に折り曲げた差込用案内枠を設け、上辺の半ばに略半円状の切り欠き部を設け、全体の横方向中央下寄り位置に左右対称に一対の支持脚片部を形成したと認められるが、支持脚片部と舌片部は明確に視認できないため、形状は不明であり、斜め方向正面からの図版で現されたものであるから全体の縦横比率も正確には計測できない。
(3)引用意匠3(別紙第4参照)
引用されたのは「(商品コード:mj-f-kamiashi 220-132)の意匠」とする、ボードやパネルなどを立てるために用いる「紙製支持脚」であるが、掲載された図版(拒絶理由通知添付資料5/5の図版部)に現されているのは、左右対称の一対の支持脚であって、掲載の使用図から個々にも使用可能な独立した支持脚と認められる。一脚の形状は、概略、板状体を略直角状に縦折りして自立させたような態様で、正面視で略縦長矩形状の取付片部と、側面視でやや後傾した略縦長台形の薄い板状の支持脚片部と取付片部と支持脚片部から切り開いて後方に折り倒した舌片部から成るものであって、取付片部から支持脚片部に亘る縦方向の半ばに舌片部の切り抜き部が認められ、その下に折り倒した内方上角部が大きく丸みを帯びた舌片部及び取付片部と一体の下方を斜状に切り開いた基台部も認められ、取付片部と支持脚片部の稜部が舌片部の切り抜き部の上方内側に僅かに突出した小V字状突起部も認められるが、舌片部の細部の態様は不明であって、すべて斜め方向からの図版で現されたものであるから、全体及び各部の縦横比率は、正確には計測できない。

3 本願意匠の創作容易
引用意匠1ないし引用意匠3に基づいて、「カード立て」の物品分野において当業者が本願意匠を容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
(1)本願意匠の創作容易性の判断
まず、引用意匠1ないし引用意匠3の形態は、それぞれ前記2のとおりであるが、本願意匠の前記1の(ア)は基本的構成態様に関わるところであり、「カード立て」の物品分野においてはごく普通に見受けられる形状であって、全体がほぼ透明であり、上方を除く左右及び下辺を正面側に鉤状に折り曲げてカード差込用案内枠とした本体部の態様は引用意匠2に見受けられ、本体部の背面の一部を切り開いて本体部を支持する支持脚片部及び舌片部を形成した態様は引用意匠1に見受けられる。
次に、前記1の(イ)の形態については、本体部の上辺の縦方向半ばに略半円状の切り欠き部を設けたものは引用意匠2に見受けられ、正面視の縦横比率が約10:7.5である形態は、前記2のとおり、縦横比率の不明である引用意匠1、引用意匠2及び「紙製支持脚」のみである引用意匠3のいずれにも表されていない。
また、前記1の(ウ)本体部に対する支持脚片部の位置及び割合と、逆略縦長5角形の薄い板状である形状は、引用意匠1ないし3のいずれにも表されていない。そして、前記1の(エ)については、切り抜き部の態様について、切り抜き部後方内縁半ばに線状に刻み部のあるものは引用意匠1に認められ、舌片部の切り抜き部の上方内側に僅かに突出した小V字状突起部も引用意匠3に認められ、舌片部の切り抜き部の形態が舌片部の形態を表すとしても、本体部の背面の左右端より内方に約11分の1のやや下寄りの位置から支持脚片部の横方向半ばやや下寄りに亘って設けられ、内方の下角部に小くさび状突起のある略横長矩形の薄い板状で、内方から約3分の2の位置の上方外縁に小V字状刻み部を設けた舌片部の態様は、引用意匠1ないし3のいずれにも表されていない。
したがって、本願意匠の形態のうち前記1の(イ)ないし(エ)の形態について、引用意匠1ないし引用意匠3に表されているとはいえないから、引用意匠1ないし引用意匠3をほとんどそのまま表して本願意匠が創作できたということはできない。また、引用意匠1ないし引用意匠3に基づいて、「カード立て」の物品分野において、周知の創作手法から容易に本願意匠が創作できたかについても、たとえ、引用意匠1に基づいて、引用意匠2に見受けられる様に全体をほぼ透明なものとし、差込用案内枠を左右及び下辺を正面側に鉤状に折り曲げたものとし、上辺の半ばに略半円状の切り欠き部を設けたものとして、支持脚片部、切り抜き部及び舌片部の形状を引用意匠3のものとし、また、本体部の縦横比率と本体部に対する支持脚片部割合及び舌片部の縦横比率と刻み部の配置などに多少の変更を加えるなどしても、特に、本願意匠の舌片部の下辺の内方先端に小くさび状突起部を設けた形態及び支持脚片部が逆略縦長5角形の薄い板状である形態は、引用意匠1ないし引用意匠3には、認められず、逆略縦長5角形の薄い板状の支持脚片部も舌片部に小くさび状突起部も存在しない上記意匠に基づいて、ありふれた手法による改変などを施しても、本願意匠の形態に容易に想到することができたということはできない。
であるから、引用意匠1ないし引用意匠3に基づいて、周知の創作手法を用いて僅かに改変するなどして、当業者であれば、本願意匠が容易に創作できたということはできない。
(2)小括
そうすると、本願意匠の形態のうち前記1の(イ)ないし(エ)の形態について、引用意匠1ないし引用意匠3に表されているとはいえず、前記1の(ウ)及び(エ)の形態とすることが、「カード立て」の物品分野において、本願意匠出願前にありふれた手法であったとはいい難いので、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠に基づいて「当該物品分野において周知の創作手法」によって創作することができたということはできない。
したがって、本願意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-03-29 
出願番号 意願2017-9507(D2017-9507) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 下村 圭子 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 渡邉 久美
宮田 莊平
登録日 2019-04-19 
登録番号 意匠登録第1631918号(D1631918) 
代理人 西 博幸 
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