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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B1
管理番号 1351479 
審判番号 不服2018-12744
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-25 
確定日 2019-04-09 
意匠に係る物品 母乳パッド 
事件の表示 意願2017- 17247「母乳パッド」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,2017年8月9日の意匠登録出願であって,平成30年5月2日付けの拒絶理由の通知に対し,平成30年6月18日に意見書が提出されたが,平成30年6月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成30年9月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「母乳パッド」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様又は色彩の結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「緑色に着色された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には、以下のとおりである。

「本願の意匠に係る物品は母乳パッドに係るものであり、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、使用時に衣類と接する側となる、母乳パッド正面側の粘着部分と認められますが、本願意匠が属する体液吸収用の物品分野においては、使用時に衣類と接する側に、ずれ防止のための帯状粘着部を平行に複数条設けることは、例えば下記文献1及び同2に見られるように、本願出願前から広く知られている手法です。
本願意匠は、この帯状粘着部を母乳パッドの正面に5本平行に配し、当該粘着部位を衣類にフィットするよう僅かに膨らませた程度に過ぎませんので、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。

引用文献1(当審注:引用意匠1という。別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2006-340982
【発明の名称】個装吸収性物品
【図2】に表された生理用ナプキン1の本体ズレ止め粘着剤層(符号7)

引用文献2 (当審注:引用意匠2という。別紙第3参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2012-050597
【発明の名称】失禁用ライナー
【図2】に表された、段落【0013】で説明されている互いに平行に伸びる帯状接着剤(符号9)」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「母乳パッド」であり,願書の意匠に係る物品の説明の欄には,「本物品は、母乳漏れ防止用の母乳パッドであり、参考図に示すように、トップ面に5個の粘着部を備え、開いた状態で女性のブラジャー等の衣料に粘着部を粘着させることによって衣料に取り付けられる。」と記載されている。

(2)本願部分の用途及び機能,並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分は,漏れた母乳を吸収・保持する母乳パッドを衣料に固着させるために用いられる部分であり,母乳パッドを使用の初めに衣料に付け、使用の終わりには衣料から取り外すことを前提に,使用時に衣料に粘着することを主たる機能とする部分である。また,開いた状態で略舟形状をなす母乳パッドの中央の位置に左右方向中央における長さの約2/5,上下方向中央における長さの約11/14の大きさで配されたものである。

(3)本願部分の形態
ア 全体の基本的構成態様は,正面視にて横長略長方形状とし,側面視にて衣料方向に向けて厚みをなす縦長略長方形状とする固着本体の基部(以下「固着本体基部」という。)と,固着本体基部上に横長テープ状の粘着剤部(以下「テープ状粘着剤部」という。)を5本平行して配した粘着部(以下「粘着部」という。)によって構成されている。
イ 固着本体基部は,正面視にて横長略長方形状の縦と横の比率を約3:7とし,側面視にて縦長略長方形状の縦と横の比率を約9:1としている。
ウ テープ状粘着剤部は、正面視にて横長テープ状の縦と横の比率を約1:25としている。
エ 粘着部は,固着本体基部の上下端及び左右端にそれぞれ均等に隙間を残して配されており,固着本体基部に対して水平に配された5本のテープ状粘着剤部によって形成される4つの間隙の幅も略均等としている。

2 引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された,引用意匠1及び引用意匠2の意匠に係る物品及び形態は,以下のとおりである。

(1)引用意匠1
引用意匠1の意匠に係る物品は,「個装吸収性物品」であり,当該物品は,生理用ナプキンとして使用される。
引用意匠1のテープ状粘着剤部は,生理用ナプキンの使用時に身体に対して前後をなす方向を左右方向として本願意匠の方向に揃えると,正面視にて横長テープ状の縦と横の比率を約4.5:92とするものと,約3.5:92とするもの(以下「細幅テープ状粘着剤部」という。)がある。
また、引用意匠1の粘着部は,生理用ナプキンの使用時に身体に対して前後をなす方向を上下方向とすると、生理用ナプキン下辺に対して垂直に配された2本のテープ状粘着剤部とその間に設けられた1本の細幅テープ状粘着剤部の3本によって構成され,該3本によって形成される2つの間隙の幅を略均等とするものであり、個装吸収性物品における,粘着部の用途及び機能,並びに位置、大きさ及び範囲については,経血を吸収・保持する生理用ナプキンを衣料に固着させるために用いられる部分であり,生理用ナプキンを使用の初めに衣料に付け、使用の終わりには衣料から取り外すことを前提に,使用時に衣料に粘着することを主たる機能とする部分である。また,開いた状態で左右辺中央に羽部を有する略楕円形状をなす生理用ナプキンの中央の位置に左右方向中央の長さの約3/4,上下方向中央の長さの約1/4の大きさで配されたものである。
なお,固着本体基部は確認できない。

(2)引用意匠2
引用意匠2の意匠に係る物品は,「失禁用ライナー」である。
引用意匠2のテープ状粘着剤部は,段落【0013】の記載に基づき【図2】及び【図4】を参照したうえで,失禁ライナーの使用時に身体に対して前後をなす方向を左右方向として本願意匠の方向に揃えると,正面視にて横長テープ状の縦と横の比率を約4:95としている。
また,引用意匠2の粘着部は,失禁用ライナーの使用時に身体に対して前後をなす方向を上下方向とすると,失禁用ライナー下辺に対して垂直に配された6本のテープ状粘着剤部によって構成され、該6本によって形成される5つの間隙について,外側に配される2つの間隙を、内側に配される3つの間隙よりも僅かに幅広のものとし,失禁用ライナーにおける,粘着部の用途及び機能,並びに位置、大きさ及び範囲については,尿を吸収・保持する失禁用ライナーを衣料に固着させるために用いられる部分であり,失禁用ライナーを使用の初めに衣料に付け、使用の終わりには衣料から取り外すことを前提に,使用時に衣料に粘着することを主たる機能とする部分である。また,開いた状態で左右辺中央に羽部を有する略楕円形状をなす生理用ナプキンの中央の位置に左右方向中央の長さの約3/4,上下方向中央の長さの約1/3の大きさで配されたものである。
なお,固着本体基部は確認できない。

3 本願意匠の創作容易性について
本願意匠の意匠に係る物品は,「母乳パッド」であって,乳房と衣料の間に配されて該衣料に固着し,漏れた母乳を吸収・保持するものであるから,本願意匠の創作容易性の判断を行う当業者は,当該物品の属する,乳幼児及びその養育を行う父母を対象とした育児用製品の分野について通常の知識を有する育児用品製造業者ということができる。
この乳幼児及びその養育を行う父母を対象とした育児用製品の分野についての通常の知識を有する当業者が行う意匠の創作という観点から,本願意匠の創作容易性について考察すると,テープ状粘着剤部を横長テープ状とする形態は、引用意匠1及び引用意匠2に見られるように公然知られており、また、複数のテープ状粘着剤部を一定の間隔をあけて同方向に配して粘着部とした形態も、引用意匠1及び引用意匠2に見られるように公然知られているが、当該分野と、引用意匠1の意匠に係る物品である生理用ナプキンとして使用される「個装吸収性物品」の属する分野、そして、引用意匠2の意匠に係る物品である「失禁用ライナー」の属する分野とは、その使用者や当該物品が使用される身体部分やそこで吸収・保持する体液の種類や性質が異なることから共通性や関連性は低く、本願意匠を作出する契機となり得るものではなく、さらに、本願意匠には、引用意匠1及び引用意匠2にはない固着本体基部が設けられており、この固着本体基部は、前方に膨出した丸みのある乳房の形状にそって、衣料と本願部分の粘着部との接着面を多くするため配されたものであり、使用状態における本願物品及び固着本体基部の左右方向水平状に配された粘着部の形態とあいまって、本願の出願前には見られない形態であるから、当業者が容易に想到することができたものということはできない。
そうすると、本願意匠は、ありふれた手法を用いて僅かに改変した程度のものとはいえないから、本願意匠は、当業者が公然知られた形状に基づいて容易に創作することができたものではない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において,更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
別掲
審決日 2019-03-28 
出願番号 意願2017-17247(D2017-17247) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 富永 亘 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
木本 直美
登録日 2019-05-17 
登録番号 意匠登録第1633725号(D1633725) 
代理人 特許業務法人矢野内外国特許事務所 
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