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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 D3
管理番号 1351483 
審判番号 不服2018-16868
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-19 
確定日 2019-04-23 
意匠に係る物品 天井埋込み灯 
事件の表示 意願2018- 2966「天井埋込み灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成30年 2月14日 :意匠登録出願
平成30年 5月25日付け:拒絶理由の通知
平成30年 6月22日 :意見書の提出
平成30年 7月 4日付け:意匠法第9条第4項の規定に基づく指令書の送付
平成30年 7月 4日付け:拒絶理由の通知
平成30年 8月 1日 :意見書の提出
平成30年10月18日付け:拒絶査定
平成30年12月19日 :審判請求


第2 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,意願2018-2964(意匠登録第1610378号)の意匠を本意匠とした関連意匠について意匠登録を受けようとする出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「天井埋込み灯」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願部分」という。)を実線で,それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。


第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,意匠登録出願人が平成30年7月4日付けの協議指令に添う届出をしなかったため,意匠法第9条第5項の規定により協議が成立しなかったものとみなされ,結果,本願意匠は意匠法第9条第2項後段の規定により,本件意匠登録出願人が本願意匠について意匠登録を受けることができないとしたものである。なお,同指令書において本願意匠と類似する意匠として同日に出願された意願2018-2965の意匠が挙げられ,かつ,願書記載の本意匠とは類似していないと判断されている(本意匠については別紙第2参照)。

第4 当審の判断
原審は,本願の願書に記載の本意匠とは類似していないとし,その上で,本願意匠と意願2018-2965の意匠のうち,一の出願の意匠を定める協議が成立しなかったものとして,意匠法第9条第2項後段の規定により本願意匠について意匠登録を受けることができないと判断している。
意匠法第10条第1項の規定によれば,同法同条同項に規定されている要件事実を満たせば,同法第9条第2項の規定にかかわらず,本願意匠について意匠登録を受けることができるとされている。そこで,当審では,本願意匠が同法第10条第1項の規定に該当するかについて検討し,その上で,原査定における拒絶の理由が成立するかを検討する。

1 本意匠
本意匠に係る出願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,本願と同日の平成30年(2018年)2月14日の意匠登録出願であって,同年7月13日に意匠権の設定の登録がなされて,同年8月6日に意匠公報が発行されている。この本意匠(以下,「本願意匠」とあわせて「両意匠」という。)は,意匠に係る物品を「天井埋込み灯」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本意匠部分」といい,「本願部分」とあわせて「両部分」という。)を実線で,それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第2参照)。

2 本願意匠と本意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「天井埋込み灯」であり,本意匠の意匠に係る物品も「天井埋込み灯」であるから,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途は,共に,天井に設置して照明として用いることであり,具体的には,2つの取り付けバネ部によって本体部とフランジ部を天井板裏面に固定し,フランジ部中央の孔から本体部正面のレンズ部を露出させる。そして,両部分は,そのレンズ部を発光させる機能を持つ。
両部分の位置,大きさ及び範囲は,背面及び背面寄りの周側面を除いた部分である。
(3)両部分の形態
両部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
ア 共通点
両部分の形態には,以下の共通点が認められる。
(A)全体が,正面,背面及び平面から見て左右対称で,略円筒状である本体部の両側面に取り付けバネ部を各々設け,本体部の正面にドーナツ板状のフランジ部を嵌合させ,フランジ部正面中央の円形孔からレンズ部が正面に突出している。
(B)本体部
略円筒状である本体部の周側面の左側と右側を削いだような平坦面とし,その面(以下「本体平坦面」という。)について,側面から見た本体平坦面の縦の長さは本体部の半径と同じ程度であり,縦横比は約3:4となっている。
(C)取り付けバネ部
長さを本体部の奥行きの2倍弱とし,幅を本体平坦面の高さ幅の約半分とする帯状のものであって,右側の取り付けバネ部は,平面から見て,「へ」字状とし,その右縁を直角に曲げ,その左縁を軽く折り曲げ本体平坦面の中央の正面端部寄りに嵌合させ,「へ」字状がやや本体部寄りに傾いて右上方向に延び,取り付けバネ部の左右の全体として,鳥の翼のようなかたちをなしている。
(D)フランジ部
正面から見て,外縁を正円状とし,中央に外縁の直径の約1/2の直径の正円状の孔が設けられたドーナツ板状とし,平面図,左右側面図及び内部機構を省略したA-A切断部端面拡大図から見て,フランジ部の正面側は一様に平らで,外縁端のみ,徐々に緩やかな弧状曲線をなして終端において背面方向に曲げられて直線状になり,外観上厚みをもたせ,平面視の厚みとフランジ部全体の径の比を,約1:14としている。
(E)レンズ部
正面から見て正円状で,その径をフランジ部の中央の孔とほぼ同じとし,平面から見て,薄幅の頭切円錐の上端を凸状に膨出させている。
(F)フランジ部と本体部の構成態様についての共通点
フランジ部の最大径に占める本体部の径の占める割合は,側面から見て約75%,平面から見て約70%である。
イ 差異点
一方,両部分の形態には,以下の差異点が認められる。
(a)レンズ部
(a-1)平面から見た本願部分のレンズ部の頭切円錐の周側面の立ち上がりの度合いが緩やかである。これに対して,本意匠部分の周側面
の立ち上がりは急である。
(a-2)さらに,平面及び内部機構を省略したA-A切断部端面拡大図から見た本願部分のレンズ部の膨出の程度は,レンズ部の中心において,周側フランジ部から測ったレンズ部の全高に対するレンズ部の膨出の高さの比が約3分の1である。これに対して,本意匠部分は,約2分の1であって,本願部分に比べて正面方向への膨出の程度が大きい。

3 類否判断
(1)意匠に係る物品
前記認定したとおり一致するから,両意匠の意匠に係る物品は,同一である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能は同一であり,位置,大きさ及び範囲も同一である。
(3)天井埋込み灯の意匠の類否判断
天井埋込み灯は,その本体が天井内に埋め込まれて,本体下面に嵌合されたフランジ部及びその内側のレンズ部のみが室内に居る需要者の目に触れるものではあるものの,特殊な取り付けバネ部などを有し,天井裏に本体部を手で掴んで施工する両意匠のような天井埋込み灯の需要者には,天井埋込み灯を天井に備える建物の工事を発注する建設業者(又は建築物の販売業者)や,工事を受注する施工業者も含まれると考えられる。したがって,天井埋込み灯である意匠の類否判断においては,そのような需要者も念頭において,室内側から看取できるフランジ部やレンズ部に限らず,本体部の形態と取り付けバネ部の各部の形態も含めて,これらの各項目を総合して意匠全体として形態を評価する。
(4)両部分の形態の共通点の評価
上記2(3)アで指摘したとおり,両部分は,(B)本体部,(C)取り付けバネ部,(D)フランジ部,及び(F)フランジ部と本体部の構成態様,について共通している。
すなわち,共通点(B)で述べた本体平坦面として本体部の周側面の左側と右側を削いだような平坦面とした全体の形態,(C)で述べた特定の形態を有する取り付けバネ部が本体部の特定の位置に嵌合された本体部と取り付けバネ部の全体の形態,共通点(F)で述べたフランジ部の径に対する本体部の比を,側面から見て約75%,平面から見て約70%とする構成態様,特に,厚みのあるフランジ部の外縁端について,徐々に緩やかな弧状曲線をなして終端において背面方向に曲げられて直線状になって外観上厚みをもたせる形態の全てを有する意匠は,本願の出願日前及び出願日が本願と同日である本意匠の出願日前に天井埋込み灯の物品分野において公然知られているとはいい難く,天井埋込み灯の需要者は,これらの形態の特徴を共に有する両部分の形態の共通点から確たる美感を抱くこととなるので,共通点(B)ないし(D)及び共通点(F)の組み合わせは,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすということができる。
他方,全体の構成に係る共通点(A)及びレンズ部の形態についての共通点(E)については,本願の出願前に天井埋込み灯の物品分野においてありふれた態様であるというべきであり,天井埋込み灯の需要者はこれらの共通点に注意を払うとはいい難いので,共通点(A)及び共通点(E)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいというほかない。
したがって,上記(A)ないし(F)の共通点を総合すると,(A)及び(E)の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,(B)ないし(D)及び(F)の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響が大きいことから,形態の共通点は,総じて両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められる。
(5)両部分の形態の差異点の評価
これに対して,前記認定したレンズ部に係る差異点(a)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,以下のとおり評価される。
すなわち,(a-1)周側面の立ち上がりの度合いが緩やかか否か,(a-2)平面から見た本願部分のレンズ部の膨出の程度については,この種物品の分野において,(a-1)周側面の立ち上がりを緩やかとするものも急とするものも,(a-2)平面から見たレンズ部の膨出の程度を大きくするものも小さくするものも,普通に存在し,本願部分についても本意匠部分についても,この種物品分野において,すでにみられるエッジ,急な立ち上がりをみせる周側面,平面から見たレンズ部の大きな膨出,を適宜変更した程度に過ぎないといえ,それらの差異点が両部分の類否判断に大きな影響を与えるものとはいえない。
本願部分の,(a-1)周側面の立ち上がりの度合いが緩やかであり,(a-2)平面から見た本願部分のレンズ部の膨出の程度が,レンズ部の中心において,周側面の高さに対するレンズ部の膨出の高さの比が約2分の1であって,正面方向への膨出の程度が大きい形態については,例えば,参考意匠1:平成30年2月5日発行の特許庁意匠公報第1596437号の意匠(別紙第3参照)において本願の出願前に既に見受けられ,また,引用部分の,(a-1)周側面の立ち上がりの度合いが急である形態については,例えば,参考意匠2:平成28年2月1日発行の特許庁意匠公報第1542601号の意匠(別紙第4参照)において本願の出願前に既に見受けられる。
(6)総合判断
以上のとおり,両部分の形態の共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は総じて大きいのに対して,両部分の形態の差異点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さく,形態の共通点を圧して,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすほどのものとはいい難い。
(7)小括
したがって,両意匠の意匠に係る物品は同一であり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲も共通しており,両部分の形態についても,共通点は差異点を圧して両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすので,本願意匠は本意匠に類似する。

4 本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するか否かについて
本意匠は,本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから,意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。
また,本願意匠の意匠登録出願の日は,本意匠の意匠登録出願の日と同日であって本意匠の意匠公報の発行の日前であるから,意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。
そして,上述のとおり,本願意匠は本意匠に類似するものと認められるので,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定されている,本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たしている。
したがって,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当する。

5 原査定における拒絶の理由が成立するか否かについて
前記4のとおり,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当するので,同法第9条第2項の規定にかかわらず,意匠登録を受けることができる。
したがって,原査定における拒絶の理由は成立しない。


第5 むすび
以上のとおりであって,原査定における拒絶の理由は成り立たない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
したがって,本願意匠は,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができる。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-04-08 
出願番号 意願2018-2966(D2018-2966) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (D3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 宮田 莊平
渡邉 久美
登録日 2019-05-10 
登録番号 意匠登録第1633307号(D1633307) 
代理人 村上 加奈子 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 松井 重明 
代理人 松井 重明 
代理人 村上 加奈子 
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