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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 D3
管理番号 1351487 
審判番号 不服2018-13471
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-10 
確定日 2019-05-21 
意匠に係る物品 直付け灯 
事件の表示 意願2017- 27108「直付け灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)12月5日の意匠登録出願であって、平成30年5月25日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年6月22日に意見書が提出されたが、平成30年8月21日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年10月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠の出願番号を意願2017-27107(意匠登録第1613017号)とする関連意匠の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「直付け灯」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で、それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであり、拒絶理由通知書には、以下の理由が記載されている。

「本願意匠と願書に記載した本意匠には、主に添付図面において、『内部機構を省略した状態のA-A部分B-B切断部端面拡大図』に見られるように、本願は左側が曲面であるところ、願書に記載した本意匠は曲面が存在しないといった差違が認められ、部分意匠の意匠登録出願においては、これは類否判断に大きく影響するものですので、本願の意匠は、願書の記載の本意匠番号の意匠に類似するものとは認められません。」

第4 本意匠
本意匠に係る出願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、本願の出願日と同日の平成29年12月5日の意匠登録出願(意願2017-27107)であって、平成30年8月17日に意匠登録の設定(意匠登録第1613017号)がなされ、平成30年9月10日に意匠公報が発行されたものであり、その意匠は、意匠に係る物品を「直付け灯」とし、その形態を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本意匠部分」という。)を、「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で、それ以外の部分を破線で表している。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第2参照)。

第5 当審の判断
1.意匠の認定
(1)本願意匠
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「直付け灯」である。

イ 本願部分の用途及び機能
本願部分のドーム状突出部について、「意匠に係る物品の説明」にはその用途及び機能の説明がみられないが、「内部機構を省略した状態のA-A部分B-B切断部断面拡大図」では、当該部分は厚みのあるカバーとして表されている。これら願書及び図面の記載から、この種物品分野の通常の知識に基づき判断すると、当該部分は照明部の透明カバーと認められる。したがって、本願部分は、直付け灯における照明部用透明カバー及び筐体の前面部分として用いられるものであり、照明部を保護し光を拡散させる照明部用透明カバー及び内部機構を保護する等の筐体の機能を持つものである。

ウ 本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、直付け灯の正面視右方端部の一段下がった部分(段差部)の上面に位置し、照明部用透明カバー部(以下「カバー部」という。)とその周囲の筐体表面から成り、段差を構成する傾斜面の一部を含む大きさ及び範囲とするものである。

エ 本願部分の形態
(ア)本願部分の全体の態様は、直付け灯における、カバー部及び傾斜面の一部を含むカバー部周辺の筐体表面から構成され、

(イ)カバー部の形態は、正面視正円とし、筐体からドーム状に突出して設けており、

(ウ)カバー部周囲の筐体表面の形態は、平坦面状で、

(エ)段差を構成する傾斜面の形態は、カバー部周囲の筐体平坦面左端から断面視凹曲面状に傾斜して形成したものであり、カバー部周囲の筐体平坦面からなめらかにつながり、

(オ)カバー部の直径と、カバー部が筐体から突出する高さ、段差の比は、5.5:1:3である。

(2)本意匠
ア 意匠に係る物品
本意匠の意匠に係る物品は、「直付け灯」である。

イ 本意匠部分の用途及び機能
本意匠部分のドーム状突出部について、「意匠に係る物品の説明」にはその用途及び機能の説明がみられないが、「内部機構を省略した状態のA-A部分B-B切断部断面拡大図」では、当該部分は厚みのあるカバーとして表されている。これら願書及び図面の記載から、この種物品分野の通常の知識に基づき判断すると、当該部分は照明部の透明カバーと認められる。したがって、本意匠部分は、直付け灯における照明部用透明カバー及び筐体の前面部分として用いられるものであり、照明部を保護し光を拡散させる照明部用透明カバー及び内部機構を保護する等の筐体の機能を持つものである。

ウ 本意匠部分の位置、大きさ及び範囲
本意匠部分は、直付け灯の正面視右方端部の一段下がった部分(段差部)の上面に位置し、カバー部とその周囲の筐体表面から成り、段差を構成する傾斜面の一部を含む大きさ及び範囲とするものである。

エ 本意匠部分の形態
(ア)本意匠部分の全体の態様は、直付け灯における、カバー部及び傾斜面の一部を含むカバー部周辺の筐体表面から構成され、

(イ)カバー部の形態は、正面視正円とし、筐体からドーム状に突出して設けており、

(ウ)カバー部周囲の筐体表面の形態は、平坦面状で、

(エ)段差を構成する傾斜面の形態は、カバー部周囲の筐体平坦面左端から断面視直線状に傾斜して形成したものであり、カバー部周囲の筐体平坦面の直線と傾斜面の直線とが鈍角をなし屈曲した形状で、

(オ)カバー部の直径と、照明部用透明カバーが筐体から突出する高さ、段差の比は、5.5:1:3である。

2.対比
(1)意匠に係る物品の対比
両意匠の意匠に係る物品は、いずれも「直付け灯」であるから、用途及び機能が一致する。

(2)本願部分と本意匠部分の用途及び機能の対比
本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)は、いずれも、直付け灯における照明部用透明カバー及び筐体の前面部分として用いられるものであり、照明部を保護し光を拡散させる照明部用透明カバー及び内部機構を保護する等の筐体の機能を持つものであるから、両部分の用途及び機能が一致する。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも直付け灯の正面視右方端部の一段下がった部分(段差部)の上面に位置し、カバー部とその周囲の筐体表面から成り、段差を構成する傾斜面の一部を含む大きさ及び範囲とするものであることから、両部分の位置、大きさ及び範囲は一致する。

(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 両部分の形態の共通点
(共通点1)両部分は、全体の態様が、直付け灯における、カバー部及び傾斜面の一部を含むカバー部周辺の筐体表面から構成されている点で共通する。

(共通点2)両部分は、カバー部の形態が、正面視正円とし、筐体からドーム状に突出して設けている点で共通する。

(共通点3)両部分は、カバー部周囲の筐体表面の形態が、平坦面状である点で共通する。

(共通点4)両部分は、段差を構成する傾斜面の形態が、カバー部周囲の筐体平坦面左端から傾斜して形成したものである点で共通する。

(共通点5)両部分は、カバー部の直径と、カバー部が筐体から突出する高さ、段差の比が、5.5:1:3である点で共通する。

イ 両部分の形態の相違点
(相違点1)本願部分の段差を構成する傾斜面の形態は断面視凹曲面状でカバー部周囲の筐体平坦面からなめらかにつながるのに対し、本意匠部分の段差を構成する傾斜面の形態は断面視直線状で、カバー部周囲の筐体平坦面の直線と傾斜面の直線とが鈍角をなし屈曲する点で、両部分は相違する。

3.類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するから、同一である。

(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。

(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価
ア 両部分の形態の共通点
両部分は、(共通点1)の部分全体の態様について共通し、(共通点2)のカバー部の形態及び(共通点3)のカバー部周囲の筐体表面の形態、(共通点4)の段差を構成する傾斜面の形態についても共通しており、これら共通点は両部分の大部分を占めることから、両部分は、意匠の基調において共通しているものである。加えて、カバー部の直径と、カバー部が筐体から突出する高さ、段差の比が共通している点(共通点5)は、部分全体の態様及びカバー部の形態の共通感を高めているとともに、両部分のカバー部が直付け灯の正面部から一段下がって設けられている点の共通感も高めている。したがって、これらの共通点が部分意匠全体の美感に与える影響は大きいものである。

イ 両部分の形態の相違点
(相違点1)の段差を構成する傾斜面の形態が断面視凹曲面状か直線状かの相違については、両部分の段差部を構成する傾斜面が、カバー部周囲の筐体平坦面左端から傾斜して形成したものである点で共通する中の具体的な面形状の相違に過ぎない。両部分において局所的である傾斜面の面形状の相違から生じる印象差は僅かで、両部分がいずれも傾斜面を有し両部分全体として段差状を呈することにより需要者が受ける強い共通の印象に埋没する程度のものである。そうすると、この(相違点1)が部分意匠全体の美感に与える影響は小さいものである。

(5)両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点についての個別評価に基づき、部分意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合、両部分は、部分全体の態様に加え、カバー部及びその周囲の筐体表面の形態、段差を構成する傾斜面の形態における美感が共通するものであり、段差を構成する傾斜面の具体的な面形状の相違を考慮しても、両部分を全体として観察した際には共通する美感を起こさせるものといえる。

したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲も同一であって、両部分の形態においても、相違点の与える印象は共通点のそれに埋没し、両部分全体として需要者に共通する美感を起こさせるものであるから、本願意匠は本意匠に類似するものと認められる。

4 小括
上記のとおり、本願意匠は本意匠に類似するものであり、本意匠の意匠権者と本願意匠の出願人とは同一の者であるから、本意匠は出願人の自己の登録意匠であると認められ、かつ、本願意匠の意匠登録出願の日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって、その本意匠の意匠公報の発行の日前であるので、意匠法第10条第1項の要件を満たしているものである。また、本意匠の意匠権について専用実施権が設定されておらず、意匠法第10条第2項に規定に該当しない。

よって、本願意匠は、意願2017-27107(意匠登録第1613017号)の意匠を本意匠とする関連意匠として意匠登録を受けることができるものである。

第6 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、本意匠に類似し、意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから、原査定の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。


審決日 2019-05-08 
出願番号 意願2017-27108(D2017-27108) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (D3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 木村 智加
江塚 尚弘
登録日 2019-05-31 
登録番号 意匠登録第1634930号(D1634930) 
代理人 松井 重明 
代理人 村上 加奈子 
代理人 村上 加奈子 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 松井 重明 
代理人 倉谷 泰孝 
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