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審決分類 審判    F5
審判    F5
管理番号 1351491 
審判番号 無効2017-880012
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-12-26 
確定日 2019-05-09 
意匠に係る物品 カタログケース 
事件の表示 上記当事者間の意匠登録第1591305号「カタログケース」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件意匠登録第1591305号の意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、平成29年(2017年)2月20日に意匠登録出願(意願2017-3280)されたものであって、審査を経て平成29年10月27日に意匠権の設定の登録がなされ、平成29年11月20日に意匠公報が発行されたものである。
その後、当審において、概要、以下の手続を経たものである。
平成29年12月26日付け:審判請求書の提出
平成30年 3月13日付け:審判事件答弁書の提出
平成30年 7月11日付け:無効審判弁駁書の提出
平成30年 8月21日付け:審理事項通知書の送付
平成30年 9月21日付け:口頭審理陳述要領書の提出(被請求人)
平成30年 9月27日付け:口頭審理陳述要領書の提出(請求人)
平成30年10月25日 :口頭審理

第2 請求人の申し立て及び理由
1 審判請求書
請求人は、審判請求書を提出し、「登録第1591305号意匠の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由として以下のように主張するとともに、その主張事実を立証するため、証拠方法として甲第1号証から甲第4号証の書証を提出した。
(1)請求の理由
ア 手続の経緯
出 願 平成29年 2月20日
登 録 平成29年10月27日

イ 意匠登録無効の理由の要点
(ア)本件登録意匠は、甲第1号証?甲第4号証の意匠とそれぞれ類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。
(イ)仮に、本件登録意匠が(ア)の理由に該当しないものであるとしても、本件登録意匠は、甲第1号証?甲第4号証の意匠に基づいて、いわゆる当業者が容易に創作し得たものであるから、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。

ウ 本件意匠登録を無効とすべき理由
(ア)本件登録意匠の説明(要旨等)
本件登録意匠の意匠に係る物品は、カタログケースである。
本件登録意匠は、次の要旨をなす。
a)全体が透明であり、板状の背面板に、上下左右に余白を設けて角を丸めた平たい直方体状の本体部を設けた全体形状をなしている。
b)背面板の上部余白には、中央付近に丸穴が横並びに3つ、その左右に矩形凸部がそれぞれ2つずつ横並びに形成されている。背面板の下部余白には丸穴が横並びに3つ、上部と対応する位置に形成されている。
c)背面板のうち本体部に覆われる部分は、次の形状となっている。
下側約2/3には、横方向に細長く伸びた凹凸が一定間隔で17本形成されている。また、その上側には左右に縦長の小判状形状の孔が形成されている。また、上側から1/6の位置に左右に伸びるやや幅広い(本体部側から見て)凸部が形成されている。
d)本体部は正面から見た時に四隅の角を丸めた形状となっており、上側約1/3の部分には、チラシを入れるための矩形状の開口が形成されている。その下側には、本体部の幅に対して左右に均等に余白を設けて角を丸めた矩形状の外枠と、その外枠内に角を丸めた矩形状の内枠が上下に並べて2つ配置されている。外枠の内部は本体部の表面より凹んでおり、内枠の内部は、外枠から正面側にやや凸となっている。
e)本体部の上側には、上辺を軸として開閉する蓋が形成されている。蓋は、正面から見て矩形を基調としながら、上側が本体部と同等の幅、下側1/3ほどがやや幅狭、本体部の上下方向の1/3程度の長さの形状であり、中央に矩形状態に凹んだ窓部が形成されている。また蓋の周囲には最大幅が背面板と同じ幅となるよう薄板状のフランジが形成されている。
(イ)甲第1号証について
a 甲第1号証の意匠の説明(要旨等)
甲第1号証は、Amazon.co.jpのウェブページの写しであり、インフォパックA4なる製品の形状を掲載している。そして、同ウェブページ下部の登録情報欄において「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」として「2010/11/27」と記載されている。したがって、甲第1号証は、本件登録意匠の出願日よりも前にインフォパックA4なる製品が販売され、これによって当該製品の意匠が公知となっていたことを示している。
甲第1号証の意匠(以下「甲1意匠」という。)は、次の要旨をなす。
a)全体が透明であり、板状の背面板に、上下左右に余白を設けて角を丸めた平たい直方体状の本体部を設けた全体形状をなしている。
b)背面板の上部余白には、中央付近に丸穴が横並びに3つ、その左右に矩形凸部がそれぞれ2つずつ横並びに形成されている。背面板の下部余白には丸穴が横並びに3つ、上部と対応する位置に形成されている。
C)背面板のうち本体部に覆われる部分は、次の形状となっている。
下側約2/3には、横方向に細長く伸びた凹凸が一定間隔で8本形成されている。最下段には、幅の短い凹凸が2本左右に並べて形成されている。また、8本の凹凸の上側には左右に縦長の小判状形状の孔が形成されている。小判状形状の孔の間には、上述の凹凸よりも短い凹凸が横方向に一定間隔で2本形成されている。また、上側から1/6の位置に左右に伸びるやや幅広い(本体部側から見て)凸部が形成されている。この凸部の上側には、最下段と同じ凹凸が2本左右に並べて形成されている。
D)本体部は正面から見た時に四隅の角を丸めた形状となっており、上側約1/3の部分には、チラシを入れるための矩形状の開口が形成されている。その下側には、本体部の横幅よりも若干狭い幅で、矩形状の左右の辺を半円に置換した形状の凸部である小窓が上下に3つ配置されている。小窓の上下方向の長さと隣接する小窓の間隔はほぼ同等である。
e)本体部の上側には、上辺を軸として開閉する蓋が形成されている。蓋は、正面から見て矩形を基調としながら、上側が本体部と同等の幅、下側1/3ほどがやや幅狭、本体部の上下方向の1/3程度の長さの形状であり、中央に矩形状態に凸部である窓部が形成されている。また蓋の周囲には最大幅が背面板と同じ幅となるよう薄板状のフランジが形成されている。
b 本件登録意匠と甲第1号証の意匠との対比
本件登録意匠と甲1意匠の意匠に係る物品は、いずれもカタログケースであり、同一である。
本件登録意匠において述べた特徴a)、b)、c)、e)と甲1意匠の形態の特徴a)、b)、C)、e)はほぼ同一である。本件登録意匠は特徴d)において外枠内に角を丸めた矩形状の内枠が上下に並べて2つ配置されている形状となっているのに対し、甲1意匠は、D)に示したとおりカプセル形状の凸部である小窓が上下に3つ配置されている点で相違する。
このように本件登録意匠と甲1意匠とは、ほとんどが共通しており、全体として観察したときに共通の美観を与えるものである。特に、両意匠においては、蓋の形状及びそこに設けられた窓が、意匠全体に示す大きさ、及び意匠の上部という位置を考えたとき、需要者の注目を引く部分であるといえ、この部分も凹凸の差こそあれ、形状が共通していることは、両意匠について、美観がほぼ共通しているとの印象を与えるものである。
本件登録意匠の内枠と、甲1意匠の小窓の相違は、これらが両意匠を正面から見た時に蓋の次に目にとまる部分であるという点を考慮したとしても、以下に述べるとおり、両意匠の美観に与える影響は小さいものであるといえる。
第1に、本件登録意匠の内枠も、甲第1号証の意匠の小窓も、上下方向の長さは異なるものの、矩形を基調としている点で共通している。両意匠ともに全体の形状が矩形を基調としているものであるから、本体部にこのように矩形の内枠又は小窓を設けたとしても、当該部分が美観に与える影響は大きくはない。
第2に、本件登録意匠と甲1意匠とを対比する際に、いずれも全体が透明であるという点が重視されるべきである。全体が透明であることにより、本件登録意匠も甲1意匠も、美観という点では、立体的な形状が大きなウェイトを占め、細部の凹凸はほとんど美観に影響を与えない程度にしか視認されないことになるのである。このことは、甲第1号証の第3頁上部に掲載された使用状態の写真を見れば顕著である。この写真から分かるとおり、本体部に形成された内枠等の凹凸はほとんど視認できない状態となっている。
第3に、やはり全体が透明であることにより、本件登録意匠の内枠も、甲第1号証の意匠の小窓も視認しづらくなるということが挙げられる。つまり、甲第1号証の第3頁の上から2番目の写真に示されるように、甲1意匠は全体が透明であるため、小窓の部分は、背面板の凹凸と重なって視認され、小窓の形状は美観に大きな影響を与えるほど明瞭には視認されない状態となっている。本件登録意匠の正面図は、全体が不透明であるかのように描かれているため、本体部の外枠、内枠が明瞭に描かれているが、本件登録意匠も全体が透明であるから、甲第1号証の写真と同様、外枠、内枠は背面板と重なって視認され、正面図に描かれているほど明瞭には視認されるものではない。
以上の第1?第3の理由を考慮すれば、本件登録意匠の内枠と、甲1意匠の小窓の相違は、両意匠の美観に与える影響は小さいものであるといえる。
よって、本件登録意匠は、その出願前に公知となった甲1意匠に類似するものであるといえる。
c 意匠法第3条第2項について
本件登録意匠と甲1意匠との相違は、上述のとおり、本件登録意匠は特徴d)において外枠内に角を丸めた矩形状の内枠が上下に並べて2つ配置されている形状となっているのに対し、甲1意匠は、D)に示したとおりカプセル形状の凸部である小窓が上下に3つ配置されている点にある。
しかし、本件登録意匠の内枠も、甲第1号証の意匠の小窓も、矩形を基調としている点で共通しており、その上下方向の長さ、数、左右の角の丸め方を変更する程度のことは、当業者であれば容易になし得ることである。
よって、本件登録意匠は、仮に甲1意匠に類似しないと判断される場合であっても、甲1意匠に基づいて当業者が容易に創作し得たものであるといえる。
(ウ)甲第2号証について
甲第2号証は、請求人が運営するオンラインショップのウェブページの2013年10月15日時点のウェブアーカイブである。当該ウェブページには、インフォパックA4の製品の写真が掲載されている。
甲第2号証に開示されている意匠(以下「甲2意匠」という。)は、甲1意匠と同一である。よって、本件登録意匠との相違及び類否判断については、甲1意匠での主張がそのまま該当する。
よって、本件登録意匠は、その出願前に公知となった甲2意匠に類似するものであり、また、甲2意匠に基づいて当業者が容易に創作し得たものであるといえる。
(エ)甲第3号証について
甲第3号証は、Amazon.co.jpのウェブページの写しであり、インフォパックジュニアなる製品の形状を掲載している。そして、同ウェブページ下部の登録情報欄において「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」として「2010/11/27」と記載されている。したがって、甲第3号証は、本件登録意匠の出願日よりも前にインフォパックジュニアなる製品が販売され、これによって当該製品の意匠が公知となっていたことを示している。
甲第3号証に開示されている意匠(以下「甲3意匠」という。)は、甲1意匠を幅方向に若干狭めたものである。よって、本件登録意匠との相違及び類否判断については、甲1意匠での主張が、ほぼ該当する。
よって、本件登録意匠は、その出願前に公知となった甲3意匠に類似するものであり、また、甲3意匠に基づいて当業者が容易に創作し得たものであるといえる。
(オ)甲第4号証について
甲第4号証は、請求人が運営するオンラインショップのウェブページ2014年2月17日時点のウェブアーカイブである。当該ウェブページには、インフォパックジュニアの製品の写真が掲載されている。
甲第4号証に開示されている意匠(以下「甲4意匠」という。)は、甲3意匠と同一であり、甲1意匠を幅方向に若干狭めたものである。よって、本件登録意匠との相違及び類否判断については、甲1意匠での主張がそのまま該当する。
よって、本件登録意匠は、その出願前に公知となった甲4意匠に類似するものであり、また、甲4意匠に基づいて当業者が容易に創作し得たものであるといえる。

エ むすび
以上より、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号又は意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とされるべきものである。

(2)証拠方法
・甲第1号証 屋外用チラシケース「インフォパックA4」(シール貼付なし)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B004E4EBX0
・甲第2号証 屋外用チラシケース「インフォパック」/インフォパックA4(屋外用チラシケース)シール貼付けなし
https://web.archive.org/web/20131015192307/https://www.techtechcorp.com/25_26.html
・甲第3号証 屋外用チラシケース「インフォパックジュニア」(シール貼付なし)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B004E4HY48
・甲第4号証 屋外用チラシケース「インフォパック」/インフォパックジュニア(屋外用チラシケース)シール貼付けなし
https://web.archive.org/web/20140217225253/https://www.techtechcorp.com/26_23.html

2 無効審判弁駁書
また、請求人は、被請求人の答弁に対し、無効審判弁駁書(以下「弁駁書」という。)を提出し、要旨以下のように主張するとともに、その主張事実を立証するため、証拠方法として甲第5号証の書証を提出した。
(1)要部の認定について
被請求人は、本件意匠について、「本体部の前面全体」及び「本体部の後面」の形態が要部であると主張する。
しかし、審査基準によれば、意匠のいわゆる要部の判断においては、
「各共通点及び差異点における形態が、対比観察した場合に注意を引く部分か否か及びその注意を引く程度は、
・その部分が意匠全体の中で占める割合の大小
・その部分が意匠に係る物品の特性からみて、視覚的印象に大きな影響を及ぼす部分か、により認定・評価する。」
とされている。
本件意匠は、カタログケースであり、甲第1号証に示されるように、本体部分にカタログを収納して使用される。利用者は、蓋の部分を手で開け、本体部分に収納されたカタログを引き出すのである。
本件意匠の蓋部分は、正面視において全体の約1/3を占める部分であり、利用者が操作する部分でもあるから、視覚的に注意を引く部分であるといえる。ここでいう利用者は、カタログケース自体の需要者ではないものの、このようにカタログケースの利用者の注意を引く蓋部分は、本件物品の需要者にとっても重要な部分であるといえ、当該需要者にとっても注意を引く部分であるといえる。
したがって、蓋部分は、本件意匠の要部に該当する。被請求人が主張する「本体部の前面全体」及び「本体部の後面」の形態は、意匠の類否判断において無視されるべきではないが、物品の特性を考慮したとき、これらは要部に該当するとはいえない。
そして、本件意匠と甲第1号証の要部に当たる蓋部分は、正面視において同一である。
被請求人は、蓋部の前面に、本件登録意匠は「矩形状の凹部」が設けられ、甲第1号証は「矩形状の凸部」が設けられている点について、着想が逆であるとか、印象が異なる等と主張するが、凹凸の相違は、正面形状が同一であることにより美感に与える影響を払拭できるものとはいえない。
また、被請求人は、物品全体が透明である点につき、甲第1号証の意匠において本体部の前面の凹凸がほとんど視認できないからといって、それを踏まえて登録意匠の範囲を評価するのは、主客転倒した不当な主張でもある、と述べる。しかし、本件意匠の【意匠の説明】には、「全体が透明である」と記載されているのであり、願書に記載された図面とは凹凸の視認性が異なるのは当然である。そして、甲第1号証は全体が透明な物品であるから、全体が透明の場合の凹凸の視認性の具体例を示しているといえる。したがって、甲第1号証における凹凸の視認性を踏まえて、願書に表された形態の視認性を判断することは、登録意匠の範囲を解釈するに当たり何ら不当な方法とはいえない。むしろ、甲第1号証の視認性を無視し、図面に表されたとおりの視認性が実現されることを前提に登録意匠を判断せよという解釈こそ、「全体が透明である」という意匠の説明を無視した判断手法を主張しているものといえる。

(2)相違点の評価1?相違点の評価3に対する請求人の主張は、審判請求書に記載のとおりである。

(3)意匠法第3条第2項について
ア 本件意匠と公知意匠との相違点
本件意匠と甲第1号証とは、被請求人が主張する具体的構成態様の相違点b1?b4である。
相違点b1は、甲第1号証には、上下に3つの矩形状の左右の辺を半円に置換した形状の凸部が形成されているのに対し、本件意匠には本体部の前面に上下に2つ並んで矩形形状の凹部(日字状凹部)が設けられている点である。本件意匠は、甲第1号証の凸部を凹部に変え、3つを2つに減らすとともに、その形状を、よりありふれた矩形に置換したものである。
相違点b2は、蓋部の全面に設けられている正面視矩形状の窓が、甲第1号証では凸部であるのに対し、本件意匠では、凹部であるという点である。凹凸を置き換える程度は、よって相違点b2は、当業者であれば容易になし得るものである。
相違点b3は、後面において、甲第1号証は、下側約2/3に横方向に延びた凹凸が8本形成されているのに対し、本件意匠は、横長直線状の凹部を17列設けた点である。甲第1号証における凹凸の形状は、矩形状の左右の辺を半円に置換したものであり、本件意匠も同様の形状である。甲第1号証は、上下方向の幅が太いのに対し、本件意匠は細い点で異なっている。つまり、本件意匠の後面の凹部は、甲第1号証の意匠の後面の凹凸の本数をほぼ倍増させ、それに伴って必然的に上下方向の幅を細くしたものに過ぎない。よって、相違点b3は、当業者であれば容易になし得るものである。
相違点b4は、後面において、上側約1/3の部分にも、上述の8本の凹凸よりも短い凹凸が2本形成されているのに対し、上側約1/3の範囲に、略矩形状の「平面部」となっている点である。被請求人は、本件意匠においては、この平面部が左右に延びる溝部を挟んで上下に2面設けられていると述べるが、この点については、甲第1号証も、「左右に延びるやや幅広い凸部が形成されている」から同一である。したがって、本件意匠は、甲第1号証に形成されている上記2本の凹凸を省略して平面にしたに過ぎないことになる。よって、相違点b4も、当業者であれば容易になし得るものといえる。
以上より、本件意匠と甲第1号証との相違点は、いずれも当業者であれば容易になし得るものでしがないため、本件意匠は、甲第1号証に基づき創作容易であるといえる。

(4)証拠方法
・甲第5号証 サンプル品お申し込みフォーム

3 口頭審理陳述要領書
請求人は、口頭審理の審理事項通知に対し、被請求人の口頭審理陳述要領書送付後に口頭審理陳述要領書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)審判請求人の主張は、審判請求書及び弁駁書に記載したとおりである。

(2)被請求人は、陳述要領書2頁の6ア項(当審注:当審決では、第3の2(2)ア項)の第3段落において、「利用者が蓋部を操作する際、蓋部を開けると蓋部の前面は見え難くなります」と述べ、本体部の前面が蓋部よりも需要者の注意を引く程度が大きいと主張している。しかし、本件意匠に係る物品は、需要者は蓋を閉じた状態で観察するものである。蓋を開ける時は、むしろ操作のために蓋の部分しか注視しない。よって蓋を開けた上で、本件意匠を正面から観た状態で、本件意匠の要部を認定することは失当と思料する。

第3 被請求人の答弁及びその理由
1 審判事件答弁書
被請求人は、審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)を提出し、結論同旨の審決を求める旨答弁し、その主張事実を立証するため、証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証の書証を提出した。
(1)答弁の理由
ア はじめに
本答弁書では、本件登録意匠に係る物品において、正面図の紙面に対して直交する方向を前後方向、正面図の横軸方向を左右方向、正面図の縦軸方向を上下方向という。

イ 本件登録意匠と甲第1号証の意匠との対比について
(ア)基本的構成態様の共通点
本件登録意匠において、次のA1?A3については、甲第1号証の意匠にも見られる基本的構成態様である。
A1:カタログ等を収容するケースである。
A2:前面上部に開口部を有する縦長略矩形箱状の本体部と、上記開口部を前方から覆う蓋部と、本体部の外周面の後縁部から外周方向へ全周に亘って張り出すフランジ(以下「本体フランジ」という。)とで構成されている。
A3:全体が透明である。
(イ)具体的構成態様の共通点
本件登録意匠において、次のa1?a3については、甲第1号証の意匠にも見られる具体的構成態様である。
a1:蓋部の外周に、左右側縁から下縁に亘ってフランジが設けられている。
a2:本体フランジにおける本体部の上方及び下方の中央位置にそれぞれ、3つの小円孔が横並びで設けられている。
a3:本体フランジにおける本体部の上方で且つ上記小円孔の左右位置にそれぞれ、前方へ突出する横長の突起が2つ横並びで設けられている。
(ウ)具体的構成態様の相違点
本件登録意匠において、下記のb1?b2については、甲第1号証の意匠には見られない具体的構成態様である(乙第1号証参照)。
b1:本体部の前面の下側約2/3の範囲に、略矩形環状の外枠と、上記外枠の内側にて上下に並ぶ2つの略矩形環状の内枠とからなる日の字状の凹部(以下「日字状凹部」という。)が設けられている。
b2:蓋部の前面に、蓋部の外周から一定の幅を残して略矩形状の「凹面部」が設けられている。
また、甲第1号証の意匠は、後面視や側面視の形態が明瞭に表れておらず、本件登録意匠と比較可能な程度に十分に明らかになっているとはいえないが、視認可能な形態や請求人の主張から想定できる範囲に限っても、本件登録意匠における下記のb3?b4については、甲第1号証の意匠には見られない具体的構成態様であると考えられる。
b3:本体部の後面の下側約2/3の範囲に、細幅で且つ左右に一定の長さの横長直線状の凹部(以下「リブ状凹部」という。)が上下に17列設けられている。
b4:本体部の後面の上側約1/3の範囲に、略矩形状の「平面部」が、左右に延びる溝部を挟んで上下に2面設けられている。
(エ)要部の認定
請求人は、「(イ)本件登録意匠と甲第1号証の意匠との対比」において、甲第1号証の意匠の「本体部に形成された開口の下側に、本体部の横幅より若干狭い幅で、矩形状の左右の辺を半円に置換した形状の凸部が上下に3つ配置されている」点(甲第1号証の意匠の説明D))と、本件登録意匠の「本体部に形成された開口の下側に、本体部の幅に対して左右に均等に余白を設けて角を丸めた矩形状の外枠が設けられ、さらにその外枠内に、角を丸めた矩形状の内枠が上下に並べて2つ配置されている」点(本件登録意匠の説明d))とが相違していると認めた上で、それらの相違が両意匠の美観に与える影響は小さい、としている。
また、請求人は、両意匠において「蓋の形状及びそこに設けられた窓が需要者の注目を引く部分であり、この部分の形状が共通していることは、両意匠の美観がほぼ共通しているとの印象を与える」としている。
しかしながらこの種の物品は、「本体部の前面全体」が所謂物品の顔となる部分であって、商品カタログやウェブサイトに掲載された際、店頭に陳列された際、使用場所に設置された際、或いは実際に手に取って観察する際に、看者が特に注目する部分(要部)である。即ち、両意匠においては、蓋部の形態だけに限らず、開口部の下側の形態も含めた本体部の前面全体の形態が物品全体の美感に大きな影響を与えるのは明白であり、開口部の下側の形態を重視しないで両意匠の類似性を判断するのは適切ではない。
さらに、この種の物品では、本体部の前面の形態だけでなく、本体部の前面と同等の面積を有する「本体部の後面」の形態についても、実際に手に取って観察する際に看者が注目する部分(要部)であって、意匠全体の美感を決定付ける重要な構成要素の一つになり得る。したがって、本体部の後面の形態を重視しないで両意匠の類似性を判断するのも適切ではない。
(オ)本体部前面の形態の評価1
請求人は、甲第1号証の意匠の本体部の前面に設けられた3つの凸部について、「上下方向の長さは異なるものの、矩形を基調としている点で本件登録意匠の上記内枠と共通している」としている。
しかしながら「矩形」とは、長方形や正方形など4つの内角が全て等しい四辺形を意味するのであって、上下に平行な2つの辺の左右両端をそれぞれ半円弧で連続的に繋いで構成された長円形状(請求人は「カプセル形状」と称する)の上記凸部は、矩形を基調としたものとはいえない。また、上記凸部は、3つで本体部の前面の約2/3の範囲を半分近く覆う大きさに形成されており、両端が半円弧状に形成されていることも明瞭に視認できる。したがって、甲第1号証の意匠における上記3つの長円形状の凸部を「矩形基調の形状」として本件登録意匠との類似性を判断するのは適切ではない。
(カ)本体部前面の形態の評価2
請求人は、両意匠について、全体が透明であるが故に「立体的な形状が大きなウェイトを占め、細部の凹凸はほとんど美観に影響を与えない程度にしか視認されない」としている。
しかしながら意匠法上、登録意匠の範囲は、願書の記載及び図面等に表された意匠に基づいて定めなければならないとされている(意匠法第24条)。また、同法第6条第7項に基づいて願書に記載される「透明」とは、意匠に係る物品の一構成要素として「材質」を特定しているに過ぎない。したがって、本件登録意匠の要部を認定するにあたり、物品全体が透明であるからといって、本体部の前面の約2/3という比較的広い範囲に明瞭に表された凹凸(外枠及び内枠)の視認性やそれらの存在から表出する美感を低く評価するのは適切ではない。即ち、物品全体が透明であっても、看者は、物品の前面や後面の形態を認識し、それらの形態から表出する美感を十分に理解することができるものとすべきであり、本件登録意匠の本体部の前面に明瞭に表された形態の存在を矮小化して甲第1号証の意匠との類似性を判断するのは適切ではない。
しかも、上記のように登録意匠の範囲は、願書の記載や図面等に基づいて認定しなければならないところ、甲第1号証の意匠において本体部の前面の凹凸がほとんど視認できないからといって、本件登録意匠においても同様に、物品全体が透明であるが故に「本体部に形成された内枠等の凹凸がほとんど視認できない、外枠及び内枠が背面板と重なって視認され、正面図に描かれているほど明瞭には視認されない」ものとして登録意匠の範囲を評価するのは、主客転倒した不当な主張でもある。
(キ)相違点の評価1
請求人も認めるように、甲第1号証の意匠は、本体部の前面に「長円形状(カプセル形状)の凸部が上下に3つ配設された」ものであるのに対し、本件登録意匠は、本体部の前面に「矩形状の外枠内に矩形状の内枠が上下に並べて2つ配置されている形状」である点で相違している。
詳述すると、甲第1号証の意匠は、本体部の前面の下側約2/3の範囲に、蓋部の前面に設けられた矩形状の凸部や、本体部及び本体フランジの外郭形状と異なる「長円形凸部」が上下に3列で形成されたものであるのに対し、本件登録意匠は、上記b1のとおり、本体部の前面の下側約2/3の範囲に、蓋部の前面に設けられた略矩形状の凹面部や、本体部及び本体フランジの外郭形状と統一感のある略矩形状の「日字状凹部」を形成したものであって、本体部の前面全体において甲第1号証の意匠とは全く異なる着想により構成され、形態自体も明確に異なっている。
そして、本件登録意匠では、上記のように本体部の前面に、略矩形状の外粋及び2つの内枠からなる日字状凹部を設けたことで、物品全体にシャープで洗練された印象を表出させている。これに対し、甲第1号証の意匠では、本体部の前面に設けられた3つの長円形凸部が、物品全体に柔らかな印象を表出させている。しかも、甲第1号証の意匠では、上記3つの長円形凸部がそれぞれ、それら長円形凸部の上下幅と略同一の比較的広い間隔を存して並設されているため、長円形凸部個々の存在感がより強調されている。その結果、物品全体に柔らかな印象をより強く表出させている。
(ク)相違点の評価2
請求人も認めるように、甲第1号証の意匠は、蓋部の前面に「矩形状の凸部」が設けられているのに対し、本件登録意匠は、蓋部の前面に「矩形状の凹部」が設けられている点で相違している。
詳述すると、甲第1号証の意匠は、蓋部の前面に、本体部の前面に設けられた長円形凸部と統一感のない略矩形状の「凸面部」が突出形成されたものであるのに対し、本件登録意匠は、上記b2のとおり、蓋部の前面に、本体部や本体フランジの外郭形状、本体部の前面に設けられた日字状凹部と統一感のある略矩形状の「凹面部」を没入形成したものであって、本体部の前面全体において甲第1号証の意匠とは全く逆の着想により構成され、形態自体も明確に異なっている。
そして、本件登録意匠では、上記のように蓋部の前面に略矩形状の凹面部を設けたことで、物品全体によりシャープで洗練され、引き締まった印象を表出させている。これに対し、甲第1号証の意匠では、蓋部の前面に設けられた略矩形状の凸面部が、上記3つの長円形凸部の存在感をより強調し、その結果、物品全体の柔らかな印象をより強く表出させている。
なお、両意匠の蓋部の前面に設けられた矩形状部が「凸面部」であるか「凹面部」であるかの相違は、意匠全体に占める割合からすれば些細なものとも考えられるが、一般的に、立体物の美感を評価するにあたって、観察対象部が上記凹面部のように「没入した面」であるか、上記凸面部のように「突出した面」であるかの相違は、それらの周辺部の形態等と相まって、立体物全体から表出する印象を大きく異ならせる場合もあることは自明である。
(ケ)相違点の評価3
甲第1号証の意匠は、本体部の後面の上下間の略全範囲に、上記長円形凸部の約半分の上下幅で且つ長さの異なる「長円形状の凹凸」が形成されているように見受けられるが、本件登録意匠は、上記b3及びb4のとおり、本体部の後面の下側約2/3の範囲に、細幅で且つ左右に一定の長さの「リブ状凹部」を上下に17列形成し、また、本体部の後面の上側約1/3の範囲に、略矩形状の「平面部」を左右に延びる溝部を挟んで上下に2面形成したものである点においても相違していると考えられる。
そして、本件登録意匠では、上記のように本体部の後面に同一長さのリブ状凹部を複数並設したことで、物品全体によりシャープで洗練された印象を表出させている。さらに、本体部の後面下側約2/3の範囲に集約して複数のリブ状凹部を設ける一方、本体部の後面上側約1/3の範囲には上下二つの略矩形状の平面部を設けることで、本体部の後面の上下間で疎密なトーン差を生じさせ、物品全体に重厚で安定した印象も同時に表出させている。これに対し、甲第1号証の意匠では、本体部の後面の略全範囲に形成された比較的太幅で且つ長さの異なる長円形状の凹凸が、物品全体の柔らかな印象をより強く表出させている。

ウ 小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲第1号証の意匠との間には、基本的構成態様に共通点が見受けられるものの、具体的構成態様においては複数の明瞭な相違点があり、しかも意匠の要部におけるそれらの相違は、基本的構成態様の共通性を凌駕するものであって、両意匠に全く異なった美感を生じさせるものである。よって、本件登録意匠は、甲第1号証の意匠に類似するものとはいえない。

エ 意匠法第3条第2項について
意匠審査基準によれば、意匠法第3条第2項の「容易に創作することができた」意匠と認められるものの例として、
1)置換の意匠
2)寄せ集めの意匠
3)配置の変更による意匠
4)構成比率の変更又は連続する単位の数の増減による意匠
5)公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合をほとんどそのまま表したにすぎない意匠
6)自然物並びに公然知られた著作物及び建造物等に基づく意匠
7)商慣行上の転用による意匠
が挙げられている(第3章「創作非容易性」の23.5)。
しかしながら上記のように、本件登録意匠と甲第1号証の意匠との間には、意匠の要部において複数の明瞭な相違点があり、甲第1号証の意匠に基づいて本件登録意匠に想到するためには、上記1)?7)のようなありふれた手法だけでは足りず、さらに独創的な新しい着想を必要とする。また、甲第1号証の意匠を基礎として、上記1)?7)のような手法により本件登録意匠に想到したことを示す具体的な事実も存在しない。
これらのことから、本件登録意匠は、上記1)?7)の何れの意匠にも該当せず、甲第1号証の意匠に基づき容易に創作し得たものでないことは明白である。

オ 甲第2号証から甲第4号証の意匠について
請求人も認めるように、甲第2号証から甲第4号証の意匠は何れも、甲第1号証の意匠に類似する範囲のものであるから、本件登録意匠と甲第2号証から甲第4号証の意匠との関係においても、上記イ?オと同様の主張が当てはまる。よって、本件登録意匠は、甲第2号証から甲第4号証の意匠に類似するものともいえないし、また、甲第2号証から甲第4号証の意匠に基づき容易に創作し得たものでないことも明白である(乙第2号証参照)。

カ むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、甲第1号証から甲第4号証の何れの意匠にも類似するものではなく、また、甲第1号証から甲第4号証の意匠に基づいて容易に創作することができたものでもないから、本件登録意匠が意匠法第3条第1項第3号又は同法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであって、同法第48条第1項第1号により無効とされるべきである、とする請求人の主張は失当である。
よって、請求人の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。

(2)証拠方法
・乙第1号証 対比表1
・乙第2号証 対比表2

2 口頭審理陳述要領書
被請求人は、口頭審理の審理事項通知に対し、口頭審理陳述要領書を提出し、要旨以下のように主張した。
(1)審判請求書における請求人の主張に対する反論は、審判事件答弁書のとおりである。

(2)無効審判弁駁書における請求人の主張に対する反論は、以下のとおりである。
ア 「(1)要部の認定について」
請求人は、本件意匠の蓋部分は、正面視において全体の約1/3を占める部分であり、利用者が操作する部分でもあるから、視覚的に注意を引く部分である等と述べ、蓋部分が本件意匠の要部に該当すると主張している。
しかし、本件意匠において、意匠全体の中で占める割合の大小の観点からいえば、本体部の前面は、本物品の前面全体を構成し、蓋部を閉じた状態でも下側約2/3が直接外観され、蓋部よりも大きな割合を占めている(本件意匠公報の「正面図」を参照)。これより、本体部の前面は、蓋部と比較して、需要者の注意を引く程度が大きい部位であり、その形態は、意匠全体の美感に与える影響が大きいものである。
また、意匠に係る物品の特性からみて視覚的印象に大きな影響を及ぼす部分か否かの観点からは、本体部の前面は、壁等に設置された使用状態等でも最も観察され易い部位である。蓋部も本物品の正面に配置されるが、利用者が蓋部を操作する際、蓋部を開けると蓋部の前面は見え難くなる(本件意匠公報の「蓋部を90°開いた状態の正面図」を参照)。これに対して、本体部の前面は、蓋部を開けると全体が露出されて一層明瞭に観察され、さらに本体部内にカタログ等を出し入れするときでも常時目に付く見えやすい部位であり、需要者が関心をもって観察する部位となる。
したがって、本件意匠における本体部の前面全体は、需要者が視覚を通じて注意をひきやすい特徴的部分であり、本件意匠の要部となると思料する。

イ 弁駁書におけるその他の請求人の主張に対する反論は、審判事件答弁書のとおりである。

第4 口頭審理
当審は、本件審判について、平成30年(2018年)10月25日に口頭審理を行った(平成30年10月25日付け「第1回口頭審理調書」)。
1 請求人
請求人は、請求の趣旨及び理由について、審判請求書、無効審判弁駁書、及び口頭審理陳述要領書のとおり陳述し、被請求人の提出した乙第1号証、乙第2号証の成立を認めた。

2 被請求人
被請求人は、答弁の趣旨及び理由について、審判事件答弁書に添付した証拠説明書の乙第1号証、乙第2号証の標目欄における「原本」の記載を「写し」に訂正して審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書のとおり陳述し、請求人の提出した甲第1号証ないし甲第5号証の成立を認めた。

3 審判長
審判長は、この口頭審理において、甲第1号証ないし甲第5号証、及び乙第1号証、乙第2号証について取り調べ、請求人及び被請求人に対して、本件無効審判事件の審理終結を告知した。

第5 当審の判断
1 本件登録意匠
本件登録意匠は、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「カタログケース」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
当審では、その具体的な形態を以下のように認定している。
(1)全体は、透明なものであり、カタログケースの本体(以下「本体部」という。)と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋(以下「蓋部」という。)からなるものである。
(2)本体部は、正面視の縦横比を約1.4:1としたものであって、内部にカタログ等を収納する、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の箱体部分(以下「収納部」という。)と、この収納部背面側から全周にわたってフランジ状に形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の縁部分(以下「本体フランジ部」という。)からなるものである。
(3)本体部前面上方部分には、正面視略隅丸横長長方形状の開口部分(以下「前面開口部」という。)を、収納部前面の上方及び左右部分に僅かな余地部を残して形成し、この前面開口部の下方部分には、角部を隅丸とし、中央の横線を構成する部分を他の部分より細幅とした、正面視略日の字状のごく浅い凹部(以下「略日の字状凹部」という。)を、上下左右に余地部を残して1つ形成したものである。
(4)本体部背面部分には、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成したものである。
(5)本体フランジ部は、薄い前面側板体と薄い背面側板体からなり、その上下辺部分は折り返して形成し、左右辺部分は重ね合わせて形成したものであって、本体フランジ部の上端部中央部分に、小円孔を3つ横一列に形成し、この小円孔の左右に、本体フランジ部の背面側から正面側にかけて突出した、背面視略横長長円形状で正面視略横長隅丸長方形状の凸部を2つずつ横一列に形成し、下端部中央部分にも、小円孔を3つ横一列に形成したものである。
(6)蓋部は、本体フランジ部を構成する薄い前面側板体と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した上面視略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約3/8を覆う大きさの正面視略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した側面視略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部分(以下「蓋本体部」という。)と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部にフランジ状に形成した、正面視略横コの字状の薄い板状の縁部分(以下「蓋フランジ部」という。)からなるものである。
(7)蓋部前面部分には、その上下左右部分に余地部を残して、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成したものである。
(8)収納部周側面の角部分には、中央やや前方寄りに、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものである。

2 請求人が主張する無効の理由
請求人が、審判請求書で主張する意匠登録無効事由は、以下のとおりである。
(2-1)意匠法第3条第1項第3号
本件登録意匠は、甲第1号証ないし甲第4号証の意匠とそれぞれ類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであるので、本件登録意匠は同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。

(2-2)意匠法第3条第2項
本件登録意匠は、甲第1号証ないし甲第4号証の意匠に基づいて、いわゆる当業者が容易に創作し得たものであるから、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであるので、本件登録意匠は同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。

3 引用意匠
(3-1)甲第1号証の意匠
甲第1号証の意匠(以下「甲1意匠」という。)は、証拠説明書及び甲第1号証の記載によれば、https://www.amazon.co.jp/gp/product/B004E4EBX0のウェブページに記載された、「インフォパックA4(シール貼付なし)」と記載されている「屋外用チラシケース」の意匠であって、その形態は、1/7頁、3/7頁及び4/7頁の写真に現されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
当審では、その具体的な形態を以下のように認定している。
(1)全体は、透明なものであり、屋外用チラシケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものである。
(2)本体部は、正面視の縦横比を約1.4:1としたものであって、内部にチラシ等を収納する、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものである。
(3)本体部前面上方部分には、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、この前面開口部の下方部分には、正面視略長円形状の僅かに突出した凸部(以下「略長円状凸部」という。)を、左右に余地部を残して、上下に3つ等間隔になるように形成したものと認められる。
(4)甲第1号証には、背面側からの写真が存在しないものの、甲1意匠が透明なものであるため、正面側からの各写真から推認すれば、本体部背面部分には、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に8本形成したものと認められる。
(5)本体フランジ部は、上端部中央部分に、小円孔を3つ横一列に形成し、この小円孔の左右に、正面視略長円形状の凸部を2つずつ横一列に形成し、下端部中央部分にも、小円孔を3つ横一列に形成したものと認められる。
(6)蓋部は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約3/8を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものと認められる。
(7)蓋部前面部分には、その上下左右部分に余地部を残して、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものと認められる。
(8)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものである。

(3-2)甲第2号証の意匠
甲第2号証の意匠(以下「甲2意匠」という。)は、証拠説明書及び甲第2号証の記載によれば、https://web.archive.org/web/20131015192307/https://www.techtechcorp.com/25_26.htmlのウェブページに記載された、「インフォパックA4(屋外用チラシケース)シール貼付なし」と記載されている「屋外用チラシケース」の意匠であって、その形態は、第1頁ないし第4頁の写真に現されたとおりとしたものである(別紙第3参照)。
当審では、その具体的な形態を以下のように認定している。
(1)全体は、透明なものであり、屋外用チラシケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものである。
(2)本体部は、正面視の縦横比を約1.4:1としたものであって、内部にチラシ等を収納する、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものである。
(3)本体部前面上方部分には、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、この前面開口部の下方部分には、正面視略長円形状の僅かに突出した略長円状凸部を、左右に余地部を残して、上下に3つ等間隔になるように形成したものと認められる。
(4)甲第2号証には、背面側からの写真が存在しないものの、甲2意匠が透明なものであるため、正面側からの各写真から推認すれば、本体部背面部分には、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に8本形成したものと認められる。
(5)本体フランジ部は、上端部中央部分に、小円孔を3つ横一列に形成し、この小円孔の左右に、正面視略長円形状の凸部を2つずつ横一列に形成し、下端部中央部分にも、小円孔を3つ横一列に形成したものと認められる。
(6)蓋部は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約3/8を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものと認められる。
(7)蓋部前面部分には、その上下左右部分に余地部を残して、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものと認められる。
(8)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものである。

(3-3)甲第3号証の意匠
甲第3号証の意匠(以下「甲3意匠」という。)は、証拠説明書及び甲第3号証の記載によれば、https://www.amazon.co.jp/gp/product/B004E4HY48のウェブページに記載された、「屋外用チラシケース『インフォパックジュニア』(シール貼付なし)」と記載されている「屋外用チラシケース」の意匠であって、その形態は、1/7頁、3/7頁及び4/7頁の写真に現されたとおりとしたものである(別紙第4参照)。
当審では、その具体的な形態を以下のように認定している。
(1)全体は、透明なものであり、屋外用チラシケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものである。
(2)本体部は、正面視の縦横比を約1.7:1としたものであって、内部にチラシ等を収納する、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものである。
(3)本体部前面上方部分には、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、この前面開口部の下方部分には、正面視略長円形状の僅かに突出した略長円状凸部を、左右に余地部を残して、上下に3つ等間隔になるように形成したものと認められる。
(4)甲第3号証には、背面側からの写真が存在しないものの、甲3意匠が透明なものであるため、正面側からの各写真から推認すれば、本体部背面部分には、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に5本形成したものと認められる。
(5)本体フランジ部は、上端部中央部分に、小円孔を2つ横一列に形成し、この小円孔の左右に、正面視略長円形状の凸部を1つずつ形成し、下端部中央部分にも、小円孔を2つ横一列に形成したものと認められる。
(6)蓋部は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約4/9を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものと認められる。
(7)蓋部前面部分には、その上下左右部分に余地部を残して、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものと認められる。
(8)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものである。

(3-4)甲第4号証の意匠
甲第4号証の意匠(以下「甲4意匠」という。)は、証拠説明書及び甲第4号証の記載によれば、https://web.archive.org/web/20140217225253/https://www.techtechcorp.com/26_23.htmlのウェブページに記載された、「屋外用チラシケース『インフォパック』/インフォパックジュニア(屋外用チラシケース)シール貼付けなし」と記載されている「屋外用チラシケース」の意匠であって、その形態は、第2頁ないし第5頁の写真に現されたとおりとしたものである(別紙第5参照)。
当審では、その具体的な形態を以下のように認定している。
(1)全体は、透明なものであり、屋外用チラシケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものである。
(2)本体部は、正面視の縦横比を約1.7:1としたものであって、内部にチラシ等を収納する、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものである。
(3)本体部前面上方部分には、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、この前面開口部の下方部分には、正面視略長円形状の僅かに突出した略長円状凸部を、左右に余地部を残して、上下に3つ等間隔になるように形成したものと認められる。
(4)甲第4号証には、背面側からの写真が存在しないものの、甲4意匠が透明なものであるため、正面側からの各写真から推認すれば、本体部背面部分には、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に5本形成したものと認められる。
(5)本体フランジ部は、上端部中央部分に、小円孔を2つ横一列に形成し、この小円孔の左右に、正面視略長円形状の凸部を1つずつ形成し、下端部中央部分にも、小円孔を2つ横一列に形成したものと認められる。
(6)蓋部は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約4/9を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものと認められる。
(7)蓋部前面部分には、その上下左右部分に余地部を残して、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものと認められる。
(8)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものである。

4 無効理由の検討
請求人の無効理由についての主張は、本件登録意匠は、甲1意匠ないし甲4意匠の各意匠とそれぞれ類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないというものである。
また、本件登録意匠は、このカタログケースの属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、甲1意匠ないし甲4意匠に基づいて、容易に創作することができたものであり、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないというものである。
よって、請求人及び被請求人の主張を踏まえ、本件登録意匠と甲1意匠ないし甲4意匠の各意匠との類否判断、及び本件登録意匠が甲1意匠ないし甲4意匠に基づき、当業者により容易に創作をすることできたか否かについて、以下検討する。
(4-1)甲1意匠との類否判断
(1)対比
ア 意匠に係る物品の対比
本件登録意匠の意匠に係る物品は、「カタログケース」であり、甲1意匠の意匠に係る物品は、「屋外用チラシケース」であるが、いずれもその内部にカタログ等を収納し、自由に取り出し可能となるように設置することで、当該カタログ等を配布することができるケースであるから、本件登録意匠及び甲1意匠(以下「両意匠1」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通する。

イ 形態の対比
本件登録意匠と甲1意匠を対比する(以下、対比のため、甲1意匠を本件登録意匠の図面の向きに合わせることとする。)と、両意匠1の形態については、主に以下の共通点及び相違点がある。
(ア)形態の共通点
(共通点1)両意匠1は、全体を透明なものとし、基本的な構成態様が、カタログ等を収納するケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる点で共通する。
(共通点2)両意匠1は、本体部の形態が、正面視の縦横比を約1.4:1とする正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなる点で共通する。
(共通点3)両意匠1は、前面開口部の形態が、正面視略隅丸横長長方形状であって、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠1は、蓋部の形態が、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約3/8を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなる点で共通する。
(共通点5)両意匠1は、収納部周側面の角部分に、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成している点で共通する。
(共通点6)両意匠1は、本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態が、小円孔を3つ横一列に形成している点で共通する。
(イ)形態の相違点
(相違点1)本件登録意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の上下左右に余地部を残して、略日の字状凹部を1つ形成したものであるのに対し、甲1意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の左右に余地部を残して、略長円状凸部を上下に3つ等間隔になるように形成したものである点で、両意匠1は相違する。
(相違点2)本件登録意匠の本体部背面部分の形態が、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成したものであるのに対し、甲1意匠の本体部背面部分の形態は、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、その具体的な形態が不明な水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、その具体的な形態が不明な縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に8本形成したものである点で、両意匠1は相違する。
(相違点3)本件登録意匠の本体フランジ部の上端部左右端部付近の凸部の形態が、背面視略横長長円形状で正面視略横長隅丸長方形状になるように形成したものであるのに対し、甲1意匠の本体フランジ部の上端部左右端部付近の形態が、正面視略長円形状になるように形成したものである点で、両意匠1は相違する。
(相違点4)本件登録意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成したものであるのに対し、甲1意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものである点で、両意匠1は相違する。

(2)判断
ア 意匠に係る物品の類否判断
両意匠1の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するから類似するものである。

イ 形態の共通点及び相違点の評価
本件登録意匠の意匠に係る物品である「カタログケース」もしくは甲1意匠の意匠に係る物品である「屋外用チラシケース」は、使用状態等を考慮すると、屋外等に設置し、その収納部に収納したカタログ等を、蓋部を開閉して取り出して配布するためのものであるから、これらの物品の需要者は、全体が透明なものであったとしても観察が可能な前面側の形態や前面側に取り付けられた蓋部の形態について注視するものであり、また本体部の設置方法に係る部分の形態についても注視するものと認められる。
なお、この種物品においては、1)全体を、透明なものとし、平らな物品を保持する本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものとし、2)本体部は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものとし、3)本体部前面上方部分に、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、4)本体部背面部分に、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に複数本等間隔になるように形成し、5)本体フランジ部を、薄い前面側板体と薄い背面側板体からなるものとし、その下辺部分は折り返し、左右辺部分は重ね合わせて形成し、6)蓋部を、本体フランジ部を構成する薄い板体と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した上面視略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う正面視略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した側面視略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状の薄い蓋フランジ部からなるものとし、7)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものは、本件登録意匠の出願前に既に存在しており(参考意匠:1997年1月21日発行の米国特許第5、595、300号明細書(発明の名称:APPARATUS FOR HOLDING AND DISPENSING FLAT ARTICLES(当審参考訳:平らな物品を保持し分配するための装置)におけるFig.1ないし5の「ケース」の意匠、別紙第6参照)、これらの形態は本件登録意匠の出願前に既に知られていたものである。
そうすると、上記の形態については、両意匠1のみに見られるものではないから、これに特段の特徴は認められず、これらを除いた蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、共通点及び相違点の評価において注目される部分であるということができる。
(ア)形態の共通点
(共通点1)は、本体部とその上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる全体の形態についてであるが、この種物品において普通に見られる形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)における本体部の形態は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものであり、(共通点3)における前面開口部の形態は、正面視略隅丸横長長方形状とし、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成しているものであり、(共通点4)における蓋部の形態は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものであり、(共通点5)における収納部周側面の角部分の形態は、該部位に細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものであるが、前面開口部の形態は、いずれもごく普通に見られる略隅丸長方形状からなるものにすぎないし、その他の形態も本件登録意匠の出願前に既に存在する参考意匠に見られるようにこの種物品分野においてほぼ同様の形態若しくはそれらを僅かに変更した形態が既に存在しているのであるから、両意匠1のみに認められる格別の特徴とはいえず、これらの共通点が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点6)における本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態は、本体部の設置方法に係る部分の形態ではあるが、単に小円孔を横一列に3つ形成している形態であって特段特徴のあるものではないから、この(共通点6)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(イ)形態の相違点
(相違点1)は、需要者の注意を惹く本体部の前面側の具体的な形態に係るものであって、この種物品分野において従来見られない略日の字状凹部が形成された本件登録意匠の形態と、従来からある略長円状凸部が形成された甲1意匠の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠1は、前面開口部の下方部分の具体的な形態が与える美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、その使用時にはカタログ等で隠れて見えない本体部背面部分の形態に係るものであって、需要者の注意を強く惹く部分ではないところ、本件登録意匠のごく浅い凹部の形態も甲1意匠のごく浅い凹部の形態もその縦幅が異なるものの、いずれも略長円形状の共通する形態であるから、その凹部の大きさや配置態様の相違をさほど特徴あるものとは評価をすることはできず、凹凸の態様や開口部か否かといった具体的な形態が不明な二重線及び略だるま状の線の部分の相違を含めても、この(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(相違点3)は、本体フランジ部の上端部左右端部付近の凸部の形態についてであるが、物品全体の大きさに照らすと、ごく小さい部分における相違であるから、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点4)は、蓋部前面部分の形態についてであるが、前面側に位置し、使用時に手で持って開閉させることから特に目に付く部位であって、ごく浅い凹部である本件登録意匠の形態と、シールを貼付する目的で突出して形成された甲1意匠の凸部の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠1は、蓋部前面部分の形態が与える美感に大きな差異がある。

ウ 両意匠1の類否判断
両意匠1の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠1は、上記(2)イの前文のとおり、蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、需要者の注意を強く惹く部分であるといえるところ、両意匠1には上記イの(イ)のとおり、前面開口部の下方部分の具体的な形態、及び蓋部前面部分の形態といった需要者の注意を惹く部分が与える美感に大きな差異がある。
そうすると、両意匠1は、全体の基本的な構成態様、各部位の形態、本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態が共通することを考慮しても、これらは両意匠1のみに見られる特徴ということはできないから、意匠全体として観察した際にその美感が異なるものといえる。
よって、両意匠1は、意匠に係る物品は類似するものであるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、本件登録意匠と甲1意匠は類似しないものである。

(4-2)甲2意匠との類否判断
(1)対比
ア 意匠に係る物品の対比
本件登録意匠の意匠に係る物品は、「カタログケース」であり、甲2意匠の意匠に係る物品は、「屋外用チラシケース」であるが、いずれもその内部にカタログ等を収納し、自由に取り出し可能となるように設置することで、当該カタログ等を配布することができるケースであるから、本件登録意匠及び甲2意匠(以下「両意匠2」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通する。

イ 形態の対比
本件登録意匠と甲2意匠を対比する(以下、対比のため、甲2意匠を本件登録意匠の図面の向きに合わせることとする。)と、両意匠2の形態については、主に以下の共通点及び相違点がある。
(ア)形態の共通点
(共通点1)両意匠2は、全体を透明なものとし、基本的な構成態様が、カタログ等を収納するケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる点で共通する。
(共通点2)両意匠2は、本体部の形態が、正面視の縦横比を約1.4:1とする正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなる点で共通する。
(共通点3)両意匠2は、前面開口部の形態が、正面視略隅丸横長長方形状であって、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠2は、蓋部の形態が、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方約3/8を覆う大きさの略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなる点で共通する。
(共通点5)両意匠2は、収納部周側面の角部分に、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成している点で共通する。
(共通点6)両意匠2は、本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態が、小円孔を3つ横一列に形成している点で共通する。
(イ)形態の相違点
(相違点1)本件登録意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の上下左右に余地部を残して、略日の字状凹部を1つ形成したものであるのに対し、甲2意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の左右に余地部を残して、略長円状凸部を上下に3つ等間隔になるように形成したものである点で、両意匠2は相違する。
(相違点2)本件登録意匠の本体部背面部分の形態が、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成したものであるのに対し、甲2意匠の本体部背面部分の形態は、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、その具体的な形態が不明な水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、その具体的な形態が不明な縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に8本形成したものである点で、両意匠2は相違する。
(相違点3)本件登録意匠の本体フランジ部の上端部左右端部付近の凸部の形態が、背面視略横長長円形状で正面視略横長隅丸長方形状になるように形成したものであるのに対し、甲1意匠の本体フランジ部の上端部左右端部付近の形態が、正面視略長円形状になるように形成したものである点で、両意匠2は相違する。
(相違点4)本件登録意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成したものであるのに対し、甲2意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものである点で、両意匠2は相違する。

(2)判断
ア 意匠に係る物品の類否判断
両意匠2の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するから類似するものである。

イ 形態の共通点及び相違点の評価
本件登録意匠の意匠に係る物品である「カタログケース」もしくは甲2意匠の意匠に係る物品である「屋外用チラシケース」は、使用状態等を考慮すると、屋外等に設置し、その収納部に収納したカタログ等を、蓋部を開閉して取り出して配布するためのものであるから、これらの物品の需要者は、全体が透明なものであったとしても観察が可能な前面側の形態や前面側に取り付けられた蓋部の形態について注視するものであり、また本体部の設置方法に係る部分の形態についても注視するものと認められる。
なお、この種物品においては、1)全体を、透明なものとし、平らな物品を保持する本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものとし、2)本体部は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものとし、3)本体部前面上方部分に、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、4)本体部背面部分に、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に複数本等間隔になるように形成し、5)本体フランジ部を、薄い前面側板体と薄い背面側板体からなるものとし、その下辺部分は折り返し、左右辺部分は重ね合わせて形成し、6)蓋部を、本体フランジ部を構成する薄い板体と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した上面視略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う正面視略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した側面視略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状の薄い蓋フランジ部からなるものとし、7)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものは、参考意匠にあるように本件登録意匠の出願前に既に存在しており、これらの形態は本件登録意匠の出願前に既に知られていたものである。
そうすると、上記の形態については、両意匠2のみに見られるものではないから、これに特段の特徴は認められず、これらを除いた蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、共通点及び相違点の評価において注目される部分であるということができる。
(ア)形態の共通点
(共通点1)は、本体部とその上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる全体の形態についてであるが、この種物品において普通に見られる形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)における本体部の形態は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものであり、(共通点3)における前面開口部の形態は、正面視略隅丸横長長方形状とし、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成しているものであり、(共通点4)における蓋部の形態は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものであり、(共通点5)における収納部周側面の角部分の形態は、該部位に細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものであるが、前面開口部の形態は、いずれもごく普通に見られる略隅丸長方形状からなるものにすぎないし、その他の形態も本件登録意匠の出願前に既に存在する参考意匠に見られるようにこの種物品分野においてほぼ同様の形態若しくはそれらを僅かに変更した形態が既に存在しているのであるから、両意匠2のみに認められる格別の特徴とはいえず、これらの共通点が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点6)における本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態は、本体部の設置方法に係る部分の形態ではあるが、単に小円孔を横一列に3つ形成している形態であって特段特徴のあるものではないから、この(共通点6)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(イ)形態の相違点
(相違点1)は、需要者の注意を惹く本体部の前面側の具体的な形態に係るものであって、この種物品分野において従来見られない略日の字状凹部が形成された本件登録意匠の形態と、従来からある略長円状凸部が形成された甲2意匠の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠2は、前面開口部の下方部分の具体的な形態が与える美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、その使用時にはカタログ等で隠れて見えない本体部背面部分の形態に係るものであって、需要者の注意を強く惹く部分ではないところ、本件登録意匠のごく浅い凹部の形態も甲2意匠のごく浅い凹部の形態もその縦幅が異なるものの、いずれも略長円形状の共通する形態であるから、その凹部の大きさや配置態様の相違をさほど特徴あるものとは評価をすることはできず、凹凸の態様や開口部か否かといった具体的な形態が不明な二重線及び略だるま状の線の部分の相違を含めても、この(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(相違点3)は、本体フランジ部の上端部左右端部付近の凸部の形態についてであるが、物品全体の大きさに照らすと、ごく小さい部分における相違であるから、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点4)は、蓋部前面部分の形態についてであるが、前面側に位置し、使用時に手で持って開閉させることから特に目に付く部位であって、ごく浅い凹部である本件登録意匠の形態と、シールを貼付する目的で突出して形成された甲2意匠の凸部の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠2は、蓋部前面部分の形態が与える美感に大きな差異がある。

ウ 両意匠2の類否判断
両意匠2の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠2は、上記(2)イの前文のとおり、蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、需要者の注意を強く惹く部分であるといえるところ、両意匠2には上記イの(イ)のとおり、前面開口部の下方部分の具体的な形態、及び蓋部前面部分の形態といった需要者の注意を惹く部分が与える美感に大きな差異がある。
そうすると、両意匠2は、全体の基本的な構成態様、各部位の形態、本体フランジの上端部及び下端部の中央部分の形態が共通することを考慮しても、これらは両意匠2のみに見られる特徴ということはできないから、意匠全体として観察した際にその美感が異なるものといえる。
よって、両意匠2は、意匠に係る物品は類似するものであるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、本件登録意匠と甲2意匠は類似しないものである。

(4-3)甲3意匠との類否判断
(1)対比
ア 意匠に係る物品の対比
本件登録意匠の意匠に係る物品は、「カタログケース」であり、甲3意匠の意匠に係る物品は、「屋外用チラシケース」であるが、いずれもその内部にカタログ等を収納し、自由に取り出し可能となるように設置することで、当該カタログ等を配布することができるケースであるから、本件登録意匠及び甲3意匠(以下「両意匠3」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通する。

イ 形態の対比
本件登録意匠と甲3意匠を対比する(以下、対比のため、甲3意匠を本件登録意匠の図面の向きに合わせることとする。)と、両意匠3の形態については、主に以下の共通点及び相違点がある。
(ア)形態の共通点
(共通点1)両意匠3は、全体を透明なものとし、基本的な構成態様が、カタログ等を収納するケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる点で共通する。
(共通点2)両意匠3は、本体部の形態が、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなる点で共通する。
(共通点3)両意匠3は、前面開口部の形態が、正面視略隅丸横長長方形状であって、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠3は、蓋部の形態が、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなる点で共通する。
(共通点5)両意匠3は、収納部周側面の角部分に、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成している点で共通する。
(イ)形態の相違点
(相違点1)本件登録意匠の正面視における、本体部の縦横比及び収納部に対する蓋部の縦幅の比率が、約1.4:1及び約3/8であるのに対し、甲3意匠の正面視における、本体部の縦横比及び収納部に対する蓋部の縦幅の比率が、約1.7:1及び約4/9である点で、両意匠3は相違する。
(相違点2)本件登録意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の上下左右に余地部を残して、略日の字状凹部を1つ形成したものであるのに対し、甲3意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の左右に余地部を残して、略長円状凸部を上下に3つ等間隔になるように形成したものである点で、両意匠3は相違する。
(相違点3)本件登録意匠の本体部背面部分の形態が、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成したものであるのに対し、甲3意匠の本体部背面部分の形態は、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、その具体的な形態が不明な水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、その具体的な形態が不明な縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に5本形成したものである点で、両意匠3は相違する。
(相違点4)本件登録意匠の本体フランジ部の上端部の形態が、その中央部分に小円孔を3つ横一列に形成し、その左右部分に本体フランジ部の背面側から正面側にかけて突出した、背面視略横長長円形状で正面視略横長隅丸長方形状の凸部を、2つずつ横一列に形成したものであるのに対し、甲3意匠の本体フランジ部の上端部の形態が、その中央部分に小円孔を2つ、間隔をあけて形成し、その左右部分に正面視略長円形状の凸部を1つずつ形成したものである点で、両意匠3は相違する。
(相違点5)本件登録意匠の本体フランジ部の下端部の形態が、その中央部分に小円孔を3つ横一列に形成したものであるのに対し、甲3意匠の本体フランジ部の下端部の形態が、その中央部分に小円孔を2つ、間隔をあけて形成したものである点で、両意匠3は相違する。
(相違点6)本件登録意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成したものであるのに対し、甲3意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものである点で、両意匠3は相違する。

(2)判断
ア 意匠に係る物品の類否判断
両意匠3の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するから類似するものである。

イ 形態の共通点及び相違点の評価
本件登録意匠の意匠に係る物品である「カタログケース」もしくは甲3意匠の意匠に係る物品である「屋外用チラシケース」は、使用状態等を考慮すると、屋外等に設置し、その収納部に収納したカタログ等を、蓋部を開閉して取り出して配布するためのものであるから、これらの物品の需要者は、全体が透明なものであったとしても観察が可能な前面側の形態や前面側に取り付けられた蓋部の形態について注視するものであり、また本体部の設置方法に係る部分の形態についても注視するものと認められる。
なお、この種物品においては、1)全体を、透明なものとし、平らな物品を保持する本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものとし、2)本体部は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものとし、3)本体部前面上方部分に、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、4)本体部背面部分に、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に複数本等間隔になるように形成し、5)本体フランジ部を、薄い前面側板体と薄い背面側板体からなるものとし、その下辺部分は折り返し、左右辺部分は重ね合わせて形成し、6)蓋部を、本体フランジ部を構成する薄い板体と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した上面視略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う正面視略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した側面視略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状の薄い蓋フランジ部からなるものとし、7)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものは、参考意匠にあるように本件登録意匠の出願前に既に存在しており、これらの形態は本件登録意匠の出願前に既に知られていたものである。
そうすると、上記の形態については、両意匠3のみに見られるものではないから、これに特段の特徴は認められず、これらを除いた蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、共通点及び相違点の評価において注目される部分であるということができる。
(ア)形態の共通点
(共通点1)は、本体部とその上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる全体の形態についてであるが、この種物品において普通に見られる形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)における本体部の形態は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものであり、(共通点3)における前面開口部の形態は、正面視略隅丸横長長方形状とし、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成しているものであり、(共通点4)における蓋部の形態は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものであり、(共通点5)における収納部周側面の角部分の形態は、該部位に細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものであるが、前面開口部の形態は、いずれもごく普通に見られる略隅丸長方形状からなるものにすぎないし、その他の形態も本件登録意匠の出願前に既に存在する参考意匠に見られるようにこの種物品分野においてほぼ同様の形態若しくはそれらを僅かに変更した形態が既に存在しているのであるから、両意匠3のみに認められる格別の特徴とはいえず、これらの共通点が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(イ)形態の相違点
(相違点1)は、両意匠3の正面視における本体部や蓋部の比率の相違に係るものであって、本件登録意匠の形態は、横幅のある本体部の上方側に、縦幅の短い正面視略横長長方形状の蓋部を形成しているとの印象を与えるのに対して、甲3意匠の形態は、縦長長方形状の本体部の略上半分部分に、縦幅のある正面視略横長長方形状の蓋部を形成しているとの印象を与えるから、両意匠3は、本体部や蓋部の比率の相違による正面視の形態の美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、需要者の注意を惹く本体部の前面側の具体的な形態に係るものであって、この種物品分野において従来見られない略日の字状凹部が形成された本件登録意匠の形態と、従来からある略長円状凸部が形成された甲3意匠の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠3は、前面開口部の下方部分の具体的な形態が与える美感に大きな差異がある。
(相違点3)は、その使用時にはカタログ等で隠れて見えない本体部背面部分の形態に係るものであって、需要者の注意を強く惹く部分ではないところ、本件登録意匠のごく浅い凹部の形態も甲3意匠のごく浅い凹部の形態もその縦幅が異なるものの、いずれも略長円形状の共通する形態であるから、その凹部の大きさや配置態様の相違をさほど特徴あるものとは評価をすることはできず、凹凸の態様や開口部か否かといった具体的な形態が不明な二重線及び略だるま状の線の部分の相違を含めても、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(相違点4)は、本体フランジ部の上端部の形態についてであるが、本件登録意匠の形態は、複数の小円孔及び略横長隅丸長方形状の凸部を密集して形成しているとの印象を与えるのに対し、甲3意匠の形態は、2組の小円孔及び略長円形状の凸部を中央部分に大きな隙間を設けて左右対称に形成しているとの印象を与える上に、該部位に形成された小円孔は需要者の注意を惹く本体部の設置方法に係る部分の形態でもあるから、物品全体の大きさに照らすとごく小さい部分であるとしても、この(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。
(相違点5)は、本体フランジ部の下端部の形態についてであるが、小円孔の数の相違は目に付く程のものではなく、物品全体の大きさに照らすとごく小さい部分における相違であるから、この(相違点5)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点6)は、蓋部前面部分の形態についてであるが、前面側に位置し、使用時に手で持って開閉させることから特に目に付く部位であって、ごく浅い凹部である本件登録意匠の形態と、シールを貼付する目的で突出して形成された甲3意匠の凸部の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠3は、蓋部前面部分の形態が与える美感に大きな差異がある。

ウ 両意匠3の類否判断
両意匠3の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠3は、上記(2)イの前文のとおり、蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、需要者の注意を強く惹く部分であるといえるところ、両意匠3には上記イの(イ)のとおり、本体部や蓋部の比率の相違による正面視の形態、前面開口部の下方部分の具体的な形態、及び蓋部前面部分の形態といった需要者の注意を惹く部分が与える美感に大きな差異があり、本体フランジ部の上端部の形態にも意匠全体の美感に一定程度影響を与える差異がある。
そうすると、両意匠3は、全体の基本的な構成態様、各部位の形態が共通することを考慮しても、これらは両意匠3のみに見られる特徴ということはできないから、意匠全体として観察した際にその美感が異なるものといえる。
よって、両意匠3は、意匠に係る物品は類似するものであるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、本件登録意匠と甲3意匠は類似しないものである。

(4-4)甲4意匠との類否判断
(1)対比
ア 意匠に係る物品の対比
本件登録意匠の意匠に係る物品は、「カタログケース」であり、甲4意匠の意匠に係る物品は、「屋外用チラシケース」であるが、いずれもその内部にカタログ等を収納し、自由に取り出し可能となるように設置することで、当該カタログ等を配布することができるケースであるから、本件登録意匠及び甲4意匠(以下「両意匠4」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通する。

イ 形態の対比
本件登録意匠と甲4意匠を対比する(以下、対比のため、甲4意匠を本件登録意匠の図面の向きに合わせることとする。)と、両意匠4の形態については、主に以下の共通点及び相違点がある。
(ア)形態の共通点
(共通点1)両意匠4は、全体を透明なものとし、基本的な構成態様が、カタログ等を収納するケースの本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる点で共通する。
(共通点2)両意匠4は、本体部の形態が、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなる点で共通する。
(共通点3)両意匠4は、前面開口部の形態が、正面視略隅丸横長長方形状であって、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠4は、蓋部の形態が、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成したものであって、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなる点で共通する。
(共通点5)両意匠4は、収納部周側面の角部分に、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成している点で共通する。
(イ)形態の相違点
(相違点1)本件登録意匠の正面視における、本体部の縦横比及び収納部に対する蓋部の縦幅の比率が、約1.4:1及び約3/8であるのに対し、甲4意匠の正面視における、本体部の縦横比及び収納部に対する蓋部の縦幅の比率が、約1.7:1及び約4/9である点で、両意匠4は相違する。
(相違点2)本件登録意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の上下左右に余地部を残して、略日の字状凹部を1つ形成したものであるのに対し、甲4意匠の前面開口部の下方部分の形態が、収納部の左右に余地部を残して、略長円状凸部を上下に3つ等間隔になるように形成したものである点で、両意匠4は相違する。
(相違点3)本件登録意匠の本体部背面部分の形態が、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成したものであるのに対し、甲4意匠の本体部背面部分の形態は、収納部背面側の上端部付近及び下端部付近に、略長円形状のごく浅い凹部を左右に2つ、間隔を空けて形成し、その上端部側の凹部下方部分には、その具体的な形態が不明な水平な二重線が上下に2本現れ、その二重線の左右端部下方部分には、その具体的な形態が不明な縦長の略だるま状の線が1つずつ現れており、これら略だるま状の線の中間部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に2つ形成し、更にその下方部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を水平方向に5本形成したものである点で、両意匠4は相違する。
(相違点4)本件登録意匠の本体フランジ部の上端部の形態が、その中央部分に小円孔を3つ横一列に形成し、その左右部分に本体フランジ部の背面側から正面側にかけて突出した、背面視略横長長円形状で正面視略横長隅丸長方形状の凸部を、2つずつ横一列に形成したものであるのに対し、甲4意匠の本体フランジ部の上端部の形態が、その中央部分に小円孔を2つ、間隔をあけて形成し、その左右部分に正面視略長円形状の凸部を1つずつ形成したものである点で、両意匠4は相違する。
(相違点5)本件登録意匠の本体フランジ部の下端部の形態が、その中央部分に小円孔を3つ横一列に形成したものであるのに対し、甲4意匠の本体フランジ部の下端部の形態が、その中央部分に小円孔を2つ、間隔をあけて形成したものである点で、両意匠4は相違する。
(相違点6)本件登録意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成したものであるのに対し、甲4意匠の蓋部前面部分の形態が、正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を形成したものである点で、両意匠4は相違する。

(2)判断
ア 意匠に係る物品の類否判断
両意匠4の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するから類似するものである。

イ 形態の共通点及び相違点の評価
本件登録意匠の意匠に係る物品である「カタログケース」もしくは甲4意匠の意匠に係る物品である「屋外用チラシケース」は、使用状態等を考慮すると、屋外等に設置し、その収納部に収納したカタログ等を、蓋部を開閉して取り出して配布するためのものであるから、これらの物品の需要者は、全体が透明なものであったとしても観察が可能な前面側の形態や前面側に取り付けられた蓋部の形態について注視するものであり、また本体部の設置方法に係る部分の形態についても注視するものと認められる。
なお、この種物品においては、1)全体を、透明なものとし、平らな物品を保持する本体部と、その上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなるものとし、2)本体部は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものとし、3)本体部前面上方部分に、正面視略隅丸横長長方形状の前面開口部を、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成し、4)本体部背面部分に、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側部分に、略横長長円形状のごく浅い凹部を上下に複数本等間隔になるように形成し、5)本体フランジ部を、薄い前面側板体と薄い背面側板体からなるものとし、その下辺部分は折り返し、左右辺部分は重ね合わせて形成し、6)蓋部を、本体フランジ部を構成する薄い板体と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した上面視略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う正面視略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した側面視略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状の薄い蓋フランジ部からなるものとし、7)収納部周側面の角部分には、細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものは、参考意匠にあるように本件登録意匠の出願前に既に存在しており、これらの形態は本件登録意匠の出願前に既に知られていたものである。
そうすると、上記の形態については、両意匠4のみに見られるものではないから、これに特段の特徴は認められず、これらを除いた蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、共通点及び相違点の評価において注目される部分であるということができる。
(ア)形態の共通点
(共通点1)は、本体部とその上方部分に開閉可能に設けられた蓋部からなる全体の形態についてであるが、この種物品において普通に見られる形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)における本体部の形態は、正面視略隅丸長方形状で前後方向に扁平な略縦長直方体形状の収納部と、この収納部背面側から全周にわたって形成した、正面視略隅丸縦長長方形枠状の薄い板状の本体フランジ部からなるものであり、(共通点3)における前面開口部の形態は、正面視略隅丸横長長方形状とし、収納部前面の左右部分に僅かな余地部を残して形成しているものであり、(共通点4)における蓋部の形態は、本体フランジ部と連続して一体的になるように形成し、収納部上面部に沿って前方に向かって僅かに下に傾斜した略横長長方形状の上面部分、収納部前面の上方部分を覆う略横長長方形状の正面部分、及び上面部分と正面部分の左右端部を塞ぐように形成した略鈍角三角形状の左右側面部分を、接合部の断面視がなだらかな円弧状になるように一体的に構成した蓋本体部と、蓋本体部の正面部分下辺部及び左右側面部分背面側辺部に形成した、正面視略横コの字状で薄い板状の蓋フランジ部からなるものであり、(共通点5)における収納部周側面の角部分の形態は、該部位に細幅な突起を正面視略円弧状になるように1つずつ形成したものであるが、前面開口部の形態は、いずれもごく普通に見られる略隅丸長方形状からなるものにすぎないし、その他の形態も本件登録意匠の出願前に既に存在する参考意匠に見られるようにこの種物品分野においてほぼ同様の形態若しくはそれらを僅かに変更した形態が既に存在しているのであるから、両意匠4のみに認められる格別の特徴とはいえず、これらの共通点が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(イ)形態の相違点
(相違点1)は、両意匠4の正面視における本体部や蓋部の比率の相違に係るものであって、本件登録意匠の形態は、横幅のある本体部の上方側に、縦幅の短い正面視略横長長方形状の蓋部を形成しているとの印象を与えるのに対して、甲4意匠の形態は、縦長長方形状の本体部の略上半分部分に、縦幅のある正面視略横長長方形状の蓋部を形成しているとの印象を与えるから、両意匠4は、本体部や蓋部の比率の相違による正面視の形態の美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、需要者の注意を惹く本体部の前面側の具体的な形態に係るものであって、この種物品分野において従来見られない略日の字状凹部が形成された本件登録意匠の形態と、従来からある略長円状凸部が形成された甲4意匠の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠4は、前面開口部の下方部分の具体的な形態が与える美感に大きな差異がある。
(相違点3)は、その使用時にはカタログ等で隠れて見えない本体部背面部分の形態に係るものであって、需要者の注意を強く惹く部分ではないところ、本件登録意匠のごく浅い凹部の形態も甲4意匠のごく浅い凹部の形態もその縦幅が異なるものの、いずれも略長円形状の共通する形態であるから、その凹部の大きさや配置態様の相違をさほど特徴あるものとは評価をすることはできず、凹凸の態様や開口部か否かといった具体的な形態が不明な二重線及び略だるま状の線の部分の相違を含めても、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(相違点4)は、本体フランジ部の上端部の形態についてであるが、本件登録意匠の形態は、複数の小円孔及び略横長隅丸長方形状の凸部を密集して形成しているとの印象を与えるのに対し、甲4意匠の形態は、2組の小円孔及び略長円形状の凸部を中央部分に大きな隙間を設けて左右対称に形成しているとの印象を与える上に、該部位に形成された小円孔は需要者の注意を惹く本体部の設置方法に係る部分の形態でもあるから、物品全体の大きさに照らすとごく小さい部分であるとしても、この(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。
(相違点5)は、本体フランジ部の下端部の形態についてであるが、小円孔の数の相違は目に付く程のものではなく、物品全体の大きさに照らすとごく小さい部分における相違であるから、この(相違点5)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点6)は、蓋部前面部分の形態についてであるが、前面側に位置し、使用時に手で持って開閉させることから特に目に付く部位であって、ごく浅い凹部である本件登録意匠の形態と、シールを貼付する目的で突出して形成された甲4意匠の凸部の形態では、需要者に別異の印象を与えるものといえるから、両意匠4は、蓋部前面部分の形態が与える美感に大きな差異がある。

ウ 両意匠4の類否判断
両意匠4の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠4は、上記(2)イの前文のとおり、蓋部及び本体部の前面側の具体的な形態、並びに本体部の設置方法に係る部分の具体的な形態が、需要者の注意を強く惹く部分であるといえるところ、両意匠4には上記イの(イ)のとおり、本体部や蓋部の比率の相違による正面視の形態、前面開口部の下方部分の具体的な形態、及び蓋部前面部分の形態といった需要者の注意を惹く部分が与える美感に大きな差異があり、本体フランジ部の上端部の形態にも意匠全体の美感に一定程度影響を与える差異がある。
そうすると、両意匠4は、全体の基本的な構成態様、各部位の形態が共通することを考慮しても、これらは両意匠4のみに見られる特徴ということはできないから、意匠全体として観察した際にその美感が異なるものといえる。
よって、両意匠4は、意匠に係る物品は類似するものであるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって、本件登録意匠と甲4意匠は類似しないものである。

(4-5)創作非容易性の判断
本件登録意匠と甲1意匠ないし甲4意匠の形態は、上記1及び3に示すとおりであり、本件登録意匠と甲1意匠ないし甲4意匠には、全体の基本的な構成態様等が共通するものの、(1)前面開口部の下方部分の形態、(2)本体部背面部分の形態、(3)蓋部前面部分の形態において相違が認められる。
以下において、本件登録意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本件登録意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。
(1)の前面開口部の下方部分の形態について
本件登録意匠の該部位に形成された略日の字状凹部の形態は、カタログケースの属する物品分野において、薄板の強度を高めるために施したものとともに、装飾目的で施したものであると認められるところ、このような形態は、本件登録意匠の出願前より公然知られたと認められる甲1意匠ないし甲4意匠において何ら現れておらず、また当該物品分野において広く知られた若しくは公然知られた形態であるとは認められない。
さらに、請求人の主張するように、甲1意匠ないし甲4意匠の該部位に形成された略長円状凸部の形態に対して、上下方向の長さ、数、左右の角の丸め方を変更するといった手法を用いたとしても、本件登録意匠の略日の字状凹部の形態には想到するとは認められず、本件登録意匠の形態が、甲1意匠ないし甲4意匠の形態をありふれた手法を用いて僅かに改変した程度のものといえる証拠もない。
よって、本件登録意匠は、公然知られた形態から特段の創意を要さないで創作できるとは認め難いものであって、当業者から見て着想の新しさないし独創性があるといえるから、本件登録意匠の該部位に形成された略日の字状凹部の形態に係る意匠を創作することが容易であったとはいうことができない。

(2)本体部背面部分の形態について
本件登録意匠の本体部背面部分における、収納部の内周の位置に、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成し、この略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成し、その凹状の溝部の左右端部下方部分に、縦長のだるま穴を1つずつ形成し、更にその下方部分に、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を上下に17本等間隔になるように形成した形態は、甲1意匠ないし甲4意匠にはない形態ではあるが、収納部内部の周側面を構成する断面視略U字状の深い溝部を、背面視略ロの字状になるように形成したものは、この種物品分野において、参考意匠にあるように本件登録意匠の出願前より公然知られていたことが認められる。
また、略ロの字状で囲まれた内側の上方部分に、略U字状の溝部の約1/4の深さの水平な凹状の溝部を1条形成することは、収納部に収納したカタログ等を取り出しやすくするための工夫であるが、当該物品分野において該部位にそのような工夫を施すことは、参考意匠にあるように本件登録意匠の出願前より行われていたと認められ、水平な凹状の溝部もごく普通に見られる形態にすぎない。
さらに、縦長のだるま穴の形態も取り付け用の穴として従来から見られるものであり、略細幅横長長円形状のごく浅い凹部を等間隔に形成した形態も甲1意匠ないし甲4意匠の形態から容易に着想できる程度のものにすぎず、当業者が特段の創意を要さないで創作できるものと認められる。
よって、本件登録意匠の本体部背面部分の形態は、当業者から見て着想の新しさないし独創性があるということはできず、容易に創作ができたものである。

(3)蓋部前面部分の形態について
本件登録意匠の蓋部前面部分における、正面視横長長方形状のごく浅い凹部を形成した形態は、甲1意匠ないし甲4意匠に見られる正面視横長長方形状の僅かに突出した凸部を、正面視横長長方形状を維持したままごく浅い凹部に改変した程度のものであるから、当業者が容易に創作することができたものであるといえる。
よって、本件登録意匠の蓋部前面部分の形態は、当業者から見て着想の新しさないし独創性があるということはできず、容易に創作ができたものである。

そうすると、上記(1)の理由により、本件登録意匠は、当業者が甲1意匠ないし甲4意匠に基づいて、容易に創作することができたものということはできない。

5 小括
上記4のとおり、本件登録意匠は、甲1意匠ないし甲4意匠の各意匠とそれぞれ類似する意匠ではなく、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠には該当しないものである。
また、本件登録意匠は、当業者が甲1意匠ないし甲4意匠に基づいて、容易にその意匠を創作することができたものであるということはできず、意匠法第3条第2項の規定には該当しないものである。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、上記無効理由には理由がなく、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号の規定、及び同法第3条第2項の規定に違反して登録されたものとはいうことはできないから、同法第48条第1項第1号の規定によりその登録を無効とすることはできない。

審判に関する費用については、意匠法第52条で準用する特許法第169条第2項でさらに準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2019-03-29 
出願番号 意願2017-3280(D2017-3280) 
審決分類 D 1 113・ 121- Y (F5)
D 1 113・ 113- Y (F5)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 下村 圭子 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
宮田 莊平
登録日 2017-10-27 
登録番号 意匠登録第1591305号(D1591305) 
代理人 宮崎 栄二 
代理人 加藤 光宏 
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