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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 K3
管理番号 1352353 
審判番号 不服2018-11757
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-03 
確定日 2019-05-14 
意匠に係る物品 破砕機用破砕刃 
事件の表示 意願2017- 10868「破砕機用破砕刃」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成29年 5月22日 意匠登録出願
平成30年 1月31日付け 拒絶理由通知書
平成30年 3月16日 意見書提出
平成30年 6月 1日付け 拒絶査定
平成30年 9月 3日 審判請求書提出
平成30年10月 9日 上申書提出

第2 本願意匠
本願の意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「破砕機用破砕刃」とし、意匠に係る物品の説明を「本物品は、2軸破砕機用の破砕刃であって、一対の駆動軸の軸心方向に沿ってそれぞれ所定間隔を隔てて配置されるとともに、駆動軸間で破砕刃同士の交差部が軸心方向に沿って交互に位置するように装着される。」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における平成30年1月31日付けで通知した拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、次のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠に係る「破砕機用破砕刃」の分野においては、略円盤状の刃の外周形状として、曲線と一部に直線を含みながら3点の爪状部を配したものは、例えば下記の意匠1においてみられるように本願出願前より公然知られた形状です。また、刃の盤面中央に六角形の孔部を設けたものは、例えば下記の意匠2のように本願出願前より公然知られた形状です。
そうすると、本願出願前に公然知られた下記の意匠1の外周形状と、本願出願前に公然知られた下記の意匠2の中央孔部の形状から成る本願の意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものです。
意匠1
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2002-273254
図1に示す刃の意匠

意匠2
特許庁普及支援課が2010年 4月28日に受け入れた
大韓民国意匠商標公報 2010年 3月18日10-06号
破砕機用粉砕刃(登録番号30-0555998)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH22407147号)」

第4 当審の判断
本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「破砕機用破砕刃」である。
(2)形態
本願意匠の形態は、基本的には、(あ)等間隔に配した同形状の複数の爪状の刃部(以下「爪状部」という。)を持つ略円板状のもので、中央部に軸孔部を形成しているものであって、具体的には、(い)爪状部は、全周に亘って3つ設けられ、正面視で、先端側を上方とし、軸孔側を下方として観察すると、各爪状部は、爪状部の左側の、先端部(頂)から基部(谷)に向けて形成したフック部(以下「フック部」という。)と、右側の先端部(頂)から次の爪状部に向けて形成された湾曲部(以下「湾曲部」という。)から成り、(う)フック部は、正面視で、先端から軸孔部の中心を通る線に対して、約14度左方に傾いた略直線状で、基部寄りが凹状に抉ったような曲線状となり、湾曲部は、爪状部の差し渡しの約3分の1の上方は、緩やかに外方に膨らんで湾曲し、約3分の1の中間部は、略直線状となり、その余の約3分の1の下方は、緩やかに外方に膨らんで湾曲して次の爪状部に繋がり、先端部は、外周に、正面に対して奥方に略直角状の稜部を形成し、(え)軸孔部の中心から先端部(頂)の長さと軸孔部の中心から最も中心に近い基部(谷)の比が、約8:6でその差が約2であって、(お)正面と背面は対称形態であって、(か)中央の軸孔部及び周縁の形態は、中央の軸孔部が、略六角形状で(以下「六角形孔部」という。)、全体の外径に対し、中央の軸孔部の内接円の内径が占める割合は約42.5%で、軸孔部の凹稜部はごく僅かに丸みを帯び、正背面視で全体の横方向半ば、六角形孔部の周縁の上下に小孔を設けているものである。

2 引用意匠の認定
(1)意匠に係る物品
意匠1(以下「引用意匠1」という。)の意匠に係る物品は、「粗砕刃」である。
意匠2(以下「引用意匠2」という。)の意匠に係る物品は、「破砕機用粉砕刃」である。
(2)形態
引用意匠1及び引用意匠2は、上記第3に記載のとおり、本願出願前に公然知られた意匠であると認められる。
(2-1)引用意匠1(別紙第2参照)
本願意匠の向きに合わせて認定すると、引用意匠1は、公開特許公報の特開2002-273254の【図1】に示されたものであるが、本願意匠の背面図にあたる向きであるから背面図と認められる。
意匠に係る物品は、(粉砕装置の)「粗砕刃」であり、引用としたのは【図1】に示す刃の外周形状であって、
引用意匠1の形態は、基本的には、(ア)等間隔に配した同形状の複数の爪状部を持つ略円板状で、中央部に軸孔部を1つ、周縁に複数の同形状の保持孔部を等間隔に形成しているものであって、具体的には、(イ)爪状部は、全周に亘って3つ設けられ、背面視で、先端側を上方とし、軸孔側を下方として観察すると、各爪状部は、爪状部の右側の、先端部(頂)から基部(谷)に向けて形成したフック部と、左側の、先端部(頂)から基部(谷)に向けて形成した湾曲部から成り、(ウ)フック部は、背面視で、先端から半ばまでが、先端から中央の軸孔部の中心を通る線に対して、約40度右方に傾いた略直線状で、半ばから基部までが凹状に抉ったような曲線状となり、湾曲部は、爪状部の差し渡しの約9分の1の上方は、僅かに膨らんで湾曲し、約9分の4の中間部は、略直線状となって、その余の9分の4の下方は、緩やかに外方に膨らんで湾曲して、次の爪状部に繋がり、(エ)爪状部の高さは、中央の軸孔部の中心から先端部(頂)の長さと中央の軸孔部の中心から最も中心に近い基部(谷)の比が、約8:6.5で、その差が約1.5であって、(オ)背面の右側の縦方向中央に外縁から中心に向けて長手方向が全長の約4分の1の浅い略横長長方形状の凹溝部を設け、正面の凹溝部の有無は不明であり、(カ)中央の軸孔部及び周縁の形態は、中央の軸孔部は円形で、全体の外径に対し、内径は約13.5%で、周囲の保持孔部は、中央の軸孔部よりやや小径の円孔を3つ配置しているものである。
(2-2)引用意匠2(別紙第3参照)
本願意匠の向きに合わせて認定すると、引用意匠2は、大韓民国意匠商標公報(登録番号30-0555998)の意匠であるが、上から2つめの図(表記を日本語に訳すと「正面図」)が正面図と認められ、他の図はそれに準ずる。
意匠に係る物品は「破砕機用粉砕刃」であり、引用としたのは中央孔部(軸孔部)の形状であって、
引用意匠2の全体の形態は、全周に亘って等間隔に配した同形状の7つの爪状部を持つ略円板状で、中央部に軸孔部を形成しており、爪状部は、フック部と湾曲部から成り、先端部が平坦で、フック部の背面側に刃面を設けた正背面が非対称形態のもので、軸孔部の形態は、略六角形状で、凹稜部は角張り、周縁に小孔部はなく、全体の外径に対し、軸孔部の内接円の内径が占める割合が、約36%のものである。

3 本願意匠の創作容易
引用意匠1及び引用意匠2に基づいて、「破砕機用破砕刃」の物品分野において当業者が本願意匠を容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
(1)本願意匠の創作非容易性の判断
まず、引用意匠1及び引用意匠2の形態は、それぞれ前記2のとおりであり、本願意匠の前記1の(あ)は基本的構成態様に関わるものであるが、「破砕機用破砕刃」の物品分野においてはごく普通に見受けられる形状であって、等間隔に配した同形状の複数の爪状部を持つ略円板状で、中央部に軸孔部を形成した態様は、引用意匠1及び引用意匠2に見受けられる。次に、前記1の(い)の形態については、爪状部が全周に亘って3つ設けられ、爪状部がフック部と湾曲部から成るものは、引用意匠2に見受けられる。
しかしながら、本願意匠の(う)ないし(か)の形態については、いずれも引用意匠1及び引用意匠2に表されていない。したがって、本願意匠の形態のうち前記1の(う)ないし(か)の形態について、引用意匠1及び引用意匠2に表されているとはいえないから、引用意匠1及び引用意匠2をほとんどそのまま表して本願意匠が創作できたということはできない。
また、引用意匠1及び引用意匠2に基づいて、「破砕機用破砕刃」の物品分野において、周知の創作手法から容易に本願意匠が創作できたかについては、たとえ、「破砕機用破砕刃」の物品分野における当業者知識に基づき、引用意匠1の正背面の外周形状が対称形態のものと、認定できたとして、引用意匠1に基づいて、引用意匠2に見受けられる軸孔部を中央に設け、軸孔部の凹稜部の形態、及び全体の外径に対する軸孔部の内接円の内径が占める割合、に多少の変更を加え、軸孔部周縁に小孔を配するなどしても、引用意匠1の(ウ)の形態を本願意匠の(う)の具体的な爪状部の形態、特に、フック部の形態を正面視で先端から軸孔部の中心を通る線に対して、約14度左方へ傾いた略直線状とし、基部寄りが凹状に抉ったような曲線状となり、湾曲部の形態を爪状部の差し渡しの約3分の1の上方は緩やかに外方に膨らんで湾曲し、約3分の1の中間部は、略直線状とし、その余の約3分の1の下方も緩やかに外方に膨らんで湾曲した形態とすることが、この種物品分野において、ありふれた手法であったとする証拠もなく、上記意匠に基づいて、ありふれた手法による改変などを施しても、本願意匠の形態に容易に想到することができたということはできない。
であるから、引用意匠1及び引用意匠2に基づいて、周知の創作手法を用いて僅かに改変するなどして、当業者であれば、本願意匠が容易に創作できたということはできない。
(2)小括
そうすると、本願意匠の形態のうち前記1の(う)ないし(か)の形態について、引用意匠1及び引用意匠2に表されているとはいえず、前記1の(う)の形態とすることが、「破砕機用破砕刃」の物品分野において、本願意匠出願前にありふれた手法であったとはいい難いので、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠に基づいて「当該物品分野において周知の創作手法」によって創作することができたということはできない。
したがって、本願意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2019-04-19 
出願番号 意願2017-10868(D2017-10868) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (K3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 富永 亘 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 宮田 莊平
渡邉 久美
登録日 2019-06-14 
登録番号 意匠登録第1635772号(D1635772) 
代理人 橋本 薫 
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