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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1352357 
審判番号 不服2019-1975
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-13 
確定日 2019-05-24 
意匠に係る物品 電子計算機 
事件の表示 意願2017- 25890「電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)11月21日(パリ条約による優先権主張2017年6月13日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、平成30年7月25日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年10月26日に意見書が提出されたが、平成30年11月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「電子計算機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠
原審の拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠に係る電子計算機の分野においては、表示部を種々の位置、角度に配置することは、(例えば下記の意匠1のように)本願出願前よりごく一般的に見受けられます。
そうすると、本願出願前より公然知られた下記の意匠2、画像表示機用スタンドの意匠の参考図に表された画像表示機の配置を、本願出願前よりごく一般的に見受けられる手法によって変更したに過ぎない本願の意匠は、当業者であれば容易に創作をすることができたものです。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
特許庁普及支援課が2011年1月13日に受け入れた
中華人民共和国意匠公報2010年11月17日10-46号
デジタルフレーム(公開番号CN301384976S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH22010014号)

意匠2(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1536726号の意匠」

また、原審の拒絶査定において、正面側の円形斜面部の縁部分及びディスプレイ周囲の余地部の形態が、本願意匠の出願前より公然知られたものであるとして、以下の意匠を提示している。

意匠3(当審注:別紙第4参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成24年(2012年)9月14日に受け入れた、JASONIC(H.K.)ELECTRONICS CO.,LTD.が発行した外国カタログ「UNIQUE・INNOVATIVE・STYLE」第63頁に所載の「置時計」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD24005547号)

意匠4(当審注:別紙第5参照)
特許庁普及支援課が平成21年(2009年)11月12日に受け入れた、中華人民共和国意匠公報2009年9月16日09-37号に所載の登録番号CN301011769に表されている「置時計」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH21007065号)

第4 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、タッチパネル操作及びユーザーの音声によって操作が可能な「電子計算機」である。

2 本願部分
(1)部分意匠としての用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分の用途及び機能については、タッチパネル操作によるものだけでなく、音声によっても操作可能な機能を持つ電子機器を内蔵する筐体として用いられ、その電子機器を保護し、電子計算機の外形状を構成するものである。
また、本願部分の位置、大きさ及び範囲は、電子計算機全体の形態から、正面側に配設されたディスプレイ部分、ディスプレイ上部の小円形部分、背面側上方部分に配設された3つの円形状部分、背面側下方部分に形成された略横長長円孔部分の大きな切り欠き部分、本体下端部付近に配設された略縦長長円形状の46個の小切り欠き部分、及び底面部分を除いた部分である。

(2)形態
ア 本願部分の全体の構成態様は、底面部分を水平に切り欠いた有底の略球体の正面側部分を、斜状に切断して切り欠いた形態であって、切断面である略円板状の部分(以下「前面部」という。)とそれ以外の部分(以下「本体部」という。)からなるものであって、
イ 本体部の具体的な形態は、底面部分を本体部の高さが左右方向の直径の約16/17の長さとなるように切り欠き、本体部の最も高い位置から側面視において約65度の角度で斜状に切断したものであり、
ウ 前面部の具体的な形態は、その直径を本体部の左右方向の直径の約10/11の長さのやや小径な略円板状のものとし、その中央部分に、前面部の直径の約7/10の直径とした略円板状のディスプレイ(以下「表示部」という。)を面一になるように形成し、前面部の外周部分に細幅リング状の縁部分(以下「縁部」という。)を僅かに突出させて形成したものである。

3 原審の拒絶の理由における引用意匠
(1)意匠1
意匠1は、「デジタルフレーム」に係る物品であり、意匠1において本願部分に相当する部分の形態は、
ア 部分全体の構成態様は、底面部分を水平に切り欠いた有底の略球体の正面側部分を、斜状に切断して切り欠いた形態であって、切断面である略円板状の前面部とそれ以外の本体部からなるものであって、
イ 本体部の具体的な形態は、底面部分を僅かに切り欠き、本体部の最も高い位置付近から側面視において約70度の角度で斜状に切断したものであり、
ウ 前面部の具体的な形態は、その直径を本体部の左右方向の直径よりやや小径な略円板状のものとし、その中央部分に、縦横比が約1:1.4の略横長長方形状の表示部を形成し、前面部の外周部分に細幅な縁部を面一になるように形成したものである。

(2)意匠2
意匠2は、「画像表示機用スタンド」に係る物品であるが、原審の拒絶理由通知では、この画像表示機用スタンドの意匠の参考図に表された「画像表示機が固定された画像表示機用スタンド」の意匠に係る形態を引用している。
よって、意匠2の形態については、参考図に表された「画像表示機が固定された画像表示機用スタンド」の形態について以下記載する。
意匠2において本願部分に相当する部分の形態は、
ア 部分全体の構成態様は、底面部分を水平に切り欠いた有底の略球体の上方側から正面側にかけて、斜状に切断して切り欠いた形態であって、切断面の部分である前面部とそれ以外の本体部からなるものであって、
イ 本体部の具体的な形態は、底面部分を僅かに切り欠き、有底の略球体の最も高い位置に対してやや後方となる位置から前方に向かって側面視において約45度の角度で斜状に切断したものであり、その切断面の外周部分に略円環状の細幅な縁部を形成したものである。
ウ 前面部の具体的な形態は、その周囲に本体部の左右方向の直径よりやや小径な略円環状の縁部を設け、その縁部から大きく窪んだ位置に、略円形凹面状の表示部を周囲に余地を設けずに形成したものである。

(3)意匠3
意匠3は、「置時計」に係る物品であり、意匠3において本願部分に相当する部分の形態は、
ア 部分全体の構成態様は、略球体の上方側から正面側にかけて、斜状に切断して切り欠いた形態であって、切断面である略円板状の前面部とそれ以外の本体部からなるものであって、
イ 本体部の具体的な形態は、上下中央の外周部分に溝部を形成した有底の略球体の上方側半球の最も高い位置に対して後方となる位置から前方に向かって側面視において小さな傾斜角度で斜状に切断したものであり、
ウ 前面部の具体的な形態は、その直径を本体部の左右方向の直径より小径な円板状のものとし、その中央部分に、前面部の直径の約3/5の直径とした略円板状の表示部を面一になるように形成し、前面部の外周部分に細幅リング状の縁部を形成したものである。

(4)意匠4
意匠4は、「置時計」に係る物品であり、意匠4において本願部分に相当する部分の形態は、
ア 部分全体の構成態様は、略球体の正面側部分を、斜状に切断して切り欠いた形態であって、切断面である略円板状の前面部とそれ以外の本体部からなるものであって、
イ 本体部の具体的な形態は、外周部分に側面視において約25度の傾きを持つ線模様及びその下方に水平方向に線模様を施した本体部の最も高い位置よりやや前方の位置から側面視において約53度の角度で斜状に切断したものであり、
ウ 前面部の具体的な形態は、その直径を本体部の左右方向の直径より小径な円板状のものとし、その中央部分に、前面部の直径の約5/9の直径とした略円板状の表示部を僅かな段差を設けて形成し、前面部の外周部分に細幅リング状の縁部を形成したものである。

4 本願意匠の創作容易性の判断
本願意匠の電子計算機に係る当業者においては、本願意匠を創作する際に、本物品の操作性や表示部の視認性について考慮してその創作を行うといえるところ、本願意匠に係る物品は、タッチパネル操作とユーザーの音声によって操作が可能な電子計算機に係るものであって、タッチパネル操作では前面部の傾斜角度を小さくすれば安定性が高まり操作性が良く、音声操作では前面部の傾斜角度を大きくすれば画面の視認性が良くなるといえるものである。
そうすると、本願意匠の本体部の前面部の傾斜角度に係る形態の創作については、タッチパネルでの操作と表示部の見やすさを考慮してその傾斜角度を決定したものであって、画面での操作を行わず表示部の視認性だけを考慮すればよいと認められる意匠1のデジタルフレームの形態や、タッチパネルでの操作時の安定性を重視したものと認められる意匠2の「画像表示機が固定された画像表示機用スタンド」の形態が、本願意匠の出願前に存在していたとしても、当業者は、前面部の大きさやその傾斜角度を含めた本体部の形態の決定の過程において、操作性と視認性を満たすために相当程度の創作性を要したものと認められる。
また、本願意匠の前面部の形態の創作については、本願意匠の出願前に公然知られた意匠3及び意匠4は、「置時計」に係るものであり、「置時計」と「電子計算機」では、その用途及び機能が異なるほか、その製造、販売に従事する者も異なるから、これら意匠3及び意匠4において、前面部の中央部分に余地を設けて略円板状の表示部を形成したものがあったとしても、本願意匠の電子計算機に係る当業者間で当該前面部の形態を広く知られていたとは認めることはできない。
したがって、本願意匠は、意匠2に表された公然知られた形態を本願出願前よりごく一般的に見受けられる手法によって変更したに過ぎないものということはできず、また、当業者が意匠3及び意匠4を示しても公然知られた形状に基づいて創作することができたものということもできないから、本願意匠は、当業者が公然知られた形状に基づいて容易に創作することができたものではない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2019-05-09 
出願番号 意願2017-25890(D2017-25890) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 渡邊 吉喜 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2019-06-28 
登録番号 意匠登録第1637085号(D1637085) 
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 
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