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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L6
管理番号 1352359 
審判番号 不服2019-1971
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-12 
確定日 2019-06-18 
意匠に係る物品 床において複数並べて使用する床材 
事件の表示 意願2017- 19160「床において複数並べて使用する床材」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年9月5日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 5月10日付け 拒絶理由通知書
平成30年 6月22日 意見書の提出
平成30年 9月25日付け 拒絶理由通知書
平成30年11月 5日 意見書の提出
平成30年11月 5日 手続補正書の提出
平成30年12月17日付け 拒絶査定
平成31年 2月12日 審判請求書の提出
平成31年 2月12日 手続補正書の提出
平成31年 4月23日 面接の実施

第2 本願意匠

本願意匠は、意匠に係る物品を「床において複数並べて使用する床材」とし、その形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合(以下、「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由(平成30年9月25日付け。以下同様。)は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「この種物品分野において、板の木目方向と斜めに交差するように正方形の板を作成することは、(例えば下記の意匠1のように)本願出願前より、ごく一般的に行われています。
また、本願程度の色合いの木目調も、本願出願前よりごく普通に見受けられるところです。(例えば、意匠2)
そうすると、本願出願前よりごく普通に見受けられる木目調の板を、ごくありふれた手法で、その木目と斜めに交差するように正方形の板を作成した程度にすぎない本願の意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものです。

意匠1(当審注:当審決においては、別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
平成 4年特許出願公開第221602号
【図2】、【図3】に表された建築用板の意匠

意匠2(当審注:当審決においては、別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2013年12月 6日に受け入れた 東リプリントタイルカタログ 2013-2016
第046頁所載
建築用板の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC25022074号)」

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「床において複数並べて使用する床材」であり、願書の意匠に係る物品の説明欄には、「本願物品は、床において複数並べて使用することによって、使用状態を示す平面参考図A?Eに示したように、右上がり、左上がり、ヘリンボーン状、略正方形状、ランダム(ジグザグ状)など所定の模様及び色彩を構成するものである。これらの模様及び色彩のうち、例えば、平面参考図Aで示された右上がりの模様及び色彩を構成した際には、平面参考図Fに示したように、矢印1を起点とする筋は、並べて使用された複数の本願物品それぞれにおける一方の対角線に対して略平行に(換言すれば、複数の本願物品それぞれにおける一方の対角線に略沿って)矢印1’まで伸びると共に、矢印2を起点とする筋も、並べて使用された複数の本願物品それぞれにおける一方の対角線に対して略平行に矢印2’まで伸びる模様及び色彩となるように、本願物品は、床において並べて使用できる。これは、平面参考図B?Eで示された左上がり、ヘリンボーン状、略正方形状、ランダム(ジグザグ状)の模様及び色彩を構成した際にも、平面参考図G?Jに示したように、同様である。本願物品の大きさは、縦100mm以上1000mm以下(例えば、500mm、300mmなど)、横100mm以上1000mm以下(例えば、500mm、300mmなど)、厚さ1mm以上10mm以下(例えば、5mm、3mmなど)である。」と記載されている。

(2)形態
本願意匠の形態は、以下のとおりである。
ア 全体について
本願意匠は、平面視正方形の薄い板状体であって、その上面(平面部)のみ模様及び色彩が表されている。

イ 上面の模様及び色彩について
正方形の対角線(右上がり)にそって木目調の筋や節が全面にわたって模様を構成し、平面視左上の頂点から右下の頂点にわたって、明るい色調の帯状部、暗い色調の帯状部を交互に繰り返し、略9つの平行帯状部を構成している。

なお、出願人は、平成31年2月12日の手続補正により、願書の「意匠に係る物品」の欄、「意匠に係る物品の説明」及び願書添付図面に参考図を4図加える補正を行っているが、この手続補正は、出願当初の願書の記載又は願書添付図面の要旨を変更するものではないと認められる。

2 引用意匠の認定
引用意匠として挙げられた意匠1及び意匠2は、上記第3に記載のとおり、本願出願前に公然知られた意匠であると認められる。本願意匠の向きに合わせて意匠1及び意匠2を認定する。
(1)意匠1
意匠1の意匠に係る物品は、建築用板である。また、その形態は以下のとおりである。
ア 全体について
3枚の単板を積層したやや厚みのある平面視正方形の板状体である。

イ 上面の模様について
1層目の板体の木目が正方形の対角線にそって表れ、対角線と平行な3つの切断線が表されている(図2のe、f及びg)。

(2)意匠2
意匠2の意匠に係る物品は、建築用板である。また、その形態は以下のとおりである。
ア 全体について
平面視において縦長の菱形状とするもので、具体的な厚みは表されていない。その上面(平面部)に模様及び色彩が表されている。

イ 上面の模様について
右下方向に向かう木目調の筋によって明るい色調の帯状部、暗い色調の帯状部を交互に繰り返し、複数の平行帯状部を構成している。なお、木目調ではあるが、板目状の節は表されていない。また、木目調の筋の並びが異なり、全体が薄い色調のPWT634(左側)と、前者と比較して全体が濃い色調のPWT635(右側)の2つの建築用板が並んで表されている。

3 本願意匠の創作非容易性について
本願意匠の形態は、上記1に示すとおりであるところ、本願意匠の上面に設けられた明暗の色調を伴う平行帯状部の構成は、願書の記載によれば、複数並べて使用する際に、右上がり、左上がり、ヘリンボーン状など、各種の所定の模様及び色彩を構成することを意図したものである。この種物品分野において、1枚の板材上面に幅の細い板を複数貼り合わせることによって帯状部を構成し、複数並べた際に各種の模様を作り出すことは従来から見受けられる手法であるが、本願意匠は幅の細い板の貼り合わせではなく木目調の筋や節の中に明暗の色調によって平行帯状部を構成したものであり、この点はこの種物品分野において従来にない特徴的な形態というべきである。
これに対し、引用意匠1は、正方形の対角線状に木目が表されているにすぎない事例であり、引用意匠2は、木目調の模様によって明暗調の平行帯状部が表されているが、そもそも平面視菱形であることから、複数並べて使用する際に、本願意匠を並べた時に構成される模様にはなり得ず、上面に表された平行帯状部は木目調の質感を表したものにすぎないから、本願意匠のように各種の所定の模様及び色彩を構成することが意図されたものとは異なるものといわざるを得ない。

そうすると、本願意匠は、この種物品分野において独自の着想によって創出したというほかなく、当業者が公然知られた形状に基づいて容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-06-06 
出願番号 意願2017-19160(D2017-19160) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
北代 真一
登録日 2019-06-28 
登録番号 意匠登録第1636775号(D1636775) 
代理人 堀家 和博 
代理人 千葉 茂雄 
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