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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2
管理番号 1353219 
審判番号 不服2019-1815
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-08 
確定日 2019-05-20 
意匠に係る物品 電磁弁 
事件の表示 意願2017- 18625「電磁弁」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)8月30日の意匠登録出願であって、平成30年6月25日付けの拒絶理由の通知に対し、平成30年8月3日に意見書が提出されたが、平成30年11月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとし、本意匠の出願番号を同日に出願された意願2017-18624号とする関連意匠の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「電磁弁」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、中華人民共和国意匠公報2015年11月11日15-45号に記載された、公開番号CN303441076Sにおける意匠1?3と表されているもののうち、意匠1の「ソレノイドバルブ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH27007508号)であり、その形態は、同公報に記載されたとおりとしたものであって、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分を、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)としたものである(別紙第2参照)。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「電磁弁」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「ソレノイドバルブ」であるが、いずれも電磁石の原理を用いて発生させた電磁力によって内蔵したバルブ内の弁を開閉し、流体の停止や流入・流出方向を切り替える等の流体を制御する機能を有するものであるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、その用途及び機能が共通するものである。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれもソレノイドが内蔵され直線的な動作を生み出す部分であるバルブ作動部分、その上面及び下面に流体の入・出力ポートを形成し、バルブを内蔵した筐体の部分であるバルブ本体部分、並びにバルブ本体部の端部を覆うための部分であるキャップ部分からなる電磁弁におけるバルブ本体部分であって、他の流体圧機器と配管を介して接続するために用いられる部分であり、内蔵したバルブ内の弁を開閉することで流体を制御する機能を有するものであるから、両部分の用途及び機能は、一致するものである。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも電磁弁のバルブ本体部であるから、両部分の位置、大きさ及び範囲は、一致するものである。

4 両部分の形態の対比
両部分の形態を対比する(なお、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめることとする。)と、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
(1)両部分の形態の共通点
(共通点1)両部分は、部分全体の形状を略直方体状とする弁が内蔵された筐体の部分(以下「弁本体部」という。)と、その上面部分に、弁本体部と一体的になるように形成した、突出した2つのポートからなる配管等接続部分(以下「上面ポート部」という。)、及び弁本体部の下面部分に、下面部分に直接穿孔して形成した、3つのポートからなる配管等接続部分(以下「下面ポート部」という。)からなるものである点で共通する。
(共通点2)両部分は、弁本体部の形態が、正面及び背面の右側端部に、平面視略横「〔」(亀甲括弧)状の外形状とし、その内部に円形貫通孔が形成した、垂直な凸状部分(以下「凸条部」という。)を、その上端部分を僅かに水平状に切り欠いて1条ずつ形成し、正面及び背面の左側端部に、平面視略横「〔」(亀甲括弧)状に切り欠いた形状の垂直な凹状部分(以下「凹条部」という。)を1条ずつ形成している点で共通する。
(共通点3)両部分は、上面ポート部の各ポートの形態が、弁本体部の1/5程度の高さの肉厚な略短円筒形状とし、各ポートの円孔部の内径を同一の大きさとし、その内周面に螺子山を形成している点で共通する。
(共通点4)両部分は、下面ポート部の各ポートの形態が、円形状の孔とし、その円孔部の内径を同一の大きさとしている点で共通する。

(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)本願部分の上面ポート部の形態が、内径が大きな略短円筒形状のポートを2つ、離間して並設しているのに対し、引用部分の上面ポート部の形態は、正面及び背面側の外側面に、ポートの直径の約1/3の幅を有する長方形状の平坦面が形成されたポートを2つ、上端部近傍まで延びる壁面によって連結して一体となるように形成している点で、両部分は相違する。
(相違点2)本願部分の下面ポート部が、内径が大きな円孔状のポートを3つ、弁本体部の長手方向に一列に形成しているのに対し、引用部分の下面ポート部は、内径が小さな円孔状のポートを3つ、弁本体部の長手方向に対して斜めとなる配置で一列に形成している点で、両部分は相違する。
(相違点3)本願部分の凸条部及び凹条部が、弁本体部の左右端部に凸条部若しくは凹条部の横幅の1/2程度の余地を設けて形成しているのに対し、引用部分の凸条部及び凹条部は、弁本体部の左右端部に凸条部若しくは凹条部の横幅と同程度の余地を設けて形成している点で、両部分は相違する。
(相違点4)本願部分には、底面部の凹条部の付近に二重丸で表された小円孔を1つずつ形成しているのに対し、引用部分には、底面部の凸条部の付近に小円孔を1つずつ形成し、背面部の下端部付近に小円孔を2つ、間隔をあけて水平に形成している点で、両部分は相違する。

第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、主たる用途及び機能が共通するから、類似する。

2 両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、主たる用途及び機能が一致するから、同一である。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、物品全体の形態の中における位置、大きさ及び範囲が一致するから、同一である。

4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価
(1)両部分の形態の共通点
(共通点1)は、部分全体の形態に係るものであって、両部分の構成態様の基調を形成するものであるが、この電磁弁の物品分野において、弁本体部上面部分から上面ポート部を突設し、弁本体部底面部分に下面ポート部を穿孔して形成したものは、特段特徴のない構成態様にすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえないから、この(共通点1)が部分全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)は、弁本体部の形態に係るものであるが、正面及び背面側の端部に、凸条部及び凹条部を設けた形態は、同形状の電磁弁を複数並設する際にそれらの部分を組み合わせることで、位置ずれ等を防止のためのものであり、この電磁弁の物品分野においては、ごく普通に形成される一般的な形態にすぎないから、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、この(共通点2)が部分全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点3)及び(共通点4)は、配管等接続部である上面ポート部及び下面ポート部の各ポートの形態についてであるが、肉厚な上面ポート部の高さを弁本体部の1/5程度としたものは既に見られるものであり(例えば、意匠登録第1520689号参照)、上面及び下面ポート部の各ポートの内径を同一の大きさとし、その内周面に配管等を接続するための螺子山を形成したものも、当該物品分野においてはありふれたものに過ぎないから、これらの共通点が部分全体の美感に与える影響は小さい。

(2)両部分の形態の相違点
(相違点1)は、需要者が本物品の設置時等に特に注視する部分といえる配管等の接続部に係る上面ポート部の具体的な形態であって、本願部分が、2つの略円筒状のポートを分離独立して立設したとの印象を与えるのに対して、引用部分は2つの角張った部分のあるポートを連結して平面視略アレイ状に形成したとの印象を与えるものであるから、両部分は上面ポート部の美感に大きな相違がある。
(相違点2)も、需要者が本物品の設置時等に特に注視する部分といえる配管等の接続部に係る下面ポート部の具体的な形態であって、この電磁弁の物品分野において様々な内径や配置態様のものが既に見られるとしても、両部分は、各ポートの形態及びそれら3つのポートの配置態様が大きく異なるものであるから、両部分は下面ポート部の美感に一定の差異があるといえる。
(相違点3)及び(相違点4)は、この種物品分野における各部の形態としてごく一般的なものに過ぎず、その部分を注視して気づく程度の細部に係るものにすぎないから、これら相違点が部分全体の美感に与える影響は小さい。

5 両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両部分は、需要者が本物品の設置時等に注視する部分と認められる配管等の接続部に係る上面ポート部の美感に大きな差異があり、下面ポート部の美感にも一定の差異があるから、これらを総合すると、両部分は全体として美感に大きな差異があるといえる。
そうすると、部分全体の態様、ありふれた形態にすぎない弁本体部の形態、上面ポート部及び下面ポート部の各ポートの形態の共通性を考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似し、両部分の用途及び機能が同一であり、両部分の位置、大きさ及び範囲も同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2019-05-08 
出願番号 意願2017-18625(D2017-18625) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2019-07-12 
登録番号 意匠登録第1638554号(D1638554) 
代理人 林 宏 
代理人 林 直生樹 
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