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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 F4
管理番号 1354133 
審判番号 不服2016-6109
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-25 
確定日 2016-08-23 
意匠に係る物品 包装用箱 
事件の表示 意願2015- 11452「包装用箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)5月25日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,当該意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は願書に記載した本意匠に類似する意匠とは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しない,としたものであって,本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年5月25日に意匠登録出願され,同年12月11日に意匠権の設定の登録がなされ,平成28年1月18日に意匠公報が発行された意願2015-11453号(意匠登録第1541840号)の意匠であり,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形態は,願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりのものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」(以下,当該意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)としたものである。(別紙第2参照)

第3 手続の経緯
原査定の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠は本意匠に類似する意匠であって,意匠法第10条第1項の規定に該当する旨主張したが,拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として平成28年4月25日に審判を請求するとともに手続補正書を提出して,本願の願書に記載していた「本意匠の表示」の欄を削除した。

第4 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるか否かを,主に,本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が本意匠に類似するか否かについて検討し,判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願部分と本意匠部分(以下「両部分」という。)について,その用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲を対比し,それらを踏まえて,両部分の形態を対比する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用箱」であるから一致し,また,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲については,両部分ともに,箱本体の上面を正面上部から背面上部にかけて覆うシート部において,その上面の長手方向の正面寄り及び背面寄りの2箇所に,それぞれ左右両端部に余地部を残しつつ,上面と正面(背面寄りは上面と背面)が接する稜線部(以下「稜線部」という。)に沿って設けた開口部と,その開口部の稜線側の縁部から鉛直方向に立ち上がっている突出片(以下「ラベル部」という。)に係るものであって,箱本体に収納する商品の付属品やノベルティ等を開口部から箱本体とシート部の間の隙間に収納できるようにしたものであるから,一致する。
そして,両部分の形態については,主に,以下の(A)及び(B)の点が共通する。
(A)上面の正面寄り及び背面寄りの2箇所に,それぞれ左右両端寄りに余地部を残しつつ稜線部に沿って開口部とラベル部を設けたものである。
(B)ラベル部の両脇に小さな半円形状の突出片を設けたものである。

(2)相違点の認定
形態について,主に,以下の(イ)ないし(ハ)の点が相違する。
(イ)ラベル部の形状について,本願部分は,正面側のラベル部を,正面視縦横比が約1対4の略弓形状とし,背面側のラベル部を,上部の左右両角部に丸味を付けた正面視縦横比が約1対14の略長方形状としたものであるのに対して,本意匠部分は,正面側及び背面側のラベル部を,上部の左右両角部に丸味を付けた正面視縦横比が約1対14の略長方形状としたものである。
(ロ)開口部の形状について,本願部分は,正面側の開口部を,平面視縦横比が約1対4の略弓形状とし,背面側の開口部を,内方寄り(背面側)の左右両角部に丸味を付けた縦横比が約1対14の平面視略長方形状としたものであるのに対して,本意匠部分は,正面側及び背面側の開口部を,内方寄り(背面側)の左右両角部に丸味を付けた縦横比が約1対14の平面視略長方形状としたものである。
(ハ)ラベル部の両脇に小さく表れている半円形状の突出片について,本願部分は,正面側のものはラベル部の下端から下方に向けて突出し,背面側のものは稜線部から水平に突出したものであるのに対して,本意匠部分は,正面側と背面側のものがともに稜線部から水平に突出したものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する両部分の形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)及び(B)は,基本的な構成態様に係るものであるが,全体を概括したものであって,各部の具体的な態様には相違点が存在しているから,両部分の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(2)相違点についての評価
相違点(イ)及び相違点(ロ)は,両部分の全体の形状を特徴付ける部分に係る相違であって,正面側のラベル部及び開口部の形状が大きく相違するものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(ハ)は,細部に係る相違であるが,目に付きやすいものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。

そうすると,特に相違点(イ)及び(ロ)が相俟って,両部分の形態について異なる視覚的印象を看者に与え,その余の相違点(ハ)も加わって,これらの相違点を総合すると,相違点は両部分の類否判断を決するものであるといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲についても一致するものであるが,両部分の形態の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,看者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,本意匠に類似しないものと認められる。

第5 むすび
以上のとおり,本願意匠は,本意匠に類似するものとは認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであるから,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものではあるが,前記第3に記載のとおり,平成28年4月25日に提出した手続補正書によって,本願の願書に記載した「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされているから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-05 
出願番号 意願2015-11452(D2015-11452) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 成田 陽一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 正田 毅
江塚 尚弘
登録日 2016-09-09 
登録番号 意匠登録第1560324号(D1560324) 
代理人 山田 威一郎 

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