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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1354141 
審判番号 不服2019-1805
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-08 
確定日 2019-07-30 
意匠に係る物品 門扉用パネル 
事件の表示 意願2017- 29036「門扉用パネル」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成29年12月26日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 8月 3日付け 拒絶理由通知書
平成30年 9月14日 意見書の提出
平成30年11月 1日付け 拒絶査定
平成31年 2月 8日 審判請求書の提出
平成31年 6月14日 面接の実施

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「門扉用パネル」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、「この意匠登録出願の意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(当審注:以下「引用意匠」という。)に類似するものと認められますので、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当します。」というものである。

引用意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成29年10月30日)に記載された、意匠登録第1589230号(意匠に係る物品,門扉)の意匠であり、その形態を、同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第4 対比

1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「門扉用パネル」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「門扉」である。ともに門柱等に取り付けられるパネル状の扉であり、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。

2 形態の対比
(1)形態の共通点
(共通点1)全体構成
縦長の同幅スリットが複数表れるように、複数の縦長扁平四角柱の縦桟を構成し、正面視縦長のパネル状とし、上下端部を薄い板ではさみ、その上下の薄い板に接してそれぞれ設けた水平方向の扁平四角柱の横框(以下上部を「上横框」、下部を「下横框」という。)が各スリットの上下端部に表れている点。
(共通点2)縦長扁平四角柱の縦桟の構成
3種類の幅の縦長扁平四角柱の縦桟があり、一方の端部を最も広く(以下「合掌框」という。)、もう一方の端部を2番目とし(以下「吊元框」という。)、内側に複数表れる桟(以下「内側縦桟」という。)を最も狭く、かつ複数ある内側縦桟は全て同幅としている点。
(共通点3)上横框及び下横框
上横框及び下横框は正面視において高さが略同一で、正面視全体の高さに対し、約17:1としている点。奥行き方向における厚みも上下略同一であり、縦長扁平四角柱の縦桟の奥行き方向の厚みよりも薄い点。
(共通点4)縦長扁平四角柱の縦桟のスリット側の態様
3種類の幅の縦長扁平四角柱の縦桟は、正面視においてスリット側近傍に垂直方向の線(以下「スリット側垂直線」という。)が表れている点。

(2)形態の相違点
(相違点1)全体構成
正面視における全体の縦横比について、本願意匠は約7:4であるのに対し、引用意匠は約3:2である点。
(相違点2)スリット
本願意匠はスリットが5本であるのに対し、引用意匠は8本である点。
(相違点3)スリット側垂直線の具体的態様
スリット側垂直線について、本願意匠は、縦長扁平四角柱の各縦桟のスリット側には奥行き方向にカバー体が嵌め込まれており、スリット側垂直線は、カバー体が嵌め込まれることによって表れる接合線であるのに対し、引用意匠は、スリット側に設けられた面取り部の稜線が表れているものである点。
(相違点4)合掌框の側面側の態様
本願意匠は、合掌框の外側端部を凹凸状の構成としているのに対し、引用意匠の合掌框側の外側端部は、角張った断面略C字状に構成されている点。

第5 判断

1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

2 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠は、共に門扉を構成するパネル状の扉に係り、エクステリアとして空間を外と内に仕切る機能を有することから、需要者は、その正面・背面のパネル表面の形態の他、外から内がどの程度見えるかといった観点にもある程度着目して両意匠に係る物品を観察するものということができる。したがって、パネル表面を構成する桟や框の構成が需要者の注意を強く惹く部分であるとともに、スリットを有していればその態様も一定の注意を払う部分であるということができる。
(1)形態の共通点
(共通点1)は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点であり、また、この種物品分野における形態として、両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず、これらが意匠全体の美感に与える影響は一定程度に留まる。
(共通点2)は、合掌框に錠の機構を含む取っ手が取り付けられることから比較的広い横幅を必要とし、吊元框も門柱部等と接合する部分であり、強度の面から一定の厚みを必要とするのに対し、内側縦桟は、そのような機能的要件はない。このことから、両意匠のような縦長扁平四角柱の縦桟の太さに大中小の関係が見られることは特別なことではなく、両意匠のみの特徴ということはできない。
(共通点3)は、上下横框の正面視における高さ及び奥行き方向の厚みにおける態様としては、この種物品分野においてことさら特徴的な態様ではなく、よく見られるものであり、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点4)は、形態としてみれば相違点3の相違が認められるから、共通点として両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(2)形態の相違点
(相違点1)は、本願意匠がやや細く見えるが、わずかな差異にすぎず、意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点2)は、スリットの数によって、向こう側の見え方が異なるが、両意匠に極端に差があるほどのものではなく、また、両意匠ともこの種物品分野の中で普通に見られる態様の範囲であることから、この差異が美感に与える影響は、大きなものではない。
(相違点3)について、以下の点で形態は顕著に異なっている。本願意匠のスリット側の垂直線は、カバー体が嵌め込まれることによって表れる線で、表面に凹凸がないことによって、パネル表面のフラット感を保ちながら、カバー体によって変化を与える態様としているのに対し、引用意匠のスリット側の垂直線は、面取り部の稜線が表れているものであり、縦桟等に面取りを設けることはこの種物品分野でよく見られることから、特段の特徴を有しているものではない。(相違点3)は、需要者の最も注視するパネル表面の構成にかかわっていることから、意匠全体の美感に与える影響は極めて大きい。
(相違点4)は、外観上目立つ部分ではないが、閉鎖時の機構にかかわる部分であり、美感に与える影響は一定程度認められる。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記2のとおり、パネル表面の形態が需要者の最も注意を惹く部分であることを考慮すると、上記2(2)のとおり、(相違点3)に示す差異が美感に与える影響は大きく、また、閉鎖時の機構にも一定の差異があるから、これらを総合すると、両意匠は美感に大きな差異を有するといえる。
それに対し、上記2(1)で示したとおり、共通点はいずれも両意匠のみのものとすることはできず、相違点の方が共通点を上回っており、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものと認められる。

したがって、両意匠の意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。

第6 むすび

以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-07-18 
出願番号 意願2017-29036(D2017-29036) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
北代 真一
登録日 2019-08-09 
登録番号 意匠登録第1640318号(D1640318) 
代理人 岡本 茂樹 
代理人 中井 博 
代理人 中井 博 
代理人 岡本 茂樹 
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