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審決分類 審判    D3
審判    D3
管理番号 1354144 
審判番号 無効2017-880014
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2017-12-27 
確定日 2019-07-31 
意匠に係る物品 装飾用照明具 
事件の表示 上記当事者間の意匠登録第1504534号「装飾用照明具」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 手続の経緯
本件意匠登録第1504534の意匠(以下「本件登録意匠」という。別紙第1参照。)は、平成25年(2013年)7月16日に意匠登録出願(意願2013-16097)されたものであって、審査を経て平成26年7月11日に意匠権の設定の登録がなされ、同年8月11日に意匠公報が発行され、その後、当審において、概要、以下の手続を経たものである。
・審判請求書提出 平成29年12月27日
・手続補正指令 平成30年 5月24日付け
・手続補正書提出 平成30年 6月21日
・上申書(請求人(1))提出 平成30年 6月21日
・審判事件答弁書提出 平成30年 8月17日
・審判事件弁駁書提出 平成30年11月19日
・口頭審理陳述要領書(被請求人)提出 平成31年 1月25日
・口頭審理陳述要領書(請求人)提出 平成31年 2月 8日
・口頭審理 平成31年 2月22日
・上申書(請求人(2))提出 平成31年 3月 7日
・上申書(被請求人)提出 平成31年 3月28日

第2 請求人の申し立て及び理由の要点
請求人は、請求の趣旨を
「登録第1504534号意匠の登録を無効とする。審判費用は披請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由を、おおむね、以下のとおり主張した(「審判事件弁駁書」「口頭審理陳述要領書」、及び平成31年3月7日提出の「上申書」の内容を含む。)。

1.「審判請求書」における主張
(1)本件意匠登録
意匠登録第1504534号
意匠に係る物品「装飾用照明具」(甲第1号証)
(2)手続の経緯
出願 平成25年7月16日
登録 平成26年7月11日
掲載公報発行 平成26年8月11日
(3)意匠登録無効の理由の要点
本件登録意匠は、本件意匠の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)に記載された意匠に類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
また、本件登録意匠は、その意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。
よって、本件登録は、同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。
(4)本件意匠登録を無効とすべき理由
〔1〕本件登録意匠の要旨
本件登録意匠は、意匠登録第1504534号の意匠公報に記載のとおり、意匠に係る物品を「装飾用照明具」とし、以下の構成態様からなる。
基本的構成態様)
A)一方向に延伸する複数の線を束ねたケーブル部と、
B)該ケーブルにおいて、一定の間隔で凸状(逆T型)に連続して配置された電飾部と、
C)細長の筒状からなる電飾部の本体と、その一端部に発光部を有する電飾部、から構成される(甲第1号証)。
〔2〕先行意匠が存在する事実及び証拠の説明
本件登録意匠の意匠登録出願日は、平成25年(2013年)7月16日であるところ、当該出願日よりも前に頒布された刊行物に掲載され公知となった装飾用照明具(甲第2号証の1 甲第2号証の第3頁掲載の図版部(写真)の左下(製品名:プレイライトストリングス)の装飾用照明器具の意匠)の装飾用照明器具の意匠、は、以下の構成態様からなる。
基本的構成態様)
a)一方向に延伸する複数の線を束ねたケーブル部と、
b)該ケーブルにおいて一定の間隔で凸状(逆T型)に連続して配置された電飾部と(甲第2号証の2 甲第2号証の第3頁最下方左側掲載の図版にて示される装飾用照明器具の意匠の仕様図(全体図))、
c)細長の筒状からなる電飾部の本体と、その一端部に発光部を有する電飾部、から構成される。
かかる基本的構成態様を有する装飾用照明具は、通称「ストレートタイプ」若しくは「ストレートライト」(甲第3号証)、或いは「ストリングス(タイプ)」(甲第4号証 甲第4号証の第2頁の最上方掲載の図版部(写真)(製品名:エリートライトシリーズ LEDストリングス(日亜化学工業製LED))の装飾用照明器具の意匠)などと呼称されており、装飾用照明具の基本的な意匠のタイプとして、本件登録意匠の出願前より公知な形態であったものである。更に、本件登録意匠の出願日前において、本件登録意匠の基本的構成態様であるA)乃至C)の構成をすべて有する装飾用照明具は多数存在する。
特に、第2号証の第8頁上方に掲載の図版部(写真)(製品名:LEDプレイライトつらら)の装飾用照明器具の意匠及び同号証の第8頁下方に掲載の図版部(写真)(製品名:プレイライトつらら)の装飾用照明器具の意匠は、横方向に張った一本のケーブルに、本件登録意匠の基本的構成態様を全て具備する装飾用照明具を複数並列に吊るして配置してなる装飾用照明具であり、本件登録意匠の基本的構成態様を含む装飾用照明具が公知となった事実に他ならない。
更に、発明の名称を「電飾装置及びその製造方法」とする特願2009-47536(出願日:平成21年(2009)3月2日、出願公開日:平成22年(2010) 9月16日)は、本件登録意匠の基本的構成態様を全て有する装飾用照明具、即ち、ストレートタイプ、若しくは、ストリングスタイプの装飾用照明具の図面を、当該発明の実施例として掲載している(甲第6号証(同号証中のマーキングと指示スタンプは下図を特定するためのものであり、また、本件意匠に類似する下図の意匠が、本件意匠の出願前に公知となっている事実を示すものである))。
以上より、本件登録意匠の基本的構成態様は、その出願日である平成25年(2013年)7月16日以前に公知となった意匠の基本的構成態様と全て共通する。
〔3〕意匠法第3条第1項第3号への該当性:本件登録意匠と先行意匠との類否
ア)基本的構成態様からの検討
本件登録意匠の意匠に係る物品は装飾用照明具であるところ、当該物品の需要者は、装飾用照明具を事業上の装飾資材として使用する資材購買担当者、若しくは、装飾用照明具をクリスマスなどの季節イベントやその他居宅や庭の電飾用に自家的に使用する一般消費者である。
そして、登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は、需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものである(意匠法第24条第2項)。よって、装飾用照明具を事業上の装飾資材として使用する資材購買担当者、及び、装飾用照明具を季節イベント用等に自家的に使用する一般消費者が感得する美感の共通性をもって判断する必要がある。
そこで、本件登録意匠と前記公知意匠の基本的構成態様を比較すると、これらの基本的構成態様は装飾用照明具の機能を発揮するために必須の構成であるところ、すべての基本的構成態様が前記需要者の注意を惹く意匠の要部であることと相侯って、本件登録意匠の形態に接したかかる需要者は、本件登録意匠の基本的構成態様から前記公知意匠と共通の美感を感得することは火を見るより明らかである。
特に、意匠法第24条第2項が定める美感の判断主体である需要者は、装飾用照明具の創作者・デザイナーを排除する趣旨であるところ、装飾用照明具の資材購買担当者及び一般需要者(一般消費者)は基本的構成態様を大づかみに観察感得し、個々の構成の細部について子細に観察することはない。
以上より、本件登録意匠の基本的構成態様は、その出願日である平成25年(2013年)7月16日以前に公知となった意匠の基本的構成態様と全て共通する。また、基本的構成態様の意匠としての形態は共通である。
従って、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然知られた意匠又は頒布された刊行物に記載された意匠又はこれらに類似する意匠に該当するから、意匠登録の要件である所謂「新規性」を欠き、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
イ)具体的構成態様を考慮した検討
上記において詳述のとおり、本件登録意匠と甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)にて示す意匠の基本的構成態様は共通することから、本件意匠はこれらの証拠が示す公知意匠と類似する意匠である。よって、基本的構成態様の検討において、本件登録意匠は意匠登録を受けることができない無効理由を有する意匠であることは明らかである。
また、仮に、本件登録意匠は基本的構成態様の比較において無効理由が無い場合であっても、本件登録意匠の具体的構成態様、即ち、基本的構成態様内に存在する具体的な細部の形態を考慮しても、本件登録意匠はなお、公知意匠に類似し、無効埋由を有する意匠である。以下、その理由を詳述する。
ウ)装飾用照明具の意匠の具体的構成態様
本件登録意匠の具体的構成態様は、次の通りである。
具体的構成態様)
D)ケーブル部
E)ケーブルに接合する電飾部
以下、本件登録意匠における上記の具体的構成態様について検討する。
まず、D)ケーブル部については、5本のケーブルが相互に捻れる態様にてケーブル部を構成する。
次に、E)ケーブルに接合する電飾部は、本件登録意匠における発光体の機能を発揮し、ケーブル上にてほぼ同間隔に配置されている。
また、ケーブル上に接合する電飾部は円筒形状であり、円筒本体と円筒のケ一ブル接合側の反対側に、発光体(甲第1号証によれば発光ダイオードを用いている)を形成している。その発光体は、円筒本体部の長手方向の全長の約1/6の高さを持つ。
そして次に、本件登録意匠の出願前に存在した公知意匠についてその具体的構成態様を検討する。
まず、d)ケーブル部について。同部分は、本件登録意匠は5本のケーブルが相互に捻れる態様にてケーブル部を構成するが、装飾用照明具の分野において、複数本のケーブルを捻れる態様にて伸延し電飾部と電飾部をつなぎ合わせるケーブル部の形態は、本件登録意匠の出願前より公知であった(甲第7号証 甲第7号証の第三頁の左上掲載の図版部(写真)(製品名:LEDストリングス100(ホワイト)の装飾用照明器具の意匠)。
かかる具体的構成態様については、装飾用照明具がクリスマスツリーや建造物など屋外に設置する物を対象として敷設されることから、電飾部がケーブル部より離脱せず、かつ、ケーブル部が暴風等のより切断されないようにケーブル部の強度向上が要請される。かような機能的な要請を担保するために、ケーブル部を複数本のケーブルを捻る態様で形成することは、公知の技術であり、また、公知の形態であった。
次に、e)ケーブルに接合する電飾部については、本件登録意匠における発光体の機能を発揮し、ケーブル上にてほぼ同間隔に配置されている。
一方、装飾用照明具の分野において、電飾部をケーブル上の等間隔に配置する形態は、記述の通り、「ストレートタイプ」、「ストリングスタイプ」と称する装飾用照明具が有する公知の形態であった(甲第2号証乃至甲第6号証(但し第5号証は欠番))。
また、本件登録意匠のケーブル上に接合される電飾部は円筒形状であり、円筒本体と円筒のケーブル接合側の反対側に発光体(甲第1号証によれば発光ダイオードを用いている)が形成される。
一方、かかる電飾部が円筒状であり、円筒状の先端部に発光部を有する形態は、本件登録意匠の出願前から公知の形態であった(甲第4号証及び甲第6号証)。例えば、甲第6号証の下図が示す通り、発明の名称を「電飾装置及びその製造方法」とする特願2009-47536(出願日:平成21年(2009)3月2日、出願公開日:平成22年(2010)9月16日)は、ケーブル上に接合される電飾部は円筒形状であり、円筒本体と円筒のケーブル接合側の反対側に発光体を形成する形態を示している。
本件登録意匠の電飾部における発光体は、円筒本体部の長手方向全長の約1/6の高さを持つ。一方、甲第4号証が示す通り、ストリングが使用する電飾部において、電飾部における発光体は円筒本体部の長手方向全長の約1/6の高さを持っている。
よって、本件登録意匠における電飾部における発光体の形態は、本件登録意匠の出願前に既に公知になった意匠と同一である。
エ)装飾用照明具の意匠の具体的構成態様と本件登録意匠の無効理由
以上より、本件登録意匠の具体的構成態様は、その出願日である平成25年(2013年)7月16日以前に公知となった意匠の形態と同一である。
そして、上述の通り、本件意匠に係る物品の需要者である装飾用照明具を事業上の装飾資材として使用する資材購買担当者、及び、装飾用照明具を季節イベント用等に自家的に使用する一般消費者を看者として、これらの需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて本件登録意匠と前記公知意匠の具体的構成態様を比較すると次のように考えられる。
即ち、既述の基本的構成態様は装飾用照明具の機能を発揮するために必須の構成であるところ、上述の通り、装飾用照明具の意匠に存在する具体的構成態様については、需要者はその子細については看取しないものではあるが、本件登録意匠並びに公知意匠が有する共通の具体的構成態様は、これらの意匠全体相互に共通の印象を生ぜしめ、本件登録意匠の形態に接したかかる需要者は、前記公知意匠と共通の美感を本件登録意匠全体から感得することは火を看るより明らかである。
特に、意匠法第24条第2項が定める美感の判断主体である需要者は、装飾用照明具の創作者・デザイナーを排除する趣旨であるところ、装飾用照明具の資材購買担当者及び一般需要者(一般消費者)は、本件登録意匠と甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)にて前述の通り特定する意匠とで異なる美感を感得することはない。
従って、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において公然知られた意匠又は頒布された刊行物に記載された意匠又はこれらに類似する意匠に該当するから、意匠登録の要件である所謂「新規性」を欠き、畢竟、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。
〔4〕意匠法第3条第2項への該当性:本件登録意匠の創作非容易性
甲第2号証にて示す刊行物に掲載される「LEDプレイライトつらら」及び「プレイライトつらら」が示す装飾用照明具(第2号証の第8頁上方に掲載の図版部(写真)(製品名:LEDプレイライトつらら)の装飾用照明器具の意匠及び同号証の第8頁下方に掲載の図版部(写真)(製品名:プレイライトつらら)の構成中、本件登録意匠と対応する装飾用照明器具の意匠は、これらの製品中横方向に張った一本のケーブルに複数並列に吊るして配置してなる装飾用照明具の全てである)は、本件登録意匠の次の基本的構成態様を全て包含している。
A)一方向に延仲する複数の線を束ねたケーブル部と、
B)該ケーブルにおいて一定の間隔で凸状(逆T型)に連続して配置された電飾部と、
C)細長の筒状からなる電飾部の本体と、その一端部に発光部を有する電飾部
ここで、甲第2号証に掲載される「LEDプレイライトつらら」及び「プレイライトつらら」が示す装飾用照明具の構成を検討すると、本件登録意匠の基本的構成態様をすべて包含する装飾用照明具を複数並列し、一方の端部にコネクターを用いて一本の共通ケーブルにつらら状、若しくはのれん状に接合する形態である。
かかるLEDプレイライトセットの形態は、本件登録意匠の基本的構成態様に他の構成を付加しているが、前記の本件登録意匠の基本的構成態様は、LEDプレイライトセットの形態から装飾用照明具の端部を複数接合する共通ケーブルを除外した構成態様に他ならない。そして、かかる端部を接合するための共通ケーブルを除外し、本件登録意匠と共通の基本的構成態様からなる意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものである。
かかるLEDプレイライトセットの構成態様が本件登録意匠の出願前に公知であったことに鑑みると、本件登録意匠は、本件登録意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(装飾用照明具に関与する当業者)が、日本国内において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当するから、意匠登録の要件である所謂「創作非容易性」を欠き、畢竟、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。
〔5〕他の重要な事実:意匠権者における本件登録意匠の形態の認定
本件登録意匠の意匠権者は、甲第9号証にて示す本件登録に関する資料を作成し需要者に配布している事実がある。そして、同資料は、本件登録意匠の特徴点として、次の点を強調して需要者に伝達を行っている。
i)一方向に延在する線状部の長手方向に沿って離散して凸状(⊥型)に設けられた照明部を備えること
ii)端部にコネクターや電源部を備えること
iii)発光部にはLEDが用いられていること
しかしながら、i)については、先に検証した通り、本件登録意匠の基本的構成態様の一部であるが、既に装飾用照明具において「ストレートライト(タイプ)」若しくは「ストリングスタイプ」として公知の形態である。
また、ii)については、本件登録意匠の図面には含まれていない形態であり、もし、仮に本件登録意匠の図面が当該形態を含んでいるとしても、ありふれた機能にのみ基づく形態であり意匠の要部にはならない。
更には、iii)について、発光部にLED(発光ダイオオード(当審注:「発光ダイオード」の誤記と認められる。))を用いることは、本件登録意匠の出願時において公知の技術であったことを鑑みれば、本件登録意匠の意匠権者は、本件登録意匠の基本的構成態様及び具体的構成態様における特徴点が公知であることを自認していることに他ならない。
(5)むすび
以上詳述の通り、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号又は第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。よって、本件登録は、同法第48条第1項第1号の規定に該当し、無効とすべきである。

2.「審判事件弁駁書」における主張
(1)本件登録意匠1504534号が、公知意匠と同一若しくは類似であり、意匠法3条1項3号に該当し無効とされるべきことは、審判請求人が無効審判請求書にて詳述した通りである。被請求人は、本件登録意匠は請求人が引用する公知意匠との関係において、意匠の要部を需要者が注意を惹くことのない些細な形態の相違を繰り返し主張し、かかる相違点が共通点を凌駕し非類似であると主張する。しかし、かかる相違点が共通点を凌駕し、本件登録意匠が引用公知意匠とは異なる美的印象を与えることはない。よって、被請求人の主張は理由がない。
(2)被請求人は、後記第3の1.(8)創作容易性、の段落において、本件登録意匠は公知の形態と比較し創作が容易でない旨主張する。しかしながら、被請求人の主張は次の理由から失当である。
(a)まず、被請求人は、後記第3の1.(8-2)「本件登録意匠と公知意匠の関連性」の記述において、本件登録意匠と公知意匠の形態の差異があること、また、公知意匠の形態の一部が不明であることを指摘する。しかしながら、意匠法3条2項創作容易性の判断は、意匠の係る物品の制限を取り払い、公知の形態(いわゆるモチーフ)から本件登録意匠が容易に創作できた意匠であるかを判断するものである。よって、請求人が指摘する形態の差異があるから、若しくは、引用意匠の一部が不明だから、本件登録意匠は創作容易ではないと判断することは理由が無い。意匠法3条2項の規定は、3条1項3号が同一若しくは類似の物品の意匠について一般需要者の立場からみた美感の類否を問題とするのに対し、3条2項は物品の同一又は類似という制限をはずし社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想に新しさないし独創性を問題とするものであって、両者は考え方の基礎を異にする規定である(最高裁、昭49.3.19判決、昭45(行ツ)45「可撓性ホース事件」)。よって、比較すべき形態が一部不明であるかは、創作非容易性の判断に影響しない。
(b)次に、被請求人は、後記第3の1.(8-3)「本件登録意匠の創作非容易性」の記述において、「しかし、本件登録意匠は照明部の縦横比率を約5:1とし、また、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の縦方向の長さ比率を1:1:6とし、さらに、照明部の上方部は先端方向に僅かに先細に形成されるなど、上記差異に挙げるような構成を有していることから、本件登録意匠は、当業者が公知意匠に基づいて容易に意匠を創作できたものではない」と述べ、意匠の構成に差異を指摘し創作非容易性を否定する。
しかしながら、「形態の相違があるから本件登録意匠は容易に創作できたものではない」とする解釈は意匠法3条2項の解釈を誤ったものである。形態の相違があるとしても、本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有するものが、公知のモチーフ等から本件登録意匠を創作できるからこそ、意匠法3条2項の規定により「当業者から看て創作的レベルの低い登録意匠を排除すること」に意義があるのである。被請求人が、本件登録意匠は意匠法3条2項が規定する創作容易ではないと考えるのであれば、本件登録意匠と公知意匠の形態の差異から、本件登録意匠の形態が何故「容易に創作できないのか」をしかるべき証拠を指摘し、客観的且つ理論的に主張すべきである。本件登録意匠と引用意匠との形態の差異があるから、本件登録意匠は創作が容易ではない、とする主張は意匠法3条2項の規定の趣旨を都合良く理解し、適用を誤ったものである。
なお、被請求人は、後記第3の1.(8-3)「本件登録意匠の創作非容易性」の記述の後段において「請求人は、創作非容易性の判断に当たり、上記差異として挙げた具体的構成態様に着目することなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみの着目していることから、本件登録意匠の構成認定における誤りは、創作非容易性の判断に影響を及ぼす誤りである」と述べる。
しかしながら、3条2項は物品の同一又は類似という制限をはずし、社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものである。よって、請求人が3条2項の適用において、具体的構成態様に着目することなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみの着目していることは、3条2項の適用には影響しない。
(3)以上の通りであるから、被請求人の答弁は理由が無い。

3.「口頭審理陳述要領書」における主張
(1)本件登録意匠と引用意匠との類否(意匠法第3条第1項第3号)
本件登録意匠は、請求人が引用する公知意匠(以下、「引用意匠」という。)と同一又は類似する意匠であるため、意匠法第3条第1項第3号に規定の意匠に該当することは、前記2.(1)で述べた通りである。
即ち、被請求人が主張する本件登録意匠と公知意匠における形態の相違点が共通点を凌駕し、本件登録意匠が引用意匠とは異なる美的印象を与えることはない。よって、被請求人の主張は理由がない。
(2)創作非容易性(意匠法第3条第2項)
本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内又は外国において公然知られた形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠であるため、意匠法第3条第2項に規定の意匠に該当することは、前記1.(4)〔4〕並びに前記2.(2)で述べた通りである。
また、被請求人は、後記第3の2.にて縷々主張するが、結局は、本件登録意匠と引用意匠との具体的構成の対比に終始し、これらの形態に差異があるから、若しくは、引用意匠の一部が不明である(よって構成を対比できない)から本件登録意匠の創作非容易性を肯定するが、かかる認定手法には理由がない。本件登録意匠と引用意匠とのそれぞれの相応箇所の形態が相違することと、意匠の創作することが容易であるかは別異に論ずるべきである。被請求人は、本件登録意匠が意匠法第3条2項に規定する創作容易ではないと考えるのであれば、請求人が前記2.(2)(b)にて言及の通り、本件登録意匠の具体的構成が備える公知意匠との差異点となる形態が何故「容易に創作できないのか」をしかるべき証拠を指摘し、客観的且つ理論的に主張すべきである。
更に、後記第3の2.(2)(2-2)(a)における本件登録意匠と甲第2号証の第8頁上方及び下方に掲載の意匠との差異点についての言及についてしても、本願意匠と公知意匠との差異を比較検討することは失当である。
例えば、(ア)として「それぞれの意匠における各照明部のケーブル部への配置間隔と照明部の長さ(高さ)との比率」に言及するが、畢竟、第2号証の6頁(当審注:8頁の誤記と認められる。)上方及び8頁下方に掲載の写真にて示す公知意匠では、本件登録意匠と同様に、各照明部のケーブルにおける配置間隔は、該照明部の長さの約2倍から3倍の間隔である。したがって、本件登録意匠の当該構成は、公知の意匠にて採用される当該構成を寄せ集めたものである。
また、(イ)について見れば、被請求人が主張する本件登録意匠と公知意匠との当該構成における差異は、つまるところ「照明部の上方部の径が基部よりやや大きいか否か」並びに「発光部の上方部の先端側の半分ほどがほぼ透明か否か」のみである。
本件登録意匠が創作非容易であるか否かを論ずるにあたっては、当該差異点を設けることが公知意匠からして容易であったか否かを検証すべきであり、被請求人が主張する「本件差異点にかかる本件登録意匠の形態が社会的に広く知られたモチーフに当たるか否か」といった言及は失当である。なお、被請求人が主張する意匠法第3条第2項創作容易性の判断にあたり、意匠の具体的構成にも着目すべき点については、請求人においても異論はない。
以上の通りであるから、被請求人の主張には理由が無い。

4.平成31年3月7日提出の「上申書」における主張
(1)本件登録意匠と引用意匠との類否(意匠法第3条第1項第3号)
本件登録意匠は、請求人が引用する公知意匠(以下、「引用意匠」という。)と同一又は類似する意匠であるため、意匠法第3条第1項第3号に規定の意匠に該当することは、前記1.ないし3.にて述べた通りである。
また、先の第一回口頭審理において請求人は、次の通りの主張を行った。即ち、被請求人は、自己が作成して配布した甲第9号証において、本件登録意匠の特徴を次の通り示している。
【意匠登録第1504534号】にてコロナ産業が有する意匠権
・一方向に延在する線状部の長手方向に沿って離散して凸状に設けられた照明部を備える。
・発光ダイオードLEDが用いられている。
・使用時に任意の長さに調節された装飾用照明具の一方端部はコネクターに接続されている。
・コネクターがコンセントを介して電源に連なり、通電時において照明部(LED)が発光してクリスマスツリーや街路樹等を電飾する。発効職(当審注:「発光色」の誤記と認められる。)、コード色は問わない。
甲第9号証は、被請求人が、上記の点が本件登録意匠の創作の要部となる特徴部分であることに言及し、当該特徴を有する被請求人以外の者の提供に係る装飾用照明具を「弊社の意匠権を侵害したクリスマスライト」と称して、そのような照明具の使用を避けるよう呼びかけるものである。このような主張は、被請求人以外の者が実施する上記の4点を構成に含む意匠は、本件登録意匠と類似するため意匠権侵害を構成すると理解できるものである。
被請求人が実際にそのように主張する以上、本件登録意匠の創作の要部は、上記の4点である一方で、このような構成を含む公知意匠は、請求人が提出する証拠を通じても、また、御庁にて職権にて調査すれば、本件登録意匠の出願前から多数存在したことは火を見るよりも明らかである。
なお、被請求人は、第一回口頭審理において、甲第9号証は、本件意匠登録の出願日後に配布されたものであるため、本件登録意匠の新規性を否定する根拠とはならないとの趣旨の主張を行った。しかしながら、被請求人の同主張は、当方の主張の趣旨に直接的に答えたものではない。請求人は、本件登録意匠の新規性を否定するその出願前の公知意匠として甲第9号証に言及したのではなく、被請求人において、本件登録意匠の特徴を上記4点と捉えていた事実を指摘したまでである。そして、被請求人のそのような見解の下、本件登録意匠の意匠法第3条第1項第3号の適用の当否を考えれば、本件登録意匠は、その出願前に公知となった意匠に類似する意匠に該当するとの請求人の主張は妥当である。
(2)創作非容易性(意匠法第3条第2項)
被請求人が主張する創作非容易性の解釈は妥当ではない。被請求人は、端的に言えば、本件登録意匠と公知意匠には、それらの具体的構成において「差異」があるため、本件登録意匠の創作は非容易であると主張する。しかしながら、差異があるのみでは創作非容易とは言えず、当該差異点を創作することが非容易であったか否かを検証すべきである。
そして、被請求人が口頭審理にて本件登録意匠の創作の要部として主張する本件登録意匠と公知意匠との差異点は次の通りである。
(ア)本件登録意匠の照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されるのに対して、公知意匠は約5倍の間隔で配置される点、
(イ)本件登録意匠の照明部は、ケーブル部長手方向に対しケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部であるのに対し、公知意匠は、照明部が、ケーブル部長手方向に対し細長い略円柱状の基部と、略円柱上の上方とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側が内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部であるものの、上方部の基部に対する径が不明であり、上方部の先端側半分ほどが透明であるかも不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さの比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるの対し、公知意匠の照明部の縦横比率や照明部の各部の縦方向の長さ比率が不明である点、
(エ)本件登録意匠は、照明部の上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているが、公知意匠の上端面の形状は不明である点
しかしながら、被請求人が提出する乙第1号証の10頁乃至11頁(意匠登録第1504534号の判定請求事件(判定2018-600005)にかかる平成30年6月6日付け判定書、第3.の4.(1)「両意匠の形態の評価」)においては、本件登録意匠の上記(ア)、(イ)及び(ウ)(当審注:以下にすり鉢状の凹部について言及しているので「(エ)」の誤記と認められる。)の構成について、「本件意匠の出願前によく見受けられる構成である」として次のような言及がなされている。
「次に、具体的構成態様の共通点(い)については、各照明部のケーブル部への配置間隔であるが、配置間隔が照明部の長さ(高さ)の約3倍の間隔のものは、「装飾用照明具」の物品分野で、よく見受けられる(例:甲第1号証の意匠乃至甲第4号証の意匠及び甲第6号証の意匠)ものである」
「「装飾用照明具」の物品分野において、ケーブル部の長手方向に対しケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどが内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているものは、本願出願前によく見受けられ(例:甲第1号証の意匠及び甲第2号証の意匠)」
「本件登録意匠のように光を拡散させるために上端が略すり鉢状に凹んだものは「装飾用照明具」の物品分野においてごく普通に見受けられる(例:参考意匠1:2011.12.12にインターネットに掲載の株式会社セシール LEDソーラーイルミネーション(ミックス)(中略)(公知資料番号HJ23056444)(別紙第9参照)から、需要者は本件登録意匠の上端形状に着目するとはいい難い)」
また、被請求人が本件登録意匠の特徴として述べる上記構成中の(イ)及び(エ)においては、乙第1号証(意匠登録第1504534号の判定請求事件(判定2018-600005)にかかる平成30年6月6日付け判定書。以下同様。)のそれぞれの当該構成についての言及と比して、次の点(下線で示した箇所)が異なるが、これらの差異点についても本件登録意匠の出願前よりありふれて用いられる構成である。なお、上記(ア)については相違部分は無い
(イ)照明部の基部より径がやや大きい略円柱状の上方部を有する点(略円柱状の当該構成は本件登録意匠の出願前より公知である。)、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続される点、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明である点
(エ)、照明部の上方部は先端方向に僅かに先細に形成される点
前記(イ)における「略円形状の」については、LEDの外周が円柱状であることから上方部も略円柱状となること、並びに、「(概ね2本)のコードが接続される」については、単色のLEDは二本の足(リードフレーム)を備えることが一般的であり、これに電線コードを半田付けし、他の発光部を直列に繋いで装飾用照明具を製作することからすれば、これらが本件意匠登録の出願前より採用される構成であることは明白である。また、(エ)の「照明部上方部が先端方向に向かって僅かに先細に形成される点」は、本件登録意匠に係る出願前に公知となった特許の明細書に含まれる図面及び意匠登録の図面(特許第4681059号【図10】、特許第5153950号【図2】、特許第5199328号【図3】及び意匠登録第1249627号【正面図】)の内容からしても、先端部分を先細に形成することは本件意匠の出願前からありふれて用いられている。
よって、被請求人が主張する上記の(ア)、(イ)及び(エ)は、本件登録意匠の創作の要部とはなり得ない。したがって、当該構成に相応する差異を設けることは、本件意匠登録の意匠に係る物品の分野における当業者からして容易に想到できたものである。
次に、被請求人が主張する構成(ウ)について述べる。まず、当該構成に関して、装飾用照明具の照明部における縦横比率並びに各部の縦方向の長さの比率は、当該物品における照明部の製作上或いは機能上の要請から定まるものであり、当該意匠の要部として認識され得る特徴的な部分としては認識され難い箇所である。即ち、発光部、発光部を除く上方部、基部から構成される照明部の縦方向の長さを決定する上では、例えば次のような要因が関係することは当業者においては自明の事実である。
・絶縁性を良好にするためには、基部下端からの湿気の侵入を避けるために当該部分を長くする必要がある。
・製造コストを下げるためには、基部を短くする手法が採られる。
・発光部全体の縦方向の長さについては、短過ぎても長過ぎても製造が困難となり、また、長過ぎれば材料費が上昇する。即ち、i)材料として用いられる熱収縮チューブが長くなればその材料費が上昇し、また、同チューブを均一に熱収縮させるための手間が増える。他にも、ii)LEDの脚部と電線を機械により自動で半田付けする際には、脚部が短過ぎても長過ぎても製造が困難となる。
このような事情の中で採用される照明部における最適な縦横比率並びに各部の縦方向の長さの比率は、自ずと制限されることになる。
また、本件登録意匠を施した実際の製品について、当該分野における装飾用照明具の照明部分の製造の精度の実際からすれば、照明部を構成する発光部、発光部を除く上方部、基部の縦方向の比率は、必ずしも設計図面通りとはならない。この点、当該照明部分は、甲第6号証における図面が示すように、LED、電力線、樹脂材、円筒体(収縮チューブ)等から構成されるものであり、一つの現場でイルミネーションを完成させる際に製造される(用いられる)照明部の数は数千・数万単位に上る。このような中で、全ての照明部の当該構成の縦方向の比率を、被請求人が主張する約1:1:6とすることは現実的ではない。
したがって、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が、例え設計図面では約1:1:6となっていても、実製品においては、約1:1:5.5、約1:1:6.5となること、或いは、照明部の発光部、発光部を除く上方部の比率については精密には約1:1とはならないことが散見され、当該比率における数字の正確さは厳密には求められない。そのような実態の中で、被請求人が本件登録意匠の特筆すべき特徴部分と言及する当該構成における比率を、意匠の創作の特徴的部分と考えることは妥当ではない。また、仮に当該構成が創作の特徴的部分となったとしても、上述した実情がある以上、当該構成における創作的価値は低く、同構成における形態のみをもって本件登録意匠を創作非容易と認定することは妥当ではない。
更には、請求人が入手した写真にて示す装飾用照明具の照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部は、被請求人が主張する約1:1:6に近い比率で構成されている。同照明具は、請求人の会員が2012年に製造したものである。
なお、請求人は、写真にて示す照明具の存在に拠らずとも上記主張から被請求人が主張する構成(ウ)は、本件登録意匠の創作の要部にはなり得ないと確信する。
以上より、被請求人が本件登録意匠の創作非容易性を有することの論拠として主張する本件登録意匠と公知意匠との差異点(ア)乃至(エ)は、本件登録意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた(当該差異を設けることができた)意匠である。
(3)結論
本件登録意匠は、本件意匠の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。また、本件登録意匠は、その意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。

5.請求人が提出した証拠
請求人は、以下の甲第1号証ないし甲第4号証、甲第6号証、甲第7号証及び甲第9号証(全て写しであると認められる。)を、審判請求書の添付書類として提出した。

甲第1号証 意匠登録第1504534号の登録意匠公報(本件登録意匠)
甲第2号証 株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ
「IlluminationMagic2008」(抜粋)
甲第3号証 株式会社学習研究社が平成19年11月15日に発行した
「DIYで楽しむイルミネーション入門BOOK」(抜粋)
甲第4号証 エリートライティングが平成19年に発行したカタログ
「Elitelight Illnmination Cat
alog 2007」(抜粋)
甲第6号証 特願2009-47536号の公開特許公報(特開2010-
205465号)
甲第7号証 株式会社エフェクトメイジが平成23年に発行したカタログ
「IlluminationMagic2011」(抜粋)
甲第9号証 コロナ産業株式会社のチラシ
「知的財産権を侵害しないXmasイルミネーションイベント
を開催いただくために」

第3 被請求人の答弁及び理由の要点
被請求人は、審判事件答弁書を提出し、答弁の趣旨を
「本件登録意匠無効審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を、おおむね以下のとおり主張した(「口頭審理陳述要領書」の内容を含む。)。
1.「審判事件答弁書」における主張
(1)本件登録意匠(甲第1号証)
本件登録意匠は、平成25年7月16日に意匠登録出願され(意願2013-016097)、平成26年7月11日に登録(登録第1504534号)の設定がなされ、平成26年8月11日に意匠公報が発行されたものであって、願書の記載及び願書に添付された見本によれば、意匠に係る物品を「装飾用照明具」とし、「この意匠は、同じ形状が一方向(長手方向のみ)連続するものである。」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付された見本に現されたとおりとしたものである(無効審判請求人が提出した甲第1号証は、意匠公報に記載された本件登録意匠である。)。
すなわちその形態は、
基本的構成態様は、
A 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成り、
具体的構成態様は、
B-1 各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置され、
B-2 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部とし、
B-3 その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であり、
B-4 上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成している。
B-5 ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色である。
(2)引用意匠
請求人は、請求人により平成29年12月27日付審判請求書と同時に提出された(また、平成30年6月21日付手続補正書(方式)により手続補正された)「甲第2号証乃至甲第6号証」(但し、甲第5号証は欠番)を引用して、「本件登録意匠は、本件登録意匠の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)に記載された意匠に類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである」などと主張する。
しかし、以下に詳述するとおり、本件登録意匠は、甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)の意匠とその形態が類似しないものである。
(2-1)甲第2号証記載の意匠(以下、「甲第2号意匠」という。)の形態
基本的構成態様は、
α 全体は、複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、長手方向に間隔をあけて発光ダイオードの照明部(電飾部)を枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に長く、端部にコネクタ部を有している。
具体的構成態様は、
β-1 ひとつかみにまとめられている状態であるから、各照明部(各電飾部)のケーブル部への詳細な配置間隔は不明であって、
β-2 照明部(電飾部)は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光体からの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである。上方部と基部との径の大小及び上方部の先端側半分ほどが透明であるかは不明である。
β-3 照明部の縦横比率は約6:1であって、
β-4 写真図版部が小さく、かつ発光状態の写真図版であるから明瞭ではなく、照明部各部の構成比率及び発光部の側方及び上端面を含む細部の態様は不明である。
β-5 ケーブル部のコードはほぼ黒色である。なお、発光状態の写真図版であるため、発光部を含む上方部の色合いは不明であるが、基部はほぼ黒色である。
(2-2)甲第3号証記載の意匠(以下、「第3号意匠」という。)の形態
基本的構成態様は、
α 全体は、ケーブル部に、長手方向に間隔をあけて発光ダイオードの複数の照明部を枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に長い。なお、ケーブル部の端部の構成については写真図版部に写っておらず不明である。
具体的構成態様は、
β-1 環状に束ねられており、かつ図版部が不鮮明であるから各照明部のケーブル部への配置間隔は不明である。
β-2 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、写真図版部が不鮮明であるため径の大きさが不明な略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光体からの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである。
β-3 写真図版部が不鮮明であるから、照明部の縦横比率、照明部の各部の縦方向の長さ比率は不明である。
β-4 発光状態の写真図版であるから発光部の側方及び上端面の態様は不明である。
β-5 ケーブル部はほぼ黒色であり、発光部、発光部を除く上方部及び基部の色合いは不明である。
(2-3)甲第4号証記載の意匠(以下、「甲第4号意匠」という。)の形態
基本的構成態様は、
α 全体は、複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成り、
具体的構成態様は、
β-1 ひとつかみにまとめられている伏態であるから、各照明部のケーブル部への詳細な配置間隔は不明であって、
β-2 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部と径が同じ又はその基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光体からの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである。上方部の先端側半分ほどが透明であるかは不明である。
β-3 その照明部の縦横比率は約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:3である。
β-4 発光状態の写真図版であるから発光部の側方及び上端面の態様は不明である。
β-5 ケーブル部はほぼ黒色であり、発光部、発光部を除く上方部及び基部の色合いは不明である。
(2-4)甲第6号証記載の意匠(以下、「甲第6号意匠」という。)の形態
基本的構成態様は、
α 全体は、絶縁体で被覆された2本のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成り、
具体的構成態様は、
β-1 各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約10倍の間隔で配置され、
β-2 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや小さい略円柱状の上方部とから成り、基部が上方部の基部側端部を覆うように配置され、基部の底部に2本のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである。上方部の先端側半分ほどが透明であるかは不明である。
β-3 その照明部の縦横比率は約3.5:1であるが、図1乃至図5に発光部を除く上方部は現されておらず、照明部の各部の縦方向の長さ比率も不明である。
β-4 上方部は円柱形状であり、発光部の上端面は図示されておらず形状は不明である。
β-5 ケーブル部その他の色は明示されていない。
(3)本件登録意匠と甲第2号意匠の類否
(3-1)両意匠に係る物品の類否
本件登録意匠に係る物品は「装飾用照明具」であり、甲第2号意匠も「装飾用照明具」であって、実質的に本件登録意匠と甲第2号意匠に係る物品は、イルミネーションとして、対象に巻き付けるなどして、電飾する機能、用途について共通するので、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(3-2)本件登録意匠と甲第2号意匠に係る形態の類否
(a)形態の類否判断の方法
本件登録意匠と甲第2号意匠が類似するか否かについては、以下の共通点及び差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、本件登録意匠の出願前に存在する公知意匠を参酌し、需要者の注意を引きやすい部分を考慮した上で、考察する。以下、本件登録意匠と各引用意匠が類否するか否かについては、同様の方法で考察する。
そして、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」の物品分野における需要者は、一般消費者、イルミネーションの設置を行う工事業者、またはそれらの者にイルミネーションを販売する卸売業者である。
(b)形態における共通点・差異点の認定
両意匠の形態を対比すると、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(b-1)共通点
基本的構成態様は、
(あ)全体は、ケーブル部に、長手方向に間隔をあけて発光ダイオードの照明部を枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に長いものである点、
具体的構成態様は、
(い)照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである点、
について共通する。
(b-2)差異点
基本的構成態様は、
(ア)本件登録意匠は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部であって、端部に部品などないのに対し、甲第2号意匠は、ケーブル部が絶縁体で被覆されたものであるか不明であり、端部にコネクタ部を有している点、
具体的構成態様は、
(イ)本件登録意匠は、各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲第2号意匠は、各照明部のケーブル部への詳細な配置間隔は不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、上方部が基部より径がやや大きい略円柱状であり、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるのに対し、甲第2号意匠は、上方部と基部の径の大小及び上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるかは不明である点、
(エ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるのに対し、甲第2号意匠は、その照明部の縦横比率は約6:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は不明である点、
(オ)本件登録意匠は、上方部は先端方向に僅かに先細に形成されているのに対し、甲第2号意匠は、発光部の側方の態様は不明である点、
(カ)本件登録意匠は、発光部の上端面が略すり鉢状の凹部を形成しているのに対し、甲第2号意匠は、発光部の上端面の態様は不明である点、
(キ)本件登録意匠は、ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色であるのに対し、甲第2号意匠は、ケーブル部のコードはほぼ黒色であり、発光部を含む上方部の色合いは不明であるが、基部はほぼ黒色である点、
に差異がある。
(c)形態の共通点及び差異点の個別評価
各共通点及び差異点における形態に関し、以下の(i)その形態を対比観察した場合に注意を引く部分か否かの認定及びその注意を引く程度の評価と、(ii)先行意匠群との対比に基づく注意を引く程度の評価、(iii)機能的意味を持つ形態及び材質に由来する形態の評価の観点から見て、どの程度注意を引くものなのかを検討することにより、各共通点及び差異点が意匠全体の美感に与える影響の大きさを考察する。なお、以下の本件登録意匠と各引用意匠の形態の共通点及び差異点の個別評価についても、同様の方法による。
(i)対比観察した場合に注意を引く部分か否かの認定及び評価
本件登録意匠と甲第2号意匠の各共通点及び差異点における形態が、対比観察した場合に注意を引く部分か否か及びその注意を引く程度は、
・その部分意匠全体の中で占める割合の大小
・その部分が意匠に係る物品の特性から見て、視覚的印象に大きな影響を及ぼす部分か、
により評価する。なお、以下の本件登録意匠と各引用意匠の形態の共通点及び差異点の個別評価についても、同様の方法による。
以下、具体的な評価について述べる。
(i-1)照明部が全体の中で占める割合が多い
たとえば、以下の甲号証の写真の数例を見ても、本件登録意匠に係る物品の画像を商品としてパンフレット等に掲載する際には、コードをひとつかみにまとめられた状態や、環状にコードを束ねられた状態で商品の画像が掲載されることが多いことは明らかである。そして、当該画像においては、照明部が全体の中で占める割合が多く、需要者にとって照明部が注目を引く程度が大きい。
(i-2)照明部が意匠に係る物品の特性から見て、視覚的印象に与える影響が大きい
上記各甲号証の写真及び下記各甲号証の写真に示されるように、本件登録意匠に係る物品を商品としてパンフレット等に掲載する際には、照明部の拡大画像が掲載される。したがって、需要者が意匠に係る物品を選択・購入する際には、拡大画像を通じて見えやすい照明部を中心に観察する。また、装飾用照明具の物品の特性として、その使用状態において照明部を発光させ、光の演出を楽しむものであるから、需要者は、その照明部を最も子細に視覚観察するものである。
また、甲第2号証の写真のように、発光部を含む照明部の形態に球体・花等のモチーフ等を用いることもあり、この点からも、需要者は、照明部に注意を払う。
(i-3)両意匠の差異点の評価
以上からすれば、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部が、その装飾効果に大きな役割を担うところであり、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
そして、具体的構成態様の差異点のうち、差異点(イ)?(カ)は、いずれも照明部の形態に係る具体的構成態様についてであるから、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
(ii)先行意匠群との対比に基づく評価
(ii-1)両意匠の共通点の評価
まず、基本的構成態様に係る共通点(あ)は、請求人自体、「ストレートタイプ」「ストレートライト」「ストリングス(タイプ)」として一般的に称されている点(通称されている点)を明らかにしており(甲第3号証の3頁)、これらのタイプのイルミネーションにおいては、この基本的構成態様を備えるものは本件登録意匠の出願前から一般的に多数存在するものである(例:甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。とすれば、共通点(あ)は、イルミネーション等の紐状の装飾用照明具として両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず、特徴的な形態ではないから、需要者が注意を払う程度は小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
次に、具体的構成態様に係る共通点(い)は、照明部のケーブル部に係る具体的構成態様についてであるところ、「装飾照明具」(当審注:「装飾用照明具」の誤記と認められる。)の物品分野において、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものは出願前に見受けられるものである(例:甲第3号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。したがって、この共通点(い)は、両意匠のみに共通する特徴ではないから、需要者が注意を払う程度が小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(ii-2)両意匠の差異点の評価
具体的構成態様の差異点において、特に、差異点(エ)の、照明部の発光部を除く上方部、基部各部の縦方向の長さ比率が約1:1:6である点、及び差異点(オ)の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成されている点については、請求人が提出した甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7のいずれにも現れておらず、他にはない形態であって、創作的価値が高く需要者の注意を引きやすい。また、これらの差異点は、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部がその装飾効果に大きな役割を担うところであり、需要者が注意を引きやすいことは前述した。よって、具体的構成態様の差異点、特に差異点(エ)及び(オ)はあいまって、需要者に、本件登録意匠と甲第2号意匠とが異なるものである印象を強く与えるものであり、類否判断に与える影響が大きいものである。
(iii)機能的意味をも持つ形態に由来する形態について
機能的意味を持つ形態及び材質に由来する形態について、機能的な要求の実現に造形的な自由度があり、その形状でなければならない必然性がない場合の形状については、その造形的な特徴は、類否判断において考慮されるものである。
需要者にとっては、装飾用照明具の購入時や使用時における着目点の一つとして、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気が重要である。そして、甲第2号証乃至甲第7号証掲載の各写真からも明らかなように、所望の照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気を実現するために、照明部の形態、発光部の被覆の程度等には自由度があり、これらに特徴を持たせることで、光の強度や拡散度合等の兼ね合いからなる光の雰囲気にも特徴を持たせやすいものである。そのため、例えば、控えめな光の演出を行いたい、又は光の演出を強く目立たせたい等の所望の光の雰囲気を演出するために、需要者は、自ずと照明部の形態、発光部の被覆の程度等に大きな注目を払うこととなる。
以上のことからすれば、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その機能的意味があいまって、その需要者の注意を引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
ところで、具体的構成態様の差異点のうち、差異点(イ)?(カ)は、いずれも照明部の形態、発光部の被覆の程度等に関する具体的構成態様についてである。したがって、差異点(イ)?(カ)は、需要者の注意を引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
(d)意匠全体としての類否判断
両意匠の共通点(あ)、(い)は、この種「装飾用照明具」において出願前から一般的に見受けられる態様にとどまり、また、電飾に用いられるような紐状の装飾用照明具における概括的な態様にとどまるものであるから、需要者の注意を引く程度は小さく、類否判断に及ぼす影響は小さい。
他方、甲第2号意匠には、上記「(3-2)本件登録意匠と甲第2号意匠に係る形態の類否」の「(b-2)差異点」であげた本件登録意匠との差異点があるところ、このうち差異点(イ)?(カ)、特に差異点(エ)の照明部の各部の縦方向の長さ比率が、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点及び(オ)の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成されている点はあいまって、殊更装飾効果に影響の大きい点であるうえ、出願時点でこの種「装飾用照明具」の照明部の形態としては、他にはない形態であり、少なくとも本件甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7にも現われていない形態であるため、需要者の注意を特に引く特徴的部分である。したがって、差異点が類否判断に及ぼす影響は大きい。
以上のように本件登録意匠と甲第2号意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察すると、本件登録意匠と甲第2号意匠との形態は、共通点が両意匠の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、差異点はあいまって、需要者に対し、本件登録意匠の形態と甲第2号意匠の形態とが異なるものであるとの印象を強く与えるものであるから、本件登録意匠と甲第2号意匠とは、類似しないものである。
4)本件登録意匠と甲第3号意匠の類否
(4-1)両意匠に係る物品
本件登録意匠は「装飾用照明具」であり、甲第3号意匠も「装飾用照明具」であって、実質的に本件登録意匠と甲第3号意匠に係る物品は、イルミネーションとして、対象に巻き付けるなどして、電飾する機能、用途について共通するので、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(4-2)本件登録意匠と甲第3号意匠の形態の類否
(a)形態における共通点・差異点の認定
両意匠の形態を対比すると、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(a-1)共通点
基本的構成態様は、
(あ)全体は、ケーブル部に、長手方向に間隔をあけて発光ダイオードの照明部を枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に長いものである点、
具体的構成態様は、
(い)照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである点、
について共通する。
(a-2)差異点
基本的構成態様は、
(ア)本件登録意匠は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部であるに対し、甲第3号意匠は、ケーブル部が絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたものであるか不明である点、
具体的構成態様は、
(イ)本件登録意匠は、各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲第3号意匠は、各照明部のケーブル部への詳細な配置間隔は不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、上方部が基部より径がやや大きい略円柱状であり、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるのに対し、甲第3号意匠は、上方部の径が不明であり、また、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるかは不明である点、
(エ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるのに対し、甲第3号意匠は、その照明部の縦横比率や及び照明部の各部の縦方向の長さ比率は不明である点、
(オ)本件登録意匠は、上方部は先端方向に僅かに先細に形成されているのに対し、甲意匠は、発光部の側方の態様は不明である点、
(カ)本件登録意匠は、発光部の上端面が略すり鉢状の凹部を形成しているのに対し、甲第3号意匠は、発光部の上端面の態様は不明である点、
(キ)本件登録意匠は、ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色であるのに対し、甲第3号意匠は、ケーブル部のコードにはほぼ黒色であり、発光部、発光部を除く上方部及び基部の色合いは不明である点、
について相違する。
(b)形態の共通点及び差異点の個別評価
(b-1)両意匠の共通点の個別評価
まず、基本的構成態様に係る共通点(あ)は、本件登録意匠の出願前から一般的に多数存在するものである(例:甲第2号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。とすれば、イルミネーション等の紐状の装飾用照明具として両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず、特徴的な形態ではないから、需要者が注意を払う構成ではなく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
次に、具体的構成態様に係る共通点(い)は、照明部のケーブル部に係る本具体的構成態様についてであって、「装飾照明具」(当審注:「装飾用照明具」の誤記と認められる。)の物品分野において、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものは出願前によく見受けられるものである(例:甲第2号証、甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。したがって、この共通点が両意匠のみに共通する特徴ではないから、需要者が注意を払う程度が小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(b-2)両意匠の差異点の個別評価
上記(3-2)の(c)の(i)?(iii)において述べたとおり、需要者は、意匠に係る物品を選択・購入する際に、パンフレット等に掲載される画像において見えやすい照明部を中心に観察する。また、装飾用照明具の物品の特性として、その使用状態において照明部を発光させたり、発光部を含む照明部の形態に特徴を持たせたりする等により、光の演出を楽しむものであるから、需要者は、その照明部を最も子細に視覚観察するものである。以上からすれば、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部が、その装飾効果に大きな役割を担うところであり、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その自由度により、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気に特徴を持たせやすいものであり、需要者の注意を特に引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
ところで、具体的構成態様の差異点のうち、差異点(イ)?(カ)は、いずれも照明部の形態に係る具体的構成態様についてであるから、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、差異点(エ)の照明部の各部の縦方向の長さ比率が、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点及び差異点(オ)の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点は、需要者の注意を特に引きやすい照明部の形態、発光部の被覆の程度等に係る具体的構成態様についてであるうえ、請求人が提出した甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7のいずれにも現れておらず、出願時点でこの種「装飾用照明具」の照明部の形態としては他にはない形態であり、創作的価値が高く需要者の注意を引きやすい部分である。
そうすると、差異点(エ)と差異点(オ)はあいまって、見る者に異なる印象を一層強く与えるものである。
(c)意匠全体としての類否判断
両意匠の共通点(あ)、(い)は、この種「装飾用照明具」において、出願前から一般的に見受けられる態様にとどまり、また、電飾に用いられるような紐状の装飾用照明具における概括的な態様にとどまるものであるから、需要者の注意を引く程度は小さく、類否判断に及ぼす影響は小さい。
他方、両意匠の差異点のうち差異点(イ)?(カ)は、需要者の注意を引きやすい形態であるうえ、特に差異点(エ)及び差異点(オ)はあいまって、需要者の注意を特に引く特徴的部分である。したがって、差異点が類否判断に及ぼす影響は大きい。
以上のように本件登録意匠と甲第3号意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察すると、本件登録意匠と甲第3号意匠との形態は、共通点が両意匠の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、差異点はあいまって、需要者に対し、本件登録意匠の形態と甲第3号意匠の形態とが異なるものであるとの印象を強く与えるものであるから、本件登録意匠と甲第3号意匠とは、類似しないものである。
(5)本件登録意匠と甲第4号意匠の類否
(5-1)両意匠に係る物品
本件登録意匠は「装飾用照明具」であり、甲第4号意匠も「装飾用照明具」であって、実質的に本件登録意匠と甲第4号意匠に係る物品は、イルミネーションとして、対象に巻き付けるなどして、電飾する機能、用途について共通するので、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(5-2)本件登録意匠と甲第4号意匠に係る形態の類否
(a)形態における共通点・差異点の認定
両意匠の形態を対比すると、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(a-1)共通点
基本的構成態様は、
(あ)全体は、複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成る点、
具体的構成態様は、
(い)照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオートからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである点、
について共通する。
(a-2)差異点
基本的構成態様は、
(ア)本件登録意匠は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部であるに対し、甲第4号意匠は、ケーブル部が絶縁体で被覆されたものであるか不明である点、
具体的構成態様は、
(イ)本件登録意匠は、各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲第4号意匠は、各照明部のケーブル部への詳細な配置間隔は不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるのに対し、甲第4号意匠は、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるかは不明である点、
(エ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるのに対し、甲第4号意匠は、その照明部の縦横比率は約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は約1:1:3である点、
(オ)本件登録意匠は、上方部は先端方向に僅かに先細に形成されているのに対し、甲第4号意匠は、発光部の側方の態様は不明である点、
(カ)本件登録意匠は、発光部の上端面が略すり鉢状の凹部を形成しているのに対し、甲第4号意匠は、発光部の上端面の態様は不明である点、
(キ)本件登録意匠は、ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色であるのに対し、甲第4号意匠は、ケーブル部のコードはほぼ黒色であり、発光部その他の色合いは不明である点、
について相違する。
(b)形態の共通点及び差異点の個別評価
(b-1)両意匠の共通点の個別評価
まず、基本的構成態様に係る共通点(あ)は、本件登録意匠の出願前から一般的に多数存在するものである(例:甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。とすれば、イルミネーション等の紐状の装飾用照明具として両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず、特徴的な形態ではないから、需要者が注意を払う構成ではなく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
次に、具体的構成態様に係る共通点(い)は、照明部のケーブル部に係る本具体的構成態様についてであって、「装飾照明具」(当審注:「装飾用照明具」の誤記と認められる。)の物品分野において、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものは出願前によく見受けられるものである(例:甲第2号証、甲第3号証、甲第6号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。したがって、この共通点が両意匠のみに共通する特徴とまではないから、需要者が注意を払う程度が小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(b-2)両意匠の差異点の個別評価
上記(3-2)の(c)の(i)?(iii)において述べたとおり、需要者は、意匠に係る物品を選択・購入する際に、パンフレット等に掲載される画像において見えやすい照明部を中心に観察する。また、装飾用照明具の物品の特性として、その使用状態において照明部を発光させたり、発光部を含む照明部の形態に特徴を持たせたりする等により、光の演出を楽しむものであるから、需要者は、その照明部を最も子細に視覚観察するものである。以上からすれば、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部が、その装飾効果に大きな役割を担うところであり、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その自由度により、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気に特徴を持たせやすいものであり、需要者の注意を特に引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
ところで、具体的構成態様の差異点のうち、差異点(イ)?(カ)は、いずれも照明部の形態に係る具体的構成態様についてであるから、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、差異点(エ)の照明部の各部の縦方向の長さ比率が、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点及び差異点(オ)の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点は、需要者の注意を特に引きやすい照明部の形態、発光部の被覆の程度等に係る具体的構成態様についてであるうえ、請求人が提出した甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7のいずれにも現れておらず、出願時点でこの種「装飾用照明具」の照明部の形態としては他にはない形態であり、創作的価値が高く需要者の注意を引きやすい部分である。
そうすると、差異点(エ)と差異点(オ)はあいまって、見る者に異なる印象を一層強く与えるものである。
(c)意匠全体としての類否判断
両意匠の共通点(あ)、(い)は、この種「装飾用照明具」において出願前から一般的に見受けられる態様にとどまり、また、電飾に用いられるような紐状の装飾用照明具における概括的な態様にとどまるものであるから、需要者の注意を引く程度は小さく、類否判断に及ぼす影響は小さい。
他方、両意匠の差異点のうち差異点(イ)?(カ)は、需要者の注意を引きやすい形態であるうえ、特に差異点(エ)及び差異点(オ)はあいまって、需要者の注意を特に引く特徴的部分である。したがって、差異点が類否判断に及ぼす影響は大きい。
以上のように本件登録意匠と甲第4号意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察すると、本件登録意匠と甲第4号意匠との形態は、共通点が両意匠の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、差異点はあいまって、需要者に対し、本件登録意匠の形態と甲第4号意匠の形態とが異なるものであるとの印象を強く与えるものであるから、本件登録意匠と甲第4号意匠とは、類似しないものである。
(6)本件登録意匠と甲第6号意匠の類否
(6-1)両意匠に係る物品の類否
本件登録意匠は「装飾用照明具」であり、甲第6号意匠も「装飾用照明具」であって、実質的に本件登録意匠と甲第6号意匠に係る物品は、イルミネーションとして、対象に巻き付けるなどして、電飾する機能、用途について共通するので、両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(6-2)本件登録意匠と甲第6号意匠に係る形態の類否
(a)形態における共通点・差異点の認定
両意匠の形態を対比すると、主として以下の共通点及び差異点が認められる。
(a-1)共通点
基本的構成態様は、
(あ)全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成る点、
具体的構成態様は、
(い)照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とがら成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものである点、
について共通する。
(a-2)差異点
具体的構成態様は、
(ア)本件登録意匠は、各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲第6号意匠は、各照明部のケーブル部への配置間隔は約10倍である点、
(イ)本件登録意匠は、上方部が基部より径がやや大きい略円柱状であり、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるのに対し、甲第6号意匠は、上方部が基部より径がやや小さい略円柱状であり、基部が上方部の基部側端部を覆うように配置され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明であるかは不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるのに対し、甲第6号意匠は、その照明部の縦横比率は約3.5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は不明である点、
(エ)本件登録意匠は、上方部は先端方向に僅かに先細に形成されているのに対し、甲第6号意匠は、発光部の側方の態様は不明である点、
(オ)本件登録意匠は、発光部の上端面が略すり鉢状の凹部を形成しているのに対し、甲第6号意匠は、発光部の上端面の態様は不明である点、
(カ)本件登録意匠は、ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色であるのに対し、甲第6号意匠は、ケーブル部その他の色は明示されていない点、
について相違する。
(b)形態の共通点及び差異点の個別評価
(b-1)両意匠の共通点の個別評価
まず、基本的構成態様に係る共通点(あ)は、本件登録意匠の出願前から一般的に多数存在するものである(例:甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。とすれば、イルミネーション等の紐状の装飾用照明具として両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず、特徴的な形態ではないから、需要者が注意を払う構成ではなく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
次に、具体的構成態様に係る共通点(い)は、照明部のケーブル部に係る本具体的構成態様についてであって、「装飾照明具」(当審注:装飾用照明具の誤記と認められる。)の物品分野において、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端は内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としたものは出願前によく見受けられるものである(例:甲第2号証乃至甲第4号証及び甲第7号証の意匠、また、乙第1号証の別紙第3及び乙第1号証の別紙第4の意匠)。したがって、この共通点が両意匠のみに共通する特徴ではないから、需要者が注意を払う程度が小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(b-2)両意匠の差異点の個別評価
上記(3-2)の(c)の(i)?(iii)において述べたとおり、需要者は、意匠に係る物品を選択・購入する際に、パンフレット等に掲載される画像において見えやすい照明部を中心に観察する。また、装飾用照明具の物品の特性として、その使用状態において照明部を発光させたり、発光部を含む照明部の形態に特徴を持たせたりする等により、光の演出を楽しむものであるから、需要者は、その照明部を最も子細に視覚観察するものである。以上からすれば、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部が、その装飾効果に大きな役割を担うところであり、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その自由度により、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気に特徴を持たせやすいものであり、需要者の注意を特に引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
ところで、具体的構成態様の差異点のうち、差異点(イ)?(オ)は、いずれも照明部の形態に係る具体的構成態様についてであるから、需要者の注意を引きやすく、類否判断における影響は大きい。
特に、差異点(ウ)の照明部の各部の縦方向の長さ比率が、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点は及び差異点(エ)の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点は、需要者の注意を特に引きやすい照明部の形態、発光部の被覆の程度等に係る具体的構成態様についてであるうえ、請求人が提出した甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7のいずれにも現れておらず、出願時点でこの種「装飾用照明具」の照明部の形態としては他にはない形態であり、創作的価値が高く需要者の注意を引きやすい部分である。
そうすると、差異点(ウ)と差異点(エ)はあいまって、見る者に異なる印象を一層強く与えるものである。
(c)意匠全体としての類否判断
両意匠の共通点(あ)、(い)は、この種「装飾用照明具」において出願前から一般的に見受けられる態様にとどまり、また、電飾に用いられるような紐状の装飾用照明具における概括的な態様にとどまるものであるから、需要者の注意を引く程度は小さく、類否判断に及ぼす影響は小さい。
他方、両意匠の差異点のうち差異点(イ)?(オ)は、需要者の注意を引きやすい形態であるうえ、特に差異点(ウ)及び差異点(エ)はあいまって、需要者の注意を特に引く特徴的部分である。したがって、差異点が類否判断に及ぼす影響は大きい。
以上のように本件登録意匠と甲第6号意匠の全ての共通点及び差異点を総合的に観察すると、本件登録意匠と甲第6号意匠との形態は、共通点が両意匠の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、差異点はあいまって、需要者に対し、本件登録意匠の形態と甲第6号意匠の形態とが異なるものであるとの印象を強く与えるものであるから、本件登録意匠と甲第6号意匠とは、類似しないものである。
(7)小括
以上のように、本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠(甲第2号証乃至甲第6号証(但し、甲第5号証は欠番)に記載された意匠)と類似するものでなく、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当しない。よって、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定に該当しない。
(8)創作非容易性について
請求人は、甲第2号証に掲載される「LEDプレイライトつらら」及び「プレイライトつらら」を提出のうえ、かかる「LEDプレイライトつらら」の構成態様が本件登録意匠の出願前に公知であり、本件登録意匠は、本件登録意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(装飾用照明具に関与する当業者)が、日本国内において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠に該当するから、創作非容易性を欠き、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができない旨述べている。
しかし、以下に詳述するとおり、本件登録意匠と甲第2号証に掲載される「LEDプレイライトつらら」及び「プレイライトつらら」(以下、「公知意匠」)との関連性からすると、本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠ではない。
(8-1)本件登録意匠の構成
本件登録意匠は、
A 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に連続して成ることを基本的構成態様とし、
B-1 各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置され、
B-2 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部とし、
B-3 その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であり、
B-4 上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成している。
B-5 ケーブル部のコードの絶縁体と発光部はほぼ透明であり、発光部を除く照明部の上方部及び基部は白色であることを具体的構成態様としている。
(8-2)本件登録意匠と公知意匠の関連性
本件登録意匠と公知意匠との差異について、
(ア)本件登録意匠の各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されるのに対して、公知意匠は、約5倍の間隔で配置される点、
(イ)本件登録意匠の照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面方向に立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部であるの対し、公知意匠は、照明部が、ケーブル部長手方向に対し細長い略円柱状の基部と、略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側が内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部であるものの、上方部の基部に対する径が不明であり、上方部の先端側半分ほどが透明であるかも不明である点、
(ウ)本件登録意匠は、その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であるのに対し、公知意匠の照明部の縦横比率や照明部の各部の縦方向の長さ比率が不明である点、
(エ)本件登録意匠は、照明部の上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているが、公知意匠の上端面の形状は不明である点、
の差異がある。
(8-3)本件登録意匠の創作非容易性
本件登録意匠と公知意匠は、上記(ア)乃至(エ)の明らかな差異がある。ここで、請求人は、公知意匠の形態は、「本件登録意匠の基本的構成態様に他の構成を付加しているが、本件登録意匠の基本的構成態様は、LEDプレイライトセットの形態から装飾用照明具の端部を複数接合する共通ケーブルを除外した構成態様に他ならない。・・・本件登録意匠と共通の基本的構成態様からなる意匠は当業者であれば容易に創作することができた」旨主張する。しかし、本件登録意匠は、照明部の縦横比率を約5:1とし、また、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の縦方向の長さ比率を1:1:6とし、さらに、照明部の上方部は先端方向に僅かに先細に形成されるなど、上記差異に挙げるような構成を有していることから、本件登録意匠は、当業者が公知意匠に基づいて容易に意匠を創作できたものではない。そもそも、請求人が創作非容易性の判断の根拠とする本件登録意匠の構成には誤りがある。そして、請求人は、創作非容易性の判断に当たり、上記差異として挙げた具体的構成態様に着目することなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみに着目していることから、本件登録意匠の構成認定における誤りは、創作非容易性の判断に影響を及ぼす誤りである。
(9)小括
以上のように、本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠ではなく、意匠法第3条第2項の規定に該当せず、よって、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定に該当しない。
(10)請求人の主張に対する反論
ここで、請求人は、前記第2の1.の請求の理由、及び前記第2の5.の証拠に基づいて、本件登録意匠は、先行意匠に基づいて意匠法第3条第1項第1号及び第3条第2項に基づき、意匠登録を受けられないものであり、よって同法第48条第1項第1号に基づき無効である旨主張する。請求人の当該主張の具体的内容について、以下で反論する。
(10-1)本件登録意匠と各引用意匠の類否判断にあたって
請求人は、類否判断に当たり、本件登録意匠と各引用意匠の基本的構成態様A)乃至C)及びa)乃至c)を認定しつつ、基本的構成態様は装飾用照明具の機能を発揮するために必須の構成であり、装飾用照明具の物品分野における需要者(請求人のいう、装飾用照明具の資材購買担当者及び一般需要者)は、「基本的構成態様を大づかみに観察感得し、個々の構成の細部について子細に観察することがない」と述べている。また、請求人は、予備的に具体的構成態様D)及びE)並びにd)及びe)を認定しつつ、「本件登録意匠並びに公知意匠が有する共通の具体的構成態様は、これら意匠全体相互に共通の印象を生ぜしめ、本件登録意匠の形態に接したかかる需要者は、前記公知意匠と共通の美感を本件登録意匠全体から感得することは火を看るより明らかである」と述べている。
しかしながら「装飾用照明具」の物品分野において、照明部(請求人が主張する「電飾部」に対応する部分)がその装飾効果に大きな役割を担うところであって、また、下記のとおり、需要者が特徴部分として注意を払うところである。
(10-2)共通点及び差異点の個別評価
(a)対比観察した場合に注意を引く部分か否かの個別評価
(a-1)照明部が意匠全体の中で占める割合が多い
前述のとおり、本件意匠に係る物品の画像を商品としてパンフレット等に掲載する際には、コードをひとつかみに纏められた状態や、環状にコードを束ねられた状態で商品の画像が掲載されることが多い。当該画像においては、照明部が全体を占める割合が多く、照明部が注目を引く程度が大きい。イルミネーションの需要者は、自らイルミネーションの飾りつけを楽しむ一般消費者やイルミネーションの設置を行う工事業者、またはそれらのものにイルミネーションを販売する卸売業者であるところ、イルミネーション等の装飾はそもそも光を楽しむものであり、その光を発するのは、言うまでもなく、照明部であり、これら各需要者は照明部に大きな注意を払うものであり、イルミネーションによる光の演出を楽しむためには、照明部の形態に自ずと大きな注目が払われるものである。
(a-2)照明部が意匠に係る物品の特性から見て、視覚的印象に与える影響が大きい
前述のとおり、本件登録意匠に係る物品を商品としてパンフレット等に掲載する際には、照明部の拡大画像が掲載されており、したがって、需要者が意匠に係る物品を選択・購入する際には、拡大画像を通じて見えやすい照明部を中心に観察する。
また、物品の特性として、装飾用照明具は、その使用状態において照明部を発光させ、光の演出を楽しむものであるから、需要者は、その照明部を最も視覚観察する。イルミネーションは光の演出を行うためのものであり、どのような光の演出を行うかによって選定するべき照明部も異なる。したがって、需要者は、照明部の形態に特に注意を払うものである。
(b)先行意匠群との対比に基づく評価
請求人が本件登録意匠の要部であると主張する基本的構成態様、即ち、A)一方向に延伸する複数の線を束ねたケーブル部と、B)該ケーブル部において一定の間隔で凸状(逆T型)に連続した配置された電飾部と、C)細長の筒状からなる電飾部の本体と、その一端部に発光部を有する電飾部、から構成される点については、請求人自体、「ストレートタイプ」「ストレートライト」「ストリングス(タイプ)」として一般的に称されている点(通称されている点)を明らかにしており(甲第3号証の3頁、4頁)、これらのタイプのイルミネーションにおいては、これら基本的構成態様を備えるものは本件登録意匠の出願前から一般的に多数存在するものである(例:甲第2号証乃至甲第7号証、乙第1号証の別紙第3乃至第7)。とすれば、請求人は、意匠の概括的構成を意匠の要部とするものであって、請求人の上記A)乃至C)からなる基本的構成態様が意匠の要部であるとの主張は、実際の需要者が、より具体的な構成であって、光の演出に大きな影響を与える照明部に着目する点を見逃したものであり、失当である。
(c)機能的意味を持つ形態及び材質に由来する形態について
需要者にとっては、装飾用照明具の購入時や使用時における着目点の一つとして、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気が重要である。そして、甲第2号証乃至甲第7号証掲載の各写真からも明らかなように、所望の照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気を実現するために、照明部の形態、発光部の被覆の程度等には自由度があり、この自由度により、光の強度や拡散度合等の兼ね合いからなる光の雰囲気に特徴を持たせやすいものである。そのため、例えば、控えめな光の演出を行いたい、又は光の演出を強く目立たせたい等の所望の光の雰囲気を演出するために、需要者は自ずと照明部の形態、発光部の被覆の程度等に大きな注目を払うこととなる。以上のことからすれば、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その機能的意味が相まって、その需要者の注意を引きやすく、類否判断に及ぼす影響が大きいものである。
(10-3)両意匠の類否判断
請求人の主張する引用意匠と同一もしくは類似しているとした本件登録意匠の形態は、需要者が注意を払う程度が小さく、類否判断に及ぼす影響が小さいものであるから、これらの点が共通することをもって、本件登録意匠と引用意匠を同一又は類似の意匠ということはできない。
すなわち、請求人が提出した各引用意匠には、差異点として、照明部の各部の縦方向の長さ比率が、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点及び照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成されている点について現されておらず、これらの差異点は特に需要者が注意を払うものであり類否判断に及ぼす影響が大きいから、本件登録意匠と各引用意匠を同一又は類似の意匠ということはできない。
したがって、請求人の主張は失当である。

2.「口頭審理陳述要領書」における主張
(1)本件登録意匠と引用意匠の類否(意匠法第3条第1項第3号)
(1-1)被請求人の主張
本件登録意匠が、甲第2号証乃至甲第6号証(ただし、甲第5号証は欠番。以下、「引用意匠」と総称する。)と同一又は類似する意匠ではなく、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しないことは、前記1.(1)ないし(7)及び(10)ですでに述べた。
(2)創作非容易性(意匠法第3条第2項)
(2-1)前記1.における披請求人の主張
本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠(意匠法第3条第2項)に該当しないことは、前記1.(8)及び(9)ですでに述べた。
(2-2)前記第2の2.における請求人の主張に対する反論
(a)本件登録意匠の形態は当業者が容易に創作できたものではない
請求人は、前記第2の2.(2)(a)において、「3条2項は物品の同一又は類似という制限をはずし社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想に新しさないし独創性を問題とするものであって、両者は考え方の基礎を異にする規定である(最高裁、昭49.3.19判決、昭45(行ツ)45「可撓性ホース事件」)。よって、比較すべき形態が一部不明であるかは、創作非容易性の判断に影響しない。(中略)「形態の相違があるから本件登録意匠は容易に創作できたものではない」とする解釈は意匠法3条2項の解釈を誤ったものである。形態の相違があるとしても、本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有するものが、公知のモチーフ等から本件登録意匠を創作できるからこそ、意匠法3条2項の規定により「当業者から看て創作的レベルの低い登録意匠を排除すること」に意義があるのである。」などと主張する。
しかし、本件登録意匠の形態と、甲が前記第2の1.(4)〔4〕で引用する「第2号証の第8頁上方に掲載の図版部(写真)(製品名:LEDプレイライトつらら)の装飾用照明具の意匠及び同号証の第8頁下方に掲載の図版(写真)(製品名:プレイライトつらら)」(以下、「公知意匠」という。)の形態との差異点は、当業者が容易に創作できたものではない。
すなわち、本件登録意匠の形態と公知意匠の形態には、前記1.(8-2)で述べた通りの差異点がある(以下、「本件差異点」という。)。なお、請求人は、本件登録意匠と公知意匠の形態に本件差異点があることを争っていない。
本件登録意匠は、特に差異点(ウ)における「照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である」点及び差異点(エ)における「上方部は先端方向に僅かに先細に形成されている」点について、本件登録意匠の出願時点で他にはなく、少なくとも甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7に現われていないものである。
とすれば、意匠法第3条第2項が、物品の同一又は類似という制限をはずし社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想に新しさないし独創性を問題とするものであるとしても、本件差異点にかかる本件登録意匠の形態は、「社会的に広く知られたモチーフ」に当たらない。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、照明部を発光させ、光の演出を楽しむものであり、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気が重要である。そして、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気は、照明部の形態、発光部の被覆の程度等によって特徴をもたせるものである。とすれば、本件登録意匠の属する分野において、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その装飾効果において殊更大きな役割を担うものであり、当業者が特に注意を払い、視覚観察するものである。
ここで、本件登録意匠のうち、特に差異点(ウ)における「照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である」点及び差異点(エ)における「上方部は先端方向に僅かに先細に形成されている」点は、いずれも照明部の形態、発光部の被覆の程度等に関するものであって本件登録意匠の装飾効果において殊更大きな役割を担うものであるから、両者はあいまって、看者の視覚を通じて美感を与えるものであり、また、公知意匠ないし引用意匠とは全く異なった意匠的効果を有するものである。
とすれば、本件登録意匠は、「社会的に広く知られたモチーフ」から当業者が容易に創作することができた意匠ではない。このことは、請求人が、弁駁書において本件登録意匠が当業者にとって創作容易であることの基礎となる事実及びその証拠を示していないことからしても明らかである。
よって、本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠(意匠法第3条第2項)に該当しないものであり、請求人の主張は誤りである。
(b)本件登録意匠の具体的構成態様に着目する必要があること
請求人は、「3条2項は物品の同一又は類似という制限をはずし、社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものである。よって、請求人が3条2項の適用において、具体的構成態様に着目することなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみの着目していることは、3条2項の適用には影響しない。」などと主張する。
請求人の主張の趣旨は不明であるが、仮に、意匠法第3条第2項の創作非容易性の判断にあたり、具体的構成態様に着目する必要はなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみに着目すればよいとの主張であるならば、請求人の主張は誤りである。
すなわち、本件登録意匠の具体的構成態様と公知意匠の具体的構成態様には、前記1.(8-2)の(ア)?(エ)の本件差異点があるところ、前述のとおり、本件登録意匠は、特に差異点(ウ)における「照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である」点及び差異点(エ)における「上方部は先端方向に僅かに先細に形成されている」点について、本件登録意匠の出願時点で他にはなく、「社会的に広く知られたモチーフ」に当たらないものである。
また、本件登録意匠の形態のうち、特に差異点(ウ)及び差異点(エ)における形態は、照明部の形態、発光部の被覆の程度等に関するものであるところ、前述のとおり、本件登録意匠の属する分野において、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その装飾効果において殊更大きな役割を担うものであって、当該意匠の着想の新しさないし独創性が現れる点である。
とすれば、意匠法第3条第2項の創作非容易性の判断にあたり、本件差異点(具体的構成態様)に着目する必要がある。
そもそも、意匠法第3条第2項が、物品の同一又は類似という制限をはずし、社会的に広く知られたモチーフを基準として、当業者からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とするものであるとしても、そのことから、本件登録意匠の具体的構成態様に着目する必要はなく、専ら本件登録意匠の概括的な構成を挙げた基本的構成態様のみに着目すればよいことにはならない。
よって、請求人の主張は誤りである。

3.「上申書」における主張
(1)本件登録意匠と甲第2号証の1乃至甲第2号証の5記載の意匠の類否(意匠法第3条第1項第3号)
平成31年2月22日に実施された本件の第1回口頭審理において、請求人は、本件登録意匠が、〔1〕甲第2号証の1(第3頁の中央左側に掲載される「プレイライトストリングス」の写真)、〔2〕甲第2号証の2(第3頁の最下部に掲載される「プレイライトストリングス プロユース」の模式図)、〔3〕甲第2号証の3(第4頁に掲載される「LEDストリングス100」の写真のうち、「ウォームホワイト」の記載直上のもの)、〔4〕甲第2号証の4(第8頁最上部に掲載される「LEDプレイライトつらら」の写真)、〔5〕甲第2号証の5(第8頁中央に掲載される「プレイライトつらら」の写真)に記載される意匠と同一又は類似する旨主張した(当審注:請求人は、これらの意匠と同一であるとは主張していないので、「同一又は類似」は「類似」の誤記であると認められる。以下同様。)。
(1-1)本件登録意匠と甲第2号証の1記載の意匠の類否
しかし、本件登録意匠が、甲第2号証の1記載の意匠と同一又は類似する意匠ではなく、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しないことは、前記1.(1)ないし(7)及び(10)ですでに述べた。
(1-2)本件登録意匠と甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠の類否
また、本件登録意匠は、甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠とも同一又は類似する意匠ではなく、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しない。
すなわち、本件登録意匠の形態が、照明部の各部の縦方向の長さ比率が発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点、及び上方部が先端方向に僅かに先細に形成されている点を有するのに対し、甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠は、いずれも、照明部の各部の縦方向の長さ比率が不明であり、また発光部の側方の態様は不明である。本件登録意匠の形態と甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠の形態とは、特に、これらの点で異なる(以下、「本件差異点」という。)。
ところで、本件登録意匠の属する分野において、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、その装飾効果において殊更大きな役割を担うものであり、当業者が特に注意を払い、視覚観察するものであることは、前記1.(3-2)(c)(i-1)、(i-2)及び(iii)並びに2.(2-2)(a)等ですでに述べた。そして、本件差異点は、いずれも照明部の形態、発光部の被覆の程度等に関するものであって本件登録意匠の装飾効果において殊更大きな役割を担うものである。
また、本件差異点における本件登録意匠の形態はあいまって、本件登録意匠の出願時点で他にはない形態であり、少なくとも甲第2号証乃至甲第7号証(但し、甲第5号証は欠番)及び乙第1号証の別紙第3乃至別紙第7のいずれにも現われていないものであるから、創作的価値が高く需要者の注意を引きやすい。
以上から、本件差異点はあいまって、類否判断に与える影響が大きいものである。
他方、本件登録意匠の形態は、全体が、ケーブル部に、長手方向に間隔をあけて照明部を枝状に設けた紐状のものであって、長手方向に長いものである点で、甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠と共通するが、この点は、イルミネーション等の紐状の装飾用照明具として両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎず、特徴的な形態ではないから、需要者が注意を払う程度は小さく、この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
以上のような本件登録意匠と甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠の共通点及び差異点を総合的に観察すると、本件登録意匠と甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠との形態は、共通点が両意匠の類否判断を左右するほどの影響を及ぼすには至らないものであるのに対して、差異点はあいまって、需要者に対し、本件登録意匠の形態と甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠の形態とが異なるものであるとの印象を強く与えるものである。
したがって、本件登録意匠は、甲第2号証の2乃至甲第2号証の5記載の意匠と類似しないものであり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しない。
(2)甲第9号証について
請求人は、第2の4.(1)において、甲第9号証の上方の四角囲い内に記載される文章(以下「請求人引用文」という。)を引用して、「被請求人が、上記の点が本件登録意匠の創作の要部となる特徴部分であることに言及し」などと主張する。
しかし、甲第9号証において、請求人引用文が、「本件登録意匠の創作の要部になる特徴部分である」などと言及する記載はない。そもそも請求人引用文は、装飾用照明具の形態を概括的に捉えたものにすぎず、これを本件登録意匠の創作の要部になる特徴部分などと言及するはずがない。
また、甲第9号証は、「以下は「意匠登録第1504534号」で、弊社(コロナ産業株式会社)が保有する意匠権です。」との記載の直下に四角囲いが設けられていることから、この四角囲い内の記載すべてによって、本件登録意匠の形態を示すものである。
そして、上記四角囲い内には、装飾用照明具の照明部の写真が掲載されているところ、この写真には、本件登録意匠の具体的構成態様、特に、照明部の各部の縦方向の長さ比率が発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であること、及び上方部が先端方向に僅かに先細に形成されていることが示されている。
このように、甲第9号証には、本件登録意匠の形態は、請求人引用文に示される装飾用照明具の概括的な構成では足りず、照明部の各部の縦方向の長さ比率が発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6であること、及び上方部が先端方向に僅かに先細に形成されていること等の具体的構成態様に着目すべきことが示されている。
したがって、甲第9号証は、請求人引用文が本件登録意匠の創作の要部となる特徴部分であると言及するものではなく、請求人の主張は誤りである。
(3)創作非容易性(意匠法第3条第2項)
(3-1)具体的構成態様に着目すべきである
請求人は、前記第2の4.(2)において、「乙第1号証の10頁乃至11頁において、本件登録意匠の上記(ア)、(イ)及び(ウ)(注:「(ウ)」とあるのは、「(エ)」の誤記と思われる。)の構成について、「本件意匠の出願前によく見受けられる構成である」として次のような言及がなされている。」などと主張する。
しかし、乙第1号証10頁では、「共通点(う)は、照明部のケーブル部に対する具体的な構成態様についてであって、(中略)共通点(お)の上方部が僅かに先細った略円柱状である点もあいまって、両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度である。そして、共通点(え)は、照明部の縦横比率についてであって、照明部の縦横の長さ比率が約5:1で、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の各部の縦方向の長さ比率が、約1:1:6である点は、照明部の具体的構成態様に関わり、「装飾用照明具」の物品分野において、照明部はその装飾効果に大きな役割を担うところであって、需要者も注意を払う」とも言及されている。この言及からすると、上方部が僅かに先細った略円柱状である点、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の各部の縦方向の長さ比率が約1:1:6である点も、本件登録意匠の装飾効果に大きな役割を担うものとして、本件登録意匠の創作非容易性の判断にあたって着目されるべき点である。
なお、請求人も、前記第2の3.(2)において、「意匠法第3条第2項創作容易性の判断にあたり、意匠の具体的構成にも着目すべき点については、請求人においても異論はない。」と述べている。上記の各点は、いずれも本件登録意匠の具体的構成態様であるから、意匠法第3条第2項の創作非容易性の判断にあたり着目すべき点であることを請求人も争っていない。
(3-2)本件登録意匠の形態のうち、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点について
請求人は、前記第2の4.(2)において、「(エ)の「照明部上方部が先端方向に向かって僅かに先細に形成される点」は、本件登録意匠に係る出願前の公知となった下記の特許の明細書に含まれる図面及び意匠登録の図面の内容からしても、先端部分を先細に形成することは本件意匠の出願前からありふれて用いられている。」などと主張する。
しかし、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点が、本件登録意匠の出願前からありふれて用いられていることは、請求人が前記第2の4.(2)において示された各図面のいずれからも明らかではないし、証拠上も明らかではない。
すなわち、前記第2の4.(2)において示された、「特許第4681059号【図10】、特許第5153950号【図2】及び特許第5199328号【図3】」(以下「本件特許図面」と総称する。)は、形態の一面のみが現れているにすぎず、斜視図もないため、他面における形態が不明である。また、本件特許図面のみをみても、上方部は端部が略半円形状に形成されており、上方部を先端方向に僅かに先細に形成した形態は示されていない。
また、前記第2の4.(2)において示された、「意匠登録第1249627号」(以下、「本件意匠図面」という。)は、径が半分程度になるようなテーパをかけた截頭円錐形状の形態が示されているにすぎず、上方部を先端方向に僅かに先細に形成した略円柱形状の形態は示されていない。
したがって、本件特許図面及び本件意匠図面はいずれも、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点が本件登録意匠の出願前からありふれていて用いられていることの根拠にはならない。
また、被請求人は、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点のみをもって本件登録意匠が当業者にとって創作容易ではなかったと主張するものではない。かかる構成と、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の比率を約1:1:6とする点等の他の構成があいまって、本件登録意匠は、甲第2号証の4及び甲第2号証の5記載の意匠とは全く異なった意匠的効果を有するものであり、当業者にとって創作容易ではなかったと主張するものである。
これに対し、仮に、本件特許図面及び本件意匠図面に、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点が示されているとしても、本件特許図面及び本件意匠図面には、例えば、ケーブル部が存在しないし、また、ケーブル部周側面から立ち上がる細長い略円柱状の基部がなく、基部とともに上方部の末端側半分ほどを被覆する絶縁体もないため、照明部の各部の縦方向の長さ比率等の照明部の構成態様が不明である。このように本件特許図面及び本件意匠図面は、本件登録意匠とは明らかに形態が異なり、その意匠的効果も全く異なる。
以上より、請求人の主張は誤りである。
(3-3)本件登録意匠の形態のうち、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部、基部が約1:1:6である点について
(a)請求人は、前記第2の4.(2)において「装飾用照明具の照明部における縦横比率並びに各部の縦方向の長さの比率は、当該物品における照明部の製作上或いは機能上の要請から定まるものであり、当該意匠の要部として認識され得る特徴的な部分としては認識され難い箇所である。即ち、発光部、発光部を除く上方部、基部から構成される照明部の縦方向の長さを決定する上では、例えば次のような要因が関係することは当業者においては自明の事実である。(中略)このような事情の中で採用される照明部における最適な縦横比率並びに各部の縦方向の長さの比率は、自ずと制限されることになる。」などと主張する。
しかし、仮に、照明部における縦横比率並びに各部の縦方向の長さの比率が製作上或いは機能上の要請から自ずと制限されるものだとしても、照明部における発光部、発光部を除く上方部、基部の比率を約1:1:6とすることは、照明部の縦方向の長さの比率として不可欠な数値ではない。他の比率とすることも可能である。
また、照明部における発光部、発光部を除く上方部、基部の比率は、照明部の形態、発光部の被覆の程度等に関するものであるところ、照明部の形態、発光部の被覆の程度等は、照射される光の強度や光の拡散度合い等の兼ね合いからなる光の雰囲気に特徴を持たせやすいものであり、当業者が特に注意を払い、視覚観察するものであることは、前記1.(3-2)(c)(i-1)、(i-2)及び(iii)並びに2.(2-2)(a)等ですでに述べた。
そして、本件登録意匠において、照明部における発光部、発光部を除く上方部、基部の比率を約1:1:6とした点は、本件登録意匠の出願前に他に無かった構成であるから、他の構成ともあいまって、甲第2号証の4及び甲第2号証の5記載の意匠とは全く異なった意匠的効果を有するものである。
したがって、請求人の主張は誤りである。
(b)また、請求人は、前記第2の4.(2)において「全ての照明部の当該構成の縦方向の比率を、被請求人が主張する約1:1:6とすることは現実的ではない。したがって、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が、例え設計図面では約1:1:6となっていても、実製品においては、約1:1:5.5、約1:1:6.5となること、或いは、照明部の発光部、発光部を除く上方部の比率については精密には約1:1とはならないことが散見され、当該比率における数字の正確さは厳密には求められない。そのような実態の中で、被請求人が本件登録意匠の特筆すべき特徴部分と言及する当該構成における比率を、意匠の創作の特徴的部分と考えることは妥当ではない。」などと主張する。
しかし、装飾用照明具の照明部の構成態様について、請求人のいう製造上の誤差があるか否かにかかわらず、照明部の発光部、発光部を除く上方部の比率を約1:1:6としたものは、本件登録意匠の出願前に他になかった。請求人は、「実製品においては、約1:1:5.5、約1:1:6.5となること、或いは、照明部の発光部、発光部を除く上方部の比率については精密には約1:1とはならないことが散見され」などとして、本件登録意匠の出願前に、実製品において発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が約1:1:5.5、約1:1:6.5となっている装飾用照明具が存在したかのように主張するが、そのような事実は証拠上明らかではない。
また、仮に、実製品において発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が約1:1:5.5、約1:1:6.5となっているとしても、発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が約1:1:5.5、約1:1:6.5となるものは、約1:1:6の範囲に含まれるものである。
したがって、請求人の主張は当を得ないものである。
(c)請求人は、前記第2の4.(2)において「仮に当該構成が創作の特徴的部分となったとしても、上述した実情がある以上、当該構成における創作的価値は低く、同構成における形態のみをもって本件登録意匠を創作非容易と認定することは妥当ではない。」などとも主張するが、被請求人は、照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部の比率を約1:1:6とする点のみをもって本件登録意匠が当業者にとって創作容易ではなかったと主張するものではない。かかる構成と、略円柱状の照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成される点等の他の構成があいまって、本件登録意匠は、甲第2号証の4及び甲第2号証の5記載の意匠とは全く異なった意匠的効果を有するものであり、当業者にとって創作容易ではなかったと主張するものである。
(d)請求人は、前記第2の4.(2)において「請求人が入手した下記の写真にて示す装飾用照明具の照明部の発光部、発光部を除く上方部、基部は、被請求人が主張する約1:1:6に近い比率で構成されている。同照明具は、請求人の会員であるやまと興行株式会社が2012年に製造したものである」などと主張する。
しかし、請求人は、写真に写る、白色物に記載された「12」という数字を根拠に、同白色物が2012年に製造されたものと主張しているようであるが、この「12」という数字だけでは、製造年(西暦)の下2桁を示すとは限らず、例えば製造月とも、製品番号とも解し得るものである。
また、仮に「12」の数字が製造年(西暦)の下2桁を示すとしても、掲載される写真に写るものが、実際に2012年に存在したものとは限らない。例えば、2019年に、「12」の数字が刻印されたものを用意したうえ、写真撮影した可能性もある。
したがって、前記写真では、同写真に写る白色物が2012年に製造されたことの根拠にはなり得ないし、証拠上も、同写真に写る白色物が2012年に製造されたことは明らかでない。
さらに、請求人は、前記写真に写る枝状のものが装飾用照明具の照明部であり、その発光部、発光部を除く上方部、基部の比率が、約1:1:6に近い比率で構成されていると主張しているようであるが、同写真では、発光部と発光部を除く上方部の比率が不明である。また、上方部と基部の比率は、基部の長さを短く見ても1:4(すなわち、2:8)であり、本件登録意匠における上方部と基部の比率(2:6)と近い比率とはいえない。
したがって、請求人の主張は全く当を得ていない。
(4)結論
前記1.、2.及び3.(1)ないし(3)で主張したとおり、本件登録意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証乃至甲第4号証及び甲第6号証に記載された意匠と類似するものでなく、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当しない。
また、本件登録意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができた意匠ではなく、意匠法第3条第2項の規定に該当しない。
よって、本件意匠登録は、同法第48条第1項第1号の規定に該当しないから、答弁の趣旨記載のとおりの審決を求める。

4.被請求人が提出した証拠
被請求人は、以下の乙第1号証(写しであると認められる。)を、審判事件答弁書の添付書類として提出した。

乙第1号証 (意匠登録第1504534号の判定請求事件(判定2018
-600005)にかかる平成30年6月6日付け判定書

第4 口頭審理
当審は、本件審判について、平成31年(2019年)2月22日に口頭審理を行った。審判長は、本件審判において請求人が主張する本件登録意匠の登録の無効理由について、後記第5の2.のとおりとした。また、審判長は、請求人から上申書を提出したい旨の申出があったので、本件審判を以後書面審理とした。

第5 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成25年7月16日に意匠登録出願され(意願2013-016097)、平成26年7月11日に登録(意匠登録第1504534号)の設定がなされ、同年8月11日に意匠公報が発行されたものであって、願書の記載及び願書に添付された見本によれば、意匠に係る物品を「装飾用照明具」とし、「この意匠は、同じ形状が一方向(長手方向のみ)連続するものである。」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付された見本に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
本件登録意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
A 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配しておらず、
具体的構成態様は、
B 各照明部のケーブル部への配置間隔は照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置され、
C 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面から立ち上がる細長い略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部の(概ね2本)のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部とし、
D その照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、発光部を除く上方部(以下「上方下半部」という。)、基部が約1:1:6であり、
E 上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成し、
F ケーブル部は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であって、
G 発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されている。

2.無効理由の要点
請求人が主張する本件登録意匠の登録の無効理由は、以下の10である。
(1)本件登録意匠が、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第2号証の1の意匠(甲第2号証の第3頁のプレイライトストリングスの写真に現された意匠。以下「甲2の1意匠」という。別紙第2参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由1」という。)。
(2)本件登録意匠が、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第2号証の2の意匠(甲第2号証の第3頁の左下の模式図に表された意匠。以下「甲2の2意匠」という。別紙第3参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由2」という。)。
(3)本件登録意匠が、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第2号証の3の意匠(甲第2号証の第4頁下段の写真にLEDストリングス100 ウォームホワイトとして現された意匠。以下「甲2の3意匠」という。別紙第4参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由3」という。)
(4)本件登録意匠が、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第2号証の4の意匠(甲第2号証の第8頁上段の写真にLEDプレイライトつらら ホワイトとして現された意匠。以下「甲2の4意匠」という。別紙第5参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由4」という。)
(5)本件登録意匠が、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第2号証の5の意匠(甲第2号証の第8頁下段の写真にプレイライトつららとして現された意匠。以下「甲2の5意匠」という。別紙第6参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由5」という。)
(6)本件登録意匠は、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第3号証の意匠(甲第3号証の第4頁の図に表されたストレートライトの意匠。以下「甲3意匠」という。別紙第7参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由6」という。)
(7)本件登録意匠は、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第4号証の意匠(甲第4号証の第2頁の右上の写真に現されたLEDストリングスの意匠。以下「甲4意匠」という。別紙第8参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由7」という。)
(8)本件登録意匠は、その意匠登録出願前に公然知られた、甲第6号証の意匠(甲第6号証の図1、図3、図5に表された電飾装置の意匠。以下「甲6意匠」という。別紙第9参照。)と類似する意匠であり、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するので、同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由8」という。)
(9)本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に、日本国内又は外国において公然知られた甲第2の4の意匠に基づいて本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について容易に創作することができたものであり、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由9」という。)。
(10)本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に、日本国内又は外国において公然知られた甲第2の5の意匠に基づいて本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について容易に創作することができたものであり、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものであるから、本件登録意匠の登録が、同法第48条第1項第1号に該当し、同項柱書の規定によって、無効とされるべきであるとするものである(以下、この無効理由を「無効理由10」という。)。

3.無効理由の判断
1 無効理由1について
本件登録意匠が、甲2の1意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲2の1意匠
甲2の1意匠は、甲第2号証(株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ「IlluminationMagic2008」(抜粋))の第3頁掲載の左下の図版部(写真)(製品名:プレイライトストリングス)の装飾用照明器具の意匠である。
甲2の1意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a1 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、両端にコネクターを配した長さの定まった長尺のものと認められる。
具体的構成態様は、
b1 甲2の1意匠は、不揃いな間隔で束ねられたものであるから、照明部の長さと各照明部のケーブル部への配置間隔との比は不明であって、
c1 照明部は、基部と発光部を備えた上方部から成り、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる短略円柱状の基部が認められ基部の底部に一部の(概ね2本)コードが接続されているが、強く発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上端の形態も含めて細部は不明であって、発光部と上方下半部の境は、上方下半部の有無も含めて判別できない。
d1 その照明部の縦横比率は、発光部の上端が定まらず、照明部長さが計測不能であるから不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、上方部と基部は、相半ばすると認められるに止まり、計測できず不明であり、
e1 ケーブル部を構成するコードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体は暗色であって、
f1 発光部は、透光するものとは認められるが、カラー(光源色)の項目に「クリア」と記載があるものの透明であるかは不明であり、発光部の透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部は暗色である。
(2)本件登録意匠と甲2の1意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠は「装飾用照明具」であって、甲2の1意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具であって、本件登録意匠と甲2の1意匠(以下「両意匠1」という。)の意匠に係る物品は、同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α1-1)全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長尺のものと認められる点、
具体的構成態様について
(α1-2)照明部は、発光部を備えた上方部と基部から成り、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部が認められ、基部の底部に一部の(概ね2本)コード部が接続されている点、
(イ)相違点
基本的態様について
(β1-1)本件登録意匠が発光ダイオードを用いた照明部で、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないものであるのに対し、甲2の1意匠は、照明部に発光ダイオードを用いたか否かは不明で、両端にコネクターを配した長さの定まったものと認められる点、
具体的構成態様について
(β1-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の1意匠は、不揃いな間隔で束ねられたものであるから、照明部の長さと各照明部のケーブル部への配置間隔との比は不明である点。
(β1-3)照明部の発光部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲2の1意匠は、強く発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、発光部と上方下半部の境は、上方下半部の有無も含めて判別できないものである点。
(β1-4)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の1意匠は、照明部の縦横比率は発光部の上端が定まらず、不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、計測できず不明である点。
(β1-5)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の1意匠は、強く発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の先端方向及び上端の形態は不明である点。
(β1-6)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲2の1意匠は、コードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体は暗色である点。
(β1-7) 照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲2の1意匠の発光部は、透光するものの、透明であるかは不明で、透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部はほぼ暗色である点。
(3)両意匠1が類似するか否かの判断
両意匠1の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠1の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α1-1)は、両意匠1の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α1-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠1の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠1の各相違点を見ると、相違点(β1-1)については、基本的構成態様の相違であるが、発光ダイオードを用いた照明部であるか否かは、性能上の相違はあるとしても、非点灯時の外観観察においては、看取しづらい発光部の内部の光源の相違であって、類否判断へ与える影響は小さく、長手方向に連続して成るものか長さの定まった長尺なものか及びコネクターの有無の相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲2の1意匠は、カタログ掲載の実製品であって、束ねられた、相応に長い、端部に接続用のコネクターも備えたものであるが、共に相当に長尺のものでもあり、甲2の1意匠のコネクターは、ごく普通に見受けられる形態でもあるから、ごく普通に見受けられる形態の端部の部品の有無の相違にとどまり、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β1-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の1意匠は、不明である点は、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠1の視覚的印象に関わるものであるから、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。
次に、相違点(β1-3)ないし相違点(β1-5)については、両意匠1の照明部の具体的態様の相違に関わり、需要者は、照明部に注目し、発光によって、装飾効果を担う発光部にも関心を払うところ、本願登録意匠の照明部は、上方部が基部より径がやや大きい略円柱状で、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で外部に照明光として出射する発光部とし、縦横比率は約5:1で、照明部の各部の縦方向の長さ比率も、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であって、上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の1意匠は、照明部の上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の発光部の占める割合、照明部の構成比率及び上方部の先端方向及び上端の形態はいずれも不明であるものであって、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものは、本件登録意匠の出願前に見受けられる形態であったとしても、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態は認められず、本件登録意匠の具体的特徴というべき形態と甲2の1意匠では、いずれも十分に対比できないものであるから、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β1-6)はケーブル部についての相違であって、コードが概ね5本であるものも、複数本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも暗色であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、相違点(β1-7)については、発光部について透光するものか、透明なものであるかは、広く照明具の物品分野において、どちらもよく見受けられるものであって、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものも暗色のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β1-1)、相違点(β1-6)及び相違点(β1-7)は両意匠1の類否判断に与える影響は小さく、相違点(β1-2)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β1-3)ないし相違点(β1-5)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それら相違点(β1-1)ないし相違点(β1-7)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠1を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲2の1意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲2の1意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠1の相違点が共通点を凌駕し、両意匠1は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲2の1意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由1によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

2 無効理由2について
本件登録意匠が、甲2の2意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲2の2意匠
甲2の2意匠は、甲第2号証(株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ「IlluminationMagic2008」(抜粋))の第3頁掲載の最も下の図に表された(製品名:プレイライトストリングス及びプレイライトストリングス プロユースの全体の模式図)の装飾用照明器具の意匠であって、
甲2の2意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a2 全体は、暗調子の線で表された紐状のケーブル部に、略縦長長方形状(当業者知識から判断すれば略円柱状と認められる。)の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、両端にコネクターを配し、右から3つめと4つめの照明部の間に中間を省略する記号が認められるので、長さの定まった、相応に長尺のもの(図上の記載から実物長さは10、000mm)と認められる。
具体的構成態様は、
b2 各照明部のケーブル部への配置間隔は、(図上の記載からピッチ100mmとあるが)照明部の長さ(高さ)の約1.5倍の間隔で配置され、
c2 照明部は、発光部と基部から成り、発光部と基部は横方向に等幅で、発光部は、線で囲まれた先端が丸みを帯びた略矩形状に表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐで上端は丸く、基部は、略縦長四角形状に塗りつぶして表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐであって、ケーブル部長手方向に対し、鉛直状に立ち上がって配され、基部の底部に2本のコード部が接続されており、
d2 その照明部の縦横比率は約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であり、
e2 線で囲まれた発光部は、内方が白抜きで表され、基部は、暗調子で塗りつぶして表されたものである。
(2)本件登録意匠と甲2の2意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠は「装飾用照明具」であって、甲2の2意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具であって、本件登録意匠と甲2の2意匠(以下「両意匠2」という。)の意匠に係る物品は、同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α2-1)全体は、紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長尺のものと認められる点。
具体的構成態様について
(α2-2)照明部は、発光部と基部を備え、ケーブル部長手方向に対し、側面方向に立ち上がる略円柱状の基部が認められ、基部の底部に一部の(概ね2本)コード部が接続されている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β2-1)本件登録意匠が発光ダイオードを用いた照明部で、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないものであるのに対し、甲2の2意匠は、照明部に発光ダイオードを用いたか否かは不明で、両端にコネクターを配した長さの定まったものと認められる点。
具体的構成態様について
(β2-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の2意匠は、照明部の長さ(高さ)の約1.5倍の間隔で配置されている点。
(β2-3)照明部の上方部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲2の2意匠は、発光部のみで構成され、発光部と基部は横方向に等幅である点。
(β2-4)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の2意匠は、照明部の縦横比率は、約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であって、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲2の2意匠は、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、発光部が半ば弱を占め、基部も半ばをやや超える程度の短めのものである点。
(β2-5)端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の2意匠の発光部は、線で囲まれた先端が丸みを帯びた略矩形状に表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐで先端は丸いものである点。
(β2-6)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲2の2意匠は、暗調子の太線で表された紐状のケーブル部である点。
(β2-7)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲2の2意匠の発光部は、線で囲まれた内方は白抜きで表され、基部は、暗調子で塗りつぶして表されたものである点。
(3)両意匠2が類似するか否かの判断
両意匠2の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠2の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α2-1)は、両意匠2の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α2-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠2の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠2の各相違点を見ると、相違点(β2-1)については、基本的構成態様の相違であるが、発光ダイオードを用いた照明部であるか否かは、性能上の相違はあるとしても、非点灯時の外観観察においては、看取しづらい発光部の内部の光源の相違であって、類否判断へ与える影響は小さく、長手方向に連続して成るものか長さの定まった長尺なものか及びコネクターの有無の相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲2の2意匠は、カタログ掲載の全体の模式図であって、端部に接続用のコネクターも備えた長尺のものであるが、共に相当に長尺のものでもあり、甲2の2意匠のコネクターは、模式的にごく普通のコネクターを表したものであるから、ごく普通に見受けられる形態の端部の部品の有無の相違にとどまり、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β2-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の2意匠は、の約1.5倍の間隔で配置されたものである点であり、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠2の視覚的印象に関わるものであるから、この点は、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。次に、相違点(β2-3)及び相違点(β2-5)については、上方部と先端方向の形態についてであって、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲2の2意匠は、上方部は発光部のみで構成され、発光部と基部は横方向に等幅であり、かつ本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の2意匠の発光部は、周面は鉛直方向に真っ直ぐで上端は丸いものである点は、両意匠2の照明部の具体的形態の相違に関わり、上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものも丸いものもこの種物品分野においてよく見受けられるものであるとしても、その形態の相違は一見して明らかであって、その構成も発光部、上方下半部及び基部から成るものと発光部と基部から成るものとで相違し、甲2の2の意匠は、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態も認められず、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きく、相違点(β2-4)については、本件登録意匠が、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の2意匠は、照明部の縦横比率は、約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であって、すなわち、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲2の2意匠が、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、基部も半ばをやや超える程度の短めのものである点は、照明部の具体的プロポーションに係る相違であって、両意匠2の具体的特徴に関わる相違というべきものであるから、この点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β2-6)はケーブル部についての相違であって、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも暗調子(暗色)であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるが、本件登録意匠は、コードが概ね5本緩やかに撚り合わされたものであって、それに対し、甲2の2意匠が暗調子の太線で表された紐状のケーブル部である点は、模式的に表された図であるとしても、視覚的に異なる印象を与え、類否判断に与える影響は一定程度あるものである。さらに相違点(β2-7)発光部がほぼ透明であるか図に線で囲まれた白抜きで表されたものであるかについては、図に白抜きで表される点については、透明もしくは明色を表すものであって、発光部を表す形態としてはよく見られるものであり、広く照明具の物品分野において、どちらもよく見受けられるものであって、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものも暗調子(暗色)のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β2-1)及び相違点(β2-7)は両意匠2の類否判断に与える影響は小さく、(β2-2)及び、相違点(β2-6)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β2-3)ないし相違点(β2-5)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それら相違点(β2-1)ないし相違点(β2-7)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠2を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲2の2意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲2の2意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠2の相違点が共通点を凌駕し、両意匠2は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲2の2意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由2によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

3 無効理由3について
本件登録意匠が、甲2の3意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲2の3意匠
甲2の3意匠は、甲第2号証(株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ「IlluminationMagic2008」(抜粋))の第4頁掲載の下の図版部(写真)(製品名:LEDストリングス100)(当審注:同じ製品名で発光色の異なる「ウォームホワイト」及び「ホワイト」の2つがあるが、指示スタンプの付された「ウォームホワイト」の意匠を甲2の3意匠とする。)の装飾用照明器具の意匠であって、
甲2の3意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a3 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、両端にコネクターを配した長さの定まった長尺のものと認められる。
具体的構成態様は、
b3 甲2の3意匠は、束ねられたものであるから、照明部の長さと各照明部のケーブル部への配置間隔との比は不明であって、
c3 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる短略円柱状の基部とその基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、図版部(写真)の最も上方に位置する照明部から、上方部の先端側半分ほどが内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部と認められ、
d3 その照明部の縦横比率は、束ねられたものであるから、同色の照明部の基部とケーブル部が重なり照明部の下端が見定めがたく、照明部の長さが計測不能であるから不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と上方下半部は、相半ばすると認められるに止まり、計測できず不明であり
e3 上方部の周側面はほぼ基部に対し平行で先端方向に先細りしておらず、発光状態の図版(写真)であるから、発光部の上端の形態は不明であって、
f3 ケーブル部を構成するコードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体は暗色であって、
g3 図版部(写真)の最も上方に位置する照明部から、発光部は、外郭と発光部の中心部以外が背景とほぼ同色であるから、ほぼ透明と認められ、発光部の透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明で、基部は暗色である。
(2)本件登録意匠と甲2の3意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠は「装飾用照明具」であって、甲2の3意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具であって、本件登録意匠と甲2の3意匠(以下「両意匠3」という。)の意匠に係る物品は、同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α3-1)全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長尺のものと認められる点。
具体的構成態様について
(α3-2)照明部は、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β3-1)本件登録意匠は長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないものであるのに対し、甲2の3意匠は、両端にコネクターを配した長さの定まったものと認められる点。
具体的構成態様について
(β3-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の3意匠は、束ねられたものであるから、各照明部のケーブル部への照明部長さに比した配置間隔は測ることができず、不明である点。
(β3-3)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の3意匠は、照明部の長さが計測不能であるから不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と上方下半部は、上方部を相半ばすると認められるに止まり、各部の長さ比率は、不明である点。
(β3-4)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の3意匠は、上方部の先端方向の周面はほぼ平行で先細りしていないものと認められ、発光した状態の図版(写真)であるから、上端の形態は不明である点。
(β3-5)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、基部に取り付けられたコードは概ね2本でコードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲2の3意匠は、コードの本数は複数本であると認められるに止まり、基部に取り付けられたコードの本数は不明でコードの絶縁体は暗色である点。
(β3-6)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲2の3の意匠の発光部は、透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部は暗色である点。
(3)両意匠3が類似するか否かの判断
両意匠3の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠3の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α3-1)は、両意匠3の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α3-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠3の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠3の各相違点を見ると、相違点(β3-1)については、基本的構成態様の相違であるが、長手方向に連続して成るものか長さの定まった長尺なものか及びコネクターの有無の相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲2の3意匠は、カタログ掲載の実製品であって、端部に接続用のコネクターも備えた長尺のものであるが、共に相当に長尺のものでもあり、甲2の3意匠のコネクターは、模式的にごく普通のコネクターを表したものであるから、ごく普通に見受けられる形態の端部の部品の有無の相違にとどまり、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β3-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲2の3意匠は、不明である点は、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠3の視覚的印象に関わるものであるから、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。
次に、相違点(β3-3)については、本願登録意匠の照明部は、縦横比率は約5:1で、照明部の各部の縦方向の長さ比率も、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対し、甲2の3意匠は、照明部の長さが計測不能であるから、照明部の縦横比率は不明で、各部の縦方向の長さ比率も不明であって、この相違は、両意匠3の具体的特徴に関わる相違というべきものであるから、この点が類否判断に与える影響は極めて大きい。相違点(β3-4)については、両意匠3の照明部の具体的形態の相違に関わり、需要者は、照明部に注目し、発光によって、装飾効果を担う発光部にも関心を払うところ、上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の3意匠は、上方部の先端方向の周面はほぼ平行で先細りしておらず、上端の形態は不明であって、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものが、本件登録意匠の出願前に見受けられる形態であったとしても、甲2の3意匠の上方部には先端方向に僅かに先細に形成された形態は認められず、この相違は、相違点(β3-3)ともあいまって、両意匠3の具体的特徴に関わる相違というべきものであって、類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β3-5)はケーブル部についての相違であって、コードが概ね5本であるものも、複数本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも暗色であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、相違点(β3-6)については、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものも暗色のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β3-1)、相違点(β3-5)及び相違点(β3-6)は両意匠3の類否判断に与える影響は小さく、相違点(β3-2)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β3-3)及び相違点(β3-4)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それら相違点(β3-1)ないし相違点(β3-6)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠3を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲2の3意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲2の3意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠3の相違点が共通点を凌駕し、両意匠3は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲2の3意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由3によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

4 無効理由4について
本件登録意匠が、甲2の4意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲2の4意匠
甲2の4意匠は、第甲2号証(株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ「IlluminationMagic2008」(抜粋))の第8頁上方に掲載の図版部(写真)(製品名:LEDプレイライトつらら(ホワイト))の装飾用照明器具の意匠であって、
甲2の4意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a4 図版(写真)に両端は現されておらず、コネクターの形態は不明で、全体は、横方向に長く張り渡した絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部(以下幹ケーブル部という。)に、ほぼ等間隔に複数のコードが緩やかに撚り合わされて成る分岐したケーブル部(以下「分岐ケーブル部」という。)をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設け、各下端は何ら接続されるものがなくそれぞれ定まった長さのものであって、
具体的構成態様は、
b4 幹ケーブル部に配置した各分岐ケーブル部は、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、概ね2、1、3、4、の順で各種長さの分岐したケーブル部が右方向に繰り返して配置され、
c4 各分岐ケーブル部の各照明部の配置間隔は、照明部が強く発光した状態の図版(写真)であるから、照明部の上端が定まらず、照明部の長さ及び径も計測不能で、照明部長さに比した間隔は測ることができず、不明であって、
d4 照明部は、分岐ケーブル部長手方向に対し、分岐ケーブル部周側面からに立ち上がる短略円柱状の基部と発光部を備えて成り、基部の底部に一部のコードが接続されており、強い発光状態の図版(写真)で図版上の照明部もごく小さいから、発光部の上端の形態及び上端下半部の有無及び基部との境も定かではなく、
e4 その照明部の縦横比率は照明部の長さ及び径が計測不能であるから不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、上端下半部の有無及び基部との境も不明であるから、計測できず不明であり、
f4 幹ケーブル部及び分岐ケーブル部を構成するコードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体はほぼ白色であって、
g4 発光部は、透光するものとは認められるが、透明であるかは不明であり、発光部の透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部はほぼ白色である。
(2)本件登録意匠と甲2の4意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠は「装飾用照明具」であって、甲2の4意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具であって、本件登録意匠と甲2の4意匠(以下「両意匠4」という。)の意匠に係る物品は同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α4-1)全体に、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブルを用いた長いものであって、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部は、ケーブルの長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものである点。
具体的構成態様について
(α4-2)照明部は、発光部と基部を備え、ケーブルの長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部が認められ、基部は、ほば白色であり、基部の底部に一部のコード部が接続されている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β4-1)本件登録意匠が全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないのに対し、甲2の4意匠は、両端は観察できない状態であるからコネクターの形態は不明で、長い幹ケーブル部に、ほぼ等間隔に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、各下端は何ら接続されるものがなくそれぞれ定まった長さのものである点。
具体的構成態様について
(β4-2)本件登録意匠は、吊り下げて用いる分岐ケーブル部はないものであるのに対し、甲2の4意匠は、幹ケーブル部に配置した各分岐ケーブル部は、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、図版部左から、概ね2、1、3、4、の順で各種長さの分岐したケーブル部が繰り返して配置されている点。
(β4-3)各照明部の配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔でケーブル部に配置されているのに対し、甲2の4意匠は、各照明具が配置されているのは分岐ケーブル部で、各照明具は強く発光した状態の図版(写真)であって、照明部の上端が定まらず、照明部の長さは計測不能で、照明部長さに比した分岐ケーブルにおける配置間隔も測ることができず、不明である点。
(β4-4)照明部の発光部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲2の4意匠は、強く発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、発光部と上方下半部の境は、上方下半部の有無も含めて判別できないものである点。
(β4-5)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の4意匠は、照明部の縦横比率は発光部の上端が定まらず、不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、計測できず不明である点。
(β4-6)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の4意匠は、強く発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の先端方向及び上端の形態は不明である点。
(β4-7)ケーブルについて、本件登録意匠のケーブル部は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲2の4意匠の、幹ケーブル部及び分岐ケーブル部は、コードが複数本撚り合わされて成ると認められるに止まり、コードの絶縁体はほぼ白色である点。
(β4-8)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部は周側面に白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲2の4意匠の発光部は、透光するものの、透明であるかは不明で、透明フィルムの有無及び周側面のフィルムの有無も不明である点。
(3)両意匠4が類似するか否かの判断
両意匠4の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠4の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α4-1)は、両意匠4の形態の基本的構成態様を概括的かつ断片的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α4-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる照明部の形態であるから、これらの点が両意匠4の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠4の各相違点を見ると、相違点(β4-1)については、基本的構成態様の相違であって、特に、本件登録意匠は、全体が紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであるのに対し、甲2の4意匠は、幹ケーブル部に、ほぼ等間隔に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものである点は、両意匠4の形態の根幹に関わる相違であって、それぞれ形態の基調を異にする両意匠4の別異の感を決定づけるものであり、類否判断に与える影響は支配的である。そして、相違点(β4-2)及び相違点(β4-3)については、上記の基本的態様の相違から来る具体的形態の相違であって、両意匠4の類否判断に与える影響は大きい。また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明器具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目し、発光によって、装飾効果を担う発光部にも関心を払うところ、相違点(β4-4)ないし相違点(β4-6)については、両意匠4の照明部の具体的態様の相違に関わり、本願登録意匠の照明部の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で外部に照明光として出射する発光部としており、縦横比率は約5:1で、照明部の各部の縦方向の長さ比率も、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であって、上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の4意匠は、照明部の上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の発光部の占める割合、照明部の構成比率及び上方部の先端方向及び上端の形態はいずれも不明であるものであって、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものは、本件登録意匠の出願前に見受けられる形態であったとしても、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態は認められず、本件登録意匠の具体的特徴というべき形態と甲2の4意匠では、いずれも十分に対比できないものであるから、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β4-7)はケーブルについての相違であって、コードが概ね5本であるものも、複数本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものもほぼ白色であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、相違点(β4-8)については、発光部について透光するものか、透明なものであるかは、広く照明具の物品分野において、どちらもよく見受けられるものであって、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、(β4-1)が両意匠4の類否判断に与える影響は支配的であって、相違点(β4-2)及び相違点(β4-3)は両意匠4の類否判断に与える影響が大きく、相違点(β4-4)ないし相違点(β4-6)も両意匠4の類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、相違点(β4-7)及び相違点(β4-8)は両意匠4の類否判断に与える影響は小さいものであるとしても、それら相違点(β4-1)ないし相違点(β4-8)があいまった視覚的効果を考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠4を別異のものと強く印象づけるものであるから、本件登録意匠が甲2の4意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲2の4意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠4の相違点が共通点を凌駕し、両意匠4は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲2の4意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由4によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

5 無効理由5について
本件登録意匠が、甲2の5意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲2の5意匠
甲2の5意匠は、第2号証(株式会社エフェクトメイジが平成20年に発行したカタログ「IlluminationMagic2008」(抜粋))の第8頁下方に掲載の図版部(写真)(製品名:プレイライトつらら)の装飾用照明器具の意匠であって、
甲2の5意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a5 図版(写真)に両端は現されておらず、コネクターの形態は不明で、全体は、横方向に長く張り渡した絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部(幹ケーブル部)に、ほぼ等間隔に複数のコードが緩やかに撚り合わされて成る分岐したケーブル部(分岐ケーブル部いう。)をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設け、各下端は何ら接続されるものがなくそれぞれ定まった長さのものであって、
具体的構成態様は、
b5 幹ケーブル部に配置した各分岐ケーブル部は、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、概ね、4、3、2、1、2、3、の順で各種長さの分岐したケーブル部が右方向に繰り返して配置され、
c5 各分岐ケーブル部の各照明部の配置間隔は、照明部が発光した状態の図版(写真)であるから、照明部の上端が定まらず、照明部の長さ及び径も計測不能で、照明部長さに比した間隔は測ることができず、不明であって、
d5 照明部は、分岐ケーブル部の長手方向に対し、分岐ケーブル部周側面からに立ち上がる短略円柱状の基部と発光部を備えて成り、基部の底部に一部のコードが接続されており、発光状態の図版(写真)で図版上の照明部もごく小さいから、発光部の上端の形態及び上端下半部の有無及び基部との境も定かではなく、
e5 その照明部の縦横比率は照明部の長さ及び径が計測不能であるから不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、上端下半部の有無及び基部との境も不明であるから、計測できず不明であり、
f5 幹ケーブル部及び分岐ケーブル部を構成するコードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体はほぼ明るい橙色であって、
g5 発光部は、透光するものとは認められるが、透明であるかは不明であり、発光部の透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部はほぼ明るい橙色である。
(2)本件登録意匠と甲2の5意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠は「装飾用照明具」であって、甲2の5意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具である。本件登録意匠と甲2の5意匠(以下「両意匠5」という。)の意匠に係る物品は同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α5-1)全体に、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブルを用いた長いものであって、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブルを用いた長いものであって、略円柱状の複数の照明部は、ケーブルの長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものである点。
具体的構成態様について
(α5-2)照明部は、発光部と基部を備え、ケーブルの長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部が認められ、基部の底部に一部のコード部が接続されている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β5-1)本件登録意匠が全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないのに対し、甲2の5意匠は、両端は観察できない状態であるからコネクターの形態は不明で、照明部に発光ダイオードを用いたか否かは不明で、長い幹ケーブル部に、ほぼ等間隔に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設け、各下端は何ら接続されるものがなくそれぞれ定まった長さのものである点。
具体的構成態様について
(β5-2)本件登録意匠は、分岐ケーブル部はないものであるのに対し、甲2の5意匠は、横方向に張り渡したケーブル部に配置した各分岐ケーブル部は、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、概ね4、3、2、1、3、2の順で各種長さの分岐したケーブル部が繰り返して配置されている点。
(β5-3)各照明部の配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔でケーブル部に配置されているのに対し、甲2の5意匠は、各照明具が配置されているのは分岐ケーブル部で、各照明具は強く発光した状態の図版(写真)であって、照明部の上端が定まらず、照明部の長さは計測不能で、照明部長さに比した分岐ケーブルにおける配置間隔も測ることができず、不明である点。
(β5-4)照明部の発光部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲2の5意匠は、発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、発光部と上方下半部の境は、上方下半部の有無も含めて判別できないものである点。
(β5-5)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲2の5意匠は、照明部の縦横比率は発光部の上端が定まらず、不明であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、計測できず不明である点。
(β5-6)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の5意匠は、発光した状態の図版(写真)であるから、上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の先端方向及び上端の形態は不明である点。
(β5-7)本件登録意匠のケーブル部は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲2の5意匠の、幹ケーブル部及び分岐ケーブル部は、コードが複数本撚り合わされて成ると認められるに止まり、コードの絶縁体はほぼ明るい橙色である点。
(β5-8)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部は周側面に白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲2の5意匠の発光部は、透光するものの、透明であるかは不明で、透明フィルム及び周側面のフィルムの有無も不明で、基部はほぼ明るい橙色である点。
(3)両意匠5が類似するか否かの判断
両意匠5の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠5の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α5-1)は、両意匠5の形態の基本的構成態様の断片的に捉えた共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α5-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる照明部の形態であるから、これらの点が両意匠5の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠5の各相違点を見ると、相違点(β5-1)については、基本的構成態様の相違であって、発光ダイオードを用いた照明部であるか否かが、非点灯時の外観観察においては、看取しづらい発光部の内部の光源の相違であって、類否判断へ与える影響は小さいとしても、特に、本件登録意匠は、全体が紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであるのに対し、甲2の5意匠は、幹ケーブル部に、ほぼ等間隔に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものである点は、両意匠5の形態の根幹に関わる相違であって、それぞれ形態の基調を異にする両意匠5の別異の感を決定づけるものであり、類否判断に与える影響は支配的である。そして、相違点(β5-2)及び相違点(β5-3)については、上記の基本的態様の相違から来る具体的形態の相違であって、両意匠5の類否判断に与える影響は大きい。また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目し、発光によって、装飾効果を担う発光部にも関心を払うところ、相違点(β5-4)ないし相違点(β5-6)については、両意匠5の照明部の具体的態様の相違に関わり、本願登録意匠の照明部の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で外部に照明光として出射する発光部とし、縦横比率は約5:1で、照明部の各部の縦方向の長さ比率も、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であって、上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲2の5意匠は、照明部の上方部の形態は短棒状であると認められるに止まり、上方部の発光部の占める割合、照明部の構成比率及び上方部の先端方向及び上端の形態はいずれも不明であるものであって、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものは、本件登録意匠の出願前に見受けられる形態であったとしても、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態は認められず、本件登録意匠の具体的特徴というべき形態と甲2の5意匠では、いずれも十分に対比できないものであるから、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β5-7)はケーブルについての相違であって、コードが概ね5本であるものも、複数本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものもほぼ明るい橙色であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、相違点(β5-8)については、発光部について透光するものか、透明なものであるかは、広く照明具の物品分野において、どちらもよく見受けられるものであって、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものもほぼ明るい橙色のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、(β5-1)が両意匠5の類否判断に与える影響は支配的であって、相違点(β5-2)及び相違点(β5-3)は、両意匠5の類否判断に与える影響が大きく、相違点(β5-4)ないし相違点(β5-6)も両意匠5の類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、相違点(β5-7)及び相違点(β5-8)は両意匠5の類否判断に与える影響は小さいものであるとしても、それら相違点(β5-1)ないし相違点(β5-8)があいまった視覚的効果を考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠5を別異のものと強く印象づけるものであるから、本件登録意匠が甲2の5意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲2の5意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠5の相違点が共通点を凌駕し、両意匠5は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲2の5意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由5によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

6 無効理由6について
(1)甲3意匠
甲3意匠は、甲第3号証(株式会社学習研究社が平成19年11月15日に発行した「DIYで楽しむイルミネーション入門BOOK」(抜粋))の3頁上段の「ストレートタイプ」の呼称の記載に対応する図である「ストレートライト」と示された4頁目掲載の中段左から1つめの図版部の装飾用照明具であって、
甲3意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a6 全体は、蛇行する暗調子の線で表されたケーブル部に、略縦長長方形状(当業者知識から判断すれば略円柱状と認められる)の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、両端にコネクターを配していない長さの定まった長尺のものと認められる。
具体的構成態様は、
b6 各照明部のケーブル部への配置間隔は、(照明部の長さ(高さ)の約1倍から約2倍の間隔で配置され
c6 照明部は、発光部と基部から成り、発光部と基部は横方向に等幅で、発光部は、線で囲まれた先端が丸みを帯びた略矩形状に表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐで上端は丸く、基部は、下端が僅かに丸みを帯びた略縦長四角形状に塗りつぶして表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐであって、下端が僅かに丸く、ケーブル部長手方向に対し、周側面方向に立ち上がって配され、基部の底部に1本のコード部が接続されており、
d6 その照明部の縦横比率は約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であり、
e6 暗調子の線で囲まれた発光部は、内方が薄く暗調子を施して表され、基部は、濃い暗調子で塗りつぶして表されたものである。
(2)本件登録意匠と甲3意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠と甲3意匠(以下「両意匠6」という。)の意匠に係る物品は、共に「装飾用照明具」であって、両意匠6の意匠に係る物品は一致するから同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α6-1)全体は、紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、両端にコネクターなどを配していない長尺のものと認められる点。
具体的構成態様について
(α6-2)照明部は、発光部と基部を備え、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部が認められ、基部の底部に一部のコード部が接続されている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β6-1)本件登録意匠が発光ダイオードを用いた照明部で、長手方向に連続して成るものであるのに対し、甲3意匠は、照明部に発光ダイオードを用いたか否かは不明で、長さの定まったものと認められる点。
具体的構成態様について
(β6-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲3意匠は、照明部の長さ(高さ)の約1倍から約2倍の間隔で配置されている点。
(β6-3)照明部の上方部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、上方部の先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲3意匠は、発光部のみが認められ、発光部と基部は横方向に等幅である点。
(β6-4)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲3意匠は、照明部の縦横比率は、約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であって、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲3意匠は、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、発光部が半ば弱を占め、基部も半ばをやや超える程度の短めのものである点。
(β6-5)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲3意匠の発光部は、線で囲まれた先端が丸みを帯びた略矩形状に表されているから、周面は鉛直方向に真っ直ぐで先端は丸いものである点。
(β6-6)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲3意匠は、暗調子の太線で表された紐状のケーブル部である点。
(β6-7)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲3意匠の発光部は、暗調子の線で囲まれた薄く暗調子を施して表され、基部は、暗調子で塗りつぶして表されたものである点。
(3)両意匠6が類似するか否かの判断
両意匠6の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠6の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α6-1)は、両意匠6の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α6-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠6の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠6の各相違点を見ると、相違点(β6-1)については、基本的構成態様の相違であるが、発光ダイオードを用いた照明部であるか否かは、性能上の相違はあるとしても、非点灯時の外観観察においては、看取しづらい発光部の内部の光源の相違であって、類否判断へ与える影響は小さく、長手方向に連続して成るものか長さの定まった長尺なものかの相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲3意匠は、雑誌掲載の「ストレートライト」の図に表された両端を省略した長尺のものであって、共に相当に長尺のものを表したものであって、その手法の相違にすぎないものであるから、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β6-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲3意匠は、の約1倍から約2倍の間隔で配置されたものである点であり、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠6の視覚的印象に関わるものであるから、この点は、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。次に、相違点(β6-3)及び相違点(β6-5)については、上方部と先端方向の形態についてであって、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲3意匠は、発光部が認められるのみで、発光部と基部は横方向に等幅であり、かつ本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲3意匠の発光部は、周面は鉛直方向に真っ直ぐで上端は丸いものである点は、両意匠6の照明部の具体的形態の相違に関わり、上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものも丸いものもこの種物品分野においてよく見受けられるものであるとしても、その形態の相違は一見して明らかであって、その構成も発光部、上方下半部及び基部から成るものと発光部と基部から成るものとで相違し、甲3の意匠は、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態も認められず、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きく、相違点(β6-4)については、本件登録意匠が、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲3意匠は、照明部の縦横比率は、約3:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:1.5であって、すなわち、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲3意匠が、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、基部も半ばをやや超える程度の短めのものである点は、照明部の具体的プロポーションに係る相違であって、両意匠6の具体的特徴に関わる相違というべきものであるから、この点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β6-6)はケーブル部についての相違であって、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも暗調子(暗色)であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるが、本件登録意匠は、コードが概ね5本緩やかに撚り合わされたものであって、それに対し、甲3意匠が暗調子の太線で表された紐状のケーブル部である点は、模式的に表された図であるとしても、視覚的に異なる印象を与え、類否判断に与える影響は一定程度あるものである。さらに相違点(β6-7)発光部がほぼ透明であるか図に暗調子線で囲まれた薄い暗調子を施して表されたものであるかについては、図に薄い暗調子は、基部に比して比較的明るい色を表すものであって、発光部を表す形態と認められ、広く照明具の物品分野において、どちらもよく見受けられるものであって、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面の白いフィルムの有無及び基部などの色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものも暗調子(暗色)のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β6-1)及び相違点(β6-7)は両意匠6の類否判断に与える影響は小さく、相違点(β6-2)及び相違点(β6-6)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β6-3)ないし相違点(β6-5)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それらの相違点(β6-1)ないし相違点(β6-6)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠6を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲3意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲3意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠6の相違点が共通点を凌駕し、両意匠6は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲3意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由6によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

7 無効理由7について
本件登録意匠が、甲4意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲4意匠
甲4意匠は、甲第4号証(エリートライティングが平成19年に発行したカタログ「Elitelight Illnmination Catalog 2007」(抜粋)の第2頁の最上方掲載の図版部(写真)所載の製品名:エリートライトシリーズ LEDストリングス(日亜化学工業製LED)の装飾用照明器具の意匠であって、
甲4意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a7 全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされたケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けた紐状のものであって、図版(写真)掲載頁の最下の全体図から両端にコネクターを配した長さの定まった長尺のものと認められる。
具体的構成態様は、
b7 甲4意匠は、図版(写真)は、照明部が発光状態のものであって、束ねられたものであるから、図版(写真)から各照明部のケーブル部への照明部長さに比した配置間隔は測ることはできないが、図版(写真)下の記載に「ピッチ100mm」とあり、左上段の照明部の側面方向の略図に縦方向に「20」、横方向に「5」という記載があるから照明部は長さ20mmで、配置間隔は、照明部長さの約5倍と認められ、
c7 照明部は、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる短略円柱状の基部とその基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側は、内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部とし、
d7 その照明部は、図版(写真)は発光状態のものであるから、照明部の上端が定まらず、各部の境も曖昧で計測できないものの、左上段の照明部の側面視の略図に記載された数値から、縦横比率は約4:1と認められ、左上段の照明部の略図の縦横比率は、記載の数値の比率と合わないから、各部の構成比率が表されているとまでは認められず、発光部、上方下半部、基部の縦方向の長さ比率は、不明であり、
e7 上方部の周側面はほぼ基部に対し平行で先端方向に先細りしておらず、発光状態の図版(写真)であるから、図版から発光部の上端の形態は看取できず、左上段の照明部の側面方向の略図及びその下の「Vカット」との赤字の記載から凹部であると認められるにとどまり、
f7 ケーブル部を構成するコードの本数は複数本であると認められるに止まり、コードの絶縁体は暗色であって、
g7 発光部は、強く発光した状態の図版であるから、透光するものとは認められるが、透明であるかは不明であって、発光部の透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明で、基部はコードが透過して見えるのでほぼ透明である。
(2)本件登録意匠と甲4意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠「装飾用照明具」であって、甲4意匠は「装飾用照明器具」であって、表記は相違するが、共に装飾に用いる照明具であって、本件登録意匠と甲4意匠(以下「両意匠7」という。)の意匠に係る物品は同一である。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α7-1)全体は、絶縁体で被覆された複数のコードが緩やかに撚り合わされた紐状のケーブル部に、略円柱状の発光ダイオードを用いた複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長尺のものと認められる点。
具体的構成態様について
(α7-2)照明部は、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の基部と、その基部より径がやや大きい略円柱状の上方部とから成り、基部の底部に一部のコードが接続され、上方部の先端側の内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β7-1)本件登録意匠は長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないものであるのに対し、甲4意匠は、両端にコネクターを配した長さの定まったものと認められる点。
具体的構成態様について
(β7-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲4意匠は、約5倍のものと認められる点。
(β7-3) 照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲4意匠は、照明部の縦横比率は、約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、不明であって、本件登録意匠は横の長さに対して縦の長さが長く、とりわけ基部が長いものであるのに対して、甲4意匠は、横の長さに対して縦の長さはさほど長くないものである点
(β7-4)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲4意匠は、上方部の先端方向の周面はほぼ平行で先細りしていないものと認められ、発光した状態の図版(写真)であるから、上端の形態は、左上段の照明部の側面方向の略図及びその下の「Vカット」との赤字の記載から凹部であると認められるにとどまる点。
(β7-5)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、基部に取り付けられたコードは概ね2本でコードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲4意匠は、コードの本数は複数本であると認められるに止まり、基部に取り付けられたコードの本数は不明でコードの絶縁体は暗色である点。
(β7-6)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲4の意匠の発光部は、透明フィルム及び周側面のフィルムの有無は不明であり、基部はほぼ透明である点。
(3)両意匠7が類似するか否かの判断
両意匠7の意匠に係る物品は、同一である。
両意匠7の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α7-1)は、両意匠7の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α7-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠7の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠7の各相違点を見ると、相違点(β7-1)については、基本的構成態様の相違であるが、長手方向に連続して成るものか定まった長尺なものか及びコネクターの有無の相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲4意匠は、カタログ掲載の実製品であって、端部に接続用のコネクターも備えた長さの定まったものであるが、共に相当に長尺のものでもあり、甲4意匠のコネクターは、模式的にごく普通のコネクターを表したものであるから、ごく普通に見受けられる形態の端部の部品の有無の相違にとどまり、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β7-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲4意匠は、約5倍である点は、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠7の視覚的印象に関わるものであるから、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。
次に、相違点(β7-3)については、本願登録意匠の照明部は、縦横比率は約5:1で、照明部の各部の縦方向の長さ比率も、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対し、照明部の縦横比率は、約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、不明である点であって、すなわち、本件登録意匠は横の長さに対して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲4意匠は、横の長さに対して縦の長さはさほど長くないもので、照明部の各部の縦方向の長さ比率は不明で、基部の占める割合も不明である点は、照明部の具体的プロポーションに係る相違であって、両意匠7の具体的特徴に関わる相違というべきものであって、この点が類否判断に与える影響は極めて大きい。相違点(β7-4)については、両意匠7の照明部の具体的形態の相違に関わり、需要者は、照明部に注目し、発光によって、装飾効果を担う発光部にも関心を払うところ、上方部は先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲4意匠は、上方部の先端方向の周面はほぼ平行で先細りしておらず、上端の形態は、左上段の照明部の側面方向の略図及びその下の「Vカット」との赤字の記載から凹部であると認められるにとどまる点であって、甲4意匠の上端の凹部が略すり鉢状であるとまでは認定できず、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているものが、本件登録意匠の出願前に見受けられる形態であったとしても、甲4意匠の上方部には先端方向に僅かに先細に形成された形態は認められず、この相違は、相違点(β7-3)ともあいまって、両意匠7の具体的特徴に関わる相違というべきものであって、類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β7-5)はケーブル部についての相違であって、コードが概ね5本であるものも、複数本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも暗色であるものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、相違点(β7-6)については、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部の色彩については、フィルムで被覆したものもしないものも、ほぼ白色のものもほぼ透明のものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β7-1)、相違点(β7-5)及び相違点(β7-6)は両意匠7の類否判断に与える影響は小さく、相違点(β7-2)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β7-3)及び相違点(β7-4)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それらの相違点(β7-1)ないし相違点(β7-6)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠7を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲4意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲4意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、両意匠7の相違点が共通点を凌駕し、両意匠7は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲4意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由7によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

8 無効理由8について
本件登録意匠が、甲6意匠と類似する意匠であるか否かについて検討する。
本件登録意匠については、前記1.に記載のとおりである。
(1)甲6意匠
甲6意匠は、公開特許公報に掲載され平成22年9月16日に公開された特開2010-205465号(特願2009-47536)(審判請求書においては、出願番号で記載されているが、本審決では、公開特許公報に掲載の公開番号を記載)の図1、図3、及び図5に示された「電飾装置」の意匠であって、
甲6意匠の形態は、以下のとおりである。
基本的構成態様は、
a8 甲6意匠は、図に表されたものであって、全体は、緩やかによりあわされたケーブル部に、略円柱状の複数の発光ダイオードを用いた照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、両端に連結用の連結プラグ部及び差込プラグ部を配し、差込プラグ部寄りに整流器を備えた長尺のものと認められる。
具体的構成態様は、
b8 各照明部のケーブル部への配置間隔は、ジグザグ状のケーブル部の折り山部毎にほぼ等間隔に照明部が配置され、その間隔は、照明部の長さ(高さ)の約10倍であって、
c8 ケーブル部周側面からに立ち上がる円柱状の基部と、基部とほぼ同径の先端が平坦な発光部から成ると認められ、基部の底部にコードが概ね2本接続されており、
d8 その照明部の縦横比率は約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:2であり、
e8 ケーブル部を構成するコードの本数は図1によると2本であると認められ、コードの色彩は表されていないものであって、
f8 発光部及び基部は、発光部は、LED素子であって、透光するものとは認められるが、透明であるかは不明であって、基部は熱収縮した円筒体で被覆され、基部の色彩は表されていない。
(2)本件登録意匠と甲6意匠の対比
ア.物品について
本件登録意匠と甲6意匠(以下「両意匠8」という。)の意匠に係る物品は、本件登録意匠が「装飾用照明具」であって、甲6意匠が「電飾装置」であるが、共に装飾用の照明器具であって、両意匠8の意匠に係る物品は共通する。
イ.形態について
(ア)共通点
基本的態様について
(α8-1)全体は、緩やかによりあわされた紐状のケーブル部に、略円柱状の複数の発光ダイオードを用いた照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けたものであって、長尺のものと認められる点。
具体的構成態様について
(α8-2)照明部は、発光部と基部を備え、ケーブル部長手方向に対し、ケーブル部周側面からに立ち上がる略円柱状の被覆された基部が認められ、基部の底部に一部(概ね2本)のコード部が接続されている点。
(イ)相違点
基本的態様について
(β8-1)本件登録意匠が、長手方向に連続して成り、コネクターなどは配していないものであるのに対し、甲6意匠は、両端に連結用の連結プラグ部及び差込プラグ部を配し、差込プラグ部寄りに整流器を備えた長さの定まったものである点。
具体的構成態様について
(β8-2)各照明部のケーブル部への配置間隔について、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲6意匠は、照明部の長さ(高さ)の約10倍の間隔で配置されている点。
(β8-3)照明部の上方部について、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲6意匠は、発光部のみで構成され、発光部は、透光するものと認められるが、透明であるかは不明で、発光部は基部とほぼ同径のものである点。
(β8-4)照明部の構成比率について、本件登録意匠は、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲6意匠は、照明部の縦横比率は、約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:2であって、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲6意匠は、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、発光部が照明部の縦方向の長さの約3分の1を占め、基部はその2倍程度のものである点。
(β8-5)先端方向の形態について、本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲6意匠の発光部は、先端が平坦な略円柱状のものである点。
(β8-6)ケーブル部について、本件登録意匠は、概ね5本のコードが緩やかに撚り合わされて成り、コードの絶縁体はほぼ透明であるのに対して、甲6意匠は、2本が緩やかに撚り合わされて成るケーブル部と認められ、コードの色彩は表されていないものである点。
(β8-7)照明部の色彩などについて、本件登録意匠は、発光部の周側面は、上端側を少し残して、ほぼ透明なフィルムで被覆されており、上方下半部及び基部の周側面は白色のフィルムで被覆されているのに対して、甲6意匠の発光部は透光するものの、透明であるかは不明で、基部は熱収縮した円筒体で被覆され、基部の色彩は表されていない点。
(3)両意匠8が類似するか否かの判断
両意匠8の意匠に係る物品は、本件登録意匠が「装飾用照明具」であって、甲6意匠が「電飾装置」であって、表記は異なるが、共に装飾にも用いる照明具と認められるから共通する。
両意匠8の形態については、以下のとおり評価する。
(あ)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(α8-1)は、両意匠8の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであり、具体的構成態様としてあげた共通点(α8-2)も、「装飾用照明具」の物品分野において、ごく普通に見られる形態であるから、これらの点が両意匠8の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(い)相違点の評価
これに対して、両意匠8の各相違点を見ると、相違点(β8-1)については、基本的構成態様の相違であるが、長手方向に連続して成るものか定まった長さのものかの相違は、本件登録意匠は、意匠登録出願の様式上、一定の長さの見本によって長尺の意匠を現したものであり、一方、甲6意匠は、公開特許公報に掲載の図(図1)で「電飾装置」の全体図で表されたものであって、相当に長尺のものを表したものであり、甲6意匠のプラグ部及び整流器もよく見受けられる形態であるから、ごく普通に見受けられる形態の端部の部品の有無の相違にとどまり、この相違点が類否判断へ与える影響は小さい。
また、本件登録意匠に係る物品である「装飾用照明具」は、装飾のための照明具であって、そのため需要者は、とりわけ、照明部に注目するところ、相違点(β8-2)は、各照明部のケーブル部への配置間隔についてであって、本件登録意匠が照明部の長さ(高さ)の約2倍から約3倍の間隔で配置されているのに対し、甲6意匠は、の約10倍の間隔で配置されたものである点であり、照明部の配置間隔については需要者も一定の注意を払い、両意匠8の視覚的印象に関わる相違であるから、この点は、一定程度の類否判断への影響を与えるものである。次に、相違点(β8-3)及び相違点(β8-5)については、上方部と先端方向の形態についてであって、本件登録意匠の上方部は基部より径がやや大きい略円柱状で、先端側半分ほどがほぼ透明で内部の発光ダイオードからの発光を外部に照明光として出射する発光部としているのに対し、甲6意匠は、発光部のみで構成され、発光部は基部とほぼ同径であり、かつ本件登録意匠の上方部は、先端方向に僅かに先細に形成され、発光部の上端面は略すり鉢状の凹部を形成しているのに対して、甲6意匠は略円柱状で上端は平坦なものである点は、両意匠8の照明部の具体的形態の相違に関わり、上端面が略すり鉢状の凹部を形成しているものも平坦なものも、この種物品分野においてよく見受けられるものであるとしても、その形態の相違は一見して明らかであって、その構成も発光部、上方下半部及び基部から成るものと発光部と基部から成るものとで相違し、甲6の意匠は、上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態も認められず、これらの点が類否判断に与える影響は極めて大きく、相違点(β8-4)については、本件登録意匠が、照明部の縦横比率は約5:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部、上方下半部、基部が約1:1:6であるのに対して、甲6意匠は、照明部の縦横比率は、約4:1であって、照明部の各部の縦方向の長さ比率は、発光部と基部が約1:2であって、すなわち、本件登録意匠が横の長さに比して縦の長さが長く、とりわけ基部が発光部と上方下半部を合わせた上方部の3倍程度の長いものであるのに対して、甲6意匠は、横の長さに比して縦の長さはさほど長くなく、発光部が照明部の縦方向の長さの約3分の1を占め、基部はその2倍程度のものである点は、照明部の具体的プロポーションに係る相違であって、両意匠8の具体的特徴に関わる相違というべきものであるから、この点が類否判断に与える影響は極めて大きい。
そして、相違点(β8-6)はケーブル部についての相違であって、コードが概ね5本から成るものも、2本から成るものも、コードの絶縁体はほぼ透明であるものも図に色彩の表されていないものも、「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さく、さらに相違点(β8-7)については、発光部の周側面のほぼ透明なフィルムの有無については、ごく小さな部分の薄くほぼ透明な部材の有無であり、類否判断に与える影響が大きいということはできず、周側面のフィルムの有無及び基部の色彩については、フィルムで被覆したものも円筒体で被覆したものも共にごく薄い材質で被覆したものであるし、ほぼ白色のものも図に色彩の表されていないものも「装飾用照明具」の物品分野においては、よく見受けられる形態であるから、この相違点が類否判断に与える影響は小さい。
そうすると、相違点(β8-1)、相違点(β8-6)及び相違点(β8-7)は両意匠8の類否判断に与える影響は小さく、相違点(β8-2)及び相違点(β8-6)は類否判断に与える影響は一定程度あるものであって、相違点(β8-3)ないし相違点(β8-5)は類否判断に与える影響が極めて大きいものであるから、それらの相違点(β8-1)ないし相違点(β8-7)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると、相違点は、共通点を凌駕して、両意匠8を別異のものと印象づけるものであるから本件登録意匠が甲6意匠に類似するということはできない。
(4)小括
以上のとおり、本件登録意匠と甲6意匠は、意匠に係る物品は共通するものの、両意匠8の相違点が共通点を凌駕し、両意匠8は類似するものではない。
すなわち、本件登録意匠は、その意匠登録出願の出願前に公然知られた甲6意匠に類似する意匠ではなく、したがって、無効理由8によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し同項柱書の規定によって、無効とされるべき理由はない。

9 無効理由9について
(1)意匠法第3条第2項の該当性について
請求人は、前記、第2の1.(4)〔4〕において「…かかるLEDプレイライトセットの形態は、本件登録意匠の基本的構成態様に他の構成を付加しているが、前記の本件登録意匠の基本的構成態様は、LEDプレイライトセットの形態から装飾用照明具の端部を複数接合する共通ケーブルを除外した構成態様に他ならない。そして、かかる端部を接合するための共通ケーブルを除外し、本件登録意匠と共通の基本的構成態様からなる意匠は、当業者であれば容易に創作することができたものである。」と述べており、甲2の4の意匠(もしくは甲2の5の意匠)の共通ケーブル(幹ケーブル)を除外して、本件登録意匠を容易に創作できたとするものである。
以下、本件登録意匠が、甲2の4意匠に基づいて、本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものかどうか、すなわち、甲2の4意匠に基づく意匠法第3条第2項の該当性について検討する。
本件登録意匠は、前記1.に記載のとおり、甲2の4意匠については、前記6の(1)に記載のとおりである。
(2)創作非容易性の判断
まず、全体が、横方向に長く張り渡した幹ケーブル部に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の発光ダイオードの複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けて成るものは、甲2の4意匠に見られるとおり、本件登録意匠の出願前に公然知られたものといえる。
次に、請求人主張のとおり、甲2の4意匠から共通ケーブル(幹ケーブル)を除外したとして、各分岐ケーブルは、それぞれ定まった長さで、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、概ね2、1、3、4、の順で各種長さの分岐したケーブル部が配置されたものであって、複数の分岐ケーブル部があるところ、各分岐ケーブルについていずれのものから当業者が本件登録意匠の形態を容易に創作できたものかは、請求人の主張に示されてはいない。
各分岐ケーブルはそれぞれ長さは異なるものの、いずれも、分岐ケーブル部の周側面方向に立ち上がる短略円柱状の基部と発光部を備え、基部の底部に一部のコードが接続され、コードと基部がほぼ白色である点は認められる。しかしながら、甲2の4意匠の各照明部は、強く発光した状態の図版(写真)であるから、発光部の上端の形態及び上端下半部の有無及び基部との境も定かではなく、照明部の長さ及び径も計測不能であって、自ずから、分岐ケーブル部の照明部長さに比した配置間隔は不明で、発光部の透明フィルム及び基部などの周側面のフィルムの有無も不明なものである。
これらの分岐ケーブル部の形態は、照明部の具体的形態が不明なものであるから、具体的な本件登録意匠の形態、特に、本件登録意匠の特徴である照明部の前記CないしEの形態に想到することは、困難であるといわざるをえない。
また、幹ケーブルにのれん状に吊されて成る長さの定まった分岐ケーブル部から長手方向に連続して成る装飾用照明具とすることが、ありふれた手法であるとする証拠もない。
そうすると、甲2の4意匠のいずれの分岐ケーブルからも本件登録意匠の形態が容易に創作できたということはできない。
以上のとおり、本件登録意匠は、当業者がその意匠登録出願の出願前に日本国内又は外国において公然知られた甲2の4意匠に基づいて容易に創作することができたものであるということはできない。
(3)小括
以上のとおり、本件登録意匠が、甲2の4意匠に見られる公然知られた形態に基づいて容易に創作することができた意匠とはいえず、意匠法第3条第2項に該当するということはきないから、したがって、無効理由9によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し、同項の規定によって、無効とされるべき理由はない


10 無効理由10について
(1)意匠法第3条第2項の該当性について
請求人は、請求人は、前記、第2の1.(4)〔4〕において、甲2の5の意匠の共通ケーブル(幹ケーブル)を除外して、本件登録意匠を容易に創作できたとするものであるから、
以下、本件登録意匠が、甲2の5意匠に基づいて、本件登録意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものかどうか、すなわち、甲2の5意匠に基づく意匠法第3条第2項の該当性について検討する。
本件登録意匠は、前記1.に記載のとおり、甲2の5意匠については、前記7の(1)に記載のとおりである。
(2)創作非容易性の判断
まず、全体が、横方向に長く張り渡した幹ケーブル部に分岐ケーブル部をのれん状に複数並列に吊るして配置し、各分岐ケーブル部に略円柱状の複数の照明部を長手方向に間隔をあけて枝状に設けて成るものは、甲2の5意匠に見られるとおり、本件登録意匠の出願前に公然知られたものといえる。
次に、請求人主張のとおり、甲2の5意匠から共通ケーブル(幹ケーブル)を除外したとして、各分岐ケーブルは、それぞれ定まった長さで、一番長いものを1、一番短いものを4、とすると、概ね4、3、2、1、2、3、の順で各種長さの分岐したケーブル部が幹ケーブル部に配置されたものであって、複数の分岐ケーブル部があるところ、いずれのものから当業者が本件登録意匠の形態を容易に創作できたものかは、請求人の主張に示されてはいない。
各分岐ケーブル部はそれぞれ長さは異なるものの、いずれも、分岐ケーブル部の周側面方向に立ち上がる短略円柱状の基部と発光部を備え、基部の底部に一部のコードが接続され、コードと基部がほぼ明るい橙色である点は認められる。しかしながら、甲2の5意匠の各照明部は、発光した状態の図版(写真)であるから、発光部の上端の形態及び上端下半部の有無及び基部との境も定かではなく、照明部の長さ及び径も計測不能であって、自ずから、分岐ケーブル部の照明部長さに比した配置間隔は不明で、発光部の透明フィルム及び基部などの周側面のフィルムの有無も不明なものである。
これらの分岐ケーブル部の形態は、照明部の具体的形態が不明なものであるから、具体的な本件登録意匠の形態、特に、本件登録意匠の特徴である照明部の前記CないしEの形態に想到することは、困難であるといわざるをえない。
また、幹ケーブルにのれん状に吊されて成る長さの定まった分岐ケーブル部の形態に基づいて、長手方向に連続して成る装飾用照明具の形態とすることが、ありふれた手法であるとする証拠もない。
そうすると、甲2の5意匠のいずれの分岐ケーブルからも本件登録意匠の形態が容易に創作できたということはできない。
以上のとおり、本件登録意匠は、当業者がその意匠登録出願の出願前に日本国内又は外国において公然知られた甲2の5意匠に基づいて容易に創作することができたものであるということはできない。
(3)小括
以上のとおり、本件登録意匠が、甲2の5意匠に見られる公然知られた形態に基づいて容易に創作することができた意匠とはいえず、意匠法第3条第2項に該当するということはできないから、したがって、無効理由10によって、本件登録意匠の登録が、意匠法第48条第1項第1号に該当し、同項の規定によって、無効とされるべき理由はない。
なお、平成31年3月7日提出の上申書において、請求人は「照明部上方部が先端方向に向かって僅かに先細に形成される点」は、本件登録意匠に係る出願前に公知となった下記の特許の明細書に含まれる図面及び意匠登録の図面の内容からしても、先端部分を先細に形成することは本件意匠の出願前からありふれて用いられている。」として、特許第4681059号【図10】、特許第5153950号【図2】、特許第5199328号【図3】及び意匠登録第1249627号【正面図】の意匠を示したが、「先端方向に向かって僅かに先細に形成され」た形態とは先端方向に向かっての周側面の形態であって、前者3つは上端形状を山状もしくは半球状としたものであり、後者1つは「上面より、照明器具を挿入する穴」を設けた「発光ダイオード等光源取り付け用水晶」であって、本件登録意匠のような照明部の上方部が先端方向に僅かに先細に形成された形態が表されているものではなく、また、本件登録意匠に比率の近いものとして示された、2012年に製造したとする、やまと興業株式会社製造の「装飾用照明器具」の意匠(写真)は、2012年に製造されたか否かにかかわらず、請求人の記載事項からは、本件登録意匠の出願前に公然知られたものであるとの主張がなされているとはいえず、いずれの意匠も、本件登録意匠の出願前にこの種物品分野で用いられているありふれた手法の例示として十分ではないから、前述した創作非容易性の判断を左右するものではない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由1ないし無効理由10に係る理由によっては、本件登録意匠の登録は無効とすることはできない。

審判に関する費用については、意匠法第52条で準用する特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2019-05-24 
結審通知日 2019-05-29 
審決日 2019-06-21 
出願番号 意願2013-16097(D2013-16097) 
審決分類 D 1 113・ 121- Y (D3)
D 1 113・ 113- Y (D3)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 古賀 稔章 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
渡邉 久美
登録日 2014-07-11 
登録番号 意匠登録第1504534号(D1504534) 
代理人 朝倉 美知 
代理人 知念 芳文 
代理人 飯島 秀明 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
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