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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L4
管理番号 1356017 
審判番号 不服2019-3666
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-18 
確定日 2019-09-17 
意匠に係る物品 引戸 
事件の表示 意願2018-4781「引戸」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,平成28年12月27日に出願された特許出願(特願2016-254042号。以下「最初の特許出願」という。)の一部を,特許法第44条第1項の規定により,平成30年3月7日に新たに特願2018-40734号(以下「原出願」という。)として特許出願されたものを,意匠法第13条第1項の規定により,原出願の出願日と同日に意匠登録出願に変更されたものである。また,最初の特許出願について特許法第30条第3項の規定に基づいて提出された書面(新規性の喪失の例外証明書提出書)は,意匠法第4条第3項の規定に基づいて提出された書面とみなされる(意匠法第13条第6項により準用される,意匠法第10条の2第3項)ことから,本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする意匠登録出願と認められる。
そして,本願の出願後の主な手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 9月18日付け:拒絶理由の通知
平成30年10月26日 :電話及びファクシミリによる応対
平成30年10月29日 :意見書の提出
平成30年11月 5日 :面接
平成30年12月12日付け:拒絶査定
平成31年 3月18日 :審判請求書の提出
平成31年 4月15日 :上申書の提出
平成31年 4月23日 :手続補足書の提出

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

1 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「引戸」である。

2 本願意匠の形状
(1)本願意匠の形状は,約1対2の縦長長方形の平板で,縦に3つの丸窓を設置したものである。
(2)平板における左右の縦辺(左右端部)を平面視で半円形状にしたものである。
(3)透光体から成る,同形同大の丸窓を3つ,戸の上端から下端まで上下に等間隔で,戸の幅の約3分の1戸先側に寄せた位置に設けたものである。
(4)丸窓の枠は,正・背面の両側にそれぞれ戸の厚さの6分の1ほども大きく突出したもので,その内周面は傾斜面としている。
(5)縦長長方形の凹部による引手を,戸先端側の中心よりやや上方に設けたものである。

第3 変更出願の適否について
本願は,意匠法第13条第1項の規定により,原出願(特願2018-40734号)を意匠登録出願に変更したものであるが,本願が原出願のときに出願したものであるとみなされるためには,原出願の明細書及び図面中に,本願意匠が明確に認識されるように具体的に記載されていることを要件とするから,以下当該要件について検討する。

1 本願意匠
本願意匠は,第2で認定したとおりである。

2 原出願における意匠
本願の上記第2の2の(1),(3),(4)及び(5)の形状は,原出願の図2(b)及び図3に具体的に記載されている。
しかし,平板における左右の縦辺の平面視形状につき,本願意匠は,半円形状にしているのに対して,原出願に係る意匠(以下「原出願意匠」という。)は,角を略放物線状に削り取った形状にしており,本願意匠の形状は,原出願意匠の形状と異なり,同一とは認められない。

3 小括
以上のとおり,本願意匠の形状と原出願意匠の形状は同一と認められないため,本願は,適法に意匠登録出願へ変更されたものとは認められない。
よって,本願は,原出願の時にしたものとはみなすことはできない。
したがって,原出願に係る特許法第44条第1項の適否について検討するまでもなく,本願は,最初の特許出願(特願2016-254042号)の出願のときにしたものとみなすことはできない。

第4 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「本願意匠と引用意匠を全体として比較した場合,物品が共通しています。
形態については,正面視略縦長方形状の戸板の中央よりやや片側に寄せて縦に数個の同じ大きさの丸窓を設けた態様が共通しています。また,具体的な形状については,当該丸窓ひとつの扉全体に対する大きさは,顕著に異なる印象を与えるほどではなく,扉の上下端部から丸窓までは,若干の距離が置かれている点で共通しています。
これらはいずれも両意匠の形態全体の基調を決定づける特徴をよくあらわすものであり,これらの形態が相俟って,両意匠が共通するという印象を看者に与えています。
一方,丸窓の数,略矩形状の手掛け部の有無,丸窓の中央部に縦に設けられた細溝の有無及び丸窓の周囲に縁を設けたか否か等に差異が認められますが,丸窓の数を3つで構成することは,本願出願前よりすでに行われており(参考意匠1),特段特徴ある手法とは言えず,その他の差異点についても,意匠全体からすると,部分的でわずかな差異に過ぎませんので,差異点は共通点と比べ類否判断に及ぼす影響が小さいものと認められます。
したがって,両意匠は類似するものと認められます。

(当審注:「引用意匠」本審決においては別紙第3参照)
特許庁普及支援課が2010年 1月28日に受け入れた
中華人民共和国意匠公報 2009年12月23日09-51号
ドア板(公開番号CN301091970)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH21012605号)

参考意匠1
特許庁総合情報館が2000年 7月17日に受け入れた
ドイツ意匠公報 2000年 5月10日
第2874頁所載
建物用ドアの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH12018459号)
のうち取手部及び錠部を除いた戸板の意匠
(当審注:本審決においては別紙第4参照)」

第5 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「引戸」であり,引用意匠に係る物品は「ドア板」である。

2 両意匠の形状の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」ともいう。)の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。

(1)共通点について
ア 縦長長方形の平板とした点。
イ 複数の丸窓を縦に並べて設置した点。
ウ 同形同大の丸窓を,戸の幅の約3分の1戸先側に寄せた位置に設けた点。

(2)相違点について
ア 平板の縦横比につき,本願意匠は,約1対2であるのに対して,引用意匠は,約1対2.5である点。
イ 設置した丸窓の数につき,本願意匠は,3つであるのに対して,引用意匠は,4つである点。
ウ 左右の縦辺における平面視の形状につき,本願意匠は,半円形状にしているのに対して,引用意匠は,不明な点。
エ 窓の上下配置につき,本願意匠は,上下端の余白部も含めて等間隔であるのに対して,引用意匠は,上下端の余白部を大きくし,窓を中央に寄せて各間隔を等しくしている点。
オ 窓枠の形状につき,本願意匠は,正・背面の両側にそれぞれ戸の厚さの6分の1ほども大きく突出して,その内周面を傾斜面としているのに対して,引用意匠は,不明な点。
カ 引手につき,本願意匠は,縦長長方形の凹状の引手を,戸先端側の中心よりやや上方に設けているのに対して,引用意匠は,引手を設けていない点。
キ 装飾的溝につき,本願意匠は,設けていないのに対して,引用意匠は,窓の中央部分を引戸の上端部から下端部まで貫く一本の細溝を形成している点。

第6 判断
1 意匠に係る物品に対する判断
本願意匠の意匠に係る物品は「引戸」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ドア板」であるが,共に,建具の一つであって,出入口などに開閉できるように取り付けるものであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

2 両意匠における形状の評価
(1)共通点について
本願意匠が属する分野と認められる建具の分野においては,全体形状を縦長長方形の平板とすることは,ごくありふれた形状と認められ,共通点アは,両意匠の類否判断に与える影響はほとんどない。
この種物品分野において,丸窓を設けること,窓を戸の中央ではなく,戸先側に寄せることは,本願出願前から散見される形状であるから,両意匠のみの特徴ある共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は,限定的である。

(2)相違点について
相違点アについては,本願意匠に比べ,引用意匠の方が細長くスマートな印象を与えるが,この種物品は,各種の寸法で施工された戸口に合うように様々な寸法比の戸があることを考慮すると,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
相違点イについては,相違点エと共に,大きな丸窓の数の違いと配置の違いであるから,両意匠の類否判断に与える影響は僅かながら認められる。
相違点ウについては,緩衝部材などで戸の端部を半円形にすることはあるが,戸本体自体で両端部(戸先と戸尻)を半円形状にしたものは,本願の出願前に公知の意匠が見当たらず,この点は,本願意匠の特徴と認められ,戸の端部というごく限られた部分ではあるが,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。
相違点オについては,窓枠を戸の厚さの6分の1ほども大きく突出させ,その内周面を傾斜させたものは,本願の出願前に公知の意匠が見当たらず,この点は,本願意匠の大きな特徴と認められ,目に付き易い窓枠部分の相違でもあるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点カについては,ごく小さな局部の相違ではあるが,戸の開け閉めの際に触る部分であって,目の行く部位と認められ,その引手が通常とは異なり戸の中心よりやや上方に設けた形状は,本願意匠の特徴といえ,両意匠の類否判断に多少なりとも影響を与える。
相違点キについては,引用意匠の溝はごく細く,それほど目立つものではないが,この装飾的溝による模様の有無は,無地の本願意匠と比べると,類否判断に一定程度の影響を与えていると認められる。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,ほとんどないか,または限定的であり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点ウ及びオは,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,相違点イ及びエも相まって,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,その他の相違点を挙げるまでもなく,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似しないと認められる。

3 両意匠における類否判断
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。

第7 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-08-30 
出願番号 意願2018-4781(D2018-4781) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 住 康平 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2019-10-11 
登録番号 意匠登録第1644998号(D1644998) 
代理人 森 義明 
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