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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B4
管理番号 1356026 
審判番号 不服2019-5836
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-07 
確定日 2019-10-08 
意匠に係る物品 背負いかばん 
事件の表示 意願2018-7131「背負いかばん」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)3月30日の意匠登録出願であって,同年11月1日付けの拒絶理由の通知に対し,同年11月28日に意見書が提出されたが,平成31年2月6日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年(2019年)5月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「背負いかばん」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
掲載箇所 Instagram,LLCによる写真共有サービス「Instagram」上のアカウント「makiko.0418」の投稿
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 平成29年7月12日
検索日 [平成30年10月31日]
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス URL:https://www.instagram.com/p/BWb46Q7ha84
に掲載された「ナップサック」の意匠の柄を含まない部分

第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「背負いかばん」である。

(2)本願意匠の形状
ア.本願意匠は,本体部と2つの肩ひも部から成るものである。
[本体部]
イ.本体部は,上辺が開口部となっている袋状のものであり,開口部を広げた状態で正面視では,全体形状がおおむね略等脚台形状であって,詳しくは,左右辺が直線状,下角部が大きな円弧状で,下辺が曲線状となっている。
ウ.本体部中央には,3つのボタンを設けた鉛直方向の前合わせ部(材料の乳幼児用のオーバーオールのときの前合わせ部のこと。以下「前合わせ部」という。)を設けている。
エ.本体部の上辺中央背中側(背面側)には,略楕円形の蓋部を備えている。この蓋部の幅は,本体部底部の幅の約3分の1である。
オ.蓋部の内側先端中央にはボタンが付けてあり,本体部上辺中央のボタンによって留められるようになっている。
カ.正面視において,本体部右やや下に略U字形状のポケットを1つ設けている。
キ.本体部の,左右の下角部辺りに輪になった肩ひも通し片が取り付けられている。
[肩ひも部]
ク.一方の肩ひも部は,先端を房状にした2本の丸ひもから成り,1本を本体部に取り付けられている肩ひも通し片の輪に通した上で,2本を合わせて先端側で結んでできたものである。他方の肩ひも部も同様である。

2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「ナップサック」である。

(2)引用意匠の形状
ア.引用意匠は,本体部と2つの肩ひも部から成るものである。
[本体部]
イ.本体部は,上辺が開口部となっている袋状のものと推認されるものであり,開口部を広げた状態での正面視の形状は,不明である。
開口部を閉じた状態での正面視では,全体形状がおおむね略等脚台形状であって,詳しくは,左右辺が曲線状,下角部が小さな円弧状で,下辺が直線状となっている。
ウ.本体部中央には,鉛直方向の前合わせ部(材料のツーウェイオールのときの前合わせ部のこと。以下「前合わせ部」という。)を設けている。
エ.本体部の上辺中央には,略楕円形の蓋部を備えている。この蓋部の幅は,本体部底部の幅の約5分の3である。
オ.蓋部の内側先端中央にはボタンが付けてあるか否かは不明である。
カ.正面視において,本体部の左右上側に1つずつ計2つの略U字形状のポケットを設けている。
キ.本体部の,左右の下角部辺りに輪になった肩ひも通し片が取り付けられている。
[肩ひも部]
ク.一方の肩ひも部は,先端を房状にした2本の丸ひもから成り,1本を本体部に取り付けられている肩ひも通し片の輪に通した上で,2本を合わせて先端側で結んでできたものである。他方の肩ひも部も同様である。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「背負いかばん」であり,引用意匠に係る物品は「ナップサック」である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)本体部と2つの肩ひも部から成るものである。
(イ)本体部は,上辺が開口部となっている袋状のものである。
(ウ)本体部中央には,鉛直方向の前合わせ部を設けている。
(エ)本体部の上辺中央には,略楕円形の蓋部を備えている。
(オ)本体部の正面にはポケットを設けている。
(カ)本体部の,左右の下角部辺りに輪になった肩ひも通し片が取り付けられている。
(キ)一方の肩ひも部は,先端を房状にした2本の丸ひもから成り,1本を本体部に取り付けられている肩ひも通し片の輪に通した上で,2本を合わせて先端側で結んでできたものである。他方の肩ひも部も同様である。

イ.相違点について
(ア)開口部を広げた状態での正面視における本体部の形状につき,本願意匠は,全体形状がおおむね略等脚台形状であって,詳しくは,左右辺が直線状,下角部が大きな円弧状で,下辺が曲線状となっているのに対して,引用意匠は,開口部を広げた状態での本体部上側の形状は不明であり,本体部下側の形状は,下角部が小さな円弧状で,下辺が直線状となっている点。
(イ)前合わせ部につき,本願意匠は,3つのボタンを設けているのに対して,引用意匠は,ボタンを取り付けていない点。
(ウ)蓋部の取付け位置につき,本願意匠は,本体部の背中側であるのに対して,引用意匠は,不明である点。
(エ)蓋部の幅につき,本願意匠は,本体部底部の幅の約3分の1であるのに対して,引用意匠は,約5分の3である点。
(オ)蓋部を留めるボタンにつき,本願意匠は,蓋部の内側先端中央と,本体部上辺中央のボタンによって留められるようになっているのに対して,引用意匠は,不明である点。
(カ)本体部の正面に設けたポケットにつき,本願意匠は,本体部右やや下に略U字形状のポケットを1つ設けているのに対して,引用意匠は,本体部の左右上側に1つずつ計2つの略U字形状のポケットを設けている点。

4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品は「背負いかばん」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「ナップサック」である。
ここで,「ナップザック」を調べると,デジタル大辞泉によると,「《「ナップサック」とも》ハイキングなどに使う小形のリュックサック。」と書かれており,引用意匠の意匠に係る物品である「ナップサック」は,「ナップザック」と同義語であることが分かる。
そして,「ナップザック」を調べると「小形のリュックサック。」と書かれており([株式会社岩波書店 広辞苑第六版]による。),「リュックサック」を調べると,「登山やハイキングなどに用いる背負袋。ルックザック。リュック。」と書かれていることから([株式会社岩波書店 広辞苑第六版]による。),引用意匠の意匠に係る物品である「ナップサック」は,「登山やハイキングなどに用いる,小形の背負い袋」といえる。
よって,本願意匠の意匠に係る物品である「背負いかばん」と,引用意匠の意匠に係る物品である「ナップサック」は,物品が共通していると認められる。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
(ア)共通点の内,(ア),(イ)及び(キ)の点は,両意匠の全体形状に関わる根幹的な形状ではあるが,この種物品分野において,ごくありふれた形状と認められるから,両意匠の類否判断に与える影響はほとんどない。
(イ)共通点(ウ)については,この種物品分野において,本体部中央に,洋服の前合わせ部を設けていることは珍しく,一定程度の共通感を生み出しており,なおかつ,本体部中央という目に付きやすい箇所に上下にわたって大きく設けてあることから,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。
(ウ)共通点(エ)については,本体部に次ぐ大きなパーツ(部品)であり,使用の際は,開け閉めする度に注目する部分の共通点であるが,その共通点は,概略の形状であり,具体的には,相違点(エ)によって,その共通感は希釈され,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
(エ)共通点(オ)については,本体正面の目に付きやすい箇所における共通点であるが,それは,概念的な共通であり,具体的には,設けてある位置や数が異なるのであるから,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
(オ)共通点(カ)については,この種物品分野において,ごくありふれた形状と認められるから,両意匠の類否判断に与える影響はほとんどない。

イ.相違点について
(ア)相違点(ア)については,引用意匠は,開口部を閉じた状態でしか現れておらず,広げた状態は,略等脚台形状または,略長方形状であろうということまでは推測できるが,その全体の形状は特定することができない。
そこで,開口部を閉じても開口部を広げた状態から余り形状変化のない,本体部下側の形状を比較すると,本願意匠は,下角部が大きな円弧状で,下辺が曲線状となっているのに対して,引用意匠は,下角部が小さな円弧状で,下辺が直線状となっているのであるから,その印象は異なり,両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
(イ)相違点(イ)については,本体部中央という目に付きやすい箇所の相違であり,本願意匠は,ボタンを外すことでかばんの正面を開けることができるということが視覚的に印象付けられるのに対して,引用意匠は,ボタンが無いことから,そのような印象を受けることがないため,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。
(ウ)相違点(ウ)については,使用状態においては,目に付きにくい箇所の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
(エ)相違点(エ)については,本体部に次ぐ大きなパーツであり,使用の際は,開け閉めする度に注目する部分の相違であるから,その大きさの違いは,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度認められる。
(オ)相違点(オ)については,通常の使用している状態である蓋部を閉じた状態では,見えない部分の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
(カ)相違点(カ)については,最も目に付きやすい箇所であって,大きな面積を占める本体正面部における,設けたポケットの数と位置という具体的な相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は,とても大きい。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,ほとんどない,一定程度認められる,または小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア),(イ),(エ)及び(カ)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,その他の相違点を評価するまでもなく,両意匠の類否判断を決するものといえる。
よって,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとはいえない。

(4)両意匠における類否判断
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。

5 結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-09-24 
出願番号 意願2018-7131(D2018-7131) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 津熊 哲朗 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2019-11-01 
登録番号 意匠登録第1646418号(D1646418) 
代理人 辻田 朋子 
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