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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 L4
管理番号 1356875 
審判番号 不服2019-2634
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-27 
確定日 2019-10-21 
意匠に係る物品 通気口用フィルター 
事件の表示 意願2018- 1645「通気口用フィルター」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成30年 1月30日 意匠登録出願
平成30年 7月19日付け 拒絶理由通知書
平成30年 9月 3日 意見書提出
平成30年11月19日付け 拒絶査定
平成31年 2月27日 審判請求書提出

第2 本願意匠
本願の意匠は、願書及び願書に添付した写真及び図面の記載によれば、意匠に係る物品を「通気口用フィルター」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書及び願書に添付した写真及び図面に記載したとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における平成30年7月19日付けで通知した拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、次のとおりである。
「この意匠登録出願に係る「通気口用フィルター」の分野において、中央の略円形開口部から外周部にかけて直線状の切れ目を入れる手法は本願出願前から知られているありふれた手法です(意匠1)。また、全体が扁平略四角形状で中央に略円形開口部があり、当該開口部の周囲に略四角形状のミシン目が形成された換気口用フィルターが本願出願前から知られています(意匠2)。
そうすると、本願意匠は本願出願前から公知の換気口用フィルター(意匠2)に、本願出願前から知られているありふれた手法を用いて、略円形開口部から外周部にかけて直線状の切れ目を入れて、「通気口用フィルター」の意匠として表したに過ぎないため、容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。」
「(意匠1)
特許庁発行の公開特許公報記載
平成 5年特許出願公開第039935号
【図3】に表されたフィルタの意匠

(意匠2)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1497433号の意匠
(意匠に係る物品:換気口用フィルター)の意匠」

第4 当審の判断
本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて、以下検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「通気口用フィルター」である。
(2)形態
本願意匠の形態は、基本的には、(あ)全体が不織布から成る、略正方板状で、中央部に円孔を形成しているものであって、具体的には、(い)正面視で、下辺を二分する位置から中央部の円孔まで直線状の切り込み部(以下「下方切り込み部」という。)を設け、A-A端面図で見ると、多数の小切り込み部から成るミシン目状の切り取り用ガイド部(以下「ミシン目状ガイド部」という。)を全体より一回り小さい略正方形状に設けており、(う)全体の縦横奥行き比率は、正面視で、約10:10:1.3で、(え)縦方向長さ(1辺の長さ)と円孔の直径の長さ比は、約10:1で、(お)縦方向長さ(1辺の長さ)と下方切り込み部の長さ比は、約10:4.5であり、(か)略正方形状のミシン目状のガイド部の1辺は、全体の1辺の約5分の4の長さで、各小切り込み部の形態は、略正方形状の四隅部が鉤型、他は直線状で(以下、それぞれ、「鉤型切り込み部」、「直線状切り込み部」という。)、(き)鉤型切り込み部は四隅に1個ずつ、その間に直線状切り込み部は5個ずつ、余地部と交互に配置され、4辺とも同様である。(く)また、1辺の長手方向の各切り込み部幅と余地部幅の長さ比は、鉤型切り込み部:余地部:直線状切り込み部で、約7.5:1:9である。

2 引用意匠の認定
意匠1及び意匠2は、上記第3に記載のとおり、本願出願前に公然知られた意匠であると認められる。
(1)意匠1
ア 意匠に係る物品
意匠1の意匠に係る物品は、「フィルタ」である。
イ 形態
本願意匠の向きに合わせて意匠1の向きを認定する。すなわち、公開特許公報の特開平5-39935の【図3】を左に90度回転したものを正面図と認定する。
意匠1の形態は、基本的には、(ア1)全体が(多孔質合成濾材その他のものから成る)略円板状で、中央部に円孔を形成しているものであって、具体的には、(イ1)正面視で、下端から中央部の円孔まで直線状の切り込み部(以下「下方切り込み部」という。)を設けて、(ウ1)全体の径と奥行きの長さ比率は、図3は正面のみの図であるから奥行きは不明であるが、図1を参照すれば、約10:0.9であって、(エ1)縦方向長さ(直径の長さ)と円孔の直径の長さ比は、約10:2.7で(オ1)縦方向長さ(直径の長さ)と下方切り込み部の長さ比は、約10:3.5である(別紙第2参照)。
(2)意匠2
ア 意匠に係る物品
意匠2の意匠に係る物品は、「換気口用フィルター」である。
イ 形態
本願意匠の向きと、意匠2は同様で、意匠公報記載の意匠登録第1497433号の意匠であるが、意匠に係る物品は「換気口用フィルター」であり、引用としたのは全体及びミシン目が形成された換気口用フィルターの形状であって、
意匠2の形態は、基本的には、(ア2)全体が不織布から成る、正方板状で、具体的には、(イ2)正面視で、中央部に配された略ミシン目状の切り取り用円形ガイド部(以下「中央ミシン目状ガイド部」という。)と、全体より一回り小さく配された、略ミシン目状切り取り用正方形ガイド部(以下「周辺ミシン目状ガイド部」という。)を設けて、(ウ2)全体の縦横奥行き比率は、正面視で、約10:10:0.2で、(エ2)縦方向長さ(1辺の長さ)と中央ミシン目状ガイド部の直径の長さ比は、約10:2.4で、(オ2)中央ミシン目状ガイド部は複数の小孔部から成り、その小孔部の形態は、略扇型状で14個を円形に配置して成り、正面視で略4等分の上下の3個ずつが長めの扇型状で左右の4個ずつが短めの扇型状であり、(カ2)周辺ミシン目状ガイド部は、1辺が全体の1辺の約8分の5の長さで、複数の小孔部から成り、(キ2)小孔部の形態は、正面視で、上下辺部は両端の2個が短めの略横長長方形状であり、両端の間が長めの略横長長方形状で、20個、横方向に直線状に配置され、左右辺部は全て同形同大の短めの略縦長長方形状で、31個、縦方向に直線状に配置され、(以下、それぞれ、「両端小孔部」「横長小孔部」、「縦長小孔部」という。)、各小孔部は余地部と交互に配置され、(ク2)1辺の長手方向の各小孔部幅と余地部幅の長さ比は、両端孔部:横余地部:横長小孔部で、約8:1.5:12.5の長さ比であり、縦長小孔部:縦余地部で、約6:3の長さ比であって、横長小孔部は、縦長小孔部の約2倍、横余地部は縦余地部の約2分の1の長さである(別紙第3参照)。

3 本願意匠の創作容易
(1)本願意匠の創作非容易性の判断
まず、本願意匠の前記1(2)(あ)は基本的構成態様に関わるものであるが、「通気口用フィルター」の物品分野においては、全体が不織布から成る、略正方板状のものも、中央部に円孔を形成しているものも、ごく普通に見受けられる形状であって、本願意匠のみに見られる態様とはいえない。
次に、前記1(2)(い)の形態については、下方切り込み部を配したものは意匠1に見受けられ、全体より一回り小さい正方形状にミシン目状のガイド部を設けた態様は、意匠2に見受けられる。
しかしながら、本願意匠の前記1(2)(う)ないし(く)の形態については、いずれも意匠1及び意匠2に表されていない。したがって、本願意匠の形態のうち前記1(2)(う)ないし(く)の形態について、意匠1及び意匠2のみに基づいて本願意匠が創作できたということはできない。
そして、意匠1及び意匠2に基づいて、「通気口用フィルター」の物品分野において、周知の創作手法から容易に本願意匠が創作できたかについては、意匠2に基づいて、意匠2の中央ミシン目状ガイド部を意匠1の円孔に置き換え、下方切り込み部を配し、全体に対しての奥行き幅の比率、縦方向長さに対する円孔の直径の長さ比及び全体に対するミシン目状ガイド部の1辺の長さ比に多少の変更を加えるなどしても、意匠2の(キ2)の各小孔部の形態を本願意匠の(き)の具体的な小切り込み部の形態に置き換え、さらに(ク2)の各小孔部幅と余地部幅の長さ比からくる態様を(く)の態様にすることが容易に創作できたとすることはできない。
具体的には、意匠2は、上下辺部が両端に短めの略横長長方形状の両端小孔部を2個、その間に長めの略横長長方形状の横長小孔部を20個配置し、左右辺部が同形同大の短めの略縦長長方形状の縦長小孔部を31個配置し、それぞれ、両端孔部:横余地部:横長小孔部が、約8:1.5:12.5の長さ比で、縦長小孔部:縦余地部が、約6:3の長さ比であり、上下辺部と左右辺部で各小孔部の長短、個数及び小孔部と余地部の長さの比も相違する独自の形態のものであるところ、それを本願意匠に見られるような、各小切り込み部の形態について、四隅部を鉤型、他を直線状とし、鉤型切り込み部は四隅に1個ずつ、その間の直線状切り込み部は5個ずつ、各切り込み部と余地部の長さ比は、鉤型切り込み部:余地部:直線状切り込み部で約7.5:1:9とし、4辺とも同様の形態とすることが、「通気口用フィルター」の物品分野において、ありふれた手法であったとする証拠もないから、上記意匠に基づいて、ありふれた手法による改変などを施しても、本願意匠の形態に容易に想到することができたということはできない。
であるから、意匠1及び意匠2に基づいて、周知の創作手法を用いて僅かに改変するなどして、当業者であれば、本願意匠が容易に創作できたということはできない。
(2)小括
そうすると、本願意匠の形態のうち前記1(2)(う)ないし(く)の形態については、意匠1及び意匠2に表されているとはいえず、前記1(2)(う)ないし(く)の形態とすることが、「通気口用フィルター」の物品分野において、本願意匠出願前にありふれた手法であったとはいい難いので、本願意匠は、本願出願前に公然知られた意匠に基づいて「当該物品分野において周知の創作手法」によって創作することができたということはできない。
したがって、本願意匠は、当業者であれば、容易に創作することができたものということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2019-09-26 
出願番号 意願2018-1645(D2018-1645) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (L4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 八重田 季江 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 佐々木 朝康
渡邉 久美
登録日 2019-11-08 
登録番号 意匠登録第1646885号(D1646885) 
代理人 葛西 泰二 
代理人 葛西 さやか 
代理人 山本 英明 
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