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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B5
管理番号 1356878 
審判番号 不服2019-2915
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-04 
確定日 2019-10-29 
意匠に係る物品 掃除用ブーツ 
事件の表示 意願2018- 2883「掃除用ブーツ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年(2018年)2月13日の意匠登録出願であって、同年9月21日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月31日に意見書が提出されたが、同年11月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年(2019年)3月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「掃除用ブーツ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1545112号
(意匠に係る物品、掃除用ブーツ)の意匠(別紙第2参照)

第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、ともに「掃除用ブーツ」であって、浴室掃除用のブーツ(バスブーツ)であるから、両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するものである。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。

ア 共通点
(ア)全体形状
足の表面全体を包み込む外皮部と靴底部を一体状に形成した短靴形状で、左側をつま先側、右側を踵(かかと)側とし、外皮部の右端部から略中央部まで開口して履き口部としている。また、右端部の上方寄りに略横長楕円形の吊り下げ孔部を設けている。
(イ)平面形状
外形状は、上下の辺が右から左に漸次拡開した上下対称形の略横長長円形状で、履き口部は、縦横の長さの比率が約1:2の略横長長円形状である。
(ウ)正面形状
外形状は、上辺が左端部からやや上方に傾斜しつつ真ん中付近で上向きに急カーブして甲高な水よけ用の壁(以下、壁部分を「舌部」という。)を形成し、舌部先端から右端部まで略凹曲線状に下方に傾斜して履き口部を形成している。下辺は全体が略水平状で、左端部は略倒「U」字状、右端部は略垂直状で、それぞれなめらかに下辺に繋がっている。
(エ)底面形状
外形状は、平面形状とほぼ同じで、中ほどの土踏まずを挟んで左右に大小2つの略隅丸矩形状の滑り止め部(左側が大、右側が小)を靴底からわずかに突設して設け、その内側に小模様を略千鳥状に多数形成している。

イ 相違点
(ア)平面形状
履き口部において、本願意匠は、上下の辺の真ん中が平行な略トラック形状であるのに対し、引用意匠は、上下の辺の真ん中がやや孤状に膨出した楕円形状である。また、本願意匠は、内周に沿って外側に孤状に膨出した太縁を設けているのに対し、引用意匠は、太縁はない。
(イ)正面形状
(イ-1)舌部
舌部と右端部の高さの比較において、本願意匠は、舌部の高さは右端部の高さの約1.7倍であるのに対し、引用意匠は、約1.2倍であり、本願意匠の方が引用意匠より高い。
(イ-2)履き口部
舌部と右端部を繋ぐ稜線について、本願意匠は、略逆へ字状に湾曲しているのに対し、引用意匠は、緩やかな凹孤状としている。
(イ-3)右端部
本願意匠は、全体が外側に傾斜しているのに対し、引用意匠は、全体が内側に傾斜している。
(ウ)底面形状
小模様について、本願意匠は、略矩形状模様であるのに対し、引用意匠は、略円形模様である。
(エ)その他
吊り下げ孔部について、本願意匠は、左右端部がやや尖った扁平な楕円形であるのに対し、引用意匠は、縦の長さが横の長さの半分程度の楕円形で、内周に沿って太縁を設けている。

2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両意匠の形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、掃除用ブーツであり、水濡れや浴室用洗剤から足を保護するためのものであるから、需要者は、ブーツ内部に水等の侵入を防ぐための構造やブーツの脱ぎ履きのしやすさの観点から、両意匠に係る物品を観察するものということができる。
したがって、防水の観点から、舌部が需要者の注意を強く惹く部分であるとともに、脱ぎ履きのしやすさの観点からは、履き口部が需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。

以下、両意匠の形態について検討する。

ア 共通点の評価
まず、共通点(ア)の全体形状について、外皮部と靴底部を一体状に形成し、外皮部の右端部から略中央部まで履き口部とした短靴形状は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎず、また、踵側に略横長楕円形の吊り下げ孔部を設けたものも、両意匠の他にもごく普通に見られる態様であることから、両意匠のみに共通する態様とはいえず、共通点(ア)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
次に、共通点(イ)の平面形状及び共通点(ウ)の正面形状については、当該物品の分野において、本願意匠の出願前からすでに公然知られているものであり(意匠公報に掲載された意匠登録第1576183号の意匠(意匠に係る物品:掃除用ブーツ)、別紙第3参照)、これらの態様は、先行する意匠をほとんどそのままか、細部を僅かに変更した程度のものであるから、両意匠のみに共通する特徴とはいえず、共通点(イ)及び共通点(ウ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。また、共通点(エ)の底面形状の滑り止め部の態様についても、建物内の水回りで使用される履き物において、本願意匠の出願前からすでに見られるものであるから(意匠公報に掲載された意匠登録第1569902号の意匠(意匠に係る物品:トイレ用スリッパ)、別紙第4参照)、両意匠のみに共通する特徴とはいえず、共通点(エ)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
まず、相違点(ア)について、履き口部の形状は、両意匠ともに略横長長円形状とするなかにおける部分的な相違であるが、脱ぎ履きのしやすさの観点から需要者の関心が高い部位であることに加え、本願意匠にのみ設けられる太縁は立体的で目立つものであるから、両意匠は、履き口部全体として需要者に異なる視覚的印象を与えている。したがって、相違点(ア)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
次に、相違点(イ)について、(イ-1)本願意匠は、引用意匠よりも明らかに舌部の高さが高く、外皮部の真ん中で非常に目立っていることに加え、舌部はブーツ内への水の浸入を防ぐためのものであるから、需要者の関心を強くひく部位であるといえ、需要者に与える視覚的印象は明らかに異なるものである。また、(イ-2)両意匠は、舌部先端と右端部を繋ぐ外形線が明らかに異なっており、特に真ん中より左側の形状線は、(イ-1)と表裏一体となって舌部を形づくっているものであるところ、本願意匠は、舌部の高さに加え横幅も広く、奥行きのある重厚な印象を与えているのに対し、引用意匠は、横幅が薄く、奥行きのないシャープな印象であるから、その視覚的印象は大きく異なるものである。さらに、(イ-3)右端部の傾斜方向の相違も相まって、相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。
一方、相違点(ウ)の小模様については、単に略矩形状模様か略円形模様かの僅かな相違であって、使用時において底面側に隠れてさほど目立つものではないことを考慮すると、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
また、相違点(エ)についても、当該部分のみを比較するならともかく、意匠全体としてみた場合においては、ともに略横長楕円形としたなかにおける部分的な相違といわざるを得ないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

以上のとおり、相違点(ウ)及び相違点(エ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものであるが、相違点(ア)及び相違点(イ)が、両意匠の類否判断に与える影響はいずれも大きく、とりわけ相違点(イ)が両意匠の類否判断に与える影響は非常に大きいものであるから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、形態においては、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体としてみた場合、両意匠は、視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-10-15 
出願番号 意願2018-2883(D2018-2883) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (B5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 内藤 弘樹
宮田 莊平
登録日 2019-11-08 
登録番号 意匠登録第1646965号(D1646965) 
代理人 特許業務法人IPRコンサルタント 
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