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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1357727 
審判番号 不服2019-6188
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-13 
確定日 2019-11-15 
意匠に係る物品 ティーバッグ 
事件の表示 意願2017- 26844「ティーバッグ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)12月1日の意匠登録出願であって、平成30年10月3日付けの拒絶理由の通知に対し、同年11月8日に意見書が提出されたが、平成31年2月15日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和1年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠は、意匠に係る物品を「ティーバッグ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は、以下のとおりであり、その形態を、同ウェブページに記載されたとおりとしたものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。
掲載箇所 アマゾンジャパン株式会社が運営する通信販売サイトのAmazon.co.jp(アマゾン シーオー ジェーピー)
媒体のタイプ on line
掲載年月日 平成28年11月18日
検索日 平成30年 9月13日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%81%8E%E3%82%87%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%81%88%E3%82%93-%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%82%AB%E3%83%89%E7%A8%AE%E8%8C%B6-5g%C3%9714%E8%A2%8B/dp/B01N53HSRT/ref=lp_2334828051_1_2?srs=2334828051&ie=UTF8&qid=1536812259&sr=8-2
に掲載された「ティーパック」の意匠

第2 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「ティーバッグ」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「ティーパック」であるが、いずれもお湯などに浸漬させてお茶を抽出するために用いられる小袋であるから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、主たる用途及び機能が共通するものである。

(2)形態の対比
両意匠の形態を対比する(以下、対比のため、本願意匠の図面における正面、平面等の向きを、引用意匠にもあてはめることとする。)と、その形態には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
ア 形態の共通点
(共通点)両意匠は、全体の形態が、底辺部分で半分に折返して重ね合わせ、他の三辺の縁部分を接着した正面視略横長長方形状の扁平な袋状とし、接着した縁部分(以下「接着部」という。)を除く袋状の部分に小円状に表れる部分を形成した構成である点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の袋状の部分の形態が、袋状の部分全体に、小円孔を正面視千鳥状になるように片面につき515個形成しているのに対し、引用意匠の袋状の部分の形態が、袋状の部分全体に、袋状の部分よりも薄い小円形状の凹部を、具体的な数及びその配置態様は明確ではないが多数配設している点で、両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の正面視の縦横比が、約1:1.25としたものであるのに対し、引用意匠の正面視の縦横比が、約1:1.18としたものである点で、両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の正面視における全体の横幅に対する接着部の幅の比率が、約1/20であるのに対し、引用意匠の正面視における全体の横幅に対する接着部の幅の比率が、約1/10である点で、両意匠は相違する。

3 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、主たる用途及び機能が共通するから、類似する。

(2)形態の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品である「ティーバッグ」の需要者は、この中に茶葉等を封入して販売する食品製造業者等であるところ、この需要者は、ティーバッグ内部に封入する素材(茶葉等)をお湯などに浸漬させてお茶を抽出する際に、その素材に合った最も適切な形状のティーバッグを選択するものであるといえるから、この種物品については、袋状の部分に形成された穴の有無や目の細かさといった袋状の部分の具体的な形態が、需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。
ア 共通点の評価
(共通点)の全体の形態は、この種物品において普通に見られるものにすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから、この(共通点)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)は、需要者の注意を強く惹く部分である袋状の部分の具体的な形態に係るものであって、本願意匠が、素材の成分をより抽出させることを想定して小円孔を全体に均一に配置して形成したものであるとの印象を与えるのに対し、引用意匠は、素材を袋状の部分内部に留めておくために貫通孔ではなく小円形状の凹部を全体に配置したものであるとの印象を与えるから、両意匠は袋状の部分における美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、正面視における縦横比の相違であり、(相違点3)は、正面視における全体の横幅に対する接着部の幅の比率の相違であるが、この種物品においてはこれらの比率について様々な値のものが既に存在しており、本願意匠及び引用意匠の各比率についてもごく一般的なものにすぎないから、この(相違点2)及び(相違点3)の相違点が与える美感には一定の差異しかない。

ウ 形態の類否判断
両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき、意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合、両意匠は、需要者が注視するといえる袋状の部分の美感に大きな差異があり、両意匠の全体の形態が共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、(共通点)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して、(相違点2)及び(相違点3)の相違点が与える美感には一定の差異しかないものの、(相違点1)の袋状の部分における美感には大きな差異があり、意匠全体として見た場合には、相違点が相まって生じる視覚的効果は、共通点のそれを凌駕して看者に別異の印象を与え、両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
よって、両意匠はその形態において類似するということはできない。

(3)小括
以上のとおり、意匠に係る物品が類似するが、その形態においては類似しないから、本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。

第3 むすび
上記のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2019-10-30 
出願番号 意願2017-26844(D2017-26844) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 重坂 舞 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2019-12-20 
登録番号 意匠登録第1650224号(D1650224) 
代理人 特許業務法人竹内・市澤国際特許事務所 

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