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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K4
管理番号 1357741 
審判番号 不服2019-7891
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-13 
確定日 2019-12-09 
意匠に係る物品 調理機 
事件の表示 意願2018- 2995「調理機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
本願は,本意匠の出願番号を意願2018-2993とする,平成30年(2018年)2月14日の関連意匠の意匠登録出願であって,同年10月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年12月11日に意見書が提出されたが,平成31年3月8日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年6月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠は,意匠に係る物品を「調理機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2009年10月2日に受け入れた,内国カタログ「スチームコンベクションオーブン スーパースチーム 2009年8月版」の第7頁に所載の「スチームコンベクション」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC21012755号)であり,その形態は,同カタログに記載されたとおりとしたものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。

第2 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は,「調理機」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「スチームコンベクション」であるが,いずれも焼く,蒸す,炒める等の調理が可能な多機能調理機であるから,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,主たる用途及び機能が共通するものである。

(2)形態の対比
両意匠の形態を対比する(以下,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体を略直方体形状とし,筐体の正面視右側部分に,前面部分全体に扉(以下「扉部」という。)を配した調理室部分(以下「調理部」という。)を設け,筐体の正面視左側部分に,操作パネル(以下「操作パネル部」という。)を配した操作部分(以下「操作部」という。)を設けた構成とした点で共通する。
(共通点2)両意匠は,扉部の形態が,正面視において,略中央部分に略縦長長方形板状体を配し,その透明な部分(以下「透明部」という。)の外周部分に,同一色に着色される枠状の部分を,下枠の幅が上枠より広く,左右枠の幅が上枠より狭くなるように形成したものである点で共通する。
(共通点3)両意匠は,前方右側の脚部の形態が,略倒円錐台状である点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の操作パネル部の具体的な形態及び配置態様が,下辺部分のみ僅かに湾曲した略縦長長方形板状体の表面部分に,上方の略中央部分に横長棒状の部分及び円形の部分を上下に1つずつ配し,その下方部分に大型の略横長隅丸長方形の部分を横幅ほぼ一杯に1つ配し,更に下方部分の略中央部分に大型の略円形ダイヤルを1つ配し,最も下方部分の略中央部分に横長棒状の部分及び円形の部分を上下に1つずつ配した操作パネル部を,上方及び左右には僅かな余地を設け,下方には大きく余地を設けて操作部前面に僅かに突出して配設しているのに対し,引用意匠の操作パネルの具体的な形態及び配置態様が,下辺部分のみ略円弧状に湾曲した略縦長長方形の表面部分に,上方及び左右には僅かな余地を設け,下方には大きく余地を設けて略横D字状の枠状部分を配し,その枠状部分内側の上方部分に略縦長長方形状の部分,その下方部分に大型の略円形ダイヤルを1つ配し,その枠状部分の下方部分の左右端部に大きな略楕円状の部分を1つずつ配し,更に下方部分に小型の略楕円状の部分を等間隔に3つ水平に並べて配し,最も下方部分の略中央部分に小型の略楕円状の部分を1つ配した操作パネル部を,その上辺部分を扉部の透明部上辺部分と高さを合わせ,上下左右に余地を設けて操作部前面に配設し,その外周部分に明色の略横D字状の枠状部分を形成している点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の操作部下方部分には,脚部しか設けていないのに対し,引用意匠の操作部下方部分には,前面部分に正面視略横長長方形状の部材を配し,その前面右端付近の部分にホースを設け,ホース先端部分にスプレーガンを接続している点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠のドアハンドルの配置態様が,扉部の略縦長長方形板状体右側の上下略中央部分に1つ配設しているのに対し,引用意匠のドアハンドルの配置態様が,扉部の略縦長長方形板状体左側の上下略中央部分に1つ配設している点で,両意匠は相違する。
(相違点4)本願意匠の脚部の形態及びその配置態様が,前方右側の脚部と同じ略倒円錐台状のものを筐体の底面四隅部分に配設しているのに対し,引用意匠の脚部の形態及びその配置態様が,前方右側の脚部以外の形態及びその配置態様が不明である点で,両意匠は相違する。
(相違点5)本願意匠の扉部の下方部分の形態が,正面視右寄りの部分に,略横長長方形状の傾斜面の下辺左右端部を隅丸とした,左側面視が略横フの字状の折曲した部材を1つ配設しているのに対し,引用意匠の扉部の下方部分の形態が,扉部と同幅の側面視略横コの字状の部材を1つ配設している点で,両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,主たる用途及び機能が共通するから,類似する。

(2)形態の類否についての判断
本願意匠の意匠に係る物品である「調理機」の需要者は,主に業務として料理を行う専門の調理師等であるところ,この需要者は,調理の際に,ミスなく効率よく操作することを特に重視することを求めるものであるといえるから,この種物品については,操作に係る操作パネル部の具体的な形態が,需要者の注意を強く惹く部分であるということができる。
一方,この「調理機」の分野において,調理部と操作部の配置に合わせて,扉部の略縦長長方形板状体左側の上下略中央部分に,ドアハンドルを1つ設けたものも,右側の上下略中央部分にドアハンドルを1つ設けたものも,ごく普通に見られるものであるから,このドアハンドルの位置の相違は,上記操作パネル部のものに比べ,類否判断に与える影響は小さいといえる。
ア 共通点の評価
(共通点1)の全体の形態は,この種物品においてごく普通に見られるものにすぎず,両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)の扉部の形態,及び(共通点3)の前方右側の脚部の形態は,この種物品において普通に見られるものにすぎず,これらは両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点2)及び(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響も小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)は,操作パネル部の具体的な形態及び配置態様に係るものであって,本願意匠が,下辺部分のみ僅かに湾曲した略縦長長方形の表面部分に,2つの円形の部分を上下に挟んで略横長隅丸長方形の部分及び略円形ダイヤルを配したシンプルな形態のものを,下方にのみ大きく余地を設けて配設したものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,下辺部分のみ略円弧状に湾曲した略縦長長方形の表面部分に,略横D字状の枠状部分を配し,その枠内に略縦長長方形状の部分及び略円形ダイヤルを配し,枠外下方部分に略楕円状の部分を複数配した横D字状の形態が強く表れたものを,上方及び左右には僅かな余地を設け,下方には大きく余地を設けて配設したものであるとの印象を与えるから,操作パネル部の外周部分に施された枠状部分の有無も含めて,両意匠は操作パネル部の美感に大きな差異がある。
(相違点2)は,操作部下方部分の形態についての相違点であって,スプレーガンのない本願意匠と,それを配している引用意匠では,この種物品の需要者において別異の印象を与えるといえるから,この(相違点2)が意匠全体の美感に一定程度の影響を及ぼす。
(相違点3)は,ドアハンドルの配置態様に係るものであるが,この種物品の分野においては,扉部の略縦長長方形板状体の左側や右側に,調理部と操作部の配置に合わせてドアハンドルを1つ配設したものが,ごく普通に見られるものであって,両意匠のいずれの配置態様も特段特徴のないものであるから,この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(相違点4)は,脚部の形態及びその配置態様に係るものであるが,本願意匠の脚部の形態が,ごく普通に見られる略倒円錐台状のものにすぎず,また,該部位の形態は使用時にはよく見えない部位に係るものであるから,この(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響も小さい。
(相違点5)は,扉部の下方部分の形態についての相違点であって,使用時にはよく見えない部位の僅かな相違にすぎず,この(相違点5)が意匠全体の美感に与える影響も小さい。

ウ 形態の類否判断
両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が注視するといえる操作パネル部の美感に大きな差異があり,ドアハンドルの配置態様や,脚部,操作部の下方部分及び扉部の下方部分の形態についても異なるものであるから,両意匠の全体の形態や扉部の略縦長長方形板状体の部分及び前方右側の脚部の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,(共通点1)ないし(共通点3)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,(相違点3)ないし(相違点5)の相違点が類否判断に与える影響が小さいとしても,(相違点1)の操作パネル部における美感が類否判断に及ぼす影響は大きく,(相違点2)の操作部下方部分の形態の美感も類否判断に一定程度の影響を及ぼすことから,意匠全体として見た場合には,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して看者に別異の印象を与え,両意匠に異なる美感を起こさせるものである。
よって,両意匠はその形態において類似しないものである。

(3)小括
以上のとおり,意匠に係る物品は類似するが,その形態においては類似しないから,本願意匠は引用意匠に類似するということはできない。

第3 むすび
以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2019-11-13 
出願番号 意願2018-2995(D2018-2995) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2019-12-27 
登録番号 意匠登録第1650843号(D1650843) 
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