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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B2
管理番号 1358692 
審判番号 不服2019-10815
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-15 
確定日 2020-01-21 
意匠に係る物品 手袋 
事件の表示 意願2018- 2937「手袋」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成30年(2018年)2月14日の意匠法第4条第2項の適用を受けようとする意匠登録出願であって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 9月 3日付け:拒絶理由の通知(一回目 創作性)
同年11月29日 :意見書の提出
平成31年 1月30日付け:拒絶理由の通知(二回目 創作性)
同年 4月 1日 :意見書の提出
令和 元年(2019年)5月14日付け:拒絶査定
同年 8月15日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠

本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「手袋」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、この意匠登録出願の意匠は、下記に示すように、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当する、というものであって、具体的には以下のとおりである。

「この意匠登録出願の意匠は手袋の創作に係るものとのことですが、手袋の親指、人差し指及び中指の腹に別の部材を付すことは本願出願前から見られるところ(例えば意匠2ないし意匠5参照)、本願意匠は、本願出願前から見られる意匠1の手袋の親指、人差し指及び中指の腹に別の部材を付したに過ぎず、容易に創作ができたものといえます。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
掲載箇所 アマゾンジャパン株式会社が運営する通信販売サイトのAmazon.co.jp(アマゾン シーオー ジェーピー)
媒体のタイプ on line
掲載年月日 平成29年3月12日
検索日 平成30年8月30日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%AB-%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%BA-%E3%83%8A%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%B3-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96-%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88/dp/B06XK9G7TJ/ref=pd_lpo_vtph_193_bs_img_1?_encoding=UTF8&refRID=6AWG0EYCEGS4DB9KEZAX
に掲載された手袋の意匠

意匠2(当審注:別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年 2月 6日に受け入れた
2014 川西工業株式会社 総合カタログ
第22頁所載
手袋の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC27002401号)

意匠3(当審注:別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2011年 7月15日
受入日 特許庁意匠課受入2011年 7月22日
掲載者 ミドリ安全株式会社
表題 ミドリ安全作業手袋 FROVANCE(フロバンス) L
掲載ページのアドレス
http://ec.midori-anzen.com/shop/g/gR9448002013/
に掲載された「手袋」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ23014076号

意匠4(当審注:別紙第5参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2014年11月11日
受入日 特許庁意匠課受入2014年11月28日
掲載者 W.W. Grainger, Inc.
表題 YOUNGSTOWN GLOVE CO. Hybrid Plus Gloves,Gray/Tan,L,PR - Leather Palm G
掲載ページのアドレス
http://www.grainger.com/product/YOUNGSTOWN-GLOVE-CO-Hybrid-Plus-Gloves-31AN03?s_pp=false&pic
Url=//static.grainger.com/rp/s/is/image/Grainger/31AN02_AW01?$smthumb$
に掲載された「手袋」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ26048332号)

意匠5(当審注:別紙第6参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2017年11月18日
受入日 特許庁意匠課受入2017年12月 8日
掲載者 株式会社ほんやら堂
表題 SILK100%で朝がとっても楽しみなお肌へ
掲載ページのアドレス
http://www.honyaradoh.pw/?pid=116454923
に掲載された「手袋」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ29045542号)」

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作をすることができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「手袋」であって、願書には、図面に代えて意匠登録を受けようとする写真(以下「図面代用写真」という。)を添付したものであり、願書の意匠の説明欄には、「左右対称のもの一対のうち左方のみを表した。正面図は、本物品を掌の側から見た図であり、背面図は、本物品を手の甲の側から見た図である。」と記載されている。

(2)形態
ア 全体形状は、5本指用の、いわゆるガンカット型に形成した礼装用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、手甲部には、第二指ないし第五指の指股部から手首方向に三本のピンタックによる線飾りを直線状に設け、手掌側の裾部中央に切れ込みを入れてスナップにより開閉可能に形成し、裾部をパイピング処理により形成している。
イ 手掌側には、第一指ないし第三指の先端部より第1関節部までを占める部分(以下、「先端部より第1関節部までを占める部分」を「指先部」という。手甲側についても同様とする。)は、別材を縫合して形成している(以下、本体部に別材を縫合して形成した部分を、「別材部」という。)。
ウ 本願意匠は、図面代用写真を、モノクロの写真により表した出願であり、別材部を除く本体全体(以下「本体部」という。)は、明度が高く、別材部の明度は、本体部より一段明度が低いものの、依然として高明度の態様であり、本体部と別材部との境界箇所には、それぞれ、本体部よりさらに明度の高い一本の横帯状の縫合箇所(以下「帯状部」という。)が表れている。
さらに、第一指ないし第三指における帯状部を子細に観察すると、別材部を折り返して本体部に縫合していることを視認できることから、別材部と本体部との明度差は、別材部が、透過性を有することによるものと認定し得るものである。

2 原審の拒絶の理由における引用意匠
(1)意匠1
意匠1の意匠に係る物品は、「手袋」であり、
意匠1の形態は、
ア 意匠1の全体形状は、5本指用の、いわゆるガンカット型に形成した礼装用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、手甲部には、第二指ないし第五指の指股部から手首方向に三本のピンタックによる線飾りを直線状に設けており、手掌側の裾部中央に切れ込みを入れてスナップにより開閉可能に形成し、裾部をパイピング処理により形成している。
イ 色彩については、全体を白色としている。

(2)意匠2
意匠2の意匠に係る物品は、「手袋」であり、
意匠2の形態は、
ア 意匠2の全体形状は、5本指用の、指マチのある作業用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、手首部には、太幅ベルト状の別材により開閉可能に形成している。
イ 手甲側について、第二指ないし第五指の指先部及び第二指の第3関節部を占める位置を別材により構成し、手掌側について、手掌中央部には倒y字状の別材部を設け、第一指ないし第三指の指先部にも別材部を設けている。
ウ 色彩については、全体を低明度、中明度、高明度の3段階の灰色により構成し、
(ア)低明度の灰色部分は、手掌側の手掌中央部倒y字状補強部、第一指ないし第三指の指先部、手首部の、太幅ベルト部及び第二指ないし第五指間の指股部とし、
(イ)中明度の灰色部分は、手甲側について、第二指ないし第五指の指先部及び第二指の第3関節近傍部、手掌側について、低明度部を除く部分、並びに第二指ないし第五指間の指股部を除くマチ部とし、
(ウ)高明度の灰色部分は、手甲側の残余の部分とし、
(エ)手掌側第一指ないし第三指について、指部と指先部とは別の色により構成している。

(3)意匠3
意匠3の意匠に係る物品は、「手袋」であり、
意匠3の形態は、
ア 意匠2の全体形状は、5本指用の、指マチのある作業用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、手甲部略中央部と手首部の2箇所を太幅ベルトにより緊締可能に形成している。
イ 手甲側について、第一指ないし第五指の第2関節部及び第二指ないし第五指の第3関節部にスリットを設け、縫合してなり、手甲部略中央部より手首寄りに掛けて斜めに別材部を設け、手掌側には、第一指ないし第三指の指先部に別材部を設けている。
ウ 色彩については、全体を白色と黒色により構成し、手甲側略中央部より手首寄りに掛けて斜めに別材部、手甲部に設けたベルト部及び手掌側第一指ないし第三指の指先部を黒色とし、残余の部分を白色としている。

(4)意匠4
意匠4の意匠に係る物品は、「手袋」であり、
意匠4の形態は、
ア 全体形状は、5本指用の、指マチのある作業用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、第二指ないし第五指は手掌側にカーブした状態で形成され、手首部を伸縮可能に形成している。
イ 手甲側について、第一指ないし第五指の指先部、及び第一指と第二指間の指股部に別材を設け、手掌側には、第一指ないし第三指の指先部に別材部を設けている。
ウ 色彩については、手甲側手甲部中央に設けた白色の文字状模様部及び線模様部を除き、全体を灰色、黄土色及び黒色の3色で構成している。手甲側は、指先部を除く全体を、手掌側は手首部をそれぞれ灰色とし、手甲側は指先部を、手掌側は手首部を除く全体及び第一指と第二指との指股部を黄土色とし、第二指ないし第五指間のマチ部を黒色としている。
エ 手掌側第一指ないし第三指について、指部と指先部とは同一の色により構成している。

(5)意匠5
意匠5の意匠に係る物品は、「手袋」であり、
意匠5の形態は、
ア 意匠5の全体形状は、5本指用の、第一指を除いて、手甲部と手掌部を同形とした就寝用の縫製手袋であり、略手首部までの丈とするものであって、裾部全周を折り返して縫製している。
イ 手掌側には、第一指ないし第三指の指先部に別材部を設けている。
ウ 本体部は白色とし、別材部は茶色である。

3 本願意匠の創作容易性の判断

この種物品分野においては、各種使用目的に応じて多種多様な手袋が創作されており、当業者は、それぞれの使用目的に特化してその創作を行うものであるといえるところ、
ア 本願意匠の全体形状は、5本指用の、いわゆるガンカット型に形成した礼装用の縫製手袋であって、その具体的形状についても、例えば、意匠1に見られるとおり、多数見受けられるありふれた態様といえるもので、格別の創作を要するものとは認めることができない。
イ また、手掌側の指先部に別材部を設けることも、例えば意匠2ないし意匠5に見られるとおり、ありふれた態様であり、さらに、指先部の別材部を手掌側のその他部分と同じ色相で表すことも、例えば意匠4に見られるとおりであって、本願意匠の態様に格別の創作を認めることはできず,当業者であれば容易に想到可能であるというほかない。
ウ しかしながら、手掌部の指先部に設けた別材部について、本願意匠のように、高明度とすることや、透過性のある態様で形成することにより、本体部、別材部及び帯状部が、明度に差異を有する態様とし、さらに、帯状部を最も高明度とすることは、意匠2ないし意匠5において表れておらず、さらに、それらの態様を、いわゆるガンカット型の礼装用手袋の手掌側第一指ないし第三指の指先部に設けることも、意匠2ないし意匠4において見受けられないものであるから、一定の創作性を有するものといわざるを得ない。

そうすると、手袋の分野において、上記3 ア及びイに係る部分に特段の創作性を認めることはできないものの、上記3 ウに係る態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したといえるものであり、意匠1ないし意匠5の引用意匠の形態に基づいて、本願意匠の形態を容易に創作することができたことを示す証拠は見られないから、本願意匠の形態は、この種物品分野において独自の着想によって創出したといわざるを得ず、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-01-07 
出願番号 意願2018-2937(D2018-2937) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 重坂 舞 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 佐々木 朝康
木村 恭子
登録日 2020-02-04 
登録番号 意匠登録第1653333号(D1653333) 
代理人 小林 義孝 
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