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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1359617 
審判番号 不服2019-12229
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-13 
確定日 2020-01-31 
意匠に係る物品 自動車用グリル 
事件の表示 意願2018- 26015「自動車用グリル」拒絶査定不服審判事件について, 次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)11月30日の意匠登録出願であって,令和1年5月30日付けの拒絶理由の通知に対し,令和1年6月26日に意見書が提出されたが,同年7月30日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年9月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年12月19日に手続補正書(図面)が提出されたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願の意匠は,意匠に係る物品を「自動車用グリル」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠が,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成30年7月30日)に記載された,意匠登録第1609883号(意匠に係る物品,自動車用グリル)の意匠であって,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「自動車用グリル」であって,一致する。

(2)形態の対比
両意匠の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体の形態について,正面視において下辺の中央部付近を略細長台形状に切り欠き,下辺の左右端部付近を斜めに切り欠いた略横長長方形状とし,平面視において下に凸の略円弧状に湾曲した板状体(以下「板体部」という。)としたものであって,その板体部の左右中央部分にハニカム構造のメッシュを配した開口部分(以下「中央開口部」という。)を設け,この中央開口部の左右部分に板体部の上辺及び下辺の付近にまで達する大きさの円孔部分(以下「大円孔部」という。)を形成し,板体部の上方左右角部分に大円孔部の直径の約1/3の大きさの円孔部分(以下「小円孔部」という。)を形成した構成である点で共通する。
(共通点2)両意匠は,板体部の側面視の形態が,中央部分の垂直面とその上方及び下方部分の傾斜面からなる右側面視略〔(亀甲括弧)状である点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の中央開口部の形態が,正面視において上辺の中央部付近に略細長倒台形状の切り欠きを設け,平面視において略倒細長台形状に突出した形態からなる3本の横桟によって,中央開口部を細幅長方形状の4つの区画に分割した構成であるのに対し,引用意匠の中央開口部の形態が,その下辺部分のみを傾斜面とした四隅を切り欠いた略横長8角形状とし,その中央部分に略横長長方形状の板体を1つ配設した構成である点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠のメッシュの形態が,縦横比約1:3.5の小さな略細長6角形状の開口部からなり,中央開口部の最下段の区画の左右各6個と中央部1個及び最上段の区画の中央部上側の7個の開口部が閉鎖しているのに対し,引用意匠のメッシュの形態が,縦横比約1:1.7のやや大きな略横長6角形状の開口部からなり,閉鎖している部分がない点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の大円孔部の周囲の形態が,背面側に向かって急な斜面の浅い略擂り鉢状に形成しているのに対し,引用意匠の大円孔部の周囲の形態が,中央開口部左側を正面視略〕状とし,中央開口部右側を正面視略〔状とする幅広で緩やかな傾斜面とし,それ以外は背面側に向かって急な斜面の浅い略擂り鉢状に形成し,左右大円孔部の上端部間に略V字状の横溝を1条形成している点で,両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。

(2)形態の類否についての判断
本願意匠の意匠に係る物品である「自動車用グリル」は,車両の前面部分を構成する自動車用パーツであって,当該意匠の類否判断の主体である需要者とは,事故等で破損したバンパーを交換する際に新たなデザインのバンパーを選択して購入する者,又は車の印象を変える等の目的で新たなデザインのバンパーを購入する者等が該当し,また,このような自動車用パーツを販売する取引業者も需要者であるといえる。
このような需要者は,自動車用グリルを購入する際に,車の走行性能を左右するような機能性に関わる形態,若しくは車の印象に大きな影響を与える部分の形態について,特に注視するということができる。
そうすると,当該物品である「自動車用グリル」において,これを観察する需要者は,取り付ける車両の形態によって形態があらかじめ決定されているといえる外形状やヘッドライト用の大円孔部及びウインカーレンズ用の小円孔部の形態及び配置態様よりも,様々な形態を取ることができる中央開口部の形態を特に注目して観察するといえる。
したがって,本願意匠と引用意匠の類否判断に際しては,需要者は,中央開口部に係る部分の具体的形態に強い関心を持って観察するとの前提に基づいて,共通点及び相違点における類否判断に及ぼす影響を評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は全体の形態に係るものであるが,これを装着する車両の形態に則って構成される形態に係るものであり,中央開口部に見られるハニカム構造のメッシュの形態もこの種物品においてごく普通に見られるものであって,両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)の板体部の側面視の形態も,この種物品において普通に見られるものにすぎず,これらは両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから,この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響も小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)は,需要者が強い関心を持って観察する中央開口部の具体的な形態に係るものであって,本願意匠が,開口部を3本の横桟によりガードしているとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,大きな略横長8角形状の開口部を1つ設けているとの印象を与えるから,中央開口部中央部分の板体の有無も含め,両意匠は中央開口部の美感に大きな差異がある。
(相違点2)は,中央開口部のメッシュの形態についての相違点であるが,本願意匠のような小さな開口部のメッシュも,引用意匠の大きな開口部のものもこの種物品においてごく普通に見られるものであって,両意匠のいずれの形態も特段特徴のないものであるから,この(相違点2)が意匠全体の美感に及ぼす影響は小さい。
(相違点3)は,大円孔部の周囲の形態に係るものであるが,本願意匠が,単なる略擂り鉢状の形態であってシンプルなものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,中央開口部左側の大円孔部内側を角張った〕状とし,中央開口部右側の大円孔部内側を角張った〔状とする複雑な形態であって無骨なものであるとの印象を与えるから,両意匠は大円孔部の周囲の美感に大きな差異がある。

ウ 形態の類否判断
両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が注視するといえる中央開口部の美感に大きな差異があり,大円孔部の周囲の形態についても大きく異なるものであるから,両意匠の全体の形態や板体部の正面側の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態において,需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。

第3 むすび

以上のとおり,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-01-21 
出願番号 意願2018-26015(D2018-26015) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 竹下 寛 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2020-02-13 
登録番号 意匠登録第1654096号(D1654096) 
代理人 林 郁夫 
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