• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L6
管理番号 1359621 
審判番号 不服2019-10573
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-08 
確定日 2020-02-05 
意匠に係る物品 建築用板材 
事件の表示 意願2018- 8459「建築用板材」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成30年(2018年) 4月17日 意匠登録出願
平成30年 12月20日付け 拒絶理由通知書
平成31年(2019年) 2月 4日 意見書提出
平成31年 4月22日付け 拒絶査定
令和 1年(2019年) 8月 8日 拒絶査定不服審判請求書提出

第2 本願の意匠
本願は、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとし、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「建築用板材」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1438927号
(意匠に係る物品、建築用壁板)の意匠の当該部分の意匠

第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、家屋等の建築物の壁面に用いられる「建築用板材」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「建築用壁板」であるから、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲については、建築物の壁面に取り付ける化粧板材であって、背面部を除いた全体であるから、一致する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両部分は、全体が略横長長方形板で、正面部は、上下端部をテーパー状に面取りした横帯状レリーフ(以下「レリーフ部」という。)を複数本上下に近接して設けたものであり、そのレリーフ部の表面は長手方向に沿って全体が緩やかな略正弦波状の凹凸とし、隣り合うレリーフ部の凹凸が重ならないよう横にずらして形成している。

イ 相違点
(ア)全体の縦横の長さ及び厚みの比率
本願部分は、約1:14:0.1であるのに対し、引用部分は、約1:6:0.02で、本願部分の方が横長で厚みがある。
(イ)レリーフ部
(イ-1)本数
本願部分は、3本であるのに対し、引用部分は、12本である。
(イ-2)凹凸の態様
本願部分は、上段のレリーフ部は、左右の端部が凹凸の頂上(以下「頂部という。」で、その間に5つの頂部を形成し、中段及び下段の頂部は、上から順に右におおよそ1/3ずつ凹凸の位置をずらして配置したものであって、上中下3つの頂部を結んだ線の角度は約20°であるのに対し、引用部分は、一番上のレリーフ部は、左右の端部が凹凸の底(以下「底部」という。)で、その間に30個の頂部を形成し、2段目以下のレリーフ部は、直上のレリーフ部と頂部と底部が交互になるよう配置したものであって、上端から下端までの頂部を斜めに結んだ線の角度は約40°である。
(ウ)隙間の有無
引用部分は、上下のレリーフ部の間に細幅の隙間を設けているのに対し、本願部分は、隙間はなく、上下のレリーフ部は密着している。


2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(3)両部分の形態
以下、両部分の形態について検討する。

ア 形態の共通点及び相違点の評価
両部分は、家屋等の建築物の壁面に取り付けられる化粧用の壁板材であるから、需要者は、主に外観に注目する住宅等購入者のほか、壁板材の取り付けや施工を行う取引業者や施工業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位であるレリーフ部の態様について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。

イ 共通点の評価
この種物品の分野において、略横長長方形板状の壁板材は、一般に広く見られるものであり、また、壁板材の表面に、緩やかな略正弦波状の凹凸を施した横帯状レリーフを複数本上下に近接して設け、かつ上下の凹凸が重ならないよう横にずらして形成したものも、両部分の他にも見受けられるものであることから、この共通するとした態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 相違点の評価
まず、(ア)について、本願部分は、引用部分より横長で厚みがあるが、全体を略横長長方形板としたなかにおける部分的な相違又は常套的になされる改変の範囲内のものであるから、格別、需要者の注意を惹くものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
次に、(イ)について、(イ-1)レリーフ部の本数は、引用部分の本数は本願部分の本数の4倍であるから、一見して異なるものであるが、この差は、施工後の外観に表れるものではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さいといえる一方、(イ-2)の凹凸の態様は、前記(ア)のとおり、本願部分の横幅は、引用部分より長いにも関わらず、上段のレリーフ部の中間に施した頂部は5つのみで、全体として緩やかで横に長い凹凸であるのに対し、引用部分は、本願部分より横幅が短いなかで一番上のレリーフ部は30個の頂部を設けており、狭いピッチでリズム感のある凹凸となっている点において大きく異なっており、また、約1/3ずつ凹凸の位置をずらして配置した本願部分と、凹凸が交互になるよう配置した引用部分とは、異なる美感を与えており、さらに、上記、凹凸の長短と数及び上下における頂部と底部の配置のずらし方の違いにより、凹凸全体が織りなす傾斜角度が大きく異なり、これが正面部全体の視覚的印象の相違として明確に表れているものであるから、需要者に異なる美感を強く与えているといえ、両意匠の類否判断に与える影響は極めて大きい。
また、(ウ)について、引用部分は、上下のレリーフ部の間に隙間を設けることによりレリーフ部ひとつひとつを際立たせる効果をもたらしているのに対し、本願部分は、上下のレリーフ部が密着しているため、個々のレリーフ部の境目はさほど目立たないことから、需要者に異なる美感を与えるものといえ、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。

以上のとおり、相違点のうち、相違点(ア)及び相違点(イ)の(イ-1)が両部分の類否判断に与える影響は小さいものであるが、相違点(イ)の(イ-2)及び相違点(ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きく、とりわけ、相違点(イ)の(イ-2)が両部分の類否判断に与える影響は極めて大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-01-21 
出願番号 意願2018-8459(D2018-8459) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 内藤 弘樹
宮田 莊平
登録日 2020-03-05 
登録番号 意匠登録第1655648号(D1655648) 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ