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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C5
管理番号 1359626 
審判番号 不服2019-12203
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-09-13 
確定日 2020-03-02 
意匠に係る物品 飲料容器用ストロー 
事件の表示 意願2018- 15237「飲料容器用ストロー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成30年(2018年) 7月10日 意匠登録出願
平成31年(2019年) 1月31日付け 拒絶理由通知書
平成31年 3月14日 意見書提出
令和 1年(2019年) 6月10日付け 拒絶査定
令和 1年 9月13日 審判請求書提出

第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「飲料容器用ストロー」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第884183号
(意匠に係る物品、乳首)の意匠の本願意匠が意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠

第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、願書の記載によれば、飲料容器に取り付けて用いられる「飲料容器用ストロー」であるのに対し、引用意匠の意匠に係る物品は、ほ乳瓶の「乳首」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、相違する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能は、飲料の通り道である管の途中にあって、飲料の吸い上げ量を調節するための弁であるから共通する。また、位置については、管内の先端近くの位置に、長手方向に対し垂直に取り付けている点において共通し、大きさ及び範囲についても、共通する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両部分は、上面が略凸球面状に膨出した略円板状で、中央に同じ長さの切り込みを2本、十字状に設けている。

イ 相違点
(ア)上面の膨出
本願部分は、上面の膨出は径の約1/6であるのに対し、引用部分は、約1/14で、本願部分の方が膨出の度合いが大きい。
(イ)底面の態様
本願部分は、上面の膨出とほぼ曲率を合わせた略凹球面状であるのに対し、引用部分は、平坦面状で、中央に小さなすり鉢状の凹陥を設け、その周縁に沿って断面視さじ面状の浅い円環状溝を形成している。
なお、本願部分は、添付図面のB-B線断面図によると、管が根本付近で左側に湾曲しているため、底面の態様は外観からは視認できないが、本願意匠の管は、使用状態の参考断面図から軟質のものと推認でき、管を垂直に曲げることによって、底面の態様を外観から視認できるため、上記のとおり、認定する。
(ウ)切り込みの長さ
本願部分は、径の約7割の長さであるのに対し、引用部分は、約2割強の長さである。

2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、非類似である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は、類似する。

(3)両部分の形態
以下、両部分の形態について検討する。

ア 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠は、乳幼児がミルクやジュース等の飲料を摂取するのに用いられる容器の先端に取り付けて使用する飲料を吸い上げるための部位(ストロー及び乳首)であって、両部分は、吸引量を調節するために管内に設けられる弁であるから、需要者は、主に乳幼児の保護者のほか、小児科の病院や保育所等に従事する者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位として、視認しやすい上面の膨出及び切り込みの態様について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。

イ 共通点の評価
この種物品の分野において、上面を略凸球面状に膨出した略円板状とし、その中央に十字状の切り込みを設けたものは、両部分の他にも普通に見受けられるものであることから(例えば、平成13年(2001年)7月17日発行の公開特許公報に所載の特開2001-192051(発明の名称:飲料容器)の図1及び図2の符号15、16の意匠。参考意匠、別紙第3)、この共通するとした態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 相違点の評価
まず、(ア)について、本願部分は、上方に盛り上がったドーム状であり、ごく僅かに膨出した程度の引用部分と比較すると明らかに膨出の度合いが大きく、一見して需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。
次に、(イ)について、略凹球面状の本願部分と平坦面状で真ん中に小さなすり鉢状の凹陥とその周縁に断面視さじ面状の浅い円環状溝を形成した引用部分とは、需要者に全く異なる視覚的印象をもたらすものといえるが、底面側で外観上目につきにくいことから、両部分の類否判断に与える影響は一定程度に止まる。
また、(ウ)について、本願部分は、上面(先端側)からはっきり視認できるほど大きな切り込みであり、真ん中に小さな切れ込みを形成している引用部分とは大きく異なり、需要者に異なる美感を与えているから、両部分の類否判断に与える影響は大きい。

以上のとおり、相違点のうち、相違点(イ)は両部分の類否判断に与える影響は一定程度に止まるが、相違点(ア)及び相違点(ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は非類似であり、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲は類似するが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-02-07 
出願番号 意願2018-15237(D2018-15237) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり北代 真一 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 宮田 莊平
内藤 弘樹
登録日 2020-03-05 
登録番号 意匠登録第1655650号(D1655650) 
代理人 大谷 嘉一 
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