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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M3
管理番号 1360534 
審判番号 不服2019-10465
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-08-07 
確定日 2020-02-12 
意匠に係る物品 建築用金物 
事件の表示 意願2018- 18332「建築用金物」拒絶査定不服審判事件について, 次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)8月23日の意匠登録出願であって,平成31年1月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年3月12日に意見書が提出されたが,同年4月26日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠は,意匠に係る物品を「建築用金物」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由及び引用した意匠
原審の拒絶の理由は,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は,建築用金物にかかるものですが,この種物品において,座金部を円形薄板状とし,その底部中心部に円筒状のナット部を延設し,座金部の上面に略星形の工具掛け穴を設けたものが,【公知意匠1】に見られるように,本願の出願前に公然と知られているところです。
また,この種物品において,座金部の周縁部に等間隔で3個の円孔を設けたものが,【公知意匠2】に見られるように,本願の出願前に公然と知られているところです。
そうすると,本願の意匠は,本願の出願前に公然と知られた【公知意匠1】の座金部上面の工具掛け穴の形状を僅かに変更して,その座金部に【公知意匠2】のような3個の円孔を単に設けて表した程度にすぎませんので,当業者であれば容易に創作をすることができた意匠と認められます。

【公知意匠1】
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1413880号の意匠
(意匠に係る物品:座金付きナット)

【公知意匠2】
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1130514号の意匠
(意匠に係る物品:ナット一体型座金)」

第4 当審の判断
本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について,すなわち,本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて,以下検討し,判断する。
1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,願書に添付した図面の【使用状態を示す参考図】によれば,本物品を基礎から立設するアンカーボルトに締着し,建築物の土台を基礎に密着し,固定させるために使用される「建築用金物」である。

(2)形態
本願意匠の形態は,以下のとおりである。
ア 全体の形態は,板体の中央部分に円孔(以下「中央貫通孔」という。)を1つ形成し,その周囲に平面視略星形状の工具嵌合用の凹み部分(以下「工具掛け穴部」という。)を設けた略円板状の座金部分(以下「座金部」という。)と,その底面部中心部分に中央貫通孔と同径の中空部分を有する略円筒状のアンカーボルト嵌入部分(以下「ナット部」という。)を延設した構成からなるものであって,
イ 座金部の形態は,その外周縁部の上面側及び底面側を角面取りし,外周縁部と工具掛け穴部のほぼ中間の位置に,平面視正三角形の頂点となるような配置態様で小円孔を3つ形成したものであり,
ウ 工具掛け穴部の形態は,突出部が6つ表れる略星形のヘクサロビュラ穴状としたものであり,
エ ナット部の形態は,略円筒形状の内周面下端部に角面取りを施したものであり,
オ 座金部とナット部の接合部分の形態は,略ラッパ状に形成し,該部位に底面視略十字状の配置態様で底面視略小三角形状の突起部分(以下「小突起部」という。)を4つ形成したものである。

2 原審の拒絶の理由において引用された意匠の認定
(1)公知意匠1(別紙第2参照)
公知意匠1は,日本国特許庁が平成23年(2011年)5月23日に発行した意匠公報,意匠登録第1413880号に記載された「座金付きナット」の意匠であって,その形態は,以下のとおりである。
ア 全体の形態は,板体の中央部分に中央貫通孔を1つ形成し,その周囲に平面視略星形状の工具掛け穴部を設けた略円板状の座金部と,その底面部中心部分に中央貫通孔と同径の中空部分を有する略円筒状のナット部を延設した構成からなるものであって,
イ 工具掛け穴部の形態は,突出部が8つ表れる略星形の凹み部としたものであり,
ウ ナット部の形態は,内周部分の下からナット部全長の約3/7の部分に雌ネジを形成したものであり,
エ 座金部とナット部の接合部分の形態は,略ラッパ状に形成したものである。

(2)公知意匠2(別紙第3参照)
公知意匠2は,日本国特許庁が平成14年(2002年)1月7日に発行した意匠公報,意匠登録第1130514号に記載された「ナット一体型座金」の意匠であって,その形態は,以下のとおりである。
ア 全体の形態は,板体の中央部分に中央貫通孔を1つ形成し,その底面部中心部分に中央貫通孔と同径の中空部分を有する略倒頭切円錐状のナット部を延設した構成からなるものであって,
イ 座金部の形態は,その外周縁部付近に平面視正三角形の頂点となるような配置態様で小円孔を3つ形成したものであり,
ウ ナット部の形態は,上端からナット部全長の約4/5部分を側面視の角度が一定なテーパーを施し,座金部の外周縁部からテーパーの部分にかけて凸状の螺旋状爪部を等間隔に3条形成し,下端部側約1/5部分を略円筒形状とし,この円筒形状の内周面下端部に角面取りを施したものであり,
エ 座金部とナット部の接合部分の形態は,略ラッパ状に形成したものである。

3 本願意匠の創作容易性の判断
本願意匠は,意匠に係る物品を「建築用金物」とするものであり,板体の中央部分に中央貫通孔を1つ形成し,その周囲に平面視略星形状の工具掛け穴部を設けた略円板状の座金部と,その底面部中心部分に中央貫通孔と同径の中空部分を有する略円筒状のナット部を延設した全体の形態は,公知意匠1で示したように公然知られた形態であるといえる。
次に,座金部の外周縁部の上面側及び底面側に角面取りを施したこともありふれた手法による改変にすぎず,外周縁部と工具掛け穴部のほぼ中間の位置に平面視正三角形の頂点となるような配置態様で小円孔を3つ形成したものも,その形成された位置が僅かに異なるものの,公知意匠2で示したように公然知られた形態であるといえる。
また,工具掛け穴部の形態は,日本産業規格(JIS規格)にも規定されている公然知られたヘクサロビュラ穴である。
そして,ナット部の内周面下端部に角面取りを施したものは,公知意匠2で示したように公然知られた形態であり,座金部とナット部の接合部分の形態を略ラッパ状に形成したものも,公知意匠1及び公知意匠2で示したように公然知られた形態であるといえる。
しかしながら,当業者が本願意匠を創作する際には,物品の機能を発揮するうえで重要な土台部との密着性について考慮するものであるところ,本願意匠のものは,座金部とナット部の接合部分に略十字状の配置態様で形成された底面視略小三角形状の4つの小突起部によって,土台部に形成されたアンカーボルト用の貫通孔縁部を切削し,土台部に本建築用金具を密着して取り付けることができるように工夫がなされたものであって,座金部とナット部の接合部分にこのような作用効果を果たす小突起部を形成した形態は,引用している公知意匠1及び公知意匠2には見当たらず,この形態は本願意匠の出願前に公然知られたものであるとはいえないものである。
そうすると,本願意匠における小突起部の形態は,この種物品分野において独自の着想によって創出したといえるものであり,当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたとはいうことができない。
したがって,本願意匠は,公知意匠1及び公知意匠2を示しても当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたとはいえないものである。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-01-27 
出願番号 意願2018-18332(D2018-18332) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2020-04-02 
登録番号 意匠登録第1658014号(D1658014) 
代理人 山本 典弘 
代理人 涌井 謙一 
代理人 三井 直人 
代理人 工藤 貴宏 
代理人 鈴木 一永 
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