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審決分類 審判 査定不服  意3条登録用件 取り消して登録 H7
管理番号 1360537 
審判番号 不服2019-9171
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-08 
確定日 2020-02-18 
意匠に係る物品 運行状況投稿機能付き電子計算機 
事件の表示 意願2017- 18690「運行状況投稿機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成29年(2017年)8月30日の意匠登録出願であって、平成30年(2018年)8月7日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月20日に意見書が提出されたが、平成31年(2019年)4月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、令和1年(2019年)7月8日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「運行状況投稿機能付き電子計算機」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、願書の記載によれば、意匠に係る物品の説明を「本物品は、主に鉄道やバスの運行状況を投稿する機能を備えた電子計算機である。正面図に表された画像は、ユーザが現在の鉄道やバスの運行状況を投稿する機能を発揮できる状態にするための操作に用いられる画像である。変化した状態を示す表示部拡大図1から変化した状態を示す表示部拡大図5は、ユーザが正面図に表された5つの丸ボタンのうち、各運行状況に応じていずれか一つのボタンを選択(タップ)した場合に表示される画像であって、選択したボタンは選択された旨の表示がされ(例えば、強調表示)、それ以外のボタンは選択されていない旨の表示がされる(グレーで表示された暗調子部分)。また、丸ボタン上方の2つの矢印ボタンは、行先方面を切り替えるためのものであり、選択されたボタンは選択された旨の表示がされる(グレーで表示された暗調子部分)。」とし、意匠の説明を「破線で表された部分以外の部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。図面中、グレーで表示された暗調子部分は、いずれも色彩を表すものではなく、明度差を表すものである。」としたものである(以下、本願の意匠登録を受けようとする部分を「本願画像部分」という。)。(別紙参照)

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないというものであり、具体的には以下のとおりである。
「意匠の説明欄の末尾に『図面中、グレーで表示された暗調子部分は、いずれも色彩を表すものではなく、明度差を表すものである。』と記載されていますが、添付図面においては、本願の請求部分は、水色や黄色等の色相を含む状態で色彩が表されています。請求部分の一部についてのみ色彩を請求することはできないことから、グレーで表された部分は当該表されたグレーの色彩であるとみると、意匠の説明欄の記載と添付図面の記載は整合しておらず、この意匠登録出願の意匠を具体的に特定することができません。」

第4 当審の判断
以下、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するか否かについて検討する。

1 本願意匠
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「運行状況投稿機能付き電子計算機」であって、特定の機能(使用者が鉄道やバスの運行状況を投稿する機能)を有する電子計算機である。
(2)本願画像部分の用途及び機能
上記第2の願書の意匠に係る物品の説明の記載によれば、本願画像部分は、「本物品は、主に鉄道やバスの運行状況を投稿する機能を備えた電子計算機である。正面図に表された画像は、ユーザが現在の鉄道やバスの運行状況を投稿する機能を発揮できる状態にするための操作に用いられる画像である。」と説明されていることから、その用途及び機能は、スマートフォン等の電子計算機にプレインストールされたソフトウエア又はインターネット等を介してダウンロードして用いられるソフトウエアであって、使用者が、各種交通機関の運行状況を投稿し、当該インターネットサイトの閲覧者に情報を提供する機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像である。具体的には、まず、進行方向を選択し、次に、平常運転から遅延・運休までの運行状況を表す5つのボタンのうち1つを選択して運行状況を投稿するものである。
(3)本願画像部分の位置、大きさ及び範囲
本願画像部分は、正面図において、破線で表した縦横の長さの比率が約2:1強の縦長の表示画面中、上下中央やや下寄りの位置に一点鎖線で表した横長長方形の範囲内とし、大きさは、縦幅は表示画面の縦幅の約1/3で、横幅はほぼ横幅一杯を占めるものであって、その縦横の長さの比率は約1:1.7である。
(4)本願画像部分の形態
願書の記載及び添付の図面によれば、本願画像部分は、「正面図」のほか「変化した状態を示す表示部拡大図1」ないし「変化した状態を示す表示部拡大図5」に表された合計6つの画像が含まれるものである。
ア 正面図に表された本願画像部分
(ア)上から約1/4の位置に、縦横の長さの比率が約1:12で、左右端の上下の角を斜めに切り欠いて両端中央を尖らせ矢印状とした横幅よりやや短い横長帯状の図形等を設けて、進行方向選択用のボタンとしている(以下「進行方向選択ボタン」という。)。
色彩について、内側の破線で表した文字列を除き、左右中央より左側は灰色に着色し、右側は外形線を灰色で表し内側を白色に着色している。
(イ)進行方向選択ボタンの直下で、下から約1/4の位置に、直径が縦幅の約1/3強の円形の図形等を5つ、横一列、等間隔に配置して、運行状況投稿用の選択ボタンとしている(以下「運行状況ボタン」という。)。
色彩について、
[左端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の水色に着色し、真ん中を白色に着色しその上から “平常”の文字列を黒色で施している。
[左から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の黄緑色に着色し、中心から12時の方向と1時の方向の間を扇形に結んだ範囲内を薄黄緑色に着色しそれ以外を白色に着色して、その上から、“遅延”と“?5分”の文字列を上下2段に黒色で施している。
[真ん中の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の黄色に着色し、中心から12時の方向と2時の方向の間を扇形に結んだ範囲内を薄黄色に着色しそれ以外を白色に着色して、その上から、“遅延”と“?10分”の文字列を上下2段に黒色で施している。
[右から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅のオレンジ色に着色し、中心から12時の方向と6時の方向の間を半円に結んだ右側の範囲内を薄オレンジ色に着色し左側を白色に着色して、その上から、“遅延”と“?30分”の文字列を上下2段に黒色で施している。
[右端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅のピンク色に着色し、真ん中を薄ピンク色に着色し、中心に太幅で白色の感嘆符状の模様を設けて、その上から、“運休”の文字列を黒色で施している。
さらに、各運行状況ボタンの下側に周縁に沿って細幅三日月状の灰色の模様を形成している。
イ 変化した状態を示す表示部拡大図(1ないし5)に表された本願画像部分
変化した状態を示す表示部拡大図(1ないし5)に表された本願画像部分は、いずれも正面部に表された本願画像部分とは5つの運行状況ボタンの色彩のみ異なっている。
また、変化した状態を示す表示部拡大図(1ないし5)に表された本願画像部分の5つの運行状況ボタンの色彩は、いずれも灰色を基調とし、その中の1つの運行状況ボタンのみを有彩色に着色している(有彩色の運行状況ボタンの位置と色の種類がそれぞれ異なる。)。
したがって、認定に際し、まず、5つの運行状況ボタンすべてを灰色に着色した態様について認定し、続いて、各変化した状態を示す表示部拡大図ごとに有彩色で着色した運行状況ボタンを認定する。
なお、変化した状態を示す表示部拡大図(1ないし5)に表された本願画像部分の5つの運行状況ボタンの下側には、三日月状の模様は形成していない。
(ア)灰色で着色した運行状況ボタン
[左端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の灰色に着色し、真ん中を薄灰色に着色し、その上から、 “平常”の文字列を白色で施している。
[左から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の灰色に着色し、中心から12時の方向と1時の方向の間を扇形に結んだ範囲内をやや薄い灰色に着色しそれ以外を薄灰色に着色し、その上から、“遅延”と“?5分”の文字列を上下2段に白色で施している。
[真ん中の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の灰色に着色し、中心から12時の方向と2時の方向の間を扇形に結んだ範囲内をやや薄い灰色に着色しそれ以外を薄灰色に着色して、その上から、“遅延”と“?10分”の文字列を上下2段に白色で施している。
[右から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の灰色に着色し、中心から12時の方向と6時の方向の間を半円に結んだ右側の範囲内をやや薄い灰色に着色し左側を薄灰色に着色して、その上から、“遅延”と“?30分”の文字列を上下2段に白色で施している。
[右端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の灰色に着色し、真ん中をやや薄い灰色に着色し、中心に太幅で薄灰色の感嘆符状の模様を設けて、その上から、“運休”の文字列を白色で施している。
(イ)変化した状態を示す表示部拡大図1
[左端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の濃い青色に着色しその上側を細幅三日月状に色分けして濃紺色に着色し、真ん中を青色に着色し、その上から、“平常”の文字列を白色で施している。
(ウ)変化した状態を示す表示部拡大図2
[左から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の緑色に着色しその上側を細幅三日月状に色分けして濃緑色に着色し、中心から12時の方向と1時の方向の間を扇形に結んだ範囲内をやや薄い緑色に着色しそれ以外を薄緑色に着色して、その上から、“遅延”と“?5分”の文字列を上下2段に白色で施している。
(エ)変化した状態を示す表示部拡大図3
[真ん中の運行状況ボタン]周縁をやや太幅のオレンジ色に着色しその上側を細幅三日月状に色分けして濃いオレンジ色に着色し、中心から12時の方向と2時の方向の間を扇形に結んだ範囲内をやや薄いオレンジ色に着色しそれ以外を薄オレンジ色に着色して、その上から、“遅延”と“?10分”の文字列を上下2段に白色で施している。
(オ)変化した状態を示す表示部拡大図4
[右から2つ目の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の朱色に着色しその上側を細幅三日月状に色分けして濃い朱色に着色し、中心から12時の方向と6時の方向の間を半円に結んだ右側の範囲内をやや薄い朱色に着色し左側を薄い朱色に着色して、その上から、“遅延”と“?30分”の文字列を上下2段に白色で施している。
(カ)変化した状態を示す表示部拡大図5
[右端の運行状況ボタン]周縁をやや太幅の赤色に着色しその上側を細幅三日月状に色分けして濃い赤色に着色し、真ん中をやや薄い赤色に着色し、中心に太幅で薄赤色の感嘆符状の模様を設けて、その上から、“運休”の文字列を白色で施している。

2 本願画像部分が工業上利用できる意匠であるか否かの判断
意匠法第2条第2項において規定する画像を含む意匠について意匠登録を受けようとする場合は、その意匠に含まれる画像が「物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像」であることが必要であり、この物品の操作の用に供される画像は、物品の操作に使用される図形等が選択可能に表示され、その図形等を用いて物品の操作を行うことができるものであると解される。
そこで、本願画像部分について検討すると、本願画像部分は、複数の画像を含む意匠であって、前記1(2)で認定したとおり、スマートフォン等の電子計算機に用いられるソフトウエアであり、使用者が、各種交通機関の運行状況を投稿し、当該インターネットサイトの閲覧者に情報を提供する機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像(操作画像)と認められ、また、その位置、大きさ及び範囲は、前記1(3)で認定したとおりであり、その形態についても、前記1(4)で認定したとおりである。そして、「正面図」及び「変化した状態を示す表示部拡大図1」ないし「変化した状態を示す表示部拡大図5」に表された画像は、いずれも機能的及び形態的な関連性が認められるものである。
したがって、本願画像部分は、物品の操作の用に供される画像に該当し、かつ、複数の画像を含んだ状態で1つの意匠を表しているということができるから、意匠法上の意匠を構成するものといえ、本願意匠は、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当するものである。
なお、願書の意匠の説明の中で「図面中、グレーで表示された暗調子部分は、いずれも色彩を表すものではなく、明度差を表すものである。」との記載があるが、グレー、すなわち当審において認定した灰色の着色部は、その濃淡も含め、図面上、図形等に施された特定の色彩と認定できるものであり、単に明度差のみを表すものでないことは、前記1(4)で認定したとおりであるから、この記載は、添付図面の記載と一致せず、錯誤に基づくものといわざるを得ない。しかしながら、この記載を黙過しても、前記認定を左右するほどのものではなく、明らかな瑕疵として善解し得るものであるから、意匠法第3条第1項柱書の拒絶の理由には該当しない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、原査定の拒絶の理由によっては、意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しないものであるということはできない。

また、当審において、さらに審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-02-03 
出願番号 意願2017-18690(D2017-18690) 
審決分類 D 1 8・ 1- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 中田 博康 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 宮田 莊平
内藤 弘樹
登録日 2020-03-12 
登録番号 意匠登録第1656308号(D1656308) 
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所 
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