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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 M2
管理番号 1360539 
審判番号 不服2019-8328
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-06-24 
確定日 2020-03-02 
意匠に係る物品 流体用ガスケット 
事件の表示 意願2018- 5027「流体用ガスケット」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成30年(2018年)3月12日の意匠登録出願であって、その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年11月30日付け 拒絶理由通知書
平成31年 1月23日 意見書の提出
平成31年 3月15日付け 拒絶査定
令和 元年(2019年)6月24日 審判請求書の提出
令和 元年10月25日付け 審尋
令和 元年12月11日 回答書の提出
令和 元年12月11日 手続補正書の提出

第2 本願意匠

本願は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「流体用ガスケット」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照。)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められますので、意匠法第3条第2項の規定に該当する、というものであって、具体的には以下のとおりである。

「この種の配管用のシール材の分野において、以下の意匠が本願出願前より公然知られています。

・本願意匠と同様に、両端部が縮径状の環状部分を略円筒形状の内周面に一体に形成したものとして、下記意匠1
・略円筒形状の外周面に突起のないものとして、下記意匠2
・内周の端縁角部に面取り部を形成したものとして、下記意匠3

そうすると、本願意匠は、単に本願出願前より公然知られた下記意匠1に見られるガスケットを造形の基本とし、下記意匠2に見られるように外周面の突起を取り除き、下記意匠3のように内周の端縁角部に面取り部を形成したに過ぎず、当業者であれば容易に創作することができたものといえます。

【引用意匠情報】
意匠1 (当審注:別紙第2参照。)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2006-083972
【図2】乃至【図5】及び関連する記載から導きだされる「ガスケット」の意匠

意匠2 (当審注:別紙第3参照。)
特許庁総合情報館が2000年 6月29日に受け入れた
2000年 6月 1日発行の大韓民国意匠商標公報
(CD-ROM番号:2000-13)に記載された
意匠登録 第30-0258513号の
管継手用パッキン
(特許庁意匠課公知資料番号第HH14585626号)

意匠3 (当審注:別紙第4参照。)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1280171号の意匠
(意匠に係る物品:管継ぎ手用シール)」

第4 当審の判断

以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたかどうかについて検討し、判断する。
なお、本願意匠と引用意匠との対比にあたり、意匠1ないし意匠3の図の向きを本願意匠の図の向きに合わせて認定する。その際、意匠3については、さらに「平面図中央横断面図」を右に90度回転させた方向に合わせて認定する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、願書の意匠に係る物品の説明欄によれば、「本物品は、流量計やバルブ等の流体機器と流路を有するブロックとの間を流体が漏れないように接続する」ための「流体用ガスケット」である。

(2)形態
ア 全体形状は、正面視を正円形状とし、側面視を縦長長方形状とする回転体からなる略短円筒形状の外観を有するものであり、側面視において表れた縦長長方形状の縦横比、すなわち、正面視の直径に対する奥行きの比率を、約3:2とするものである。

イ A-A線拡大断面図によって表される縦断面形状は、上下同形状が線対称に表れているところ、上部の切断面形状については、略横長長方形状に表れる筒壁(以下「筒壁部」という。)の下端中央に略等脚台形状の突出(以下、「略等脚台形状の突出」を「突出部」という。)を配したものである。
具体的には、筒壁部と突出部とを合わせた当該切断面形状は、高さと横幅の比を、約1:3とするものであり、筒壁部の縦横の長さの比率を約1:8とし、突出部の縦横の長さの比率を約3:11とするものであって、筒壁部には、左右下端部にそれぞれ約45度の面取りを施しており、突出部の上端は、筒壁部と弧状に連接しており、突出部は左右の傾斜辺を直線状に形成しており、下辺は緩やかに膨出している。

2 引用意匠の認定
(1)意匠1
意匠1の意匠に係る物品は、「ガスケット」である。

意匠1のうち、図2ないし図4に表れた形態を図4に基づき認定すると、その形態は、以下のとおりである。
ア 全体形状は、正面視を正円形状とし、側面視を縦長長方形状とする回転体からなる略短円筒形状の本体部の外周中央に、円盤状のフランジを設けたものであって、正面視における、フランジと本体部の直径の比は、約5:3である。また、本体部の横幅は、直径の約1/2である。

イ 縦断面形状は、上下同形状が線対称に表れているところ、上部の切断面形状については、筒状部の下端中央に突出部を配したものである。
具体的には、筒状部と突出部とを合わせた形状は、高さと横幅の比を約2:7とするものであり、筒壁部の縦横の長さの比率を約1:9とし、突出部の縦横の長さの比率を約2:11とするものであって、筒壁部の左右下端には、面取りを施しておらず、突出部の上端は、筒壁部と弧状に連接しており、突出部は左右の傾斜辺及び下辺を直線状に形成しており、左右下端の角部をエッジにより構成している。

ウ 図5に表れた形態は、意匠1とは異なっており、これを、以下意匠1aとすると、その形態は、筒状部と突出部との厚みの比率を、ほぼ同厚とするものであって、突出部の左右の傾斜辺及び下辺はそれぞれ直線状に形成しており、左右下端の角部を小さいアールにより面取りしている。

(2)意匠2
意匠2の意匠に係る物品は、「管継ぎ手用パッキン」である。

意匠2の形態は、
ア 全体形状は、正面視を正円形状とする回転体からなる略短円筒形状の外観を有するものであり、側面視において表れた縦長長方形状の縦横比、すなわち、正面視の直径に対する奥行きの比率を、約3:1とするものである。

イ 断面図によって表される縦断面形状は、上下同形状が線対称に表れているところ、上部の切断面形状については、略「王」字状に左右対称に表れるものであって、上下に筒壁部と、上下の筒壁部の左右中央を略縦長長方形状の壁部(以下「壁部」という。)でつなぎ、当該壁部を上から約1:2に内分する位置に略二等辺三角形状のフランジ(以下「フランジ部」という。)を左右に突出させている。
具体的には、上下の筒壁部について、横幅及び高さはほぼ同じであり、上側筒壁部は略横長長方形状であって、縦横比は、約1:12であり、下側筒壁部は上側筒壁部の左右下端を約45度に面取りを施した形状であり、上下筒壁部とフランジ部との横幅の比率は、約5:3であり、フランジ部の縦横比は約1:6であり、左右両端部をアールにより面取りしている。

(3)意匠3
意匠3の意匠に係る物品は、願書の意匠に係る物品の説明欄によれば、「本意匠は「使用状態参考図」に示すように、管継ぎ手内面に装着される。本意匠は「各部の名称を示す部分拡大参考断面図」に示すように、中間部を挿口と平行に直線状とした点に特徴を有し、当該特徴点により、挿口を挿入する際に本意匠が管継ぎ手から外れることなくスムーズに挿入できる効果を有する」「管継ぎ手用シール」である。

意匠3の形態は、
ア 全体形状は、正面視を正円形とする回転体からなり、側面視を略倒横長「Ω」字状とするものであり、側面視において表れた縦横比、すなわち、正面視の直径に対する奥行きの比率を、約6:1とするものである。

イ 平面図中央横断面図によって表される断面形状は、上下同形状が線対称に表れているところ、上部の切断面形状については、略楕円形状部の左側にカギ状のフランジ部を突出する態様で並列して表し、略楕円形状部の幅とカギ状のフランジ部の幅との構成比率を約6:4とするものである。
具体的には、略楕円形状部の縦横比は約11:12であり、カギ状フランジ部は、水平部分と垂直部分からなり、水平部分は略楕円形状部の長軸の中心をとおって延設した態様であり、水平部分と垂直部分の厚みは、それぞれ、楕円形状部短軸の約1/4と約1/2であり、水平部分の上辺は水平部分の厚みとほぼ同幅であり、垂直部分の右辺は垂直部分の厚みとほぼ同幅である。また、カギ状部の角部には、水平部分の厚みの約半幅分をテーパにより面取りしている。

3 本願意匠の創作非容易性の判断

この種物品分野においては、当業者は、流体用ブロックへのガスケットの装着にあたり、流体が支障なく流れることに留意して、意匠の創作をするものであるところ、本願意匠は、「液体がスムースに流路に流れるような内周面を構成するように」(審尋回答書第3頁第7行目ないし第9行目)創作がなされているものであって、突出部下辺をやや膨出させて形成することによって、「流体機器の取り付け手段であるネジを過剰に締めた場合等でも本願意匠の内周面を含む流路から浮いたり(反ったり)せず、断面視平坦な内周面を形成」(審尋回答書第3頁第3行目及び第4行目)可能とするものである。

ア 全体形状について、正面視を正円形状とする回転体からなる略短円筒形状の外観を有するものは、例えば意匠2で見られるとおりであり、また、正面視の直径に対する奥行きの比率については、この種物品分野においては、例えば、意匠1のフランジを除いた本体部及び意匠2で見られるとおり、種々の構成比率が見受けられるものであり、格別の創作を要するものとは認めることはできない。

イ 縦断面の形状について、上下同形状が線対称に表れるうち、上部の切断面形状について、筒壁部の下側に突出部を配した形態については、意匠1に見られるとおりであり、これに着想の新しさや独創性があるとはいえず、格別の創作を要するものとは認めることはできない。
また、意匠1に設けられたフランジが本願意匠に見受けられないことも、例えば、意匠2に表れるのとおり、この種物品分野の創作に当たっては、どちらも選択しうる一要素と認められ、本願意匠にフランジを設けていない点に特段の意匠の創作を認めることができない。

ウ しかしながら、突出部の具体的態様のうち、下辺が緩やかに膨出する点については、流体が支障なく流れることに留意した結果、創出した態様といえるものであり、意匠1、意匠1a、意匠2及び意匠3において、下辺の膨出態様は見受けられないものであるから、当業者がこれらの意匠に基づき、容易に創作をすることができたという域を超えており、一定の創作がなされたというべきである。

そうすると、ガスケットの分野において、上記3 ア及びイに係る部分に特段の創作性を認めることができないものの、上記3 ウに係る態様は、この種物品分野において独自の着想によって創出したといえるものであり、意匠1ないし意匠3の引用意匠の形態に基づいて、本願意匠の形態を容易に創作することができたことを示す証拠は見られないから、本願意匠の形態は、この種物品分野において独自の着想によって創出したといわざるを得ず、当業者が公然知られた形態に基づいて容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、本願意匠は、原審が示した理由によっては意匠法第3条第2項に規定する意匠に該当しないものであるから、この拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-02-10 
出願番号 意願2018-5027(D2018-5027) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 中村 純典 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 木村 恭子
北代 真一
登録日 2020-03-12 
登録番号 意匠登録第1656309号(D1656309) 
代理人 鈴江 正二 
復代理人 渡辺 容子 
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