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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1360546 
審判番号 不服2019-9606
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-19 
確定日 2020-03-13 
意匠に係る物品 埋込型コンロ 
事件の表示 意願2018- 16197「埋込型コンロ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成30年(2018年)7月25日の意匠登録出願であって,同年12月25日付けの拒絶理由の通知に対し,平成31年2月13日に意見書が提出されたが,同年4月12日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和1年(2019年)7月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「埋込型コンロ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとし,「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を実線で,それ以外の部分を破線で表した。各図において表れる一点鎖線は,部分意匠として登録を受けようとする部分とそれ以外の部分の境界のみを表している。」(以下,この部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁が発行した意匠公報に記載された「ガスコンロ」(意匠登録第1601407号)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願部分に相当する部分を「引用部分」という。)であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合は,同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,願書の【意匠に係る物品】の欄の記載によれば「埋込型コンロ」であり,願書添付図面に記載した形状を合わせて総合的に判断すれば,それはキッチンのカウンターに埋め込んで使用するガスこんろと認められる。
(2)本願部分の用途及び機能
「こんろ」において,点火操作部(操作つまみ)等を含む,前面パネル部の用途及び機能を有するものである。
(3)本願部分の位置,大きさ及び範囲
コンパクト・キッチン用の幅の狭い埋込型の「こんろ」のうち,天板部における,側面視山状に盛り上がった前面パネル部の正面,上面及び側面上方,並びに操作つまみを,本願部分の位置及び範囲としたものであって,天板部の横幅を1とした場合の高さを約0.14とし,正面視において後方のバーナー部が隠れて見えない大きさとしたものである。
(4)本願部分の形状
(4-1)横に細長い側面視山状に隆起した前面パネル部において,正面の左右に操作つまみを配し,それらの左側には円形の表示ランプを配し,右側には円形の高温センサー解除スイッチ及び小円形の表示ランプを有するやや膨出した四角い操作プレートを配したものである。
(4-2)前面パネル部は,正面視において横に細長い略台形とし,左右両端の斜辺(台形の脚)は直線状であり,側面視において,上面を平坦面,正面側の下端寄りを垂直面としたものである。
(4-3)操作つまみは,全体を円形の台座部の中央に直径の長さの板状のつまみ部が突出した凸形状とし,台座部は厚く,その上面は,中央一帯が緩やかに窪んだものであり,つまみ部は,周面が上方へ向けて少しすぼまり,側面視で略横長長方形であって,上辺を少し凸弧状に湾曲したものである。
(4-4)操作つまみの直径を1とした場合の,前面パネル部の正面側傾斜面(水平面や垂直面を除く直線状部分)の長さは,約1.25であり,前面パネル部の下辺から全高の約3分の1上がった高さ位置に,操作つまみの台座部の下端がくるものである。

2 引用意匠
(1)引用意匠の意匠に係る物品は,【意匠に係る物品】の欄の記載によれば「ガスコンロ」であり,【図面】に記載した形状を合わせて総合的に判断すれば,それはキッチンのカウンターに埋め込んで使用するガスこんろと認められる。
(2)引用部分の用途及び機能
「こんろ」において,点火操作部(操作つまみ)等を含む,前面パネル部の用途及び機能を有するものである。
(3)引用部分の位置,大きさ及び範囲
コンパクト・キッチン用の幅の狭い埋込型の「こんろ」のうち,天板部における,側面視山状に盛り上がった前面パネル部の正面,上面及び側面上方,並びに操作つまみを,本願部分の位置及び範囲としたものであって,天板部の横幅を1とした場合の高さを約0.10とし,正面視において後方のバーナー部が隠れずに見える大きさとしたものである。
(4)引用部分の形状
(4-1)横に細長い側面視山状に隆起した前面パネル部において,正面の左右に操作つまみを配し,それらの左側には円形の表示ランプを配し,右側には円形の高温センサー解除スイッチ及び小円形の表示ランプを有するやや膨出した四角いプレート状の操作部を配したものである。
(4-2)前面パネル部は,正面視において横に細長い略台形とし,その左右両端の斜辺(台形の脚)の下方部分が内側に入り込んだものであり,側面視において,上面を大きな湾曲面,正面側の下端寄りをごく小さな湾曲面としたものである。
(4-3)操作つまみは,全体を円形の台座部の中央に直径の長さの板状のつまみ部が突出した凸形状とし,台座部は薄く,その上面は,つまみ部の付け根が緩やかに盛り上がったものであり,つまみ部は,側面視上底側の角を丸めた偏平略台形状とし,その左右側面を内方に湾曲したものである。
(4-4)操作つまみの直径を1とした場合の,前面パネル部の正面側傾斜面(直線状部分)の長さは,約1.0であり,前面パネル部の下辺から全高の約4分の1上がった高さ位置に,操作つまみの台座部の下端がくるものである。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,どちらもキッチンのカウンターに埋め込んで使用するガスこんろと認められ,特に相違点は認められない。
(2)両部分の用途及び機能
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は,どちらも「こんろ」において,点火操作部等を含む,前面パネル部の用途及び機能を有するものであり,特に相違点は認められない。
(3)両部分の位置,大きさ及び範囲
両部分の位置及び範囲は,どちらもコンパクト・キッチン用の幅の狭い埋込型の「こんろ」のうち,天板部における,側面視山状に盛り上がった前面パネル部の正面,上面及び側面上方,並びに操作つまみとしたものであり,特に相違点は認められないが,両部分の大きさについては,本願部分は,天板部の横幅を1とした場合の高さを約0.14とし,正面視において後方のバーナー部が隠れて見えないものであるのに対して,引用部分は,天板部の横幅を1とした場合の高さを約0.10とし,正面視において後方のバーナー部が隠れずに見えるものであるから,相違する。
(4)両部分の形状
(4-1)共通点
共通点1:横に細長い側面視山状に隆起した前面パネル部において,正面の左右に操作つまみを配し,それらの左側には円形の表示ランプを配し,右側には円形の高温センサー解除スイッチ及び小円形の表示ランプを有するやや膨出した四角いプレート状の操作部を配したものである。
共通点2:前面パネル部は,正面を横に細長い略台形としたものである。
共通点3:操作つまみは,全体を円形の台座部の中央に直径の長さの板状のつまみ部が突出した凸形状としたものである。
(4-2)相違点
相違点1:前面パネル部について,本願部分は,側面視において上面を平坦面,正面側の下端寄りを垂直面としたものであるのに対して,引用部分は,側面視において上面を大きな湾曲面,正面側の下端寄りをごく小さな湾曲面としたものである。
相違点2:前面パネル部の正面について,本願部分は,左右両端の斜辺は直線状であるのに対して,引用部分は,左右両端の斜辺の下方部分が内側に入り込んだものである。
相違点3:操作つまみの直径を1とした場合の,前面パネル部の正面側傾斜面の長さについて,本願部分は,約1.25としたものであるのに対して,引用部分は,約1.0としたものである。
相違点4:操作つまみについて, 本願部分は,台座部については,厚く,その上面は,中央一帯が緩やかに窪んだものであり,つまみ部については,周面が上方へ向けて少しすぼまり,側面視で略横長長方形であって,上辺を少し凸弧状に湾曲したものであるのに対して,引用部分は,台座部については,薄く,その上面は,つまみ片の付け根が緩やかに盛り上がったものであり,つまみ部については,側面視上底側の角を丸めた偏平略台形状とし,その左右側面を内方に湾曲したものである。
相違点5:操作つまみの台座部の下端の高さ位置について,本願部分は,前面パネル部の下辺から前面パネル部の全高の約3分の1上がった所としたものであるのに対して,引用部分は,前面パネル部の下辺から前面パネル部の全高の約4分の1上がった所としたものである。

4 両意匠の類否
(1)意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品は,どちらもキッチンのカウンターに埋め込んで使用するガスこんろであり,その使用目的や使用状態に相違点は認められないから,同一である。
(2)両部分の用途及び機能について
両部分の用途及び機能は,どちらも「こんろ」において,操作つまみ等を含む,前面パネル部の用途及び機能を有するものであり,特に相違点は認められないから,同一である。
(3)両部分の位置,大きさ及び範囲について
両部分の位置及び範囲は,特に相違点が認められないから,同一であるが,両部分の大きさは,正面視において後方のバーナー部が隠れて見えない高さであるか否かという点において相違し,この相違は,点火時に手元がしっかりガードされる安心感を得られる大きさか否かという,異なる印象を両部分にもたらすものである。
(4)両部分の形状について
(4-1)共通点の評価
共通点1及び共通点2は,前面パネル部について概観したものであって,この物品分野において従来からよく見られる形状に過ぎないから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
共通点3は,操作つまみについて概観したものであって,この物品分野において従来からよく見られる形状に過ぎないから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(4-2)相違点の評価
相違点1は,前面パネル部の具体的な形状に係るものであり,特に上面を水平面としたか湾曲面としたかの相違は,目に付きやすい部分の相違であり,本願部分にどっしりとした印象,引用部分にきゃしゃな印象という,両部分に異なる印象をもたらすものであるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点2は,前面パネル部の正面に係るものであるが,左右両端の斜辺の下方部分が内側に入り込んだものであるか否かの相違は,丸みのある印象をもたらすか否かの相違となるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
相違点3及び相違点5は,前面パネル部について,本願部分が高く,引用部分が低いという,両部分に異なる印象をもたらすものであるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点4は,操作つまみの具体的な形状に係るものであるが,使用にあたり常に手に触れる部分の相違であり,台座部の形状の相違とつまみ部の形状の相違が相まって,本願部分の操作つまみにスリムな印象,引用部分の操作つまみに丸くて柔らかい印象という,両部分に異なる印象をもたらすものであるから,両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
(5)小括
両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途及び機能,並びに位置及び範囲は同一であるが,両部分の大きさは相違し,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,共通点は,前面パネル部及び操作つまみを概観した場合のもの(共通点1ないし3)であって,いずれの点もこの物品分野において従来からよく見られる形状に過ぎず,両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点は,特に前面パネル部の上面の形状の相違(相違点1),前面パネル部の高さの相違(相違点3及び相違点5),操作つまみの具体的な形状の相違(相違点4)が,両部分に異なる印象をもたらし,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものであるから,相違点は共通点を凌駕するものであって,両部分の形状は,類似するものとはいえない。
よって,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,両部分の用途及び機能,並びに位置及び範囲が同一であるが,両部分の大きさが相違し,両部分の形状は類似するものとはいえないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-02-26 
出願番号 意願2018-16197(D2018-16197) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一前畑 さおり 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2020-03-24 
登録番号 意匠登録第1657098号(D1657098) 
代理人 恩田 誠 
代理人 恩田 博宣 
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