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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1363209 
審判番号 不服2019-17023
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-17 
確定日 2020-06-25 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2019-1189「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
第1 手続の経緯
本願は,平成31年(2019年)1月23日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)7月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年9月6日に意見書が提出されたが,同月12日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年12月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「添付図面中,実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原審の拒絶の理由
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,以下のとおりである。
「この意匠登録出願に係る包装用容器の分野において,口部に設けられたねじ部について,ねじ山をなだらかな略山型とし,外側に向かって略扇状に広がる切り欠き溝を複数設けることは,意匠1,意匠2にみられるように,本願意匠出願前より公然知られています。
そうすると,本願意匠は,本願意匠出願前より公然知られた意匠3の包装用容器口部に設けられたねじ部ついて,ねじ山を公然知られた意匠1,意匠2に見られるようなねじ山とし,意匠登録を受けようとする部分とした程度にすぎず,また,本願意匠のようにサポートリングの上面傾斜部に段差を設けない態様についても,この種物品においては例を挙げるまでもなく見られる態様であるため,格別創意を要するとは認められません。
したがって,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,本願意匠に係る物品分野の通常の知識を有する者が容易に創作できたものと言わざるをえません。

意匠1(当審注:別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2017-210264
【図1】?【図4】及び関連する記載に表された樹脂ボトルの口部の意匠

意匠2(当審注:別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1506737号の意匠

意匠3(当審注:別紙第4参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2015-182789
【図1】?【図3】及び関連する記載に表されたプラスチックボトルの意匠」

第4 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の認定
(1)本願意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,包装用容器である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,包装用容器における口部本体部分であって,その位置,大きさ及び範囲は,略円筒状の細口容器の上端に位置し,口部本体部分の大きさ及び範囲であり,包装用容器における口部本体部分の用途及び機能を有している。

(3)本願部分の形状
本願部分の形状は,
ア.外径と高さの比率が約6:5の円筒形であって,
イ.上端に縁部を設けてあり,
ウ.縁部の下辺に接して,ネジ山の頂部が丸い雄ネジを2周強設けてあり,
エ.上端から約3分の2下がった所に突出が小さいビードリングを設け,
オ.下端には,上面に段差のない,突出が大きいサポートリングを設けたもので,
カ.雄ネジには,平面視で,雄ネジの上端がおおむね6時となる向きで,1時・5時・7時・11時の方向に,上下2段の8か所に,切り欠き部を設けている。
キ.切り欠き部の平面形状は,比較的緩やかな角度の傾斜面で切り込んでいき,その傾斜面と底面は緩やかな円弧で結ばれていて,切り欠き部の全長は比較的長く,その深さは浅い(雄ネジ裾部分が多く残っている)ものである。

2.本願意匠の創作の容易性について
(1)出願前に公然知られた形状
本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる形状は,以下のとおりである。
ア.意匠1より,包装用容器における口部本体部分の形状について,(ア)上端に縁部を設け,(イ)縁部の下辺に接して,ネジ山の頂部が丸い雄ネジを2周設け,(ウ)上端から約4分の3下がった所に突出が小さいビードリングを設け,(エ)下端には,上面に段差のない,突出が大きいサポートリングを設けたもので,(オ)雄ネジには,平面視で,雄ネジの上端がおおむね6時となる向きで,1時・5時・7時・11時の方向に,上下1段又は2段の7か所に,切り欠き部を設けている。
(カ)切り欠き部の平面形状は,比較的急な角度の傾斜面で切り込んでいき,その傾斜面と底面は緩やかな円弧で結ばれていて,切り欠き部の全長は比較的短く,その深さを深くした(雄ネジ裾部分の残りが少ない)形状。
イ.意匠2より,包装用容器における口部本体部分の形状について,(ア)上端に縁部を設け,(イ)縁部の下辺に接して,ネジ山の頂部が丸い雄ネジを約1と4分の3周設け,(ウ)上端から約3分の2下がった所に突出が小さいビードリングを設け,(エ)下端には,上面に段差のない,突出が大きいサポートリングを設けたもので,(オ)雄ネジには,平面視で,雄ネジの上端がおおむね6時となる向きで,1時・5時・7時・11時の方向に,上下1段又は2段の7か所に,切り欠き部を設けている。
(カ)切り欠き部の平面形状は,比較的急な角度の傾斜面で切り込んでいき,その傾斜面と底面は屈曲して結ばれていて,切り欠き部の全長は比較的短く,その深さを深くした(雄ネジ裾部分の残りが少ない)形状。
ウ.意匠3より,包装用容器における口部本体部分の形状について,(ア)外径と高さの比率が約6:5の円筒形であって,(イ)上端に縁部を設け,(ウ)縁部の下辺に接して,ネジ山の頂部が丸い雄ネジを2周強設け,(エ)上端から約3分の2下がった所に突出が小さいビードリングを設け,(オ)下端には,突出が大きいサポートリングを設けたもので,(カ)雄ネジには,平面視で,雄ネジの上端がおおむね6時となる向きで,2時・4時・8時・10時の方向に,上下2段の8か所に,切り欠き部を設けている。
(キ)切り欠き部の平面形状は,比較的急な角度の傾斜面で口部外周面まで切り込んでいき,その傾斜面と口部外周面は屈曲して結ばれていて,切り欠き部の全長は比較的短く,その深さを深くした(切り欠き部が口部外周面に達しており,雄ネジ裾部分が残っていない)形状。


(2)本願部分の創作の容易性
ア.本願意匠の出願前に公然知られた形状
(ア)上記(1)のウ.(ア)により,口部本体部分の,外径と高さの比率を約6:5の円筒形とすることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(イ)上記(1)のア.(ア)により,口部本体部分の上端に縁部を設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(ウ)上記(1)のウ.(ウ)により,縁部の下辺に接して,ネジ山の頂部が丸い雄ネジを2周強設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(エ)上記(1)のウ.(エ)により,口部本体部分の上端から約3分の2下がった所に突出が小さいビードリングを設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(オ)上記(1)のア.(エ)により,口部本体部分の下端には,上面に段差のない,突出が大きいサポートリングを設けた形状は,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(カ)上記(1)のア.(オ)により,平面視において,雄ネジの上端がおおむね6時となる向きで,雄ネジの1時・5時・7時・11時の方向に,上下1段又は2段の切り欠き部を設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(キ)上記(1)のウ.(カ)により,雄ネジの,上下2段の8か所に切り欠き部を設けることは,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
(ク)上記(1)のア.(カ)により,切り欠き部の傾斜面と底面が,緩やかな円弧で結ばれている形状は,本願意匠の出願前に公然知られたものと認められる。
イ.しかし,本願部分の形状のうち,雄ネジにおける切り欠き部の平面形状を,比較的緩やかな角度の傾斜面とし,切り欠き部の全長を比較的長く,その深さを浅いものとした点は,本願の出願前に公然知られた形状とは認められない。
ウ.まとめ
以上のとおりであって,包装用容器の分野において,上記イ.の点につき,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであると認めるに足る証拠はない。

3.本願意匠について
上記2.により,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が公然知られた形状に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえない。

4.結び
したがって,本願意匠は,原審で示した各意匠を基にしては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-06-11 
出願番号 意願2019-1189(D2019-1189) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2020-07-07 
登録番号 意匠登録第1664415号(D1664415) 
代理人 永芳 太郎 
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