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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1364055 
審判番号 不服2019-16647
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-12-09 
確定日 2020-07-06 
意匠に係る物品 電源アダプタ 
事件の表示 意願2018- 25064「電源アダプタ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
第1 事案の概要

1 手続の経緯

本願は、平成30年11月16日(パリ条約による優先権主張2018年5月16日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下の通りである。

平成31年 3月 4日付け:拒絶理由通知
令和 1年 6月11日 :期間延長請求
令和 1年 7月11日 :意見書の提出
令和 1年 9月 3日付け:拒絶査定
令和 1年12月 9日 :審判請求書の提出
令和 2年 1月22日 :手続補正書の提出


2 本願意匠の願書及び添付図面の記載

本願の意匠は、意匠に係る物品を「電源アダプタ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。)(別紙第1参照)。


3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであることから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

拒絶理由通知において引用された意匠は、米国特許商標庁が発行の米国特許商標公報(2010年9月7日発行)10W36R号に記載された、登録番号US D623136Sの破線で表された部分も含めた「電源プラグ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH22317645号)であり、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。


第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比

(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「電源アダプタ」であり、引用意匠は「電源プラグ」であるが、いずれも電子機器を充電するために使用するという用途が共通し、コンセントからプラグを通じて電力を受け取り、必要に応じて電圧を変換し、ポートを通じて電子機器へ伝えるという機能が一致する。

(2)形態の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の形態を対比すると、その形態には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお、両意匠の形態の対比にあたり、本願意匠の図面の記載にならい、引用意匠の米国特許商標公報の「fig.7」を正面図とし、「fig.8」を背面図とし、その他の図はこれに準じて表されているものとする(別紙第2参照)。

ア 形態の共通点
(共通点1)
両意匠は、筐体部が略角丸四角柱形状である点で共通する。

(共通点2)
両意匠は、筐体部の略角丸四角柱形状に一定の厚みの外皮が巻き付けられたように、正面と背面とに区分け線が表される点が共通する。

(共通点3)
両意匠は、正面にプラグが、背面にポートが設けられる点で共通する。


イ 形態の相違点
(相違点1)
本願意匠は、本願意匠の正面の高さを1とした場合に、筐体部の略角丸四角柱形状の高さ、幅、奥行の構成比率が約1:1.5:1.5であるのに対し、引用意匠は、引用意匠の正面の高さを1とした場合に、約1:1.1:1である点で相違する。

(相違点2)
両意匠の筐体部の略角丸四角柱形状の角の丸みについて、本願意匠は正面の高さを1とし、正面の幅を約1.5とした場合に、1つの角丸部が丸みを帯び始めるのは高さの約0.32、幅の約0.24の位置であるが、引用意匠は、正面の高さを1とし、正面の幅を1.1とした場合に、1つの角丸部が丸みを帯び始めるのは高さの約0.23、幅の0.23の位置であるため、両意匠は角の丸みの具体的形状が相違する。

(相違点3)
本願意匠は、背面の高さ、幅の中央にポートが設けられるのに対し、引用意匠においては幅の中央ではあるものの、高さ方向に対してはやや下方の位置にポートが設けられる点で相違する。また、本願意匠のポートの形態は長円形の内部に略長方形が設けられたものであるのに対し、引用意匠のポートの形態は略長方形の内部に長方形が設けられたものである点で相違する。


2 両意匠の類否判断

本願意匠が、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当するか否かについて、以下のように検討し判断する。
なお、本願に係る「電源アダプタ」は電子機器を充電するために使用するものであるから、両意匠の需要者は電子機器を使用する者である。


(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が一致するため、同一である。


(2)形態の共通点の評価
(共通点1)は両意匠の全体の形態に係るものであるが、筐体部が略角丸四角柱形状であるものは、この種物品においてごく普通に見られるものであって、両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから、この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。

(共通点2)は、両意匠の正面、背面、周側面の形態に係るものであり、両意匠は、プラグと全体との構成比率から手のひらにのる程度のサイズであると判断できる。すると、プラグをコンセントへ差し込む際、また、コネクタをポートへ差し込む際に正面と背面の周囲もおのずと目に入ることから、この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度認められる。

(共通点3)は、両意匠の正面と背面の形態に係るものであるが、プラグ、ポート共に規格化された形態であり、両意匠のポートの形態が異なるとしても、両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから、この(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。


(3)形態の相違点の評価
(相違点1)は需要者の注意を強く引く両意匠全体の形態に係るものであって、両意匠の筐体部の略角丸四角柱形状の高さ、幅、奥行の構成比率は大きく異なり、本願意匠はやや扁平な略角丸四角柱形状であり、また、引用意匠は底面が略正方形である角丸四角柱形状であるから、両意匠は筐体部の美感に大きな相違がある。

(相違点2)は両意匠の筐体部の略角丸四角柱形状の角の丸みに係るものであり、本願意匠は変化のある曲率の丸みを有するのに対し、引用意匠は一定の曲率の丸みを有するとの点で相違することから、両意匠の角の丸みの形態の相違が両意匠全体の美感に与える影響は大きいものであるといえる。

(相違点3)はポートの配置位置とポートの形態に係るものであるが、両意匠の背面におけるポートの配置位置はどちらもありふれたものであり、また、両意匠のポートの形態の相違は電子機器に関する規格の相違に基づくものであることから、これらの相違が両意匠全体の美感に与える影響は小さい。


3 小括
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察すると、両意匠の筐体部の略角丸四角柱形状の高さ、幅、奥行の構成比率が大きく異なり、本願意匠はやや扁平な略角丸四角柱形状であるのに対し、引用意匠は底面が略正方形である角丸四角柱形状である点で相違する。また、本願意匠は変化する曲率の丸みを有するのに対し、引用意匠は一定の曲率の丸みを有することから、両意匠は角の丸みが相違する。そうすると、両意匠は略角丸四角柱形状であって、正面と背面とに区分け線が表される点が共通するとしても、意匠全体として観察した際には異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。


第3 むすび

以上のとおり、本願意匠は引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。







審決日 2020-06-15 
出願番号 意願2018-25064(D2018-25064) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり伊藤 宏幸 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
濱本 文子
登録日 2020-07-30 
登録番号 意匠登録第1666210号(D1666210) 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 鈴木 博子 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 山本 泰史 
代理人 松下 満 
代理人 田中 伸一郎 
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