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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1364072 
審判番号 不服2020-1839
総通号数 248 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-10 
確定日 2020-07-14 
意匠に係る物品 包装用容器のキャップ 
事件の表示 意願2019-6933「包装用容器のキャップ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成31年(2019年)3月29日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)9月27日付けの拒絶理由の通知に対し,同年10月24日に意見書が提出されたが,同年11月13日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年2月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器のキャップ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。A-A線断面図及びB-B線断面図を含めて,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

「この意匠登録出願の意匠における意匠登録を受けようとする部分と,引用の意匠の当該部とを比較した場合,両意匠共に包装用容器のキャップ部として物品が共通し,平面視略円形で,多角形に構成されている点が共通しています。また蓋胴部は多角形状に構成されており,また,僅かに抉れて構成されている点についても共通しています。
一方において,出願の意匠は僅かに傾斜が構成されておりますが,極めて僅かなものであることから,意匠としての特徴を異にするほどの違いとは認められず,また,当該物品分野において傾斜が構成されることは当該物品分野において従来認められる形態であり,当該傾斜があること自体について意匠としての新規な特徴と判断することはできません。
したがって,両意匠の違いは共通性を凌駕するほどのものとは判断することができませんので,類似するものと判断します。

特許庁総合情報館が1994年10月12日に受け入れた
VOGUE 1994年 9月30日9号
第403頁所載
包装用容器における蓋部
(特許庁意匠課公知資料番号第HB06033661号)」

第4 当審の判断
1 本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器のキャップ」である。

(2)本願部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)は,略円筒状のキャップにおける,内側面と底端面を除いた外側部分であり,その部分は,包装用容器のキャップにおける外側という位置,大きさ及び範囲であって,包装用容器のキャップにおける外側という用途及び機能を有している。

(3)本願部分の形状
本願部分の形状は,
基本的構成態様は,
ア.上面における横幅と高さの比率を約1:1とする,
イ.下すぼまりとした倒立18角錐台形状(かくすいだいけいじょう)であって,
具体的には,
ウ.上面における外接円の直径は,下面における外接円の直径を約15%大きくしたものであって,
エ.周面を構成している18面は,平面視において,それぞれごく僅かに凹面となっている。

2 引用意匠
引用意匠は,上記「第3」の公知資料の記載の内容によると,以下のとおりである。
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器における蓋部」である。

(2)引用部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能
引用意匠中,本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」ともいう。)は,略円筒状の蓋部における,内側面と底端面を除いた外側部分であり,その部分は,包装用容器における蓋部の外側という位置,大きさ及び範囲であって,包装用容器における蓋部の外側という用途及び機能を有している。

(3)引用部分の形状
引用部分の形状は,
基本的構成態様は,
ア.上面における横幅と高さの比率を約1:1とする,
イ.多角形(16以上の多角形と認められる。)の角柱形状であって,
ウ.具体的には,周面を構成している面は,平面視において,それぞれごく僅かに凹面となっている。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用容器のキャップ」であり,引用意匠に係る物品は「包装用容器における蓋部」である。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の対比
本願部分は,包装用容器のキャップにおける外側という位置,大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,包装用容器における蓋部の外側という位置,大きさ及び範囲である。
そして,本願部分は,包装用容器のキャップにおける外側という用途及び機能を有しているのに対して,引用部分は,包装用容器における蓋部の外側という用途及び機能を有している。

(3)両部分の形状の対比
両部分の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)上面における横幅と高さの比率を約1:1としている点。
(イ)側面を多面としている点。
(ウ)側面を構成している面が,平面視において,それぞれごく僅かに凹面となっている点。

イ.相違点について
(ア)基本的構成態様につき,本願部分は,倒立角錐台形状であるのに対して,引用部分は,多角柱形状である点。
(イ)側面の数につき,本願部分は,18面であるのに対して,引用部分は,16面以上であると認められるが,明確ではない点。

4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は「包装用容器のキャップ」であるところ,「キャップ」とは,広辞苑によると「瓶のふた」という意味があるから,本願意匠は,包装用容器(瓶)の蓋といえる。
一方,引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器における蓋部」である。
そうすると,両意匠共に,包装用容器の蓋と認められるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

(2)両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能の評価
本願部分も,引用部分も,包装用容器のキャップ又は包装用容器における蓋部という共通する物品における外側という位置,大きさ及び範囲であるから,両部分の位置,大きさ及び範囲は共通している。
そして,両部分は,包装用容器のキャップ又は包装用容器における蓋部という共通する物品における,外側部分であるから,両部分の用途及び機能は共通している。
よって,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能は共通していると認められる。

(3)両部分における形状の評価
ア.共通点について
基本的構成態様である共通点(ア)及び(イ)に加えて,具体的形状として共通点(ウ)が合わさることにより,一定程度の共通感を生むものといえるが,これらの態様は,本願の出願前からこの種物品分野においてありふれた形態であり,両部分の形状の類否判断に与える影響は小さい。

イ.相違点について
相違点(ア)は,基本的構成態様であり,本願部分の,上面の直径と下面の直径の差が約15%という僅かなものであるとしても,需要者は,基本的な形状が異なると認識し,別異の印象を得るものであるから,両部分の形状の類否判断に与える影響は大きい。

(4)両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の位置,大きさ及び範囲,並びに用途及び機能が共通している。
しかし,両部分の形状については,その共通点及び相違点の評価に基づくと,上記のとおり,共通点は,類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点は,相違点(イ)を検討するまでもなく,両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
よって,両部分の形状は,類似するとは認められないものであるから,本願意匠と引用意匠とは類似するとはいえない。

5 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似するとはいえず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-06-24 
出願番号 意願2019-6933(D2019-6933) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 成田 陽一 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2020-07-17 
登録番号 意匠登録第1665310号(D1665310) 
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所 
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