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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H6
管理番号 1364995 
審判番号 不服2020-2236
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-19 
確定日 2020-08-04 
意匠に係る物品 通信用中継器 
事件の表示 意願2019- 5686「通信用中継器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
平成31年 3月18日 意匠登録出願
令和 1年 8月 2日付け 拒絶理由通知書
令和 1年 9月19日 意見書提出
令和 1年12月23日付け 拒絶査定
令和 2年 2月19日 審判請求書提出

第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする、2019年(平成31年)3月18日の意匠登録出願(意願2019-5686)であって、その意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「通信用中継器」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであって、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す。」としたものである。(以下「本願意匠」という(別紙第1参照)。また本願の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を以下「本願部分」という。)

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願意匠は、通信用中継器における筐体正面側上縁部の右方寄り出隅部分の形状に関する創作物であり、その構成態様は、緩やかな丸面に形成した出隅部分に複数個の小幅な短冊状表示ランプを横一列に並べたランプ群を筐体表面と面一に配置し、該ランプ群を構成する個々のランプについては、右端から8個目までを等間隔に、8個目と9個目の間を8個目までの2倍強に、9個目と10個目の間を8個目までの2倍程度にそれぞれ間隔を開けて配置し、さらに登録を受けようとする部分については、ランプ群を構成する4個目のランプの右近傍から9個目のランプの左近傍までの複数のランプを含む出隅部分を湾曲する長方形状に区画して成るものと認められます。
しかしながら、前記構成態様については、緩やかな丸面に形成した出隅部分に複数個の小幅な短冊状表示ランプを横一列に並べたランプ群を筐体表面と面一に配置した態様が下記文献(1)に、ランプ群を構成する個々のランプの前記配置構成が下記文献(2)にそれぞれ掲載されており、登録を受けようとする出隅部分をランプ群の一部を含む湾曲する長方形状に区画した点については、意匠の構成要素として特筆すべきものは認められません。
よって、当業者であれば、本願意匠は容易に創作できたものと言わざるを得ません。
(中略)

(1)
中華人民共和国意匠公報 2012年12月 5日12-49号
ルータケース(公開番号CN302219787S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH24009740号)
(2)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2014年 2月10日
受入日 特許庁意匠課受入2014年 2月28日
掲載者 株式会社バッファロー
表題 タイトルなし
掲載ページのアドレス http://buffalo.jp/download/photo/l/lsw5-gt-8np-wh_o1.jpg
に掲載された「データ通信用中継器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25061836号)」

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。
1 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は「通信用中継器」であって、全体形状は略扁平角丸直方体で、本願部分は、正面視で長手方向上辺稜部右側に配置した複数のLED表示ランプ部の左から2つめから7つめまでを含む稜部周辺を全体の約4分の1長さ幅で任意に区画した部分であり、その形態は、
(ア)本体筐体部の稜部の丸みを帯びた表面と、その丸みに沿って面一に湾曲して形成し横1列に配置した略縦長長方形状の略同形同大の6つのLED表示ランプ部から成り、
(イ)LED表示ランプ部の配置は、正面視でLED表示ランプ部の横方向長さ(横幅)を1とすると、LED表示ランプ部の左から1つめと2つめ(全体では2つめから3つめ)の間隔が約8.5倍の長さ幅で、左から右へ、他のLED表示ランプ部の間隔はすべて約3倍の長さ幅であって、約8.5:3:3:3:3の間隔で配置し、
(ウ)正面視及び平面視でそれぞれのLED表示ランプ部の縦横長さ比率は約3:1(長辺長さ(湾曲面長さ):短辺長さは約4:1)で、
(エ)【内部機構を省略したB-B部におけるA-A拡大端面図】に基づけば、稜部丸み部分中央の約3分の2を占めている。
2 引用意匠
以下、本願意匠における図面の正面、平面などの向きを引用意匠にも当てはめることとする。
(1)文献(1)(以下「意匠1」という。)(別紙第2参照)
意匠に係る物品は「ルータケース」であり、2012年12月5日発行の中華人民共和国意匠公報に掲載されたものであって、全体形状は略扁平角丸直方体で、本願部分に対応する部分の形態は、
(ア)正面視で長手方向上辺稜部右側に筐体の稜部の丸みを帯びた表面と、その丸みに沿って面一に湾曲して形成し横1列に配置した略縦長長方形状の略同形同大の5つのLED表示ランプ部から成り、5つのLED表示ランプ部を含む稜部周辺は全体の約3分の1長さ幅で、
(イ)LED表示ランプ部の配置は、等間隔で並び、正面視でLED表示ランプ部の横方向長さ(横幅)を1とすると、正面視で左から右へ各LED表示ランプ部の横方向長さの約4.5倍の長さ幅で、
(ウ)正面視及び平面視で略縦長長方形状のLED表示ランプ部の正面視縦横長さ比率は約5:2、平面視縦横長さ比率は約9:2で(長辺長さ(湾曲面長さ):短辺長さは約13:2)で、
(エ)稜部丸み部分の丸み部分すべてを占め、かつ平面の平坦面に延出して、稜部丸み部分に対する割合は約1と5分の3(約1.6倍)である。
(2)文献(2)(以下「意匠2」という。)(別紙第3参照)
意匠に係る物品は「データ通信用中継器」であり、2014年 2月10日にインターネット上で掲載が確認されたものであって、全体形状は略扁平角丸直方体で、本願部分に対応する部分の形態は、
(ア)正面視で長手方向上辺稜部右側に配置した複数のLED表示ランプ部の本体筐体部の角張った稜部に沿って屈曲して形成し、僅かに窪んで横1列に配置した略同形同大のLED表示ランプ部から成り、(全体では10あるうち)本願部分に対応する2つめから7つめまでのLED表示ランプ部を含む稜部周辺は全体の約4分の1長さ幅で、
(イ)LED表示ランプ部の横方向配置は、正面視でLED表示ランプ部の横方向長さ(横幅)を1とすると、LED表示ランプ部の左から1つめと2つめ(全体では2つめから3つめ)の間隔が約8倍の長さ幅で、左から右へ、他のLED表示ランプ部の間隔(全体では3つめから7つめ)はすべて約3倍の長さ幅であって、約8:3:3:3:3間隔で配置し、
(ウ)正面視及び平面視で略短い縦長長方形状のLED表示ランプ部の正面視での縦横長さ比率は約5:4で平面視縦横長さ比率は不明である。

3 本願部分の創作非容易性について
物品の部分に係る創作非容易性の判断については、当該部分の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置、大きさ及び範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うべきところ、
本願部分の用途及び機能は、「通信用中継器」として、主に中継した機器への接続及び動作状態などを確認するためにランプで表示する機能に係るものと認められ、通信用中継器の物品分野において、ごく普通の用途及び機能であるから、格別の機能及び用途に係るものであるということはできない。
次に、位置、大きさ及び範囲について検討すると、その、位置及び大きさ及び範囲については、本願部分は全体形状の正面視で長手方向上辺稜部右側の位置で、(ケーブル差し込み口などから)卓上に設置しても用いられる程度の大きさで、正面視で複数のLED表示ランプ部の左から2つめから7つめまでを含む稜部周辺を全体の約4分の1長さ幅で任意に区画した範囲であって、その全体の中の位置及び大きさについては、通信用中継器の物品分野において、ごく普通に見受けられる程度のものであって、範囲についてもLED表示ランプ部を含む稜部周辺を全体の約4分の1長さ幅で任意に区画した範囲である点は、引用意匠(意匠2)(本願部分に対応する2つめから7つめまでのLED表示ランプ部を含む全体の約4分の1長さ幅の稜部周辺部分)にも見受けられるものであって、格別のものとはいえない。
そして、本願部分の形態については、上記1の(ア)の本体筐体部の稜部の丸みを帯びた表面とその丸みに沿って面一に湾曲して形成した略縦長長方形状のLED表示ランプ部を横1列に配置した点は、「通信用中継器」の物品分野で例示するまでもなく、よく見受けられる形態であって、略同形同大の(範囲内に)6つのLED表示ランプ部を設ける点も引用意匠(意匠2)には見受けられ、上記1の(イ)のLED表示ランプ部の横方向配置についても、正面視でLED表示ランプ部の横方向長さ(横幅)を1とすると、各LED表示ランプ部の1つめから2つめの間隔が約8.5倍の長さ幅で他の間隔はすべて約3倍の3長さ幅で、約8.5:3:3:3:3の間隔で配置した態様は意匠1及び意匠2には見受けられないが、ごく近似値の約8:3:3:3:3の間隔で配置した態様は意匠2に認められるから、意匠2に基づいて、本願部分のLED表示ランプ部の横方向の配置態様とすることが当業者にとって格別の困難を要したとはいえず、これらの点について格別の創意を施したということはできない。
しかしながら、上記1の(ウ)及び(エ)の形態については、本願出願前に公然知られた形態である意匠1及び意匠2のいずれにも表されておらず、LED表示ランプ部の稜部への縦方向の具体的配置については創作の余地が存在するというべきところ、特に、上記1の(エ)のLED表示ランプ部を稜部丸み部分中央、約3分の2を占めている形態とすることが「通信用中継器」の物品分野において本願意匠出願前にありふれた手法であるとはいい難く、本願部分の独自の特徴を形成しているといえる。

4 小括
よって、本願部分の用途、機能とすること、また、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置,大きさとすることが、ごく普通に見受けられる程度のものであり、範囲についても格別の創作ということはできないものであり、いずれも当業者が公然知られた意匠に基づいて容易に想到することができたとしても、形態について、上記1の(ウ)及び(エ)の形態とすることが、「通信用中継器」の物品分野において本願意匠出願前にありふれた手法であるとはいい難く、当業者が容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲



審決日 2020-07-20 
出願番号 意願2019-5686(D2019-5686) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
濱本 文子
登録日 2020-08-11 
登録番号 意匠登録第1666956号(D1666956) 
代理人 鈴木 行大 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 
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