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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1365004 
審判番号 不服2020-1884
総通号数 249 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-09-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-12 
確定日 2020-08-28 
意匠に係る物品 表示灯 
事件の表示 意願2019- 5615「表示灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成31年(2019年)3月15日の意匠登録出願であって、令和元年(2019年)8月8日付けの拒絶理由の通知に対し、同年9月30日に意見書が提出されたが、同年12月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和2年2月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。


第2 本願意匠
本願の意匠は、意匠に係る物品を「表示灯」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(以下「本願意匠」という。別紙第1参照)。


第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

「特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1465383号
(意匠に係る物品、表示灯)の意匠

この意匠登録出願の意匠と上記引用意匠を全体として比較すると、主に、給電ユニット部の、背面端子挿入孔の有無、側面視上部の凹みの有無、下方の部材の切替えの有無等に差異は認められますが、一方両意匠は、意匠の要部と認められる発光部や、側面視略コの字状の給電ユニット部等、意匠の大部分を占める特徴的な構成態様が共通し、その共通点は非常に顕著です。
したがって、両意匠は類似するものと認められます。」


第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「表示灯」であり一致する。

2 形態の対比
両意匠を対比すると、その形態には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。なお、本審決において、本願意匠の図の向きを引用意匠の図の向きに揃えて、以下、認定する。

(1)形態の共通点
(共通点1)両意匠は、全体の基本構成が、正面側から順に、(ア)略ドーム状の表示灯部の基部に、表示灯部の外周に近接して、段差を設けた略ドーナツ状の基台を設け、その背面側に、(イ)基台とほぼ同心同径の略ドーナツ状の締め付けリング部を設けた略細径短円柱状のパネル取り付け部を設け、後端に(ウ)前後に扁平な略縦長直方体状の給電ユニット部を取り付けたものであって、該給電ユニット部は、(ア)の略円盤状基台と横幅をほぼ同幅とし、高さは約1.5倍程度として下方に延設してなる点が共通し、(エ)全体の構成比率もほぼ一致している点、
(共通点2)両意匠は、上記(ア)の表示灯部については、略ドーム状部及び基台部の具体的な曲率及び構成比率が共通し、
(共通点3)両意匠は、上記(イ)の略ドーナツ状の締め付けリングについては、略コ字状の切り欠き部を等間隔に複数個設けている点、及び、
(共通点4)両意匠は、上記(ウ)の給電ユニット部については、背面を略平坦面とし、正面側下部には、下から全体の約1/3を占める範囲を正面側に略横長直方体状にやや突出して設け(以下「下方突出部」という。)、下方突出部に4つの端子挿入孔を形成し、両側面中央(下方突出部の上側)には、略倒台形状の凹陥部を設けた点が共通するものである。

(2)形態の相違点
(相違点1)上記(1)(共通点1)の(イ)の略ドーナツ状締め付けリング部に設けた略コ字状の切り欠き部の具体的な配設態様について、本願意匠が、表示部側と給電ユニット部側との両方向から切り欠きを設けているのに対し、引用意匠は、給電ユニット部側からのみに切り欠きを設けている点、
(相違点2)上記同(ウ)のうち、給電ユニット部の上面形態について、本願意匠が、上面に左右全幅にわたって凹条溝を形成しているのに対し、引用意匠は、上面に、平面視略横長台形状の凹陥部を形成している点、
(相違点3)上記同(ウ)のうち、給電ユニット部下方に配設した端子挿入孔について、本願意匠は、(a)具体的態様を、略隅丸小矩形状孔を2つずつ連接したものを、左右一対に配設してなるものであって、それぞれの孔の直上部には、端子の固定解除用小矩形状孔をひとつずつ設けているものを、(b)背面側下方に配置しているのに対し、引用意匠は、(a)具体的態様を、内部を視認可能とする程度のやや大きめの略短トラック形状としたものを、それぞれ前後方向に長径となるよう、(b)左右両側面下方と底面左右寄りに一つずつ配置している点で相違するものである。


第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、同一である。

2 形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、「表示灯」であり、受配電盤や制御盤等の電気設備に用いて、通電状態や設備内の機器の動作状態を示し、異常発生時に設備管理者へ知らせるなど、事故防止や設備の保守のための機能を有するものであるから、需要者は、主に、取引業者及び取付け業者であって、これに、設備管理者が加わるものといえる。
そうすると、この種物品分野における需要者は、表示灯部におけるレンズ面の発光態様だけでなく、受配電盤や制御盤内における設置態様や安全性の観点から配線態様について関心を持って観察するものといえるため、以下、当該前提に基づいて、両意匠の形態の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響について評価を行う。

(1)形態の共通点
(共通点1)については、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点であるが、特に、給電ユニットを扁平な略直方体状に形成することや、(共通点4)に見られるように、給電ユニットに下方突出部を設ける態様は、両意匠に共通する特徴であって、引用意匠の出願以前にそのような意匠が見受けられなかったことを勘案すれば、これらの共通点が、両意匠の美感に一定程度の影響を与えるものといえる。
(共通点2)及び(共通点3)については、この種物品分野において、両意匠にのみ見受けられる態様ではないから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

(2)形態の相違点
(相違点1)については、本願意匠の態様も、引用意匠の態様も、どちらもこの出願以前から公然知られる態様であって、需要者が当該点にのみ特段の注意を払って観察するものとはいえないことから、当該点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。
(相違点2)については、当該箇所が需要者の目に付きやすい部位であって、本願意匠の態様が他に例を見ない独自の態様であるのに対し、引用意匠の態様はありふれた態様であることから、本願意匠の態様は需要者の注意を引く箇所であり、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものといえる。
(相違点3)については、両意匠は、下方突出部に4箇所の端子挿入孔を設ける点では共通しているといえるものの、
(a)端子挿入孔の具体的態様について、本願意匠が、需要者が一瞥して配線の固着及び取り外しの容易さ、すなわち、配線を差し込んで先端の端子を押圧接続し、直上の固定解除用小矩形状孔を押下することにより取り外し可能となる態様であるのに対し、引用意匠は、需要者が、配線先端の端子を、工具を用いて固定圧着(ネジ止め)するために、配線の固着及び取り外しに一定の手間を要する態様であって、本願意匠の形状は、引用意匠に比して、取り付けの際の操作性向上の観点から、需要者の注意を引く箇所であるから、当該相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく、
(b)端子挿入孔の配置についても、本願意匠が、背面側から後方に向けて4本の配線が平行に配設されるよう配置しているのに対し、引用意匠は、給電ユニットの下部左右両側面及び底面側からタコ足のように配線される配置としているところ、この種物品分野の需要者は、使用状態における取り付け態様を念頭に置いて、端子挿入孔の配置を観察するものといえるから、当該相違点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
そうすると、(相違点3)は、この種物品分野の需要者が、注意を持って観察する設置及びメンテナンスの際の配線の接続態様に強く影響する箇所に係るものであるといえるところ、本願意匠の態様は、意匠に係る物品の操作性向上に寄与するものであって、本願意匠の特徴として大きく評価できるものと認められるから、需要者に、引用意匠とは異なる美感を与えるものであり、当該点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、両意匠は、上記2の前文のとおり、表示灯部におけるレンズ面の発光態様だけでなく、受配電盤や制御盤内における設置態様や安全性の観点から配線態様について関心を持って観察するものといえるところ、両意匠は、上記2(1)(共通点1)及び(共通点4)に係る全体の基本構成に一定程度の共通性があるとしても、上記2(2)(相違点2)及び(相違点3)のとおり、給電ユニット部の具体的形状である、上面の凹陥態様及び端子挿入孔の(a)具体的態様と(b)配置に大きな差異があり、これらは需要者が注意を持って観察する箇所であるといえるから、意匠全体として需要者に異なる美感を与えるものである。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。


第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-08-12 
出願番号 意願2019-5615(D2019-5615) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 木村 恭子
小柳 崇
登録日 2020-09-02 
登録番号 意匠登録第1668592号(D1668592) 
代理人 桶野 育司 
代理人 桶野 清香 
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