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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1366124 
審判番号 不服2020-969
総通号数 250 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-24 
確定日 2020-09-15 
意匠に係る物品 自動車用リヤコンビネーションランプ 
事件の表示 意願2018- 26922「自動車用リヤコンビネーションランプ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)11月21日付けの意匠登録出願であって,令和1年6月26日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月31日に意見書が提出されたが,同年10月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年1月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願意匠は,意匠に係る物品を「自動車用リヤコンビネーションランプ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成26年(2014年)3月3日)に記載された,意匠登録第1491431号(意匠に係る物品,自動車用リヤコンビネーションランプ)の意匠であって,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたものである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。

第2 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも「自動車用リヤコンビネーションランプ」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)形態の対比
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品である「自動車用リヤコンビネーションランプ」の分野では,車体後方左側に取り付けられるランプと車体後方右側に取り付けられるランプは,左右対称形であって,この意匠の実施にあたり左側のランプと右側のランプは実質同一のものであると認められるから,両意匠の対比にあたっては,車体後部左側に取り付けられるものである本願意匠と,車体後部右側に取り付けられるものである引用意匠の形態の左右対称形のもの(当審において作成した,引用意匠の各図を左右対称形とした図面,別紙第3参照)同士を対比することとする。
本願意匠の形態と引用意匠の形態の左右対称形のものを対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。

ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体の形態を,車体取り付け後に観察可能な車体表面に表れるリヤコンビネーションランプの本体部分(以下「ランプ本体部」という。)と,その本体部の背面側に形成され,車体取り付け後に埋設されて観察できないリヤコンビネーションランプの取り付け部分(以下「ランプ取付部」という。)からなり,これらを左右略中央部分で2つに分割した構成としている点で共通する。
(共通点2)両意匠は,ランプ本体部の形態を,正面視を略倒直角台形状とし,平面視を中央部から左側が後方に向かって僅かに湾曲した形状としたランプ本体部右側部分と,正面視を下辺左側部分が僅かに拡がる略長方形状とし,平面視を逆J字状に湾曲した形状とし,左側面視を左側端部が尖った略剣先状とし,その略中央部分に略穂先状の凸状部を横向きに形成したランプ本体部左側部分を組み合わせ,その表面部分の断面視の形状を略((丸括弧)状に湾曲して形成している点で共通する。
(共通点3)両意匠は,ランプ取付部の左側部分の形態を,平面視略倒直角三角形状とし,その右辺下方部分からランプ取付部の右側部分後方に突出するように,上下2箇所に略中空円錐台状の突出部を設けた僅かに湾曲した板状体を,斜めになるようにして一体的に形成している点で共通する。

イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠のランプ本体部右側の表面部分に表れる形態が,正面視において,上から,細かい点状の模様が施された扁平な略倒直角台形状の帯状の部分,略横長台形状の枠内に水平な5条の筋模様が表れ,その右側に略平行四辺形状の模様が漸次大きくなるように連続して5つ表れる扁平な略横長矩形状の部分,左端に略台形状の模様が1つ表れ,その右側に略平行四辺形状の模様が連続して7つ表れる扁平な略横長台形状の部分,前方に僅かに突出した扁平な略横長台形状の部分,前方に僅かに突出した右側端部が尖った略剣先状の部分を形成したものであるのに対し,引用意匠のランプ本体部右側の表面部分に表れる形態が,正面視において,上辺部分に表れる扁平な略倒直角台形状の帯状の部分,中央左側部分に表れるその内側の右側端部付近に略円形状の部分が1つ表れる略直角台形状の枠体状の部分,この枠体状の部分の右辺及び下辺部分を囲むように表れる内側にある鈍角にひらいた略鉤状の略垂直面部分,及びこの外側にある一段奥まった短い略鈎状の略垂直面部分と最も外側にある鈍角にひらいた略鉤状の略垂直面部分を略階段状になるようにして形成したものである点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠のランプ本体部左側の表面部分に表れる形態が,正面視において,上から,上辺部分に表れる細かい点状の模様が施された扁平な略台形状の帯状の部分,略小台形状の枠内に水平な5条の筋模様が表れ,その左側に略平行四辺形状の模様が表れる扁平な略横長台形状の部分,右端に略台形状の模様が1つ表れ,その左側に略平行四辺形状の模様が表れる略横長台形状の部分,この上下の略横長台形状の左辺及び下辺部分を囲むように表れる前方に僅かに突出した大小2つの鋭角な略L字状の部分を形成したものであるのに対し,引用意匠のランプ本体部左側の表面部分に表れる形態が,正面視において,細幅で略逆コの字状の枠体状の部分,その内側に表れる,中央部分に略円形状の部分が1つ表れる略直角台形状の枠体状の部分及びその下方に表れる左端部が下方に湾曲した帯状の略垂直面部分及びこの外側にある一段奥まった左端部が下方に湾曲した帯状の略垂直面部分と,最も下側にある左端部が下方に湾曲した帯状の略垂直面部分を略階段状になるようにして形成したものである点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠のランプ取付部の右側部分の形態が,平面視幅広な略披針形状に形成しているのに対し,引用意匠のランプ取付部の右側部分の形態が,平面視略直角三角形状に形成している点で,両意匠は相違する。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。

(2)形態の類否についての判断
本願意匠の意匠に係る物品である「自動車用リヤコンビネーションランプ」は,自動車の車体の所定の位置にランプ取付部を埋設して取り付けられるものであり,その埋設部分であるランプ取付部の具体的な形態は,搭載されるランプの技術的な要請等によりその大きさや形状が決定され,その使用時には全く目に見えない部位に係るものであるから,この物品の購入者である需要者にとってみれば,特段注意を惹く部分であるとはいえない。
一方,自動車の車体表面に表れるランプ本体部の表面部分に表れる形態は,需要者がこの物品を購入する際に,特に注視する部分であるから,本願意匠と引用意匠の類否判断に際しては,需要者は,主としてランプ本体部の表面部分に表れる具体的な形態について強い関心を持って観察するとの前提に基づいて,両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。

ア 共通点の評価
(共通点1)は全体の形態に係るものであるが,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,この(共通点1)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点2)のランプ本体部の形態は,その表面部分の形状を除き,車体の取付け部分の形状に合わせてその形態が決定されるものであるから,両意匠のほぼ一致する形態が需要者の注意を強く惹くものとはいえず,また,その表面部分の断面視の形状も,特段特徴の認められない略(状に湾曲したものにすぎないから,この(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点3)のランプ取付部の左側部分の形態は,需要者が特段注意を惹く部分ではないランプ取付部の形態に係るものであるから,この(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。

イ 相違点の評価
(相違点1)のランプ本体部右側の表面部分に表れる形態,及び(相違点2)のランプ本体部左側の表面部分に表れる形態の相違については,需要者が購入時に強い関心を持って観察するランプ本体部の表面部分に表れる形態に係るものであって,本願意匠が,略平行四辺形状の3つの帯状の部分を左下から囲むように大小2つの鋭角な略L字状の部分を配したものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,その内側に略円形状部分を1つ配した略直角台形状の枠状の部分と,その内側に略円形状部分を1つ配した略倒直角台形状の枠状の部分を左右略中央部分の分割部分を挟んで並設したものを右下から囲むように鈍角にひらいた大小3つの略鉤状の部分を配したものであるとの印象を与えるものであるから,両意匠はランプ本体部右側及び左側の表面部分に表れる形態に係る美感に大きな相違がある。
(相違点3)は,需要者が特段注意を惹く部分ではないランプ取付部の形態に係るものであるから,この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。

ウ 形態の類否判断
両意匠の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が使用時に強い関心を持って観察するランプ本体部右側及び左側の表面部分に表れる形態の美感が大きく異なるものであるから,両意匠の全体の構成態様やランプ本体部の形態及びランプ取付部の左側部分の形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両意匠の形態は類似しないものである。

3 小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,その形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。

第3 むすび

上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-08-26 
出願番号 意願2018-26922(D2018-26922) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 竹下 寛 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 渡邉 久美
江塚 尚弘
登録日 2020-09-25 
登録番号 意匠登録第1670060号(D1670060) 
代理人 松浦 喜多男 
代理人 山本 優 
代理人 岩田 康利 
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