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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4 |
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管理番号 | 1367012 |
審判番号 | 不服2017-3212 |
総通号数 | 251 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2020-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-03-03 |
確定日 | 2017-09-11 |
意匠に係る物品 | 歯間清掃具 |
事件の表示 | 意願2015-25701「歯間清掃具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)11月17日付けの意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「歯間清掃具」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「赤色で着色された部分以外の部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたもの(以下,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)である(別紙第1参照)。 2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠は,特許庁から発行された意匠公報に記載の意匠登録第1413054号の意匠(「意匠に係る物品,歯間清掃具」。以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)の清掃部(ブラシ部)(以下,「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」という。)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものある(別紙第2参照)。 3.当審の判断 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,意匠に係る物品については,両意匠ともに「歯間清掃具」であるから,一致している。 (2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲 両部分はともに,本体とブラシ部から成る歯間清掃具のブラシ部及び本体先端部(ブラシ部付け根部)であるから,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は一致する。 (3)形態について 両部分の形態を対比すると,その形態には,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。 (3-1)共通点 本体に対してブラシ部を約120度の角度を付けて,全体で略「へ」の字状にした歯間清掃具における本体先端部とブラシ部であって,ブラシ部は,針状小突起によって細長い略円錐形状(りゃくえんすいけいじょう)に表れるブラシ状であり,本体先端部は,正面視で略扇形状の略平板である点で共通している。 (3-2)相違点 それに対して,(a)本体先端部の正面視形状につき,本願部分は,横長長円の左上4分の1に当たるゆがんだ扇形状であって,その右上に,台形の突起部を設けているのに対して,引用部分は,正円形の左上4分の1に当たる扇形状である点,(b)本体先端部の左側面部の厚さにつき,本願部分は,突起部の厚さをブラシ部の軸芯の太さとほぼ同じにし,その突起部下端から下に向かって,軸芯の太さの2倍に厚さが増しているのに対して,引用部分は,軸芯の太さとほぼ同じ厚さで一定である点,(c)本体先端部の表面形状につき,本願部分は,本体先端部下辺の中央から,突起部左下角にかけて谷線(審判請求書でいう「線B」),本体先端部下辺の中央から,突起部下辺やや右寄りにかけて山線(審判請求書でいう「線C」)が表れる様に面構成しており,かつ,突起部中央右寄りには,線Cが折れ曲がって延長して,軸芯中央に向かって山線を設けているのに対して,引用部分は,山や谷線が表れない平たんな面である点,で相違する。 (4)類否判断 両部分の形態を検討すると,略扇形の本体先端部に,全体が略「へ」の字状になるよう角度を付けて細長い円錐形状のブラシ部を設けているという共通点で,一見共通感が生じてはいるが,この種物品の需要者は,ブラシ部については,針状小突起が植えられていて,全体で細長い円錐形状を成している,程度に認識し,また,ブラシ部を「へ」の字状になるよう角度を付けることは,両意匠のみの特徴とはいえないから,これらの共通点が,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすということはできない。 これに対して,相違点(a)及び(b)により,本願部分には,引用部分には無い突起部が明確に観察され,かつ,本体左側の厚さの差が目立ち,両意匠の類否判断に与える影響が大きいものといえる。 そして,相違点(c)は,その折れ角度が小さいとしても,立体的な本願部分と,平滑な引用部分の,両部分の対比となると,類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。 以上の共通点及び相違点を総合して判断すると,相違点は,共通点を越えて,異なった印象を両部分に与えるものであるから,需要者に両部分の形態は別異であると認識させるものといえる。 したがって,両意匠の意匠に係る物品は一致し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲が一致しているが,両部分の形態は類似しないから,両意匠は類似しているとはいえない。 4.結び 以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-08-28 |
出願番号 | 意願2015-25701(D2015-25701) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(C4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 桐野 あい、伊藤 宏幸 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2017-10-27 |
登録番号 | 意匠登録第1591093号(D1591093) |
代理人 | 青木 博通 |
代理人 | 柳生 征男 |
代理人 | 中田 和博 |
代理人 | 片山 礼介 |