• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F5
管理番号 1367023 
審判番号 不服2020-1897
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-12 
確定日 2020-10-15 
意匠に係る物品 広告具 
事件の表示 意願2019- 316「広告具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、意匠法第14条第1項の規定により、秘密にすることを請求する期間を3年とした平成31年(2019年)1月10日(パリ条約による優先権主張2018年7月10日、アメリカ合衆国)の意匠登録出願であって、同年4月12日に秘密意匠期間変更請求書の提出により、秘密にする期間を0年に変更した後、令和元年(2019年)5月29日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月3日に意見書が提出されたが、同年10月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対して令和2年2月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「広告具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」とするものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願意匠は、長方形平板形状を基本とし、縁は広告面側にやや突出させ、広告面を中央が幅広の3分割とし、中央には何らかの広告表示の類が記載されている広告具の、中央の広告表示の類以外を意匠登録を受けようとする部分としたものですが、長方形平板形状を基本とし広告面を中央が幅広の3分割とし、中央には何らかの広告表示の類が記載されている態様は例えば意匠1に、縁が広告面側にやや突出した態様は例えば意匠2のように本願出願前より見られるものです。
そうすると、本願の意匠は本願意匠が属する物品分野の通常の知識を有する者が、本願出願前に見られる意匠に基づいて容易に創作できたものと言わざるを得ません。

意匠1 (当審注:別紙第2)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2013年5月31日に受け入れた
LED SIGN SERIES
第38頁所載
表示パネルの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC25009997号)

意匠2 (当審注:別紙第3)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2011年3月7日に受け入れた
moebel interior design
第11頁所載
広告表示具の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB23000547号)」


第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「広告具」である。

(2)本願部分の用途及び機能、並びに、位置、大きさ及び範囲
本願部分は、広告具のうち、広告物を表示する用途及び機能を有する表示面及びその枠体であって、正背面中央に破線で表した広告物を「その他の部分」とし、残余の部分について意匠登録を受けようとしたものである。

(3)本願部分の形態
本願意匠の形態は、以下のとおりである。
ア 全体について
全体は、縦横比を約1:2.9とする前後に扁平な隅丸横長直方体状のパネル体の周囲に枠体を配設したものであって、立設してなる形態であり、
イ 表示面について
表示面は、パネル体の正背両面であって、正背面側それぞれ横並びに3分割してなるものであり、正背面において左右両端よりそれぞれ約1/4の位置に分割線を形成してなるものであり、左右両区画を無模様とするものであって、パネル体の四隅は、パネル体短辺の約1/38の半径による略1/4円弧状の隅丸に形成してなるものであり、
ウ 枠体について
斜視図によれば、枠体は、パネル体の厚みよりも僅かに幅広の帯状板体からなるものであって、パネル体全体を囲繞(いじょう)してなるものであり、上面視において枠体の正背面側周縁部は、略円弧状に面取りを施してなるものである。また、枠体は、パネル体よりも僅かに突出して配設しており、枠体の幅は、パネル体短辺の約1/9、パネル体長辺の約1/22とするものである。

2 引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された、意匠1及び意匠2の意匠に係る物品及び形態は、概要以下のとおりである。

(1)意匠1
意匠1の意匠に係る物品は、「表示パネル」である。また、意匠1の形態は以下のとおりである。
ア 全体について
全体は、縦横比を約1:2.8とする横長長方形状のパネル体の上下に枠体を配設したものであって、路面あるいは床面に敷設してなる形態であり、
イ 表示面について
表示面は、パネル体の上面のみに表れており、横並びに3分割してなるものであり、上面左右両端より約1/4の位置で区画がなされており、中央区画、左右両区画にも、それぞれ模様及び文字状模様を表示しているものであって、
ウ 枠体について
枠体は、全体が側面視等脚台形状となるよう、パネル体の両長辺部全幅に傾斜面を設けてなるものであり、その大きさの比率は、パネル体短辺の幅の約1/25の幅を有するものであり、その厚みは、パネル体短辺の約1/27、パネル体長辺の約1/75とするものである。

(2)意匠2
意匠2の意匠に係る物品は、「広告表示具」である。また、意匠2の形態は以下のとおりである。
ア 全体について
全体は、やや横長の略隅丸矩形状のパネル体の周囲に枠体を配設したものであって、立設してなる形態であり、
イ 表示面について
表示面は、パネル体の正面側に設けてあり、表示面には区画は設けておらず、パネル体の四隅には、パネル体短辺の約1/11の半径による略1/4円弧状の隅丸に形成してなるものであり、配架物及び模様を表示しているものであって、
ウ 枠体について
枠体は、パネル体全体を帯状体によって囲繞してなるものであり、帯状体は、パネル体の奥行きよりも幅広の板状とするものであって、帯状体の正背面側周縁部には特段の面取りは施されていない。また、枠体は、パネル体よりも正面側に大きく突出してなるものであり、その奥行きは、パネル体短辺の約1/7、パネル体長辺の約1/6とするものである。

3 本願意匠の創作非容易性について
意匠法第3条第2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形態に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置、その大きさ、その範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うものである。
そして、「広告具」の物品分野において、表示部を矩形のパネル体とする形態は、意匠1及び意匠2に見られるように、本願出願前より公然知られており、表示部の縦横比についても同様に本願出願前より様々な大きさや比率のものが見受けられるものであり、広告具を、前記1(3)アの縦横比とすることは意匠1のとおりであるし、パネル体を枠体で囲繞することも、立設した形態とすることも意匠2に見られるとおりである。
しかしながら、前記1(3)イ及びウの具体的態様である形態的特徴、すなわち、表示面をパネル体の正背両面に配設したものであることをはじめとし、パネル体の四隅にパネル体短辺の約1/38といった小円弧状の隅丸に形成してなること、枠体はパネル体の厚みよりも僅かに幅広とする帯状体であって、枠体の正背面側周縁部は略円弧状に面取りを施してなるものであること、枠体はパネル体よりも僅かに突出して配設したこと、及び、枠体の幅はパネル体短辺の約1/9、パネル体長辺の約1/22であること等からなる形態的特徴は、意匠1及び意匠2のいずれにも表れていないだけでなく、意匠1及び意匠2に表れるどの構成要素をとっても、ほとんどそのまま、又は当該分野においてよく見られる改変を加えた程度で、当該分野においてありふれた手法である単なる組合せ、若しくは、構成要素の全部又は一部の単なる置換えなどを行ったとしても、本願意匠の形態を導き出すことはできない。
そうすると、前記形態的特徴が相俟ってなる本願意匠は、ありふれた手法を用いて僅かに改変した程度のものとはいえないから、本願意匠は、当業者が公然知られた形状に基づいて容易に創作することができたものではない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内において公然知られた形状の結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当しないので、原査定の拒絶の理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-09-29 
出願番号 意願2019-316(D2019-316) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 石坂 陽子 
特許庁審判長 内藤 弘樹
特許庁審判官 江塚 尚弘
木村 恭子
登録日 2020-10-23 
登録番号 意匠登録第1672358号(D1672358) 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 鈴木 博子 
代理人 松下 満 
代理人 須田 洋之 
代理人 山本 泰史 
代理人 田中 伸一郎 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ