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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H2
管理番号 1367031 
審判番号 不服2020-4702
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-04-07 
確定日 2020-10-13 
意匠に係る物品 パワーコンディショナ 
事件の表示 意願2019- 10760「パワーコンディショナ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 事案の概要

1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)2月27日の特願2018-033697(以下「原特許出願1」という。)を分割した令和1年(2019年)5月17日の特願2019-093779(以下「原特許出願2」という。)を原出願として,意匠法第13条第1項の規定によって原特許出願2を意匠登録出願に変更した,同年5月17日の意匠登録出願であって,その後の手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年 6月28日 :早期審査に関する事情説明書の提出
令和1年 7月 1日付け:早期審査の対象とする旨の早期審査に関する報告書の通知
令和1年 7月23日付け:拒絶理由の通知
令和1年 9月 9日 :意見書の提出
令和1年12月26日付け:拒絶査定
令和2年 4月 7日 :審判請求書の提出

2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって,その意匠は,意匠に係る物品を「パワーコンディショナ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。),部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の意匠であって,その形態を,以下のホームページに記載されたとおりとしたものである(以下「引用意匠」という。)。

「引用意匠(当審注:別紙第2参照)
電気通信回線の種類 インターネット
公知日 2019年03月26日
掲載者 オムロン株式会社
表題 小型・軽量・高効率で住宅にも産業用にも対応 太陽光発電システム用パワーコンディショナ『KPW-Aシリーズ』の発売について
掲載ページのアドレス https://www.omron.co.jp/press/2019/03/c0326.html
に掲載された『パワーコンディショナ』(製品番号KPW-A)の意匠
(上記記事については,本願出願前におけるインターネット掲載が,特許庁意匠課公知資料番号HJ31004137(公知日2019年4月27日)としても確認されています。)
(判断理由)
本願意匠は,意匠登録を受けようとする部分を,左側面側の一帯を除く,正面カバーの周縁部及びその後方(背面側)に接続された筐体周側面(ただし,スリット部及び配線孔部等を除く。)としたものであり,同部の形状は,上記引用意匠における相当部分の形状と顕著に共通するものと認められます。
なお,この意匠登録出願は,原出願を特願2019-093779(出願日:2019年5月17日)とする意匠法第13条第1項の規定による変更出願であり,その特願2019-093779は,特願2018-033697(出願日:2018年2月27日)を原出願とする分割出願ですが,本願意匠は,以下の理由により,元の特許出願の最初の明細書及び図面に表された意匠と同一とは認められませんので,本願については,特願2018-033697の出願日(2018年2月27日)ではなく,現実の意匠登録出願日である2019年5月17日をもって,上記判断を行っています。
上記両特許出願は,いずれも発明の名称を『パワーコンディショナ』とするものですが,その明細書及び図面の記載を総合して判断すると,両特許出願中に開示されたものは,パワーコンディショナ本体(10)及び下側筐体(20)の組合せによって構成される『パワーコンディショナ』に係る創作物であり,本願の願書及び図面に記載された『パワーコンディショナ』(下側筐体を伴わないもの)とは,その全体形状が異なります。また,本願は,『パワーコンディショナ』(下側筐体を伴わないもの)の形状中,適宜の部分を『意匠登録を受けようとする部分以外の部分』として破線により表したものですが,上記両特許出願における明細書及び図面の記載内容との関係において,本願意匠における当該破線記載部分の選択には何らの具体的合理性も認められません。」

第2 当審の判断

本願は,原審において,本願意匠が意匠法第3条第1項3号に規定された意匠に該当するものであるとして,拒絶の査定がなされたものであるが,この原審の判断は,本願が原特許出願1の出願の日(平成30年(2018年)2月27日)にしたものとみなすことができないことを前提としたものである。
したがって,当審においては,本願が原特許出願1の出願の日にしたものとみなすことができるか否かについて,まず検討する。

1 本願が原特許出願1の出願の日にしたものとみなすことができるか否かについて
(1)本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は,太陽光発電システム等に用いられる「パワーコンディショナ」であり,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,略直方体形状の背面側筐体部分と,それより一回り大きな略直方体形状の正面側筐体部分を,段差部を一段設けて一体的に形成した構成の筐体部分と,その前面部分に配設した正面カバーからなるパワーコンディショナにおける,正面カバーの上下角部を含む左側面部分,正面カバーの膨出した前面パネル部分,正面カバー上辺部から背面側に突出した部分,正面側筐体部分の上下角部を含む左側面部分,正面側筐体部分の右側面部分及び底面部分の板体表面に表れる破線の部分,背面側筐体部分の上下角部を含む左側面部分,背面側筐体部分の平面,底面,右側面及び背面部分の板体表面に表れる破線の部分を除いた部分である(以下「本願部分」という。)。

(2)本願が原特許出願2から適法に出願変更されたものであるか否か
本願が,意匠登録出願に出願変更された令和1年5月17日時点においては,原特許出願2(特願2019-093779)は,特許庁に係属中であり,また,本願の意匠登録出願人も原特許出願2の特許出願人も,ともにオムロン株式会社であって一致するのであるから,本願が,原特許出願2から適法に出願変更されたものであるというためには,本願意匠と同一のものが,原特許出願2の明細書及び図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていることがいえればよい。

まず,原特許出願2の明細書によれば,太陽光発電システムに用いられるパワーコンディショナに関する発明であって,明細書の【0015】及び【0016】並びに【0031】ないし【0036】において,パワーコンディショナ本体(本願意匠の意匠に係る物品「パワーコンディショナ」に相当)の形態についての記載がなされており,本発明がパワーコンディショナ本体及び下側筐体の組合せによって構成されるパワーコンディショナに係るもののみではなく,パワーコンディショナ本体(本願意匠の意匠に係る物品「パワーコンディショナ」に相当)の形態についても創作された発明であると認めることができる。
次に,例えば,【0034】の「・・・本体11の幅を狭くすることができる。」といった記載は,パワーコンディショナ本体(本願意匠の意匠に係る物品「パワーコンディショナ」に相当)の筐体部分の形態の記載であるが,破線で表された開口部等の形態について言及がなく,パワーコンディショナ本体(本願意匠の意匠に係る物品「パワーコンディショナ」に相当)の破線で表された部分を除く形態についての記載であるとして認めることができ,また,正面カバーの膨出した前面パネル部分や背面側筐体部分の背面部分等の破線で表された部分の形態も明細書で特に言及のないところであるから,特許出願から意匠出願に出願変更する際に,破線で表された部分を除く実線で表された部分を,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であるとして意匠登録出願をすることに一定の合理性があると認められ,これを否定する理由はない。
さらに,原特許出願2の図面を見てみると,本願意匠の正面図,平面図,右側面図に表された形態が,それぞれ原特許出願2の図2ないし図3及び図7に実線で明確に表されており,本願意匠の底面図に表された形態も,分解図ではあるが図4に実線で具体的に記載されており,本願意匠の背面図に表された形態も,図7の符号1で示された取付ベース板の形態からみて実線で表されていたということができるから,本願意匠の形態と同一の形態が,破線か実線かの相違はあるものの,原特許出願2の明細書及び図面中に明確に表されていたということができる。

そうすると,原特許出願2に係る意匠は,意匠に係る物品が本願意匠と実質的に同一であり,本願部分についての記載も実質的になされており,かつ,その形態も原特許出願2の明細書及び図面に本願意匠と同一のものが表されていると認められるから,本願意匠と同一の意匠が原特許出願2の明細書及び図面に表されていたといえる。
したがって,本願は,原特許出願2から適法に出願変更されたものであるということができる。

(3)本願意匠が原特許出願1の明細書及び図面に開示されていたか否か
原特許出願1の明細書及び図面の記載は,原特許出願2のものと同一であるから,上記(2)の理由により,本願意匠が原特許出願1の明細書及び図面中に明確に認識しうるように具体的に記載されていたということができる。

(4)小括
以上のとおり,本願は原特許出願2から適法に出願変更されたものであり,また,本願意匠と同一の意匠が,原特許出願1の明細書及び図面にも表されていたと認められるから,本願は原特許出願1の出願の日になされたものとみなすことができる。

2 本願意匠が,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて
上記1のとおり,本願意匠は,原特許出願1の出願の日(平成30年(2018年)2月27日)になされたものとみなすことができる。他方,原審が拒絶の理由として引用した引用意匠は,2019年03月26日にオムロン株式会社によりインターネットを通じて公衆に利用可能となった意匠であると認められる。
よって,この引用意匠は,本願出願前に日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似する意匠に該当しないから,原審が示した引用意匠を理由に,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するものであるということはできない。

第4 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとした原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶することはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-09-23 
出願番号 意願2019-10760(D2019-10760) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 江塚 尚弘
渡邉 久美
登録日 2020-10-29 
登録番号 意匠登録第1672795号(D1672795) 
代理人 村上 尚 
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