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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1367034 
審判番号 不服2020-3524
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-03-13 
確定日 2020-10-16 
意匠に係る物品 カメラ機能付き電子計算機 
事件の表示 意願2018- 18827「カメラ機能付き電子計算機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成30年(2018年)8月29日に出願された、本意匠を意願2018-18826とする関連意匠の意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成31年(2019年) 3月27日付け 拒絶理由の通知
令和 1年(2019年) 5月14日 意見書の提出
令和 1年(2019年) 5月14日 手続補正書の提出
令和 1年(2019年) 7月10日付け 補正の却下の決定
令和 1年(2019年)12月 4日付け 拒絶査定
令和 2年(2020年) 3月13日 拒絶査定不服審判の請求
令和 2年(2020年) 4月22日 手続補正書の提出

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば、「カメラ機能付き電子計算機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠は、「カメラ機能付き電子計算機」の表示部に表された画像の一部について部分意匠として意匠登録を受けようとするものであると認められます。
この意匠登録出願の意匠に係る「カメラ機能付き電子計算機」を含め、広く操作画像を含む物品において、撮影した写真のサムネイル画像を表示するための矩形状枠を表示画面内の各種位置に小さく重畳表示することは、例えば意匠1乃至意匠4に見られるように本願出願前よりごく普通に知られた態様です。
また、画像を表示するための矩形状枠を表示画面の左中央に表示画面の枠からやや間隔を空けて表示させる態様についても、意匠5乃至意匠7に見られるように、本願出願前より公然知られている態様です。
とすると本願意匠は、単なる矩形状枠を、公知の態様で表示画面の左中央にサムネイル画像を表示するために重畳表示させ、カメラ機能付き電子計算機に係る画像の意匠として表した程度に過ぎず、当業者であれば容易に創作できたものと認められます。

意匠1
大韓民国意匠商標公報 2013年 3月 8日13-07号
デジタルカメラ(登録番号30-0683789)に係る画像の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH25408272号)
意匠2
米国特許商標公報 2015年 9月29日
携帯用情報端末機の画面(登録番号US D739880S)に係る画像の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH27320865号)
意匠3
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2005-033384
図8にあらわされたデジタルカメラに係る画像の意匠
意匠4
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2009-260600
図4にあらわされた電子カメラに係る画像の意匠
意匠5
大韓民国意匠商標公報 2015年12月 1日15-46号
ディスプレースクリーン用画像(登録番号30-0827837)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH27451447号)
意匠6
特許庁普及支援課が2011年11月17日に受け入れた
米国特許商標公報 2011年10月25日11W43号
ディスプレースクリーン用画像(登録番号US D647534S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH23318139号)
意匠7
特許庁普及支援課が2011年12月 1日に受け入れた
大韓民国意匠商標公報 2011年10月19日11-20号
携帯電話機(登録番号30-0617376)に係る画像の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH23435270号)」

第4 当審の判断
以下において、請求人による令和2年4月22日の手続補正が、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものであるか否かを検討し、その上で、本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 手続補正が図面の要旨を変更するものであるか否かについて
(1)出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面(別紙第1参照)
ア 出願当初の願書の記載
出願当初の願書には、意匠に係る物品が「カメラ機能付き電子計算機」であると記載されており、「意匠に係る物品の説明」及び「意匠の説明」の記載は以下のとおりである。
(ア)意匠に係る物品の説明
本願意匠に係る物品は、スマートフォンタイプの電子計算機であり、主として手のひらで保持して使用する。側面にはセンサーが埋設されており、使用状態を示す参考図に表すように、ユーザが手のひらで本願物品を保持した状態において側面の任意の箇所にタッチすることによって写真又は動画を撮影することができる。写真又は動画が撮影されると、正面図に示すように、当該タッチした箇所を基準としてその状態において親指でタップ等の操作をすることが容易な位置に、撮影した写真又は動画のサムネイル画像が表示される。これをタップすると当該写真又は動画が拡大表示され、ユーザは今撮影した写真又は動画の内容を確認することができる。本願では、ユーザがギターを弾く男性を撮影し、そのサムネイル画像が表示画面に表示された状態を示している。
(イ)意匠の説明
実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。部分拡大正面図は表示画面に表示された画像部分の拡大図である。背面図、右側面図及び底面図は、意匠登録を受けようとする部分以外の部分のみ現れるので省略する。
イ 出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨について
上記の出願当初の願書の記載によれば、本願の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は、カメラ機能を有するスマートフォンタイプの電子計算機であり、ユーザが側面の任意の位置をタップして写真又は動画を撮影すると、その写真又は動画のサムネイル画像が親指でタップすることが容易な位置に表示され、親指タップによってそのサムネイル画像が拡大表示される。
そして、願書に添付した「使用状態を示す参考図」には、ユーザが、本願物品を握った手の親指で、本願物品の側面の任意の位置である左側面部中央をタップする様子が示されており、「正面図」には、同じ握り位置の手の親指でタップ可能な位置(本願物品の正面部左側略中央)に、サムネイル画像が表示されている。ユーザは拡大表示のためにそのサムネイル画像に対して親指タップを行う。そうすると、同じ握り位置の手の親指によって左側面部中央と正面部左側略中央を順にタップするという操作をユーザが行うと認められる。
その最初の操作によって表示されるサムネイル画像は、「正面図」(及び「部分拡大正面図」)によれば、正面表示部中の左側略中央の「実線で表した部分」であり、この部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。その「実線で表した部分」の形状は略正方形状であり、正面表示部全体の約1/4.2(縦方向)、1/2.1(横方向)を占めており、正面表示部右端から少し離れている(「実線で表した部分」の横幅の約1/6だけ離れている)。
(2)令和2年4月22日の手続補正(別紙第2参照)
ア 「意匠に係る物品の説明」の変更
(ア)
「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図に示す任意の箇所Aにタッチした場合には、任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図に表すようにサムネイル画像が表示される。同任意の箇所Bにタッチした場合には、任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図に表すように、同任意の箇所Cにタッチした場合には、任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図に表すように、サムネイル画像が表示される。」の記載が追加された。
(イ)
出願当初「側面にはセンサーが埋設されており、ユーザが手のひらで本願物品を保持した状態において側面の任意の箇所にタッチする・・・」の記載が、「側部にはセンサーが具わっており、ユーザが手のひらで本願物品を保持した状態において側部の任意の箇所にタッチする・・・」に変更された。
イ 図面の追加
「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図」「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」「ユーザが任意の箇所Bにタッチした様子を示す図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」「ユーザが任意の箇所Cにタッチした様子を示す図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」が追加された。
「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図」では、ユーザが本願物品を握った手の親指で本願物品の左側面部下部をタップする様子が示されており、「ユーザが任意の箇所Bにタッチした様子を示す図」と「ユーザが任意の箇所Cにタッチした様子を示す図」では、それぞれ本願物品の右側面部上部と右側面部中央やや下をタップする様子が示されている。「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」には、同じ握り位置の手の親指でタップ可能な位置(本願物品の正面部左下)にサムネイル画像が表示され、同じ握り位置の手の親指によって左側面部下部と正面部左下を順にタップするという操作をユーザが行うと認められる。同様に、「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」と「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」には、正面部右上と正面部右側中央やや下にサムネイル画像が表されて、同じ握り位置の手の親指によってタップすると認められる。
「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」では、「実線で表した部分」(サムネイル画像)の形状は略正方形状であり、正面表示部全体の約1/4.2(縦方向)、1/2.1(横方向)を占めており、それぞれ、正面表示部の左端、右端及び右端から少し離れている(いずれも「実線で表した部分」の横幅の約1/6だけ離れている)。
(3)要旨を変更するものであるか否かの判断
ア 出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨において、前記(1)イのとおり、同じ握り位置の手の親指によって、本願物品の側面の任意の位置である左側面部中央と正面部左側略中央を順にタップするという操作をユーザが行うと認められるから、同じ握り位置の手の親指によって、本願物品の側面の任意の位置である左側面部下部と正面部左下を順にタップするという操作を示す「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図」及び「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」の追加は、当該要旨を変更するものではない。同様に、「ユーザが任意の箇所Bにタッチした様子を示す図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」「ユーザが任意の箇所Cにタッチした様子を示す図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」の追加も、当該要旨を変更するものではない。
そうすると、前記(2)ア(ア)の記載変更、及び前記(2)イの図面追加は、当該要旨を変更するものではない。
イ 前記(2)ア(イ)の記載変更は、「側面」→「側部」と、「埋設されて」→「備わって」の変更であるところ、前者の2つの語は同義であり、後者の2つの説明も同趣旨であるから、いずれも願書の記載の要旨を変更するものではない。
ウ したがって、令和2年4月22日の手続補正は、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の要旨を変更するものではない。

2 本願意匠が容易に創作することができたか否かについて
(1)本願意匠の認定
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。なお、願書の「意匠に係る物品の説明」並びに願書に添付した図面である「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図」「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」「ユーザが任意の箇所Bにタッチした様子を示す図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」「ユーザが任意の箇所Cにタッチした様子を示す図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」については、令和2年4月22日に手続補正がなされて、変更又は追加されている(別紙第2参照)。
ア 意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「カメラ機能付き電子計算機」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「本願意匠に係る物品は、スマートフォンタイプの電子計算機であり、主として手のひらで保持して使用する。側部にはセンサーが具わっており、ユーザが手のひらで本願物品を保持した状態において側部の任意の箇所にタッチすることによって写真又は動画を撮影することができる。写真又は動画が撮影されると、正面図に示すように、当該タッチした箇所を基準としてその状態において親指でタップ等の操作をすることが容易な位置に、撮影した写真又は動画のサムネイル画像が表示される。ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図に示す任意の箇所Aにタッチした場合には、任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図に表すようにサムネイル画像が表示される。同任意の箇所Bにタッチした場合には、任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図に表すように、同任意の箇所Cにタッチした場合には、任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図に表すように、サムネイル画像が表示される。これをタップすると当該写真又は動画が拡大表示され、ユーザは今撮影した写真又は動画の内容を確認することができる。本願では、ユーザがギターを弾く男性を撮影し、そのサムネイル画像が表示画面に表示された状態を示している。」
また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。
「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。部分拡大正面図は表示画面に表示された画像部分の拡大図である。背面図、右側面図及び底面図は、意匠登録を受けようとする部分以外の部分のみ現れるので省略する。」
イ 本願物品の用途及び機能
上記「意匠に係る物品の説明」及び願書に添付した図面によれば、本願物品は、カメラ機能を有するスマートフォンタイプの電子計算機であり、ユーザが側部の任意の位置をタップして写真又は動画を撮影する用途及び機能を有している。
ウ 正面に表示された画像
本願意匠の正面には、周囲に余地部を残して隅丸縦長長方形の表示部(物理的画面)が配されており、その表示部内全域に隅丸横長長方形の画像(以下「本願画像」という。)が表示され、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は、本願画像における「実線で表した部分」(以下「本願画像部分」という。)であって、破線で表された部分は本願画像部分を構成しない。なお、本願画像内で破線で表された部分は、ギターを弾く男性(被写体)であり、本願画像部分内で破線で表された部分は、撮影された写真又は動画の内容である。
本願画像部分はサムネイル画像であって、タップすることによって拡大表示されるから、本願物品のカメラ機能を発揮できる状態にするために行われる操作の用に供される画像であること、本願物品に記録された画像であると推認できること、及び本願物品が意匠法の対象とする物品と認められることから、本願画像は、意匠法第2条第2項(平成18年改正意匠法)に規定する画像(操作画像)を構成するものであると認められる。
エ 本願画像部分の用途及び機能
本願画像部分は、撮影した写真又は動画のサムネイル画像であって、願書に添付した「使用状態を示す参考図」「ユーザが任意の箇所Aにタッチした様子を示す図」「ユーザが任意の箇所Bにタッチした様子を示す図」及び「ユーザが任意の箇所Cにタッチした様子を示す図」に示されているとおり、ユーザが本願物品を握った手の親指で本願物品の側部の任意の位置をタップすると、「正面図」において同じ握り位置の手の親指でタップ可能な位置(側部の任意の位置に近い正面部の位置)に表示される機能を有している。
本願画像部分の用途は、撮影した写真又は動画の内容を縮小画像(サムネイル画像)として確認することであり、また、ユーザが本願画像部分を親指タップしてそれを拡大表示させて、拡大された写真又は動画の内容を確認することである。
オ 本願画像における本願画像部分の位置、大きさ及び範囲
本願画像部分は、「正面図」では、画像の左側略中央に位置しており、「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」では、それぞれ正面部左下、正面部右上及び正面部右側中央やや下に位置している。
「正面図」「任意の箇所Aにタッチした際に現れる画像の図」「任意の箇所Bにタッチした際に現れる画像の図」及び「任意の箇所Cにタッチした際に現れる画像の図」において、本願画像部分の縦幅は本願画像の縦幅の約1/4.2であり、本願画像部分の横幅は本願画像の横幅の約1/2.1である。また、いずれの図においても、本願画像部分は左端又は右端から少し離れており、左端又は右端との間隔は本願画像部分の横幅の約1/6である。
カ 本願画像部分の形態
本願画像部分の形態は略正方形状である。

(2)引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された意匠について、以下のとおり認定する。これらの意匠は、いずれも日本国特許庁又は諸外国の特許庁が発行した公報に記載されたものであり、公報の種別や図の名称は前記第3のとおりである。
ア 意匠1(公報発行日は2013年3月8日。別紙第3参照)
(ア)意匠1について
意匠1には、デジタルカメラの画面が表されており、人物画像の中にサムネイルの画像が含まれている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠1における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠1部分」という。)は、画像内に表示されたサムネイル画像であって、図A1.1では周囲に余地部を残して配されて、図B1.1ないし図E1.1では左下に配されており、
図A1.1では、意匠1部分の縦幅は画像全体の縦幅の約1/1.1であり、横幅も同様である(意匠1部分は画像全体の相似形である)。図B1.1及び図C1.1では、意匠1部分の縦幅は、それぞれ画像全体の縦幅の約1/1.3、約1/2.1であり、横幅も同様である(意匠1部分は画像全体の相似形である)。図D1.1及び図E1.1では、意匠1部分の縦幅は画像全体の縦幅の約1/4.1であり、横幅は約1/7.3である。
また、図A1.1における意匠1部分の画像左端及び画像右端との間隔は画像全体の横幅の約1/18であり、画像上端及び画像下端との間隔は画像全体の縦幅の約1/20である。図B1.1及び図C1.1における意匠1部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/102であり、画像下端との間隔は画像全体の縦幅の約1/44である。図D1.1及び図E1.1における意匠1部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/35であり、画像下端との間隔は画像全体の縦幅の約1/22である。
(ウ)意匠1部分の用途及び機能
図A1.1から図D1.1にかけて、意匠1部分がしだいに縮小して、画面全体の左下に移動する機能を有している。
意匠1部分の用途は、撮影した写真の内容を縮小画像(サムネイル画像)として確認することである。
(エ)意匠1部分の形態
図A1.1ないし図C1.1では、意匠1部分の形態は横長長方形状であって、縦横比は約1:1.8である。図D1.1ないし図E1.1では、意匠1部分は、2つの略角丸正方形状が位置を斜めに僅かにずらして重なったような形態である。

イ 意匠2(公報発行日は2015年9月29日。別紙第4参照)
(ア)意匠2について
意匠2には、携帯用情報端末機の画面が表されており、風景画像の中にthumbnail(サムネイル)の画像が含まれている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠2における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠2部分」という。)は、画像内に表示されたサムネイル画像であって、FIG.2ないしFIG.4では、画像の上端に接して、画像の左端、下端及び右端に余地部を残してやや右寄りに配されており、FIG.5ないしFIG.7では、画像の右上に位置している。
FIG.2では、意匠2部分の縦幅は画像全体の縦幅の約1/1.1であり、横幅も同様である(意匠2部分は画像全体の相似形である)。FIG.3、FIG.4、FIG.5、FIG.6及びFIG.7では、意匠2部分の縦幅は、それぞれ画像全体の縦幅の約1:1.4、約1:1.9、約1:2.6、約1:5.4、約7.3であり、横幅も同様である(意匠2部分は画像全体の相似形である)。
また、FIG.2における意匠2部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/14であり、画像右端との間隔はその約1/57である。FIG.3における意匠2部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/6であり、画像右端との間隔はその約1/12である。FIG.4における意匠2部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/3であり、画像右端との間隔はその約1/9である。FIG.5における意匠2部分の画像右端との間隔は画像全体の横幅の約1/12であり、画像上端との間隔は画像全体の縦幅の約1/31である。FIG.6における意匠2部分の画像右端との間隔は画像全体の横幅の約1/14であり、画像上端との間隔は画像全体の縦幅の約1/21である。FIG.7における意匠2部分の画像右端との間隔は画像全体の横幅の約1/19であり、画像上端との間隔は画像全体の縦幅の約1/23である。
(ウ)意匠2部分の用途及び機能
FIG.2からFIG.7にかけて、意匠2部分がしだいに縮小して、画面全体の右上に移動する機能を有している。
意匠2部分の用途は、撮影した写真の内容を縮小画像(サムネイル画像)として確認することである。
(エ)意匠2部分の形態
意匠2部分の形態は縦長長方形状であって、縦横比は約1.4:1である。

ウ 意匠3(公報発行日は2005年2月3日。別紙第5参照)
(ア)意匠3について
意匠3には、デジタルカメラの液晶画面が表されており、最後に撮影された被写体画像68の左上に、サムネイル画像がポップアップ表示されている。図8(A)では被写体画像が横向きであって、サムネイル画像69も横向きである。図8(B)では被写体画像は横向きであって、サムネイル画像70は縦向きである。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠3における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠3部分」という。)は、画像内に表示されたサムネイル画像であって、図8の(A)及び(B)では、画像の左上隅寄りに、画像の左端及び上端に余地部を少し残して配されている。
図8(A)では、意匠3部分の縦幅は画像全体の縦幅の約1/3であり、横幅も同様である(意匠3部分は画像全体の相似形である)。図8(B)の意匠3部分は、図8(B)のそれを横向きにしたものであって、画像全体に占める比率は同じである。
また、図8の(A)及び(B)における意匠3部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/43であり、画像上端との間隔は画像全体の縦幅の約1/24である。
(ウ)意匠3部分の用途及び機能
図8の(A)では、被写体画像の右上にポップアップ表示されたリスト(90)中の「サムネイルA」が選択されて、サムネイル画像69?72のうちの69が表示されており、図8の(B)では「サムネイルB」が選択されて70が表示されている。意匠3部分は、ユーザがリスト中の4種類のサムネイルを選択することによって、向きの異なる4種類のサムネイルの1つを表示する機能を有している。
意匠3部分の用途は、被写体画像を縮小画像(サムネイル画像)として確認することである。
(エ)意匠3部分の形態
図8(A)では、意匠3部分の形態は横長長方形状であって、縦横比は約1.5:1である。図8(B)では、意匠3部分の形態は縦長長方形状であって、縦横比は約1:1.5である。

エ 意匠4(公報発行日は2009年11月5日。別紙第6参照)
(ア)意匠4について
意匠4には、電子カメラにおいて撮影モードが設定されたときに表示される画面が表されており、被写体の撮像画像に重ねて、撮像画像を縮小したサムネイル画像31、32、33が配されている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠4における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠4部分」という。)は、図4の画像内に表示された3つのサムネイル画像であって、左側のサムネイル画像31は画像の中央やや左に位置しており、中央のサムネイル画像32と右側のサムネイル画像33は、それぞれ画像の中央やや右、右端部中央やや上に位置している。
3つのサムネイル画像の画像全体に占める割合は同じであり、サムネイル画像の縦幅は画像全体の縦幅の約1/8.3であり、横幅は画像全体の横幅の約1/8.6である。
また、右側のサムネイル画像と、画像右端との間に、ごく僅かな間隔がある。
(ウ)意匠4部分の用途及び機能
意匠4部分は、その表示位置が撮影位置に応じて決定される機能を有している。
意匠4部分の用途は、撮像画像を縮小画像(サムネイル画像)として確認することである。
(エ)意匠4部分の形態
意匠4部分の形態は横長長方形状であって、縦横比は約1.5:1である。

オ 意匠5(公報発行日は2015年12月1日。別紙第7参照)
(ア)意匠5について
意匠5には、ディスプレイスクリーン用画像であり、同画像は縦方向に、縦幅の大きい上段、中段、下段の3つの領域に分割され、上段には1つの区画が含まれ、中段には3つのアイコンが含まれて、下段には1つのアイコンが含まれている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠5における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠5部分」という。)は、上段に表示された区画であって、画像全体の左側中央やや下に位置している。
意匠5部分の縦幅は、画像全体の縦幅の約1/4.2であり、横幅は画像全体の横幅の約1/3.1である。
また、意匠5部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/14であり、下側の領域境界線との間隔は意匠5を含む領域の縦幅の約1/26である。
(ウ)意匠5部分の用途及び機能
中段には、左から順に人物アイコン、縮小アイコン及び音量アイコンが並び、下段には終了アイコンがあるので、意匠5はビデオ電話の画像であると推認され、参考図1.1に示されているとおり、最下部を除く領域に通話中の相手の顔が表示され、意匠5部分には自分の顔が表示されている。そうすると、意匠5部分の用途及び機能は、ビデオ電話中に(通話相手の画面に表示されている)自分の顔を確認することである。
(エ)意匠5部分の形態
意匠5部分の形態は縦長長方形状であって、縦横比は約4:3である。

カ 意匠6(公報発行日は2011年10月25日。別紙第8参照)
(ア)意匠6について
意匠6には、ディスプレイスクリーン用画像であり、同画像内に1つの区画が含まれ、下部には3つのアイコンが配されている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠6における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠6部分」という。)は、画像全体の左側略中央に位置している。
意匠6部分の縦幅は、画像全体の縦幅の約1/2.7であり、横幅は画像全体の横幅の約1/1.6である。
また、意匠6部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/18である。
(ウ)意匠5部分の用途及び機能
画像の下部には、左から順に早戻しアイコン、再生アイコン及び早送りアイコンが並んでいるので、意匠5は動画再生の画像であると推認される。そうすると、意匠5部分の用途及び機能は、動画を再生することである。
(エ)意匠5部分の形態
意匠5部分の形態は正方形状である。

キ 意匠7(公報発行日は2011年10月19日。別紙第9参照)
(ア)意匠7について
意匠7には、携帯電話機の画像であり、同画像内に1つの区画が含まれ、左上と右側略中央にアイコンが配されている。
(イ)本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
意匠7における本願画像部分に対応する部分(以下「意匠7部分」という。)は、画像全体の中央左下に位置している。
意匠7部分の縦幅は、画像全体の縦幅の約1/3.6であり、横幅は画像全体の横幅の約1/2.3である。
また、意匠7部分の画像左端との間隔は画像全体の横幅の約1/7である。
(ウ)意匠7部分の用途及び機能
左上に二重円に囲まれたアイコンは通話アイコンであり、右側略中央に二重円に囲まれたアイコンは終了アイコンであるので、意匠7はビデオ電話(又は音声電話)の画像であると推認され、参考図1に示されているとおり、通話中の相手の顔(又は通話相手の画像)が表示されている。そうすると、意匠7部分の用途及び機能は、通話中の相手の顔(又は通話相手の画像)を確認することである。
(エ)意匠7部分の形態
意匠7部分の形態は略正方形状である。

(3)本願意匠の創作非容易性について
本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。
まず、本願物品がカメラ機能を有するスマートフォンタイプの電子計算機であって、ユーザが側部の任意の位置をタップして写真を撮影する用途及び機能を有しているところ、意匠1ないし意匠7については、いずれもそのような用途及び機能を有していない。したがって、側部の任意の位置をタップして写真を撮影する物品の形態は、意匠1ないし意匠7には表されていないので、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。
次に、本願画像部分の用途、すなわち、撮影した写真の内容を縮小画像(サムネイル画像)として確認したり、本願画像部分をタップしてそれを拡大表示させて、拡大された写真の内容を確認する用途は、本願の出願前に例を挙げるまでもなく広く知られているが、本願画像部分の機能、すなわち、ユーザが本願物品を握った手の親指で本願物品の側部の任意の位置をタップし、同じ握り位置の手の親指でタップ可能な位置(側部の任意の位置に近い正面部の位置)に本願画像部分(サムネイル画像)が表示される機能は、意匠1ないし意匠7にはない。したがって、本願画像部分の機能を有する画像の形態は、意匠1ないし意匠7に基づいて当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。
そして、本願画像部分の形態は、略正方形状であるところ、略正方形状の区画を有する画像が本願出願前にありふれている(例えば意匠6及び意匠7)ものの、前記(1)オで認定したとおり、本願画像部分はいずれの図においても左端又は右端から少し離れており、かつその間隔が本願画像部分の横幅の約1/6で一定しているという規則性を有している。このような配置は、意匠1ないし意匠7には表されていないので、当業者が容易に創作をすることができたとはいえない。
したがって、本願意匠は、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-09-30 
出願番号 意願2018-18827(D2018-18827) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 坂田 麻智 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 濱本 文子
小林 裕和
登録日 2020-11-05 
登録番号 意匠登録第1673287号(D1673287) 
代理人 五味 飛鳥 
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