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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C4
管理番号 1368165 
審判番号 不服2020-2239
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-02-19 
確定日 2020-10-21 
意匠に係る物品 高周波温熱美容器用プローブ 
事件の表示 意願2019- 5771「高周波温熱美容器用プローブ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,意匠法第4条第2項の規定(新規性の喪失の例外)の適用を受けようとする,平成31年(2019年)3月19日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)8月29日付けの拒絶理由の通知に対し,同年10月11日に意見書が提出されたが,同年11月19日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「高周波温熱美容器用プローブ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものである。
また,この拒絶の理由には,以下のとおりの付記がなされている。
新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書を提出されていますが,この拒絶理由通知書に記載した引用意匠は,証明書に記載された意匠と同一ではあるものの,証明書記載のものとは異なるアドレスのウェブページにおいて掲載されたものであり,公開の事実が異なります。新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるためには,原則,全ての公開事実について証明する必要があります。」
そして,この拒絶の理由に引用された意匠は,2019年2月1日に,本願の出願人である酒井医療株式会社のウェブサイトにおいて公開された,「高周波温熱美容器用プローブ」の意匠(以下「引用意匠」という。)であり,その形態は,当該サイトに記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。
【情報源】インターネット
【掲載者】酒井医療株式会社
【表題】「ラジオスティムMH2」発売のお知らせ
【掲載箇所】HOME >TOPICS >「ラジオスティムMH2」発売のお知らせ
【掲載日】2019年2月1日
【情報のアドレス】
https://www.sakaimed.co.jp/topics/info/phsioradiostim_mh2_release/

第4 意匠法第4条第2項の規定の適用について
1 意匠法第4条第2項の規定について
意匠法第4条第2項の規定は,創作された意匠が,その公開時において意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して,意匠法第3条第1項第1号又は第2号に該当するに至った意匠(以下「公開意匠」という。)となったときは,その公開意匠が最初に公開された日から1年以内に当該公開意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者が意匠登録出願し,所定の要件を満たした場合,その意匠登録出願に限り,新規性(意匠法第3条第1項各号)及び創作非容易性(意匠法第3条第2項)の要件の判断において,当該公開意匠を公知の意匠ではないとみなすものである。
これは,意匠は販売,展示,見本の頒布等により売行きを打診してみて初めて一般の需要に適合するかどうかの判断が可能である場合が多く,一度販売等を行えば新規性を喪失し,その後に出願しても拒絶されることになるのでは,余りに社会の実情に沿わない結果となるので,これらの公開行為について例外規定を設け,同法同条第3項の手続をすれば新規性を失わないことにしたものである。
そして,意匠登録を受ける権利を有する者の行為に起因して同一の意匠が複数回公開された場合において,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるためには,原則として,それぞれの公開について,新規性の喪失の例外証明書に記載する必要があるところ,先の公開に基づいて複数回にわたって事後公開した場合には,その先に公開された意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるものであれば,その先の公開に基づく第2回以降の公開によっても,その意匠は公知の意匠に該当するに至らなかったものとみなされる。

2 新規性の喪失の例外証明書に記載された意匠の公開行為と引用意匠の公
開行為について
(1)新規性の喪失の例外証明書に記載された意匠の公開行為
本願には,意匠の公開行為として,販売によるもの,カタログによるもの,チラシによるもの,ウェブサイトによるもの,それぞれについて新規性の喪失の例外証明書が提出されているところ,原審の拒絶理由において記載されている「証明書に記載された意匠」とは,その内のウェブサイトによる公開行為に対する新規性の喪失の例外証明書に記載された意匠(以下「証明書記載意匠」という。)と認められる。
この証明書記載意匠は,「ラジオスティムMH2」(高周波温熱機器の製品名)の付属品である「高周波温熱美容器用プローブ」に係るものであって,2018年11月8日に,この意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者の合意の下,酒井医療株式会社が自社のウェブサイト(「sakaimed」における「rehabilitation」の下の階層のページ)において製品発売の予告発表を目的として公開したものである。
本願の出願人(酒井医療株式会社)が提出した「新規性の喪失の例外証明書」によると,当該証明書に添付された別紙(全3枚)にその公開の事実を示す証拠(ウェブサイトの写し)が添付されており,別紙の2枚目が,証明書記載意匠が掲載されているページ(https://www.sakaimed.co.jp/rehabilitation/beauty-instrument/physioradiostimmh2/)の画面の写しである。
そこには,「セラピストを解放する革新的温熱プローブ」及び「『手首に巻くだけ』従来の手技に高周波温熱を完全に融合できる」とのキャッチコピーと共に証明書記載意匠が掲載されている(別紙第3参照)。
(2)引用意匠の公開行為
引用意匠は,「ラジオスティムMH2」(高周波温熱機器の製品名)の付属品である「高周波温熱美容器用プローブ」に係るものであって,2019年2月1日に,この意匠についての意匠登録を受ける権利を承継した酒井医療株式会社が自社のウェブサイト(「sakaimed」における「topics」の下の階層のページ)において,販売時期や価格の決定に伴い,販売決定の発表を目的として公開したものである。
引用意匠が掲載されているページ(https://www.sakaimed.co.jp/topics/info/phsioradiostim_mh2_release/)には,引用意匠並びに「セラピストを解放する革新的温熱プローブ」及び「『手首に巻くだけ』従来の手技に高周波温熱を完全に融合できる」とのキャッチコピー,そして,製品の価格に関する情報が掲載されている。

3 証明書記載意匠と引用意匠の同一性について
証明書記載意匠と引用意匠は,共に「高周波温熱美容器用プローブ」の意匠であり,その形態に相違点は存在せず,同一の意匠と認められる。

4 引用意匠について公知の意匠に該当するに至らなかったものとみなすこ
とができる否かについて
引用意匠は,この意匠についての意匠登録を受ける権利を承継した酒井医療株式会社の行為に起因して公開されたものであり,本願意匠は,引用意匠が公開された日から1年以内に引用意匠についての意匠登録を受ける権利を有する者である酒井医療株式会社が意匠登録出願したものである。
そして,引用意匠の公開は,証明書記載意匠の公開の場合と同じく,酒井医療株式会社のウェブサイト内において行われたものであり,引用意匠の公開においては,証明書記載意匠の公開時には決まっていなかった製品の価格についての情報が追加されているものの,証明書記載意匠の公開と同様のキャッチコピーと共に,証明書記載意匠と同一の意匠が掲載されており,このことは,製品の予告発表後の,発売時期や価格が決定した時点での発売決定の発表という,製品の開発から発売に至るまでの一連の流れの中で行われた意匠の公開といえ,証明書記載意匠の公開と引用意匠の公開には密接な関連性があると認められる。
これらのことを,上記1で述べた新規性喪失の例外規定の主目的を踏まえて総合的に判断すれば,ウェブサイト内における意匠が公開された場所(階層)や公開日が異なっているとしても,引用意匠の公開は,その先の公開,つまり証明書記載意匠の公開に基づいて行われたものといえ,その先に公開された証明書記載意匠について意匠法第4条第2項の規定の適用を受けるものであるから,引用意匠は,公知の意匠に該当するに至らなかったものとみなすことができる。

第5 むすび
そうすると,引用意匠については,意匠法第4条第2項の規定に基づき,新規性及び創作非容易性の要件の判断において,本願の出願前に公知の意匠に該当するに至らなかったものとみなすことから,本願意匠について,引用意匠に同一又は類似するものであるか否かの判断を行うまでもなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2020-09-30 
出願番号 意願2019-5771(D2019-5771) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 日比野 杏香桐野 あい 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2020-11-19 
登録番号 意匠登録第1674283号(D1674283) 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 松沼 泰史 
代理人 眞島 竜一郎 
代理人 石川 香菜子 
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