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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H6
管理番号 1368186 
審判番号 不服2020-6125
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2020-12-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-05-07 
確定日 2020-11-30 
意匠に係る物品 アイシーカード 
事件の表示 意願2018- 29004「アイシーカード」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、パリ条約による優先権(最初の出願:アメリカ合衆国、2018年6月12日)を主張する、平成30年(2018年)12月12日の意匠登録出願であって、主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和 1年(2019年) 6月18日付け 拒絶理由の通知
令和 1年(2019年)11月 1日 意見書の提出
令和 2年(2020年) 1月24日付け 拒絶査定
令和 2年(2020年) 5月 7日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であって、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「アイシーカード」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、「実線で表された部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。右側面図は左側面図と同一に表れ、底面図は平面図と同一に表れるため、右側面図及び底面図を省略する。」としたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。

「本願意匠は、アイシーカードにおける端子部の形状に関する創作物であり、登録を受けようとする部分の構成態様は、同形の長楕円形端子6個を2列3段の左右対称形に密集させた端子群を隅丸長方形状の枠内に収めて成るものと認められます。
しかしながら、同形の矩形端子8個を2列4段の左右対称形に密集させた端子群を隅丸長方形状の枠内に収めた端子部の態様が文献(1)図1に、同形の長楕円形端子8個を2列4段の左右対称形に密集させた端子群の態様が文献(2)にそれぞれ記載されていることから、本願意匠の前記構成態様については、文献(2)の端子群の段数を1段(端子2個)減らして2列3段の端子群として、文献(1)の端子部に見られるように隅丸長方形状の枠内に収めた程度のものと認められます。また、端子群を構成する端子を1段(端子2個)減らした点については、技術仕様に基づく一般的改変の域を出ないものであって、意匠の構成要素として特筆すべきものは見出せません。
したがって、当業者であれば、本願意匠は容易に創作できたものと言わざるを得ません。

(1)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2010-277307
図1

(2)
大韓民国意匠商標公報 2016年 3月31日
集積回路内蔵カード(登録番号30-0847481)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH28414599号)」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性について、すなわち、本願意匠の出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
(1)本願意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「アイシーカード」である。

(2)本願部分の用途及び機能
本願部分は、アイシーカードの正面側に位置し、情報を記録する機能を有しており、読取機に応じて格納された情報を提供する用途に用いられる。

(3)本願部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分は、アイシーカードの正面側の、高さ方向には中央よりやや下、横幅方向には右寄りにおけるものであり、縦幅がアイシーカードの縦幅の約6.5分の1を占め、横幅がアイシーカードの横幅の約7.1分の1を占めている。

(4)本願部分の形態
本願部分は、高さと横幅の比率が約1対1.5の隅丸長方形の枠内に、高さと横幅の比率が約1対2.4である横長長円形(長方形の両端に半円形を付した形をいう。以下同じ。)の端子が2列3段に設けられており、この2列3段の横長長円形端子は、枠の角部の隅丸の形状に沿うように、ごく僅かに一定の間隔を空けて、近接して配置されている。また、この間隔と、1段目と2段目の横長長円形端子の間隔、2段目と3段目の横長長円形端子の間隔が、等しく形成されている。さらに、左列と右列の間は、それらの間隔の2倍をあけて形成されるものである。

2 原審の拒絶の理由において引用された公知意匠の認定
原審の拒絶の理由において引用された、文献(1)に記載された意匠(以下「引用意匠1」という。)と文献(2)に記載された意匠(以下「引用意匠2」という。)を以下のとおり認定する。
(1)引用意匠1
ア 引用意匠1の意匠に係る物品
引用意匠1の「意匠に係る物品」は、「接触式ICカード」である。

イ 引用意匠1の本願部分に相当する部分(以下「引用部分1」という。)の用途及び機能
引用部分1は、情報を記録する機能を有しており、読取機に応じて格納された情報を提供する用途に用いられる。

ウ 引用部分1の位置、大きさ及び範囲
引用部分1は、アイシーカードの片面側の、高さ方向には中央よりやや上、横幅方向には左寄りにおけるものであり、また、アイシーカード全体に対し、高さ、横幅ともに約4分の1の大きさ及び範囲である。

エ 引用部分1の形態
引用部分1は、二重の枠を有する、高さと横幅の比率が約1対1.3の隅丸長方形の枠内において、やや右寄りの位置に、高さと横幅の比率が約1対3である横長長方形の端子を2列4段に設けたものである。また、隅丸長方形の枠の左側の角部において、枠の水平部と矩形端子との間隔と、枠の垂直部と矩形端子との間隔は、約1対3となっており、右側の角部においては約1対4となっている。

(2)引用意匠2の意匠
ア 引用意匠2の意匠の意匠に係る物品
引用意匠2の意匠の意匠に係る物品は、「スマートカード」である。スマートカードとは、カードにアイシーチップを埋め込んだものである。

イ 引用意匠2の本願部分に該当する部分(以下「引用部分2」という。)の用途及び機能
引用部分2は、情報を記録する機能を有しており、読取機に応じて格納された情報を提供する用途に用いられる。

ウ 引用部分2の位置、大きさ及び範囲
引用部分2は、スマートカードの片面側の、高さ方向には中央よりやや上、横幅方向には左寄りにおけるものであり、スマートカード全体に対し、高さ、横幅ともに約6分の1の大きさである。

エ 引用部分2の形態
引用部分2は、仮想の高さと幅の比率が約1対1.5に収まる範囲に配置された、高さと横幅の比率が約1対3である横長長円形が2列4段に集積した部分である。また、縦に並んだ横長長円形同士の垂直方向の間隔は等しいものである。さらに、左列と右列の間は、垂直方向の間隔の約3.6倍をあけて形成されるものである。

3 本願意匠の創作非容易性の判断
意匠法第3条第2項の規定の適用についての判断は、「意匠登録を受けようとする部分」の全体の形態が、当該意匠登録出願前に公然知られた形態に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に、当該部分の用途及び機能を考慮し、「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において、その位置、その大きさ、その範囲とすることが、当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うものである。
また、「アイシーカード」のアイシーチップ部分を創作する際には、「アイシーカード」のアイシーチップ部分という限られた範囲に、技術的に必要な数の端子を微細な配設位置を調整して創作を行うとともに、アイシーチップ部分の外観上の魅力も向上させるという観点で創作を行うものといえる。
そして、本願部分の形態は前記第4の1に示すとおりであって、「アイシーカード」の分野においては、アイシーチップ部分をアイシーカードの高さ方向や幅方向の中央から片寄らせて配置することは、本願出願前より見受けられるものである。
しかしながら、本願部分の、高さと横幅の比率が約1対1.5の隅丸長方形の枠内に、高さと横幅の比率が約1対2.4である横長長円形の端子を2列3段に設け、枠の角部の隅丸の形状に沿うように、ごく僅かな一定の間隔を空けて近接して配置した態様は、原審の拒絶の理由において引用された引用部分1として示された、高さと横幅の比率が約1対1.3である隅丸長方形の二重の枠内に、引用部分2として示された、高さと横幅の比率が約1対3である横長長円形の2列4段の集積から1段を除いて2列3段として配置したとしても、必ず本願部分のように配置されるものではないことから、当業者であれば容易に創作できたということができない。
また、本願部分の横長長円形端子の左列と右列の間は、それらの間隔の2倍をあけて形成されるものであり、引用部分2の左列と右列の間は、垂直方向の間隔の約3.6倍をあけて形成されるものであって、本願部分の横長長円形端子と引用部分2の横長長円形端子の配置は異なることから、本願部分の横長長円形の配置は、当業者であれば引用意匠2に基づいて容易に創作することができたということはできない。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2020-11-11 
出願番号 意願2018-29004(D2018-29004) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 江塚 尚弘
濱本 文子
登録日 2020-12-04 
登録番号 意匠登録第1675423号(D1675423) 
代理人 山本 泰史 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 松下 満 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 須田 洋之 
代理人 鈴木 博子 
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