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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1370059 
審判番号 不服2020-7929
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-06-09 
確定日 2021-01-04 
意匠に係る物品 輸液バッグ 
事件の表示 意願2019- 17660「輸液バッグ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

令和1年(2019年) 8月 7日 意匠登録出願
同年 12月20日付け 拒絶理由通知書
令和2年(2020年) 2月17日 意見書提出
同年 2月28日付け 拒絶査定
同年 6月 9日 審判請求書提出

第2 本願の意匠

本願は、物品の部分について意匠登録を受けようする意匠登録出願であって、本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「輸液バッグ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「実線で表した部分が部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。

引用意匠(別紙第2参照)
特許庁総合情報館が1999年11月11日に受け入れた
アメリカ意匠公報:オフィシャル ガゼット 1998年 9月 8日2号 第2345頁所載
「輸液バッグ」のうち当該意匠に該当する部分の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH11080545号)

第4 当審の判断

1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、医療用の器具であって、患者に薬液を投与する際、内部に薬液を注入し、点滴用スタンドのフックに吊り下げる等して用いられる「輸液バッグ」であるから、両意匠の意匠に係る物品は、一致する。

(2)本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲
本願部分と、引用意匠において本願部分と対比する部分、すなわち本願部分に相当する部分(以下、「引用部分」といい、本願部分と引用部分をあわせて「両部分」という。)の用途及び機能については、両部分は、当該物品を点滴用スタンドに吊り下げるためのフラップと、フラップから連続するバッグの両肩の外形部分である点において共通するが、本願部分は、当該フラップを折り曲げ、その上から注意事項等を記載したシールを貼り付けて使用できるものであるのに対し、引用部分は、フラップは折り曲げて使用しない点において相違する。
位置、大きさ及び範囲については、両部分ともに、バッグの上端に位置し、上面全体を占める範囲のものとし、正面視においてフラップと、フラップから連続するバッグの両肩の外形部分であるから、共通する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
両部分は、上面視において略細幅横帯状とし、正面視において左右中央に円孔を設けた略隅丸矩形状の突片(以下「フラップ部」という。)及びその両端から水平方向に延出し端部を弧状に湾曲して両肩部としたものである点において共通する。

イ 相違点
(ア)正面視におけるフラップ部の縦(高さ)、横の長さの比率について、本願部分は、約1:1.3であるのに対し、引用部分は、約1:1で、本願部分の方が若干横長で、フラップ部の横の長さと全幅との比率については、本願部分は、約1:4.8であるのに対し、引用部分は、約1:3で、本願部分の方が全幅に占めるフラップ部の割合が小さい点、
(イ)フラップ部の円孔について、本願部分は、直径が横幅の約1/3で、下端近傍に配置しているのに対し、引用部分は、直径が横幅の約1/2で、上下中央に配置している点、
(ウ)色彩等について、本願部分は、全体が透明であるのに対し、引用部分は、全体が不透明である点において相違する。


2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能は、フラップ部を折り曲げて使用するか否かにおいては相違するものであるが、どちらも点滴用スタンドに吊り下げるものであるから、類似する。
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。

(3)両部分の形態
以下、両部分の形態について検討する。

ア 形態の共通点及び相違点の評価
両部分は、医療用の輸液用バッグのフラップ部及び両肩部であるから、需要者は、主に医療関係者のほか、医療機器メーカーや医療機器の取引業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位であるフラップ部の態様について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、部分全体として形態を評価することとする。

イ 共通点の評価
この種物品の分野においては、上面視において略細幅横帯状とし、正面視において左右中央に円孔を設けた略隅丸矩形状のフラップ部とし、その両端から水平方向に延出し端部を弧状に湾曲して両肩部としたものは、両部分の他にも見受けられるものであるから、この態様は、両部分のみに共通するものとはいえず、この共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 相違点の評価
(ア)について、正面視におけるフラップ部の縦、横の長さの比率において、本願部分は、引用部分より若干横長であるが、その差は僅かであって部分的な相違に過ぎないから、微弱なものであるが、全幅に占めるフラップ部の割合の相違については、一見して気付く相違であるから、需要者に異なる美感を与えており、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(イ)について、当該円孔は、点滴用スタンドのフックに引っかけるための孔であって、全幅との比較はともかく、円孔自体の大きさにはさほど違いはないと推認できるから、需要者が格別注意を払うものとはいえないが、円孔を設ける位置を下端近傍としフラップ部の上方に大きな余白を設けている本願部分の態様は、上下中央に設けた引用部分の態様とは視覚的に異なるものであるから、需要者に別異の美感を与えているといわざるを得ず、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(ウ)について、この種医療用バッグの物品分野においては、全体を透明としたものも、不透明としたものも、どちらもごく普通に見られるものであるから、格別、需要者の注意を惹くものとはいえず、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

以上のとおり、相違点(ウ)が両部分の類否判断に与える影響は小さいが、相違点(ア)及び相違点(イ)が両部分の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。

3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似し、両部分の位置、大きさ及び範囲は同一で、用途及び機能は類似しているものであるが、形態においては、共通点が未だ両部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、両部分は、需要者に異なる美感を与えているというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび

以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2020-12-08 
出願番号 意願2019-17660(D2019-17660) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 ▲高▼橋 杏子 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 内藤 弘樹
渡邉 久美
登録日 2021-01-14 
登録番号 意匠登録第1678290号(D1678290) 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 黒川 朋也 
代理人 野間 悠 
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